紹介記事
ゲームの“絶滅危惧語”辞典。“リセットボタン”“不気味の谷”“露店”など,最近聞かなくなった言葉の数々を挙げてみる
この記事では,「死語」とまではいかなくても,ゲームジャンルにおいて“絶滅”が危惧されると考えられる言葉を集めてみた。昔を懐かしんだり,「こんな言葉があったんだ!」と発見したりして楽しんでほしい。
目次
■技術の進歩によって使われなくなっている言葉
ゲームカセット
ディスク入れ替え
マルチタップ
専用メモリーカード
ロード待ち
プリレンダリングムービー
フルポリゴン
3D立体視
不気味の谷
通信ケーブル・対戦ケーブル
タイムリリースキャラ
■番外編1:発端は文化の違い? 意味が変わってきた言葉
洋ゲー
JRPG
■時代や流行で言葉も変わってきた
携帯ゲーム機
隠しコマンド
リセットボタン
STARTボタン・SELECTボタン
取扱説明書
Flashゲーム
HDCP
DotA系
コンプリートガチャ
リージョンコード
テレホタイム
すれちがい通信
マッピング
テーブル筐体
積みコイン
カセットフーフー
[○]ボタン(で決定)
名人
Bダッシュ
逆移植
ハイギア・ローギア
■番外編2:生きとったんか! 一度消えかかるも復活した言葉
コントローラのマイク
メタバース
そんな装備で大丈夫か?
■まるで暗号のようだったMMORPG用語
Ninja Loot
トレイン
afk
brb
wb
po・ぽ
露店
IRC
ICQ
LFG・LFP
lol
うい
oOooOooOoooO
技術の進歩によって使われなくなる言葉
ゲームカセット
ファミコンやスーパーファミコン,メガドライブなどのゲームソフトは,マスクROM(書き換え不可のメモリ)の基板を箱状のケースに収めた「ROMカセット」(ROMカートリッジ)と呼ばれる媒体で提供されており,「カセット」「ゲームカセット」と呼ばれることが多かった。
その後,PCエンジンの周辺機器「CD-ROM2(シーディーロムロム)」でCD-ROMが採用されたことを皮切りに,DVD-ROM,BD-ROMと,現行世代に至るまで光ディスクを採用するゲーム機が続いている。またマスクROMであっても,小型軽量化により「ゲームカード」等の名称で呼ばれるようになったため,「カセット」という言い方を耳にしなくなった。
近年はソフトのダウンロード販売が普及し,PlayStation 5 Digital EditionやXbox Series Sなど,光ディスクドライブを搭載しないゲーム機も登場しているため,「ゲームディスク」の今後も気になるところだ。
ディスク入れ替え
ゲーム機がハードディスクを標準搭載していない時代のソフトには,容量の関係から複数枚の光ディスクで提供されるものがあり,プレイの途中でディスクを入れ替える必要があった。
現在も複数枚のディスクが入ったパッケージ版ソフトは存在しているが,ほとんど事前にハードディスクへインストールするものであるため,プレイ中の入れ替えは不要になっている。
マルチタップ
1つのコントローラ接続ポートに複数のコントローラを接続するための周辺機器。主にパーティーゲームやレースゲームなどで,本体標準のポート数では人数が足りないときに必要となった。お小遣いが限られている子どもは「マルチタップを買うくらいなら新しいソフトを買いたい」と思う者が多かったため,数少ないマルチタップ所有者に仲間からの誘いが殺到するといったことも。
ゲーム機の標準コントローラが無線化され,物理的な接続が不要となったことにより,マルチタップも姿を消しつつある。
専用メモリーカード
ゲーム機専用のセーブデータ保存用カード。本体やソフトにセーブデータ保存機能がない(もしくは容量が足りない)場合に使用された。
さまざまなタイトルのセーブデータを保存しておくには容量が足りないものがほとんどだったため,複数のメモリーカードを使うプレイヤーも珍しくなかったが,どのカードにどのゲームのデータを保存したかを忘れ,お目当てのデータに行き着くまで何枚ものカード差し替える悲劇も生まれることに。
