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日本のWeb3ゲームの現状は? 「Web3ゲームの国内トレンドと、資金調達最前線」セッションレポート
モデレーターを務めたのはエンタメ社会学者の中山淳雄氏で,スピーカーはOasysのHead of Business DevelopmentであるDominic Jang氏,double jump.tokyoのゲーム開発統括 坂本康朗氏,そして,Konami Digital Entertainment Web3事業部長 金友 健氏だ。
まず初めに,中山氏がWeb3ゲームの現状を紹介した。
2021年頃に登場したWeb3ゲームだが,2022年の「STEPN」以降,新しいムーブメントを探している状態だという。
Web3ゲームはアジアを中心に急成長が予想されており,2022年には46億ドルだった市場規模は,2027年に657億ドルに成長する見込みであるという。世界のWeb3ゲーマーの半数がアジアに集中しており,モバイル端末の普及により,ユーザー数は今後も増加傾向にある。
しかし「STEPN」以降,ヒット作が出ず,2022年の後半にはマーケットが落ち着いた。トランザクション量こそ維持しているものの,アクティブユーザー数,取扱額ともに大幅に減少したという。
その一方で,2023年のWeb3ゲームへの投資規模は,2022年を上回る勢いで進行している。ゲームに投資するベンチャーキャピタルは多いが,日本からはほとんどないというのが現状のようだ。
こうした現状を踏まえたうえで,「グローバルのブロックチェーン関連市場について」「Web3ゲームの制作トレンド」「2023年現在、ゲームの資金調達で押さえるべきポイント」の3つのテーマでセッションが行われた。
グローバルのブロックチェーン関連市場についてDominic氏は,環境が最も早く整備された国として日本が注目されていると語った。欧米では規制が強くなっているが,日本で環境が整えられていることが知られるようになり,日本市場への投資が集まっている状況だ。
金友氏は「できないことと,できることが国内でハッキリした」と語り,そうした状況の中,国内で成功事例を作って海外に出ていくというプランを考えているメーカーが多い。また,海外からも,そうした狙いで日本市場に参加するメーカーが多いとの見解を示した。「暗号資産の冬」(Crypto Winter)が始まったと言われているが,冬が終わるまでに可能な限りの知見を集め,世界市場に出ていく準備をしている段階だという。
坂本氏は,ブロックチェーンゲームには「IP」や「ゲーム性」が足りないといった共通認識があると述べる。「暗号資産の冬」とは関係なく,メーカーはどうやったらゲームとして面白いものを届けるかに注力している状況だ。
また,「IPを利用したい」というブロックチェーンゲームには少なからず炎上リスクがあり,そのため,IPを使わせたくないというのがIPホルダーの心情だ。いかにIPを棄損しないようにゲームを出していくかを研究すべきだとの見解を示した。
金友氏は,それぞれのIPにはファンが存在し,ファンは良い意味で裏切られることを我々に期待しているとした。テストタイトルのような形でIPを利用することをファンは望まないし,我々がやりたいことでもない。そのため,市場を最初に切り開くのは,いわゆる大型IPではなく,むしろ新しいものではないかと分析する。
資金調達についてDominic氏は,日本では自己発行トークンに関する緩和が行われたが,他人が発行するトークンに対する緩和について,具体性が得られなければ,日本の法人からの投資は活発化しづらいのではないかとの見解を示した。
今回のセッションから,現在のWeb3ゲーム業界は,準備のときであるという雰囲気を感じた。どうやって新しいゲームを作るか,どのようにWeb3を利用していくかなどは,まだ研究段階にあるという印象だ。Web3ゲームが,これからどのように展開していくのか気になるところだが,何かをきっかに,大きく羽ばたくときがくるかもしれない。
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