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Ryos MK Proレビュー。「押したキーだけが光る」ギミックよりもゲーマー向けキーボードとしての基本に注目すべき製品
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印刷2015/04/03 00:00

レビュー

「押したキーだけが光る」ギミックよりもゲーマー向けキーボードとしての基本に注目すべき

ROCCAT Ryos MK Pro

Text by 林 佑樹


Ryos MK Pro
メーカー:ROCCAT
問い合わせ先:岡谷エレクトロニクス(販売代理店):問い合わせフォーム
実勢価格:2万〜2万2000円前後(2015年4月3日現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / Ryos MK Proレビュー。「押したキーだけが光る」ギミックよりもゲーマー向けキーボードとしての基本に注目すべき製品
 昨今のゲーマー向けキーボードにおいて,メカニカルキースイッチとしてZF Electronics製のCherry MXシリーズを採用するのは珍しくもなくなり,今やそれだけでは差別化要因にはならなくなっている。そこで,設定アプリケーションと組み合わせたマクロ機能やキーカスタマイズといった機能を新しいアピールポイントとする製品が登場してきたものの,今やこれも珍しいものではない。

 そうした状況のなか,2014年に新しい差別化要因として登場したのが,カスタマイズ可能なキーボードバックライトによるイルミネーション機能である。「キースイッチに仕込まれたLEDでキーが光ります」という段階を超えて,ユーザーによる設定や操作に合わせて,光り方や光る色を変えるという機能を備えた製品が急増したのだ。
 そうした機能を備えたゲーマー向けキーボードの1つとして,今回はROCCATの「Ryos MK Pro」を評価してみたい。発表当時,「押したキーだけ光る」機能をアピールポイントとしていた本製品は,実際にどんなことができるのか。ゲーマー向けキーボードとしての基本部分はもちろん,マクロ機能やイルミネーション機能で何を実現できるのかをチェックしてみよう。


ガッシリドッシリした重量感のあるキーボード

キースイッチはCherry MX RedもしくはBlack


本体外観。メインキーの左に追加キーが用意されるうえ,パームレストが取り外せない構造なので,見た目の印象はかなり大きい
画像集 No.003のサムネイル画像 / Ryos MK Proレビュー。「押したキーだけが光る」ギミックよりもゲーマー向けキーボードとしての基本に注目すべき製品
 まずは外観から見てみたい。Ryos MK Proはパームレストが一体となったフルキーボードで,日本語108キーをベースに,メインキーの左と[Space]キーの下に追加のキーおよびボタンが配置されたレイアウトになっている。ボディの素材は樹脂だが,安っぽい仕上がりではなく,ドイツのブランドらしい質実剛健な雰囲気を漂わせている。
 実測でのサイズは509(W)×234(D)×48(H)mmで,重量は約1.6kg。最近のゲーマー向けキーボードとしては相場ともいえるが,大きくて重いので設置場所を選ぶのは確かだ。底面には四隅に加えて,パームレスト裏側にも滑り止めのゴムがあるので,重さも加わって安定感がある。
 余談だが,筆者はPCでゲームをプレイ中に,手のひらでパームレストを強く押すクセがある。その点,Ryos MK Proのパームレスト部分はフィーリング的にも安心感があり,ここは個人的に評価を上げるポイントとなっていたりする。

頑丈なパームレスト部分(左)。試しに上からかなり強い力で押してみたのだが,凹む様子もなく,安定感がある。裏返して底面を見ると(右),本体の四隅だけでなく,パームレストの下側にも,広めのゴム製滑り止めが取り付けられていた。角度調整用の脚も,先端にゴムが付いている
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左がスタンドを収納した状態で,右が脚を出した状態。高さは約6mm増えるだけだが,写真を見ても分かるとおり,キーボードの傾斜角はかなり変化する
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 キーの総数は追加キー・ボタンを含めて113個。メインキーの左に追加された5キーや,[Space]下側に追加された3ボタンは,いずれも,邪魔にならないようにメインキーから少し離れているため,慣れれば,“誤爆”の心配はあまりない。