ゲーム機がハードディスクを標準搭載するようになった頃から,専用メモリーカードは採用されなくなっている。
ロード待ち
ゲーム中にデータの読み込み(ローディング)をひたすら待ち続けること。CD-ROM時代に,快適なゲームプレイを妨げる問題として目立つようになり,時代が移ってからも存在し続けてきた。ゲーム内容ではなくロード時間を理由に酷評されるタイトルも珍しくなかったため,その対策としてロード時間中にミニゲームが遊べるタイトルも登場した。
近年ではバックグラウンドロード(ゲームプレイの裏でロードを行う仕組み)を採用するタイトルが増え,最新世代のゲーム機はハードディスクより高速なSSDを搭載しているので,ロード時間のストレスは減ってきている。もうしばらくは“現役”だろうが,今後死語になる可能性は高い言葉だ。
プリレンダリングムービー
ゲームをプレイしているものとは別のハードウェアであらかじめ生成(レンダリング)されたムービーのこと。
逆にプレイしているハードウェアで生成されたムービーはリアルタイムレンダリングムービーと呼ぶ。
プリレンダリングムービーは,再生するハードウェアの性能によらない映像を楽しめるのが特徴で,ある時期まではリアルタイムレンダリングムービーよりも画質で上回っており,ゲーム中のカットシーンにおける主流となっていた。
しかしゲーム機やPCの性能向上で両者の画質が近づいてきたこともあり,プリレンダリングムービーの数は少なくなりつつある。今後のハードウェアの進化によって,さらに減っていくかもしれない。
フルポリゴン
ポリゴンとはもともと「多角形」の意味で,ゲームの場合は3Dグラフィックスで立体的な物体を描くために使われるデータのことを指す。
1990年代にアーケードゲームや家庭用ゲームで3Dグラフィックスゲームの大ヒット作が生まれ,ゲーム市場に3D化の波が訪れた。
しかし,当時はハードウェア性能などの問題からポリゴンだけでゲームを作ることが難しかったため,従来のドットグラフィックスを併用するタイトルも多かった。それらとの差別化を図るために,主に宣伝などで「フルポリゴン」が謳われていたのだが,ポリゴンだけでゲームを作ることの方が一般的になった現在では,耳にすることがほとんどなくなってしまった。
3D立体視
セガがマークIIIとマスターシステム向けに「3D-グラス」,任天堂がファミコン向けに「ファミコン3Dシステム」を発売するなど,家庭用ゲーム機における3D立体視システムは古くから提供されていた。
1995年には任天堂が3Dゲーム機であるバーチャルボーイをリリースするも,ヒットには至らず。2010年前後にも3D立体視のブームがあり,NVIDIAが3D Vision,任天堂がニンテンドー3DSを発売。PS3も当時発売された3Dテレビに対応するなどしたが,定着とまではいかなかった。
このように,熱くなっては冷めて……を繰り返していた3D立体視だが,2012年にOculus Riftが登場したことで盛り上がった「VR」に飲み込まれるような形で,その言葉は失われつつある。
不気味の谷
もともとは,ロボットがリアルになる中で,逆に些細な非人間的動きが気になってくる現象を指す言葉。1970年に日本のロボット工学者である森 政弘博士が提唱した。
ゲーム関連では,CGで表現する人間がリアルになっているにも関わらず,逆に違和感が増していると感じられるときに使われ,開発における課題の1つとなっていた。
だが,ゲームにおけるグラフィックスは着実に進歩しており,人間の動きを取り込むモーションキャプチャはもちろん,表情まで取り込めるパフォーマンスキャプチャ技術も使われるようになった結果,現在のゲーム環境では不気味の谷を越え,実写と区別がつかないレベルに到達しつつある。
2018年に発売された「Detroit: Become Human」のグラフィックスは,アンドロイドが自我に目覚め,感情を持つようになっていく姿を表現した。ゲームの技術が意図的に「不気味の谷」を作ろうとする段階にまで到達したと言えるかもしれない。
Access Accepted第542回:「不気味の谷」の向こう側が見えてきた?
