企画記事
「バルダーズ・ゲート3」のグランドスラムなるか? 4つの主要ゲームアワードを,過去のGOTYタイトルとともに紹介
中でも,Golden Joystick AwardsとThe Game Awardsの両方でGame of the Year(以下,GOTY)に選ばれたことで,ゲーマーの間では「D.I.C.E. AwardsとGame Developers Choice Awardsも取って,昨年の『ELDEN RING』に続く4大GOTY制覇となるのでは」という声も上がっているようだ。
ほかにも著名なゲームアワードは多数あり,この4つだけが“別格”として扱われる明確な理由もないのだが,主催団体やこれまでの歴史などにより,多くの人から信頼されていることは間違いないだろう。
そこで本稿では,この4つのゲームアワードの特徴や,これまでのGOTY受賞タイトルなどを紹介する。残る2つのGOTYを予想したり,過去のタイトルから次にプレイするタイトルを探したりといった感じで楽しんでほしい。
なお,開催年と審査対象タイトルの発売年にずれが生じるアワードがある関係上,GOTYタイトルのリストにある西暦は,審査対象タイトルの発売年で統一している。
The Game Awards
Summer Game Festなどのイベントも主催するゲームジャーナリスト,Geoff Keighley氏が2014年に立ち上げたゲームアワード。Keighley氏がエグゼクティブプロデューサーを務めていた「Spike Video Game Awards」を含めると,その歴史は20年にもなる。
毎年12月に行われる授賞式は,各部門賞の表彰だけでなく,新作発表あり,ゲームミュージックのライブありと,非常に華やかな雰囲気で行われるため,ゲーマーにとっての「年末の風物詩」になっているかもしれない。GOTYと聞いて,まずこちらを思い浮かべる人も多いだろう。
ノミネート作品は世界中の100を超えるゲームメディアやインフルエンサーなどの審査員(その中には4Gamerも含まれている)による投票で選ばれ,受賞を決める投票は90%は審査員,10%がファンという割合となっている。
地域や属性の偏りを避けるようなシステムになっているせいか,過去のGOTYタイトルを見てみると,その年の「本命」が順当に選ばれることが多い印象だ。
過去10年のGOTYタイトル |
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2014年 |
ドラゴンエイジ:インクイジション |
2015年 |
ウィッチャー3 ワイルドハント |
2016年 |
オーバーウォッチ |
2017年 |
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド |
2018年 |
ゴッド・オブ・ウォー |
2019年 |
SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE |
2020年 |
The Last of Us Part II |
2021年 |
It Takes Two |
2022年 |
ELDEN RING |
2023年 |
バルダーズ・ゲート3 |
Golden Joystick Awards
第1回の開催は1983年という,40年以上の歴史を持つゲームアワード。現在はゲームメディアのGamesRadar+が主催しており,一般投票によって受賞作品を決めることが特徴となっている。
そのため受賞作品は(審査員の比重が大きい)ほかのアワードとは違った顔ぶれになることが多いようだ。過去10年のGOTYを見ると,DARK SOULSとバイオハザードの両シリーズから2作ずつ選ばれているが,この記事で紹介しているほかの3つのアワードだと,1つも選ばれていない。
また,2018年には,同年にブレイクした「フォートナイト」がGOTYとなっているが,同作のアーリーアクセス開始は2017年。リリース時期などの細かいところにこだわらないところも,Golden Joystick Awardsの特徴かもしれない。
過去10年のGOTYタイトル |
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2014年 |
DARK SOULS II |
2015年 |
ウィッチャー3 ワイルドハント |
2016年 |
DARK SOULS III |
2017年 |
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド |
2018年 |
フォートナイト |
2019年 |
バイオハザード RE:2 |
2020年 |
The Last of Us Part II |
2021年 |
バイオハザード ヴィレッジ |
2022年 |
ELDEN RING |
2023年 |
バルダーズ・ゲート3 |
D.I.C.E. Awards
ゲームをはじめとしたインタラクティブエンターテイメントのコミュニティを促進するために設立された非営利団体,Academy of Interactive Arts & Sciences(以下,AIAS)が主催するゲームアワードで,第1回は1997年に開催された。
D.I.C.E.とは,「Design」(デザインする),「Innovate」(開発する),「Communicate」(対話する),そして「Entertain」(楽しませる)の頭文字を並べたものだ。
受賞作品はAIAS会員(現在の会員数は3万人以上とのこと)の投票によって決まるため,業界関係者によるゲームアワード,と呼ぶこともできるかもしれない。
