業界動向
「荒野行動」「Identity V」のNetEase,2020年第2四半期の売り上げは2791億円で,1504億円の利益
外部サイト:NetEase Announces Second Quarter 2020 Unaudited Financial Results
外部サイト:NetEase 2Q 2020 Investor Presentation
中国では今でも「フリーメールの会社」というイメージの強いNetEaseだが,2001年にオンラインゲームに注力するようになり,もはや中国最大のゲーム“専業”会社と呼んでも差し支えないレベルになった。「荒野行動」「Identity V」「ライフアフター」など,日本ではスマホゲームの会社として認識されているが,そもそもはPCゲームの会社であり,PCオンラインゲームにおいてもその存在感は大きい。
あらゆるゲーム会社に投資を行いグループ化して,プラットフォームとしての巨大化を目指しているTencentに対しては,こちらはいくつもの開発チームやスタジオを内部に抱えて,割と正面からゲームそのものに向き合っている会社だといえる。
そんなNetEaseの2020年Q2(第2四半期)の総売り上げは,181.85億元(約2791億円)で,YoY+26.6%という好調さだ。比較するものでもないが,売り上げの規模を数字感として見せると,ざっくりスクウェア・エニックスの3倍,任天堂の8割近くにも達している。なお売り上げ総利益としては97.92億元(約1504億円)が計上されており,こちらはYoY+26.6%だ。
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総売り上げ2791億円のうち,80%近い約2123億円を「オンラインゲーム」が叩き出しており,NetEaseが業態として完全にゲーム会社であることはここからもうかがえる。ざっくりした概要しか公開されていないので,このうち日本での売り上げが占める割合がどれくらいかなどは分からないのだが,ハイライトとして
・「Fantasy Westward Journey H5」(夢幻西遊),「King of Hunters」(iOS / Android),「ウイニングイレブン クラブマネージャー」(iOS / Android,代理パブリッシング)などの新作を,次々とローンチ
・上半期において,中国でのWorld of Warcraftの同接者数の記録を更新(※NetEaseは,中国でのBlizzard作品運営会社)
などが挙げられている。
昨年,大手ECサイトだった「コアラ」(網易考拉)をアリババに売却し,自社音楽配信サービスにもアリババの資本を受け入れるなど,ゲーム事業以外がやや小休止モードに入ったように見えたNetEaseだが,それはすなわちゲームに本腰を入れるということ。全社売り上げの80%を叩き出すゲーム事業は,このあとも世界レベルの新作が次々と発表される予定で,攻勢の手を緩めるつもりは毛頭なさそうだ。
4Gamer読者の皆さんもちょっと期待して待っているであろうスマホ版ディアブロである「Diablo Immortal」(iOS / Android)(ディアブロ イモータル)をはじめ,つい先日海外配信がスタートした「EVE Echoes」(iOS / Android),あの“指輪物語“を原作としたモバイルストラテジーゲーム「The Lord of the Rings: Rise to War」,これもまた世界に轟くIP”ハリー・ポッター“の世界観の上に作り上げられているデジタルカードゲーム「ハリー・ポッター:魔法の覚醒」など,大作が目白押しだ。
中国国内でのゲームに対する規制は,いまのところ緩まる気配がない(まぁそれでも唐突に,予告もなく変わったりすることもあるが)。
昨年以降,ゲーム事業をメインにすべく舵を切って世界へ打って出ようとしているNetEaseのアクションが,吉と出るのか凶と出るのか分からないが,少なくとも現時点では良い方向へと動いているように見える。今後のさらなる動向に注意を払っておきたい。
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