ゲームのグラフィックスは日々向上しており,キャラクターの表現も,それが本物の役者なのかCGなのか,パッと見では分からない作品もある。果たして,最新技術は「不気味の谷」を越えたのか? 今週はパフォーマンスキャプチャーを中心に,現状を考えてみたい。
- キーワード:
- ライター:奥谷海人
- 奥谷海人のAccess Accepted
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通信ケーブル・対戦ケーブル
ゲーム機同士をつなぐ専用のケーブル。
ゲームボーイ用の「通信ケーブル」は「ポケットモンスター」でのデータ交換に必須のアイテムだったため,当時遊んでいたなら,持っていた人も多いだろう。
初代PlayStationでは周辺機器として「対戦ケーブル」が販売されていた。テレビとPlayStation本体2台ずつ用意し,PlayStation同士を対戦ケーブルでつなぎ,それぞれでソフトを起動すると,「アーマードコア」シリーズや「リッジレーサー」シリーズなどの人気タイトルで対戦が楽しめたが,さすがにこの環境を当時,実現できていた人は少ないと思う。
無線での通信やオンライン対戦が当たり前になった今では,あらゆる部分でケーブルレス化が進んでいる。
タイムリリースキャラ
主にアーケード向けの対戦格闘ゲームで,累計稼働時間が一定の値を超えると開放されるキャラクターのこと。仕様上,入荷時期の違いなどから店舗によって使えるキャラクターに差異が発生することもあった。
現在ではオンラインアップデートによるキャラクター開放が主流になっており,この呼ばれ方は少なくなっている。
番外編1:発端は文化の違い? 意味が変わってきた言葉
洋ゲー
「洋ものゲーム」の略で,外国産(主に北米)ゲームのことを指す。以前は,「ゲームバランスが極端」「主人公がだいたいマッチョなおじさん」といった,日本のゲームではあまり見られない特徴を揶揄するような意味合いを込めて使われることが多かった。
近年の外国産ゲームは,日本のプレイヤーから国産ゲーム以上に支持されるものが珍しくないため,若いゲーマーなら「洋ゲー」にむしろポジティブなイメージを持っている人も多いだろう。
JRPG
2000年代中頃から日本産RPGを指す言葉として海外で使われるようになった言葉。こちらも当初は「主人公が細身の少年」「ターン制のコマンド入力による戦闘」といった,日本製RPGの“伝統”をリアリティがないものと批判するような文脈で使われることが多かった。
近年は日本産RPGの評価が再び高まりつつあり,「ペルソナ5」「FINAL FANTASY VII REMAKE」「テイルズ オブ アライズ」などが海外のゲームアワードを受賞している。JRPGへのオマージュを込めた外国産タイトルも増えており,ネガティブなイメージは薄れつつあるようだ。
時代や流行で言葉も変わってきた
携帯ゲーム機
大手プラットフォーマーによる“純粋な携帯ゲーム機”は,ともに2011年発売のニンテンドー3DSとPlayStation Vitaが最後となっている。
携帯モード専用のNintendo SwitchであるNintendo Switch Liteや,海外ではPanicが開発したPlaydateなども登場しているのでまだまだ現役ではあるが,スマホが普及している現状から考えると,今後が気になるところだ。
一方,近年盛り上がりを見せているのが携帯ゲームPCだ。2021年は,Steamを運営するValveが「Steam Deck」を発表し,Ryzen 5 4500U搭載の「AYA NEO 2021」 や,Core i7-1185G7搭載の「ONEXPLAYER Ultimate Edition」などが発売された。
今後「携帯ゲーム機」という言葉は「携帯PC」と入れ替わるようにして使われなくなっていくかもしれない。
隠しコマンド
ゲームのタイトル画面やプレイ中に特定の操作をすることで,プレイヤーキャラがパワーアップしたり無敵状態になったり,裏ステージを遊べたりする,マニュアルには載っていないコマンドのこと。主人公の名前に特定の文字を入れると特別な機能が使えるといったものも,隠しコマンドの一種と言っていいだろう。
よく知られているのは,KONAMIのシューティングゲーム「グラディウス」の「上上下下左右左右BA」だ。隠しコマンドの代名詞的存在として,現在でもさまざまなゲームやWebサービスで,すぐ見つかることが前提で使われている。
その点から考えると,本当の意味での「隠しコマンド」は少なくなっているのかもしれない。
リセットボタン
家庭用ゲーム機に搭載されている,再起動用の物理ボタン。かつてゲーム機には,電源ボタンに加えてリセットボタンが設けられているのがお決まりだった。ゲーム機の世代が進むにつれて,再起動はメニュー画面から行う仕組みが主流になり,現行のPlayStation 5,Nintendo Switch,Xbox Series Xにもリセットボタンはない。
