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DQ,FF,KHの犬猫グッズ「SQEX PETs」を見てきた! おもしろワンニャンアイテムたくさんの“インターペット2024”
越境を許さぬカテゴライズの壁に沈痛な面持ちになっていたころ。スクウェア・エニックスの広報から一通のメールが届いた。
「DQやFFやKHのペットグッズ出すんですが,見に来ませんー?」
仕事だから仕方ないため,私はこう返した。
「大変わんわんにゃんにゃんに存じます」
ということで,ワンワン! ニャンニャン! である。
DQ,FF,KHのペットグッズが登場
あらためて概要から説明していこう。
まず「インターペット」とは,2024年4月4日から4月7日まで東京ビッグサイトで開催された,日本最大級のペット産業見本市だ。
こちらは(主には犬猫の)ペット好きのためのイベントとして毎年開催されており,4Gamer編集長も毎年私事で行っている(秘密)。
続けて,スクウェア・エニックスが(主に犬猫用の)ペットグッズブランド「SQEX PETs」を発表し,同会場にブースを出展した。
こちらは“対象作品の世界観をイメージしたペット用アイテム”の仕立てとなっており,現状のラインナップは以下のとおりだ。
■ドラゴンクエストのブランド:
「DRAGON QUEST & Pets」
・ドーム型ペットハウス
・ペットバンダナ
・ペットリードなど
■ファイナルファンタジーのブランド:
「FINAL FANTASY & Pets」
・ドーム型ペットハウス
・ロープトイ
・爪とぎなど
■キングダムハーツのブランド:
「KINGDOM HEARTS & Pets」
・ドッグウェア
・ペットベッド
・お散歩バッグなど
※いずれも参考出展。目標は2024年内の商品発売
このうちFFとKHは,両シリーズのキーマンであった野村哲也氏がアイテム監修・ロゴデザインを担当しているという。
というか,野村氏が「自分を含め弊社にも多くの愛犬家,愛猫家がいます。そんな自分たちの作品のペットグッズがない! と気付き,今回の企画を提案しました」とのことで,立ち上げ人のようである。
概要説明が済んだところで,話は当日へ。
まず察したのは,ゆりかもめ(東京臨海新交通臨海線)の時点でペット連れの乗客が多いことだ。会場内外もとんでもねえペットの数である。インターペット2024の参加チケットは前売り券オンリーであり,一般デー初日の時点でチケットは完売済み。この日の来場者数は。
・参加者数:約1万9000名
・ペット数:約8800頭
だったという。平日開催ながらも体感では東京ゲームショウの混み具合となんら変わりなく,特別見ようとしなくてもそこら中に犬猫がいる。土日となるとこれらの値も膨れあがり,最終的にはビッグサイト全体を使って「4日間で約6万7000名&約3万頭」が来場したらしい。
やはりというか,連れられているペットは猫より犬のほうが多く,比率的にはワンワンワンワンニャンといったところである。
本題のSQEX PETsブースの近くにいくと,周囲の来場者が口々に「あそこ,ファイナルファンタジーだってー」といった声を漏らしていた。フォトスポット利用のための列もけっこうな長さである。
発表自体が前日のビジネスデーであったため,完全なる周知とはいかなかったはずだが,人気ブースと呼べるほどのにぎわいである。
本企画は,グッズ類などを手がける同社のデジタルビジネス事業本部が主導している。ブースでは同事業部のマーチャンダイジングディビジョンで企画制作を担当する,松下将人氏に話を聞かせてもらった。
同ディビジョンはグッズ類を企画・制作するとき,野村氏(猫派)と会議の体裁で世間話をすることがよくあるそうだ。
そして前述のとおり本件も,世間話の最中にペット用のスクエニグッズがないことに気づき,「こういうイベントがあるらしい」とインターペットのことも聞きつけ,約1年の月日をかけて進めてきたという。
目標は「スクウェア・エニックスのゲームとペットをつなげること」。最初は「キングダムハーツ」シリーズのみで始動したが,肝いりの意志を見せるためにDQとFFにも参加を要請したという。
過去にも他社がペット用品の開発・販売をしていた例はあるのだが,ここまで本格的にゲームメーカーが展開するのはおそらく初であろう。
