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印刷2023/08/01 00:00

イベント

「WebX」のサイドイベント「JAPAN Web3 Game Summit」開催。数々のパネルディスカッションから話題をピックアップしてお届けしよう

 2023年7月27日,RED° TOKYO TOWERにてWeb3カンファレンス「WebX」のサイドイベント「JAPAN Web3 Game Summit」が開催された。

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 イベントでは,Web3に関わるさまざまな企業が登壇し,Web3に関連するパネルディスカッションを繰り広げた。サイドイベントということもあってか,それぞれ時間は短いものの数が多いので,ピックアップしてお届けしよう。
 なお,「The Web3 Strategy of SQUARE ENIX」をテーマにしたスクウェア・エニックスによるパネルディスカッションも行われたが,そちらについては別記事でお届けする予定だ。


CRETA 中里英一郎氏によるキーノート


 CRETAは,Web3の新しいエンターテイメントプラットフォームを作る目的で,1年半前に立ち上がったプロジェクトとなり,中里英一郎氏はチーフクリエイティブオフィサーを務めている。長くゲーム業界に携わってきたメンバーで創業したという同社だが,4Gamerでもお伝えしているとおり,「Kingdom Under Fire」シリーズの最新作「Kingdom Under Fire: The Rise」や「ポトリス」,広井王子氏原作の「東京大戦」を開発中だ。

中里英一郎氏
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 CRETAは2022年12月12日,Web3プロジェクトの最新情報を報告する「CRETA SUMMIT 2022」を開催した。このイベントの最後に,新作タイトル「東京大戦 花と桜(仮)」が発表になった。詳細は不明だが,鋭意制作を進めているとのこと。

[2022/12/13 12:07]

 また,メタバースの開発も行っており,会場ではその紹介動画が披露された。未来的な世界観が舞台の作品となるようだが,ただ世界があるというわけではなく,シューターとして遊べる要素も入っている。それも,おまけ的なものではなく,しっかりとしたゲームとして存在しているようだ。中里氏はこれをeスポーツにできるようにしたいと語っている。

「CRETA」公式サイト



Global Token Session「トークノミクスが変えるゲームの未来と可能性とは?」


 Immutableのシニア・ビジネス・デベロップメントマネージャであるMasa Kakiya氏と,Brilliantcrypto取締役の原井義昭氏,BOBGの代表である増山健吾氏が「トークノミクスが変えるゲームの未来と可能性」をテーマにトークセッションを行った。

 「マスアダプションにおけるトークノミクスで必要なこと」について聞かれたKakiya氏は,煩雑になりがちなオンボード(参加)のワークフローを挙げて,例えばGmailアカウントを持っていれば1つのウォレットで完結するといったアプローチを行っているとのことだ。また,トークノミクスやNFTからの観点として,トークンファーストにならないよう,ゲームの根本であるコンテンツを楽しませることが大事だとした。

Masa Kakiya氏
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 続いて,Brilliantcryptoが発表した「Brilliantcrypto」というデジタル宝石を掘り出すタイトルについて,どういった発想から出てきたのかと質問された原井氏は,トークノミクスにつながる大きな考えとして,ビットコインを“掘る(マイニングする)”仕組みなどで用いられる,“Proof of Work”をゲームに置き換えようというのがコンセプトであると回答。
 ビットコインのマイニングといったものは,もはやプロの世界になっていて多額の設備投資が必要で,電気代もかなり消費してしまうものだが,ゲームの形にすることで,誰でも気軽に参加でき,楽しく掘れるものとなり,Play to Earnが抱える持続可能性(サステナブル)という面も実現できるのではないかと語った。

原井義昭氏
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 最後に,トークンを発行し,ゲームを生み出す企業を支援する立場として,トークノミクスをどう見ているのかと聞かれた増山氏は,トークンを使って,より面白いコンテンツを作っていくというのはポテンシャルが高いと思っているそうだが,一方で,自分たちは税務や会計,法務といったところをサポートすることで,コンテンツの開発に集中してもらうといった裏で支えるといったところを目指していると返答していた。

増山健吾氏
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Challenge of Blockchain Game「【しくじり先生】ブロックチェーンゲームを作るなら『これだけ』はおさえとけ!」


 テーマからも分かるように,「しくじり」話からWeb3ゲームの制作で大切なことを学ぼうというセッションだ。

 ゲームを作るのも,人とお金を集めるのも大変だが,最初はどのようにしたのかという質問について,Eureka Entertainmentの辻 拓也氏は,目先のお金に困ることは,そんなになかったという。しかし,ゲームを作るとき,トークンプロジェクトでの資金調達を選んだのだが,固定費は低いほうがいいと考えたところ,それを下げてしまうとゲームを作れないことに気づき,かなりつらい状況に陥っていたそうだ。また,VC(ベンチャーキャピタル)にも出資を断られ続けていたという。