ファミコン向けの一部タイトルには,「リセットボタンを押しながら電源を切る」という方法を取らないとセーブデータが消える(かもしれない)ものがあったため,昔は意外に使用頻度が高いボタンだった。
リセットボタンが搭載されなくなったことにより,プレイ中にペットの猫や幼い子どもがリセットボタンを押してしまう「猫リセット」「子どもリセット」という言葉も過去のものになりつつある。
STARTボタン・SELECTボタン
ひと昔前のゲーム機のコントローラには,主にゲームの開始やプレイ中の一時停止に使う「START」や,ゲームモードの選択などに使う「SELECT」のボタンが搭載されていた。現行機にも同様の機能を持つボタンは存在するが,「START」「SELECT」の名称ではなくなっている。
任天堂のゲーム機を例に挙げると,ゲームキューブまでは「START/PAUSEボタン」が存在したが,その後継機のWiiで「+ボタン」に変わった。そのため,当時は「スタートボタンはどこ?」と戸惑う人も多かったようだ。
ゲーム中にさまざまな用途で使われるボタンであるため,特定の意味を持つ単語が使われなくなっているのかもしれない。
取扱説明書
かつてのゲームソフトには,ゲームの世界設定や操作方法,簡単な序盤ガイドが書かれた取扱説明書が必ず付属していた。
現在はゲーム内のチュートリアルやヘルプが充実しているのに加えて,ゲームタイトルの公式サイトにはプロローグやキャラクター情報などが掲載されており,場合によっては序盤の攻略ガイドまで確認できる。そういう状況もあってか,紙の説明書が付くことは珍しくなっている。
Flashゲーム
Webブラウザ上でアニメーションの再生やプログラムの実行ができるAdobeのソフト「Flash Player」を利用したゲームのこと。タイトルごとのインストールが不要で,手軽に遊べることから人気を博した。しかしセキュリティ上の問題などにより,主要なブラウザがFlash非対応となり,Adobeも2020年12月にFlashのサポートを終了。Flashゲームも姿を消すことになった。
「艦隊これくしょん -艦これ-」「刀剣乱舞」などのFlashゲームは,HTML5に移行してサービスを継続している。
HDCP
ゲーム機やPCとディスプレイ間のデジタル信号を暗号化し,映像の不正コピーを防ぐ著作権保護技術「High-bandwidth Digital Content Protection system」の略。
PS3は本体に録画機能がなく,HDMI出力映像にHDCP信号が強制的に付加されていたため,キャプチャデバイスを利用してプレイの模様を録画するには,HDMI以外の出力を利用するなどの回避策が必要になった。
ゲーム実況の流行などもあり,PS4では本体に録画機能が搭載され,HDCPの存在を意識することは少なくなった。システムソフトウェアのアップデートでメニュー画面からHDCPの無効化も可能になり(デフォルトでは有効),キャプチャデバイスを使った録画も簡単になっている。
DotA系
DotAは,リアルタイムストラテジー「Warcraft III: Reign of Chaos」のMODとして登場したタイトル「Defense of the Ancient」の略。2つの陣営が互いの領地に攻め込む対戦ゲームで,リアルタイムストラテジーにRPG要素を加えたようなシステムが話題となった。
その後,DotAに影響を受けてリリースされた作品群が「DotA系」と呼ばれるようになったのだが,「DotA」の商標を巡っての訴訟が起こったことなどもあり,現在のジャンル表記では「MOBA」(Massively Online Battle Arena)が定着している。
コンプリートガチャ
主にスマホゲームのガチャで,指定のものをコンプリート(全部揃える)ことにより,特別なアイテムやキャラクターなどが入手できるシステムのこと。一時期は多くのスマホゲーム向けタイトルで採用されていた。
2012年に消費者庁が,コンプリートガチャは景品表示法で規制されている「カードあわせ」(絵あわせ)に相当するとの見解を発表,それを受けて一気に廃止された。
リージョンコード
地域によってコンテンツの利用を制限するために設定される情報。かつての家庭用ゲーム機にはリージョンコードが設定されており,北米で購入したパッケージ版ゲームソフトを日本のゲーム機で遊ぼうとしても起動しないといったケースがあった。
現在,主に使用されているゲーム機(PS5,PS4,Xbox Series X,Xbox One,Switch)はリージョンフリーであるため,(ソフト側で何らかの仕組みを施していない限り)海外向けのパッケージ版タイトルであっても,日本国内の家庭用ゲーム機でプレイ可能だ。