キーボードバックライトを点灯した状態のキーボード全景。左側と手前側の追加キー・ボタンを除けば,特殊な配列や追加キーは持たないシンプルなレイアウトである。LEDの輝度は高めで,明るい部屋でもそれなりに視認可能だ
画像集 No.006のサムネイル画像 / Ryos MK Proレビュー。「押したキーだけが光る」ギミックよりもゲーマー向けキーボードとしての基本に注目すべき製品

 国内において「Cherry MX Black」モデルも用意されるRyos MK Proだが,今回入手した個体におけるメインキーと10キーのキースイッチは,“Cherry赤軸”として知られる「Cherry MX Red」。公称押下圧は45gで,キーストロークは最大4mmほどのようだ。キースイッチは2mmほど押下するとオンになる。軽く押しただけで反応するので,素早く入力できるのは利点だろう。
 ただ[Space]キーは,他のキーよりも反発が強いのか,押した感触がやや重く感じた。ゲーム中に使うことの多いキーだけに気になるかもしれないが,どうしても感触が気に入らないという場合は,後述する設定ソフトを使って[Space]キーの設定をほかのキーに割り当ててしまうという手もないわけではない。

キースイッチは定番中の定番であるCherry MX Redを採用(左)。LEDバックライトの発光色は青一色だ(右)
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 なお,同時押し関連の仕様は,30キー+追加キー8個の同時押しに対応とのこと。レポートレート(USBポーリングレート)は1000Hz固定だ。実際に,CROCOLが提供しているオンラインの「Keyboard Tester」でメインキーや10キーの同時押しを検証してみたところ,29キーの同時押しまでは確認できた。通常のプレイで10キー以上を同時押しすることはまずないだろうから,実用上,同時押し周りは問題なしといえよう。

Keyboard Testerを使い,がんばって両手で押さえてみたところ,最大29キーまでの同時押しを確認できた。実用上は全キー同時押し対応と考えていい
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 メインキーの左端で縦に並ぶ[M1]〜[M5]キーは「Macro key」(マクロキー),[Space]キーの手前側で横に並ぶ[T1]〜[T3]ボタンは「Thumbster key」(サムスターキー)と呼ばれている。Macro keyはメインキー部と同じくCherry MX Red採用ながら,それこそ左[Ctrl]キーや左[Shift]キーを押そうとして,うっかりMacro keyを押してしまわないようにするためか,メインキーよりもキーが重くなっている。
 一方のThumbster keyは,本稿で「ボタン」と紹介しているとおり,キーではなくボタンだ。感触はやや固く,メインキーよりも強めの力で入力する必要はあるが,その分“誤爆”はしにくいので,ここぞというタイミングで何かを入力するのにはちょうどいいと感じである。たとえば,「[W/A/S/D]キーの周囲にある,よく使うキー」を[T1]〜[T3]ボタンに割り当てて,誤入力の可能性を下げるというのはアリだろう。
 どのように機能を割り当てるかは後述したい。

メインキー左に並ぶ5個のMacro key(左)と,[Space]キーの手前にある3個の「Thumbster key」(右)。名前や形状は異なるが,機能は同じだ
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先端にUSB×2とマイク入力,ヘッドフォン出力端子が用意された布巻ケーブル
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 キーボードから伸びるケーブルは直径約6mmの布巻き仕様で,取り回しにやや難がある。太いのは,接続インタフェースが,キーボード接続用のUSB 2.0×1のほか,USB 2.0ハブ機能用のUSB 2.0×1,アナログ接続型ヘッドセット用接続インタフェースをキーボード側へ引き出すための3.5mmミニピン×2の4系統になっているからだ。

本体向かって左奥の角に3.5mmミニピンのマイク入力とヘッドフォン出力,右奥の角にはUSB 2.0ポート2個がそれぞれ並んでいる
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Ryos MK Proの機能をチェック

設定ソフトの日本語化が望まれる


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 ROCCAT製のキーボードやマウスには,「EASY-SHIFT[+]」(以下,EASY-SHIFT)と呼ばれる特徴的な機能がある。簡単にいうと,各キーに標準の割り当てとは別にEASY-SHIFT用の機能を割り当てておくと,EASY-SHIFTキー(デフォルトでは[Caps Lock])を押している間だけ,別の機能を呼び出せるようになるというものだ。キー割り当ての自由度を高める機能という認識でいいだろう。