とはいえ,ペット業界にせよペット用品にせよ“こちら側の”ノウハウはさすがになかったらしく,ここまで来るのにも手探り状態だった。
過去の実績的にもお手の物なファングッズとは違い,ペット用品には独自の法則がある。例えば強度だ。犬がくわえて遊ぶロープトイは,手触りがファン向けのグッズのそれではなく,重厚でがっしりしていた。それもこれも「壊れない耐久性」を求めた結果らしい。
また,本格的にやるとなると「1アイテムのバリエーション」も必要となる。分かりやすくは犬猫に着せるウェア類だが,彼らには小型・中型・大型などのサイズだけではくくりきれない,種別ごとの体型もある。こうした面までフォローしようとすると,1アイテムの種類をどこまで増やすべきなのか。現在進行で探っていることは多いようだ。
それでも,目の付けどころはとてもいいと思えた。施策の正否は語るどころか予想すらできないものの,ペットクラスタそのものな会場内にあって集客力はかなり高く,撮影列もずっと途切れない。
それだけ注目に値する刺さり方をしていたのは確たる事実だ。
もちろん強敵は多いだろう。例えば,会場内でビッグサイトらしい壁サークル級の列を形成していたのは,いなばペットフードの聖なるエクスカリバー「ちゅ〜る」シリーズの無料配布であった。
こうした,過去には対峙することのなかったボスが待ち構える他業界だけに,ゲームIPがどんな勇戦をするのかは気になるところ。
グッズは今後,2024年内の発売を目標に,引き続き開発を進めていくという。プロモーションでも,公式アンバサダー犬猫などを考えられないか模索していくようだ。先々の話であれば,スクエニファンのペットの集いイベントなども人によっては魅力的に映るかもしれない。
唯一,関係者たちに苦悩があるとすれば,「昔は犬を飼ってたんですけどね」と語ってくれた松下氏のように,SQEX PETs関係の人たちが新たな家族を迎えずにいられるかの葛藤だろう。
会場内の一部写真
セラフ榎本がマンションの修繕事業のため,建物外壁にドローンを飛ばしていることから発想したというアイテム。コンセプトモデルの参考出展のようなものだが,目を引くインパクトがある。
クラウドファンディング発の製品「waneco talk」。首輪センサーを利用し,お家の子の「今なにしてる」をメッセージに変換し,LINEにトークが飛んでくるペット用IoTだ。画面を見る感じ,実用的な機能は乏しそうだが,「今日も元気でなんでもない」と分かるのが最大の魅力。
夏によさそうな空調ペット服。お高級そうなジュエリーアイテム。犬猫の写真があれば作れるプリントバッグなどなども。
会場内のフォトスポットでは,うちの子を振り向かせるために,大半の人が「Wanちゅ〜る」や「Ciaoちゅ〜る」の類いを使い,必死に目線をもらっていた。高級ペットフードの類いも豊富で,場内ではイイひき肉を鉄板で焼くなどのパフォーマンスもあり(飼い主も食べられる),おいしそうな匂いと煙が漂っていたのも不思議な感覚だ。
催しも,グルーミングコンテストなどのイベントや,被災時におけるペット関連の扱いを学ぶステージなど多数あった。
ゲーム業界の場合,東京ゲームショウは例年,盲導犬などを除いたペットの同伴は禁止されている。そのためSQEX PETsが出展されるとしても,インターペット会場のような雰囲気には至らないだろう。
あとはそう。ゲーム業界における慣例に従い,同業他社が似たような施策を打ってこないかどうかだ。個人的にそれ自体は否定的に見ておらず,むしろ「新たなしのぎ見つけた!」とばかりに活気が生まれればいいなと思っている。多くの会社がペット施策を設け,市場に受け入れられ,ゲームとペットの親和性がより高まれば,ペット関連ゲームにもテクノロジーが注がれるようになり,新たな進化を見せるかもしれない。
※生体を扱うことで生まれるリスクだけは,企業努力でなんとしても最小限に抑えねばならない,といった心構えは必須だが
もしも後年,ペットゲームに新たな進化が訪れたら,「SQEX PETsがきっかけだった」などと語られるようになるかもしれない。
「SQEX PETs」特設サイト
「インターペット2024」公式サイト
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