ただしダウンロード版タイトルの場合,そもそも地域によってアクセス可能なストアが異なっているなど,リージョンコードとは違う形での制限がかけられていることがある。
テレホタイム
NTTが1995年に開始した定額制電話サービス「テレホーダイ」の対象となる時間(23:00〜8:00)のこと。
パソコン通信や初期のインターネットは,利用の度にダイヤルアップ接続(モデムを使い,プロバイダに電話をかける形で接続する方式)が必要で,ネットを利用している間は電話が使えず,さらに料金は従量制だったため,長時間の利用は難しかった。
しかしテレホーダイの登場によって,ほかの人が電話をあまり使わない深夜,ネットが使い放題に。多くの人がこのサービスに飛びつき,毎日23時になると続々とログインしてくるため,テレホタイムはインターネットやオンラインゲームの時間を表す言葉になっていった。
常時接続が一般的になった現在,テレホタイムという言葉は使われなくなったが,テレホーダイのサービス自体は現在も利用可能だ。
すれちがい通信
ニンテンドーDS・3DSが,本体周辺の一定範囲に入った別の本体とゲームデータを自動的に送受信する機能。
たとえば,「おいでよ どうぶつの森」では,知らない人からメッセージボトルが届いたり,新しい住人が引っ越してきたりなどのイベントが起きる。「ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア」では,ほかのプレイヤーとすれ違うと特別なアイテムをもらえたりしたため,これを目当てにポケモンセンターをはじめとした,プレイヤーが多そうな場所に出向く人もいた。「宝の地図」が話題になった「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」は,「ワイヤレス通信を通じて、117,577,073人がすれちがったゲームソフト」として,ギネス世界記録に認定されている。
そのほかにも多くのソフトに対応し,多くの人が楽しんだが,残念ながら任天堂の現行機であるNintendo Switchは「すれちがい通信」機能を搭載していない。
マッピング
主にRPGなどで,プレイヤー自身が地図を作成する行為。「ウィザードリィ」に代表される疑似3DのダンジョンRPGでは,方眼紙に鉛筆で壁や罠,階段,ボスの場所などを書き込むプレイヤーが多かった。
移動すれば自動で地図が作られるタイトルが多くなったこともあり,一時期はあまり聞かなくなるも,2007年に発売されたアトラスのニンテンドーDS用RPG「世界樹の迷宮」が,タッチペンによるマッピング機能を実装したことで,再び脚光を浴びることになった。
マッピングの魅力を再確認させてくれた同シリーズだが,2018年の「世界樹の迷宮X」を最後にリリースがない。現行のゲーム機でタッチペンを採用するものがないことが関係しているのかもしれない。
テーブル筐体
床と平行に位置するガラス製天板の下に画面があり,上から覗き込むような形でプレイするアーケードゲーム筐体。
1978年に登場し,一大ブームとなった「スペースインベーダー」は,このタイプのものが喫茶店などにも置かれ,休憩中のサラリーマンが筐体に灰皿とコーヒーを置き,たばこを吸いながらプレイする光景がよく見られた。
最近はゲームセンターで見かけることも少なくなった……と書いていたところに,開発中のテーブル筐体のテスト設置ニュースが飛び込んできた。もうしばらく頑張ってくれる言葉かもしれない。
積みコイン
アーケードゲームを連続してプレイするために,コイン(100円玉)を積み上げておくこと。「この台で続けてプレイします」という,周囲へのアピールの意味もあった。
当然ながら,人気台を1人で連続プレイすることは待っている人とのトラブルにつながる可能性がある。また,カードが排出されるタイプのタイトルでは,レアカードを狙って長時間居座る者もいるため,店によっては一定回数以上の連続プレイ自体が禁止されている。プレイヤーのマナー意識が向上したこともあり,最近では見かけることが少なくなっている。
加えて最近は,待っている人がいないときに連続してプレイする場合でも,コインを積むより電子マネーを使ったほうが何かと便利なため,積みコインをする必要はなさそうだ。
カセットフーフー
ゲームカセットの端子に息を吹きかけ,ホコリを吹き飛ばす行為。ゲームソフトがカセットで提供されていた時代は,電源を入れてもゲームが起動しないことがしばしば起こり,その対処法として広まった。ゲームソフトのメディアが光ディスクになったことなどにより,現在ではあまり使われなくなっている。
なお,カセットフーフーをすると,端子部分に水分が付着してサビ(故障)の原因となることがある。カセットフーフーで無事にゲームが起動しても画面にちらつきが発生した場合の対処法として「テレビを叩く」があった。今振り返ると,当時のプレイヤーは故障につながる行為を平気で繰り返していたのだ。