 このEASY-SHIFTを含むRyos MK Proの設定は,ドライバソフトに含まれている設定ソフトで行う。製品ボックスにソフトウェアCD-ROMなどは含まれていないので,ROCCATの製品情報ページからダウンロードし,インストールしておく必要がある。
 この設定ソフトは,Ryos MK Proのキー割り当て設定やキーボードマクロの作成,イルミネーション機能の設定など多彩な機能を備えている。ただ,チップヘルプの一部が日本語なのを除き,基本的にはまったく日本語化されていないので,英語が得意でない場合は,設定項目の意味を理解するまでが大変だ。下に示したのがメインウインドウだが,これを見て抵抗がある人だと,ちょっと厳しいかもしれない。

これが設定用ソフトウェアを開いたところ。ラジオボタンやチェックボックスなどにカーソルを持っていくと,ウインドウの下部,日本国旗アイコンの近くに日本語チップヘルプが出るのだが,詳しい説明はなく,正直,あまり役に立たない
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 さて,設定ソフトの上段には,各機能をまとめた5つのタブがある。それぞれの用途は下にまとめたとおりだ。

  • MAIN CONTROL:EASY-SHIFTキーの設定やWindowsキーの無効化,キーボードバックライトの輝度調整といった使用頻度が高そうな項目をまとめたタブ
  • KEY ASSIGNMENT:メインキーやファンクションキー,Macro key,Thumbster keyのキー割り当てやマクロ設定を行うタブ
  • KEY ILLUMINATION:各キーのバックライトを細かく設定するためのタブ
  • ROCCAT R.A.D.:R.A.D.とは「ROCCAT Achievements Display」の略で,各キーやボタン,EASY-SHIFTキーの入力回数などを記録する統計情報と,それをもとにしたいわゆる「実績」機能のタブ
  • UPDATE/SUPPORT:ドライバのアップデートやオンラインサポートの機能タブ。ただしオンラインサポートは英語だ

ROCCAT R.A.D.タブ(左)とUPDATE/SUPPORTタブ(右)。上記の機能を提供するものだ
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 MAIN CONTROLタブの左上に置かれている「CONFIGURE CAPS LOCK KEY」は[Caps Lock]キーの動作を設定する項目だ。前述のとおり,標準では[Caps Lock]キーにEASY-SHIFT機能が割り当てられているので,それを変更したり,無効化したりできる。その下の「CONFIGURE FN KEY」は右[Alt]キーの右側にある[Fn]キーを[Windows]キーとして使う設定を行えるが,これをわざわざ変更する人がいるかというと,ちょっと疑問もある。

 「ENABLE-DISABLE KEYS」は,[Windows]キーや[アプリケーション]キー,[Tab]キーや左[Shift]キーを無効化するための設定だ。
 「KEY ILLUMINATION: BRIGHTNESS」はキーボードバックライト全体の輝度を変更するもので,「KEY ILLUMINATION: DIMMER / TIMEOUT / SCREENSAVER」は,一定時間を経過したらキーボードバックライトを点滅させたり消灯させたりといった,Ryos MK Proならではの設定を行うものとなっている。
 「SOUND FEEDBACK」はちょっと珍しい機能で,特定のイベントが発生するとサウンドを鳴らすというものである。もっとも,できることは「キーボードマクロを記録したりプロファイルを切り替えたりしたときに音を慣らす」程度で,ユーザー自身で任意のイベントを設定して鳴らすなどといった,融通の利くカスタマイズはできない。

 続いてKEY ASSIGNMENTタブだが,ここで,Ryos MK Proにおけるキーの割り当て設定を行うことになる。

KEY ASSIGNMENTタブ
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 タブ内に描かれたRyos MK Proのイラストから任意のキーを選択すると,左ペインに,キーのアイコンと,2つのリストボックス「PRIMARY KEY FUNCTION」「SECONDARY KEY FUNCTION」が表示される。何となく想像できた人もいると思うが,PRIMARY KEY FUNCTIONが標準状態の機能割り当て,SECONDARY KEY FUNCTIONがEASY-SHIFT時の機能割り当てで,つまり,1つのキーに最大2つの機能を割り当てられるわけである。
 これを使うと,たとえば[F1/F2/F3/F4]キーのSECONDARY KEY FUNCTIONに[F5/F6/F7/F8]キーを割り当てて,なるべく指を動かさずに両方のキー入力を行うなんてことが可能だ。