辻 拓也氏
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 CryptoGamesの小澤孝太氏もこれに共感し,2018年のころはVCに見向きもされず,個人で借金をして,ゲームを1本作ったのが始まりだったそうだ。その後,2020年ぐらいになってNFTに注目が集まりだしたら,手のひらを返して出資しますと言ってきたそうだが(当時,門前払いしたVCについては)すべて断ったという。
 また,2018年6月に「クリプトスペルズ」を発表したところ,コインチェックの流出事件の後だったため,詐欺ではないかと疑われて炎上し,いろいろと特定されて自宅にユーザーがやってきたりするなど,子どもが生まれたばかりだったという小澤氏としては,かなり怖い体験をしたことがあり,早く辞めたいと思ったときもあったそうだ。

小澤孝太氏
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 続いて出たのは,資金がない中でどういう風にゲームを作っていたのかという質問だ。辻氏は,ゲームで勝負すると大企業には勝てないと考えてトークンプロジェクトにしたが,お金は運営費ではなく,エコシステムに還元したほうがいいと思い,最小限のコストで最大限の楽しみをどう作るのかを思案したと答えた。そのうちの1つが安定的な体験を入れることで,あとはコミュニティと一緒に作っていくことだ。
 小澤氏もお金をかけるところで勝負しても勝てないので,グラフィックスなどではなく,ゲームのメカニックで勝負できる分野として,カードゲームにチャレンジしたそうだ。それもあって,メカニックや運用,コミュニティでの楽しさだったりにお金をかけているという。


Web3 Fan Marketing「【Web2と何が違う?】Web3ならではのファンと一緒に作るIP戦略とは?」


 Web3の事業開発では,ファンコミュニティやIP戦略が重要だと言われる。Web2でも散々やってきた分野だが,なぜWeb3でそれほど重要だと言われるのかという問いかけについて,Digital Entertainmentの創業者かつCo-CEOである山田耕三氏は,トークンを持った人というのは,ある意味で株主,ステークホルダーになるため,接し方が上下の関係ではなく,チームのメンバーになるので前提が違うからだ述べた。

山田耕三氏
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 続いて,今のWebにおけるIP戦略やマーケティングを,どのように見ているかという質問を受けたコナミデジタルエンタテインメントのWeb3事業部部長の金友 健氏は,Web3のゲームには2つの可能性があると述べ,1つはWeb3ならではのゲーム体験にまだ答えがないことで,これまでとは違う新しい,面白いゲームジャンルができるといった考え方を示した。
 もう1つは,ファンマーケティング革命みたいなものがWeb3にはあると考えているのだという。これにより,NFTを通じてデジタルとフィジカルが初めてつながるということが,Web3では起こるだろうと話し,これまで体験がゲーム内で閉じていたものが,ゲーム以外にもつながるので,そこにマーケティングの可能性が詰まっているとした。

金友 健氏
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 それを受けて山田氏も,ゲームのデジタルで閉じていたものが,現実でつながっていくのは新しい体験につながり,新しいコミュニティの形を生み出すだろうと思っているそうだ。実際に,東京電力と電柱をみんなで点検するという,デジタルの世界で閉じずに,現実の世界につながるようなゲームを発表したところだと話した。


Japan as No.1 Again「【世界進出】なぜWeb3ビジネスをやるならグローバルマーケットを狙うべきなのか?」


 Oasysの採用が発表されている「三国志大戦」やLINE Blockchainとの連携,メタバースなど,Web3関連の事業に積極的に取り組んでいるセガ。いまWeb3でどういった取り組みをしているのかと聞かれた同社のビジネス開発本部 副部長の堀江悦子氏は,「Super Game」構想に向けて,システムやユーザーの在り方を常に学んでいると話し,Web3を新しい技術と捉えて使いこなし,ユーザーに新しい体験や価値を提供していくのが一番の目的だと語った。

堀江悦子氏
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 技術の使いこなしという点では,GREEはバリデーター(取引の検証)や投資でWeb3の世界へ早めに入っていったそうだ。どういった観点でバリデーター事業から入ろうと考えたのかという質問に対して,GREE Web3事業部ゲームプロデューサーの森下滉大氏は,Web3のノウハウがないとき,事業で売り上げを作りながら,グローバルと連携して学習する手段として,バリデーターが一番だったからだと回答した。ゲームを1本作ろうと思えば,時間もお金もかかるため,ゲームをリリースするまでに学習が進まないといった状況は避けたいと思っていたそうだ。

森下滉大氏
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 最後にDM2C Studioの取り組みについて聞かれた,同社のマーケティング責任者である伊藤良太氏は,堀江氏に近い考えだとして,新しい体験や価値を提供する手段の1つしてWeb3があると捉えているという。また,直近の動きとして,自社のトークンを発行し,そのトークンを利用者サービスとしてリリース予定だという。そこを皮切りに,グローバル向けに誰もが見たくなるようなエンタメ体験を提供したいと考えているそうだ。

伊藤良太氏
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