[○]ボタン(で決定)
国内向けPlayStationでは,メニューなどから任意のものを選択するときに[○]ボタンで決定するのが基本だった。
一方,海外向けのPlayStationやそのタイトルでは,以前から[×]ボタンが決定のボタンとなっており,同じプラットフォームでありながら操作方法が統一されていない状況が続いていた。
PlayStation 5では,国内向けでも[×]が決定ボタンになった。しかしPS4タイトルをPS5でプレイした場合は[○]が決定,[×]がキャンセルのままであることも多いので,現在は戸惑っているプレイヤーも多いようだ。今後PS5専用タイトルが増えるに従って,慣れていくのだろうか。
名人
主に1980年代,ファミコン全盛期に活躍した有名プレイヤーのこと。実際はゲームメーカーの広報担当者が多かったとされる。
“16連射”の高橋名人(高橋利幸氏),後にゲームライターとしても活躍した毛利名人(毛利公信氏),当時バンダイ所属で,現在はスクウェア・エニックスの専務取締役を務める橋本名人(橋本真司氏)をはじめとした数々の「名人」が子どもたちの人気者になった。
※2017年に高橋名人がツイートした“3名人そろい踏み”の写真31年目の3ショット!
— 高橋名人 (@meijin_16shot) October 10, 2017
左から、私、毛利名人、橋本名人です。 pic.twitter.com/Ideor30A5f
eスポーツが盛り上がり,多くのプロゲーマーが活躍する昨今だが,「名人」を名乗る有名プレイヤーは登場していない。
Bダッシュ
コントローラのBボタンを押すことによるダッシュ。
「スーパーマリオブラザーズ」をはじめとして,ファミコン時代は数多くの横スクロールアクションがリリースされ,その多くでBボタンがダッシュボタンになっていたことから,この呼び名が定着した。
その後,ゲームのジャンルが増えたことや,ボタンの名前がアルファベットでないゲーム機が出てきたことなどにより,使われなくなっていった。
逆移植
家庭用ゲーム機タイトルがアーケードへと移植されること。
アーケードゲーム基板の性能が家庭用ゲーム機を大きく上回っていた時代は,アーケードタイトルが家庭用に移植されることが主流だったため,その逆の状況がこう呼ばれることがあった。例としては,メガドライブ用ソフト「サンダーフォースIII」がアーケード向けにアレンジされた「サンダーフォースAC」などがある。
ハードウェア性能の差が少なくなり,家庭用からアーケードへの移植が珍しくなくなった現在では,聞くことが少なくなっている。
ハイギア・ローギア
1980年代頃までのレースゲームに登場する自動車は,前進2速のみのものが多く,「ハイギア」「ローギア」と呼ばれていた。
現在のレースゲームは,ギアの数も含めて実在の車種をリアルに再現しているものが多く,シフトチェンジはかなり忙しくなっている。
番外編2:生きとったんか! 一度消えかかるも復活した言葉
コントローラのマイク
ファミコンのIIコントローラーにはマイクが内蔵されていて,自分の声をテレビのスピーカーから出したり,「たけしの挑戦状」でカラオケを歌ったり,「ゼルダの伝説」に登場する大きな耳を持った敵,ポイルボイスを倒せたりした。かつてのファミコンプレイヤーなら,一度はIIコンに向かって叫んだことがあるだろう。
その後,標準コントローラにマイクを内蔵するゲーム機は長らく登場しなかったが(携帯ゲーム機のニンテンドー3DSやPS Vitaは本体にマイクを内蔵),PS5のDualSenseには,ボイスチャット用のマイクが搭載された。筆者の知る限り,ゲームを進めるために使うタイトルはないようだが,久しぶりにコントローラで一曲歌ってみたい気も。
DualSenseにはマイクのミュートボタンもある
メタバース
多人数が参加できるオンライン上の仮想空間のこと。古くは富士通が1990年にサービスを開始した「Habitat」があり,10年ほど前にも「セカンドライフ」や,PS3向けの「PlayStation Home」,Wii U / 3DS向けの「Miiverse」などがリリースされて話題になった。
その後は鳴りを潜めていたが,2019年にFacebookがVR向けのメタバース構想を発表したことで,再び注目を浴びることに。2021年,Facebookは社名をMetaに変更し,北米向けにメタバースサービス「Horizon Worlds」をリリースした。
PS3向けに提供されたPlayStation Home。季節に合わせたイベントが開催されたり,ゲームメーカーが制作したラウンジで,ほかのプレイヤーとコミュニケーションを楽しめたりした
そんな装備で大丈夫か?