これまでのGOTYには,超大作にまじって「Untitled Goose Game」「Hades」といったインディータイトルもあり,こういったところから「ゲームの作り手から見た評価」が感じられそうだ。
過去10年のGOTYタイトル |
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2014年 |
ドラゴンエイジ:インクイジション |
2015年 |
Fallout 4 |
2016年 |
オーバーウォッチ |
2017年 |
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド |
2018年 |
ゴッド・オブ・ウォー |
2019年 |
Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜 |
2020年 |
Hades |
2021年 |
It Takes Two |
2022年 |
ELDEN RING |
2023年 |
? |
Game Developers Choice Awards
ゲームクリエイターによって構成されるInternational Choice Awards Networkと,ゲーム開発者向けサイト「Game Developer」の編集者によって選ばれるゲームアワード。毎年3月,ゲーム開発者会議「Game Developers Conference」に合わせて開催される。
D.I.C.E.Awardsと同様に,ゲームの作り手が審査員となるため,規模の大小を問わず,斬新な内容のタイトルが選ばれる傾向があるようだ。こちらのGOTYにも「Untitled Goose Game」と「Hades」が入っており,さらには「Inscryption」の名前もある。
同作をプレイした人なら,その評価に共感を覚えつつ「決して万人向けではないのに思い切ったな」といった感想を持つのではないだろうか。そういった視点から見ると,いい意味で“空気を読まない”ゲームアワードかもしれない。
過去10年のGOTYタイトル |
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2014年 |
シャドウ・オブ・モルドール |
2015年 |
ウィッチャー3 ワイルドハント |
2016年 |
オーバーウォッチ |
2017年 |
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド |
2018年 |
ゴッド・オブ・ウォー |
2019年 |
Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜 |
2020年 |
Hades |
2021年 |
Inscryption |
2022年 |
ELDEN RING |
2023年 |
? |
バルダーズ・ゲート3のグランドスラムなるか?
記事の冒頭でも触れたように,「バルダーズ・ゲート3」はGolden Joystick AwardsとThe Game AwardsでGOTYを受賞し,残るD.I.C.E. AwardsとGame Developers Choice AwardsのGOTYにもノミネートされている。
いずれのアワードでも最有力候補であることは間違いなさそうだが,ゲームの当たり年と言われた2023年だけに,手強いライバルが揃っている。
第27回D.I.C.E. AwardsのGOTYノミネートタイトル |
Alan Wake 2 |
バルダーズ・ゲート3 |
COCOON |
Marvel's Spider-Man 2 |
ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム |
Game Developers Choice Award 2024のGOTYノミネートタイトル |
バルダーズ・ゲート3 |
COCOON |
DREDGE |
デイヴ・ザ・ダイバー |
Marvel's Spider-Man 2 |
ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム |
D.I.C.E. Awardsの最多ノミネートは9部門の「Marvel's Spider-Man 2」で,8部門の「Alan Wake 2」がそれに続き,「バルダーズ・ゲート3」は7部門。Game Developers Choice Awardsの最多ノミネートは「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」という,こちらもお化けタイトルとなっている。
また,本稿で紹介したように,D.I.C.E. AwardsとGame Developers Choice Awardsは,これまでのGOTYにいくつかのインディータイトルを選んでいることもあり,「COCOON」「DREDGE」「デイヴ・ザ・ダイバー」も,大作たちに劣らない強力な対抗馬となりそうだ。特に「COCOON」は,画面にテキストやゲージ類がまったく表示されない作りや,ゲームの雰囲気が,両アワードのGOTYとなった「風ノ旅ビト」(2021年リリース)を思わせるところがあり,相性がいいのではと感じる。
「バルダーズ・ゲート3」が「ELDEN RING」に続いてグランドスラムを達成するか,それを阻止して名を上げるタイトルが出てくるか。もちろんGOTY以外の部門でも優秀なタイトルが表彰されるので,ぜひ結果を楽しみにしてほしい。
D.I.C.E. Awardsは2月15日,Game Developers Choice Awardsは3月20日の開催(いずれも現地時間)だ。
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