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世界中で急拡大するトレーディングカード市場で販売を伸ばすためには。イーベイ・ジャパンが開催したオンラインセミナーをレポート
このセミナーでは,世界的に急拡大しているトレーディングカード市場について解説がなされ,「ポケモンカードゲーム」を中心に海外で人気の高い日本発の商品が紹介された。併せて,トレーディングカードの真贋鑑定・グレーディングサービスを利用するメリットも紹介された。
トレーディングカードカテゴリーのトレンド
セミナーの冒頭では,eBayのトレーディングカテゴリーのトレンドについて,イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部長の中里 力氏より解説がなされた。
それによると,2020年のアメリカにおけるトレーディングカテゴリーの成長率は前年比142%となり,1年間で400万枚以上のカードが取引されたとのこと。またこのカテゴリーは,これまでスポーツ系のカードや「マジック:ザ・ギャザリング」が牽引してきたが,2020年にもっとも成長率が高かったのがポケモンカードゲームで,1年間で前年比574%だったという。その成長は,2021年に入っても引き続き見られるそうだ。
なお,ポケモンカードゲームはさまざまな言語版が発売されているが,とくに日本語版は高額で取引されることが多く,2020年は第1世代(1996〜1998年にかけて発売)や最新バージョンの人気が高かったのだとか。
トレーディングカード購入率アップのヒント
続いて,eBayに出品したトレーディングカードの購入率をアップするためのアドバイスが,イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 市田良介氏より紹介された。
それによると,トレーディングカードをeBayで販売するメリットは,「成長率がもっとも高いカテゴリなので販売・参入しやすい」「配送しやすく送料も比較的安い」「サイズが小さいので在庫スペースを取らない」の3つだという。
逆に懸念点としては,「競合が多く飽和状態になっているのではないか」「トレーディングカードの知識がなく狙い目が分からない」の2つが挙げられた。
前者については,競合が多いのは確かだがそのぶん需要も多く,かつeBayが注力しているカテゴリであること,また日本からの出品はまだ少ないことから,まだ十分な伸び代があることが紹介された。
また後者についても,ほかのカテゴリよりも必要な知識の量はかなり少なく,まずはどのキャラクターやカードが人気なのか,相場を押さえることさえできれば参入可能であることが説明された。
売上の公式は,販売者によって適するものが異なるが,購入率を伸ばすための大きなポイントとなるのが,「インプレッション」(検索表示回数)だ。インプレッションが増えれば,出品ページのページビューが増え,最終的な販売点数も増加する。
トレーディングカードのインプレッションや出品ページのページビューを増やすには,出品ページを見直す必要があり,本セミナーでは具体的に「カテゴリ」「タイトル」「写真・画像」「商品スペック」「説明欄」に関する解説がなされた。
まずカテゴリだが,トレーディングカードは「Toys & Hobbies」の「Collectible Card Games」に分類される。そしてシングルカードなのか,パックなのか,ボックスなのか,あるいはそれらを組み合わせたセット販売なのかを指定する必要がある。正しく指定した出品ページは,買い手が「Pokemon card」や「Pokemon box」といったキーワードでBest match検索をかけたときに指定カテゴリ商品として表示され,結果インプレッションが増えるというわけである。
タイトルはポケモンの名前が日本語版と英語版で異なることに注意。また,よく検索されているワードを組み込むことも重要だ。
加えて購入率が高い商品はタイトル文字数が多い。すなわち情報量が多いというわけで,カード名やキャラクター名,レア度,状態などを分かりやすく組み込んでおきたい。
写真・画像はコレクター向けに情報を開示するような現物を写したものを8点以上用意する。カードの表裏だけでなく,角や縁,傷など状態が分かる写真や画像を大きめに撮影し,拡大可能なサイズで掲載するなどの注意点が示された。
商品スペックは正しい情報をできるかぎり多く入力することで,インプレッションの増加につながる。なお今後,トレーディングカードの出品には「Graded」,すなわちプロによってグレードが鑑定されているかどうかという項目の入力が必須になるとのことだ。
説明欄は「Store Category」を追加することでインプレッションの増加が期待できる。ひいては出品ページの滞在率が増え,結果購入率アップにつながるとのこと。また,まとめ買いも期待できるそうだ。
トレーディングカードの真贋鑑定・グレーディングサービスを提供するPSAについて
最後にトレーディングカードの真贋鑑定・グレーディングサービスを提供するProfessional Sports Authenticator(PSA)の日本支社 代表 トニー・アラム氏が,同社のサービスとそのメリットを紹介した。
それによると,PSAはコレクターズアイテムの第三者鑑定で信頼を集めているCollectors Universeの事業部の1つで,1991年に開業し2018年には日本におけるサービスを開始した。
PSAのような第三者鑑定サービスは,トレーディングカードの取引をスムーズに行うために必要となる。とくに商品の状態については,売り手と買い手の間で交渉が長引いたり,議論になったりすることも少なくないが,売買に関わらない信頼の置ける第三者が鑑定することでそれらを避けられるというわけである。
PSAの鑑定士はまずカードが本物であることを確認し,次に状態が修正されていないかをチェックする。そして最後に,状態を細かくチェックし10段階でグレードを判定する。この判定は2人の鑑定士が行い,評価が割れた場合は3人めの鑑定士がもう一度判定。さらにPSAから依頼者にカードを返す前に,もう一度別の鑑定士が判定するので,計3回から4回の判定を行うことになる。
アラム氏は,こうしたPSAの厳重な体制が,多くのコレクターに指示される理由であると改めてアピールしていた。
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