アクションゲーム「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」のプロモーションムービーに登場するセリフ。この問いかけに対し,自信たっぷりに「大丈夫だ、問題ない」と返して戦いに挑んだ主人公のイーノックがあっさり倒される展開が話題となり,ネット流行語大賞2010の金賞を受賞した。
ゲームのリリースから10年が経ち,当時を知らない人も増えてきた2021年に「El Shaddai」のPC版が登場。「オレのPCで大丈夫か?」などと,ネットが再び盛り上がることになった。
まるで暗号のようだったMMORPG用語
Ninja Loot
Lootとは,MMORPGでドロップアイテムを取得することで,Ninja Lootは,モンスターがドロップしたアイテムをすぐさま自分のものにしてしまうことを言う。初期のMMORPGはモンスター1体につきアイテムが1個しかドロップしない(パーティの人数分ドロップしない)ものもあったため,この行為は当然嫌われ,これを行う者はNinja Looterと呼ばれた。
現在のMMORPGタイトルでは,モンスターと戦ったプレイヤーしか拾えない,パーティで公平に分配される,希望者に抽選で分配されるといった,Ninja Loot対策が初めから取られている。
トレイン
MMORPGで,プレイヤーキャラが複数のモンスターに追いかけられている状態のこと。その様子が電車のように見えることから付けられた。
簡単には勝てない攻撃的なモンスターを意図せず反応させてしまい,慌てて逃げているうちにほかのモンスターも引っかけて……といった感じで発生することが多い。
経験値を一気に稼ぐためのまとめ狩りや,ほかのプレイヤーを巻き添えにするMPK(モンスターPK)の手段としても使われた。
最近のMMORPGでは,ある程度逃げるとモンスターが引き返していくなど,トレインが発生しない仕様が主流となっている。
afk
「away from keyboard(キーボードを離れる)」の略で,文字通り「離席」を意味する。海外プレイヤーがよく使うことから,黎明期のMMORPGで多用されていた。対義語は「bak(back at keyboard)」となるが,こちらはあまり使われず,「back」と伝えることが多かった。
現在は日本語で「離席」とそのまま伝えられることもあり,「afk」はほとんど使われなくなっている。一定時間操作をしないと名前の横に離席アイコンが表示されるタイトルも増え,チャットをせずともプレイヤーがキーボードの前にいるかどうかの判別はしやすくなった。
brb
「be right back」(すぐに戻ります)の略で,afkよりは短い時間の離席でよく使われた。……が,5分10分経っても戻ってこないことがしばしば。
wb
「welcome back」の略で,「おかえり」の意味。離席から戻ってきた人などに使った。afkやbrbも同様だが,簡略化が好まれるチャットでは,英単語を縮めた言葉がよく使われた。ほかにも「thx」(thanks),「plz」(please),「u」(you)などがある。
po・ぽ
wbと同様に「おかえり」の意味だが,こちらは日本語発祥。
MMORPGといえば海外タイトルという時代,英字しか使えないチャットで,あるプレイヤーが「okaeri」をミスして「pokaeri」とタイプしたことが始まりと言われている。日本語が使えるタイトルでも「ぽかえり」が使われた。
現在では廃れてしまったようで,この原稿を書くに当たり複数のタイトルで「po」を使ってみたが,まったく通じなかった。
露店
MMORPGのプレイヤーキャラが街中で座り込み,装備やアイテムなどを販売すること。アイテムを販売する場所は決められていないが,人が多い街の広場などに自然と露店が集まり,フリーマーケットのようなエリアができるのがお決まりだった。
周囲の露店の価格を頻繁にチェックして値付けを変える店,放置されている(プレイヤーが寝ている)店,「病気の妹が家で薬を待っているんです!」といったメッセージで気を引く店などさまざまで,そのカオスな雰囲気が魅力でもあった。
最近のMMORPGタイトルでは,ログインしていない時にも取引ができるシステムが用意されているため,必要もなくなり,露店を見かけることはほとんどなくなった。
IRC
多人数が参加できる文字ベースのチャットサービスで,正式名称は「Internet Relay Chat」。利用するためのクライアントソフトは複数あり,日本でよく使われていたのは富士通が開発した「CHOCOA(チョコア)」。現在もWindows版が公開されている(※2022年3月まで利用可能)。
このチャットサービス自体は直接ゲームと関係するものではないが,主にMMORPGのプレイヤーがギルドや友人同士でチャンネルを作成してゲームと同時に起動する連絡手段としたほか,ゲーム外の交流にも利用した。現在こういった役割を果たす,最も近いものは,Discordだろうか。
ICQ
1996年にイスラエルで開発されたインスタントメッセンジャーソフト。IRCと同様にMMORPGプレイヤーに使われていた。2001年には全世界の登録ユーザーが1億人を超えるなど,多くの国で幅広く活用されていたため,海外プレイヤーとの連絡に役立つことが多かった。現在もサービスは続いているが,ゲームのコミュニケーションツールとして利用されることはほとんどない。
LFG・LFP
「Looking for Group / Looking for Party」の略。MMORPGにおいて,「一緒に冒険する(狩りをする)グループ/パーティを探しています」という,参加希望を伝える言葉。
かつてのMMORPGでは,「LV40 CLR LFG(レベル40のクレリックがパーティを探しています)」といったように,自分のレベルと職業も入れて叫び,パーティを待つのが一般的な方法だった。
現在はマッチングシステムが整備され,行きたいコンテンツ(ダンジョンやボス)などを登録するだけで自動でパーティが結成できる。そのため,LFGやLFPを使う機会はまずない。
タイトルによっては,一時的なパーティが必要となる場合,「ノ」(カタカナの「ノ」で,挙手を示す)と表明することもある。
lol
現在,ゲーマーが「LoL」と聞けばまず「リーグ・オブ・レジェンド」を思い浮かべるだろうが,こちらの「lol」は「大笑い」「大爆笑」を意味する「laugh(ing) out loud」の略。英字しか使えないMMORPGのチャットでは日本のプレイヤーもよく使っていた。今で言えば「(笑)」「w」「草」などに当たるだろうか。
海外プレイヤーの間では今でも現役の言葉のようだが,純粋な笑いだけではなく,やや嘲笑を含むこともあるため,使い時には注意したい。
うい
MMORPGでよく使われた「OK」「了解」といった意味合いの言葉。フランス語の「Oui」が語源という説がある。
MMORPG黎明期からのプレイヤーが多い4Gamer編集部では,今でもたまに聞ける。
oOooOooOoooO
MMORPGの元祖である「Ultima Online」(UO)では,死亡したプレイヤーがチャットで発言すると,「oOooOooOoooO」といった感じの文字列に変換されてしまう。死者の声(幽霊語)は,特定のスキルを持つもの,あるいは死者同士しか聞くことができないという設定だ。
これをまねて,死んでいないときや,UO以外のMMORPGのプレイ中にも,ネタとして幽霊語を打ち込むことが流行した。
UOを知らないプレイヤーも増えてきた昨今ではなかなか見かけないが,Twitterなどで「OoOooO」などとつぶやいてみると,死者の言葉を聞ける人(おそらく40代以上のゲーマー)が「OoooOOo」などと返してくれるかもしれない。
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