[F1]キーの機能を選択している様子。SECONDARY KEY FUNCTIONのリストボックスから割り当てたい機能を選ぶ
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 ただし,全キーに対してフルカスタマイズを行えるかというとそんなことはなく,たとえば,メインキーと10キーのPRIMARY KEY FUNCTIONにはマクロやアプリケーション起動,LEDバックライトの切り替えといった特殊な機能を割り当てられなかったりする。設定ソフト側に用意されたほぼすべての機能を利用できるのは,Macro keyとThumbster keyだけだ。

キーによって,割り当てられる機能にはかなりの差がある。Thumbster keyにはほぼすべての機能を割り当てられるのだが……
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メインキーの場合,PRIMARY KEY FUNCTION側(左)は標準設定(Standard)か別のキー入力の割り当て(Remap),または無効化(Disable)しか選べず,SECONDARY KEY FUNCTION側(右)に設定可能な項目も少ない
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 各キーに割り当てられる主な機能はのとおりだ。

表 Ryos MK Proで各キーおよびボタン割り当て可能な機能一覧
Easy-Shift[+] Ryos EASY-SHIFTキー機能
ROCCAT Talk Function ROCCATのゲーマー向けマウスと連携するためのツール「ROCCAT Talk」の操作
Macro+Preset Function MACRO MANAGER(後述)で作成したマクロやプリセットマクロの実行
LED Macro KEY ILLUMINATIONタブで作成したバックライト点灯用マクロの実行
Assign Timer カウントダウン機能。10秒前からカウントダウンのサウンドが再生される
Profile プロファイルを変更する
Multimedia 音楽や動画の再生,停止などマルチメディアキー的な機能
Internet Explorer Internet Explorer操作用のショートカット
System OS操作用のショートカット
Standard 標準設定
Macro Play/Pause マクロの実行,一時停止
Assign a Shortcut 任意のキーボードショートカット
Email 電子メールクライアントの起動
Calculator 電卓の起動
My Computer 「マイ コンピュータ」(※Windows 8.1の場合は「PC」)を開く
IE Browser Webブラウザの起動
Quick Launch 指定したアプリケーションの起動
Disable キーの無効化
Open Driver 設定ソフトの起動

ちょっと便利な「Assign Timer」は15〜999秒でセット可能なカウントダウン機能。ラスト10秒からは音声でのカウントダウンが自動的に始まる
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 なお,マクロの作成と管理は,KEY ASSIGNMENTタブの右下にある「MACRO MANAGER」というボタンから行える。作成したマクロはRyos MK Pro本体に内蔵された記憶容量2MBのフラッシュメモリに格納され,設定ソフトがインストールされていないPCに差した状態でも利用可能になる。なので,オンラインゲームやオンライン対戦などで使う場合は,ゲームの規約に抵触しないかどうかを事前に確認しておく必要があるだろう。
 マクロ作成や編集機能自体はごくありふれたものなので,ゲーマー向けキーボードやマウスでマクロ作成機能を使ったことのある人なら,迷わずに使えるのではないか。

MACRO MANAGERの画面。マクロの作成や編集は,画面中央の「MACRO EDITOR」部分で行う。いくつかのゲーム用にプリセットされたマクロも用意されているので,マクロの作成に慣れていない人は,これらを参考に編集するのもいいだろう
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本稿執筆時点で,27タイトルのゲーム用マクロがプリセットで用意されていた
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 さて,割り当て可能な機能を眺めていると,Macro+Preset FunctionとAssign Timerを1つのキーに割り当てれば,スキルのマクロを発動させると同時にクールタイムをカウントダウンさせるといった動作が,簡単に実現できるのではないかと思えるかもしれない。だが,実際はそう簡単にいかなかったりする。というのも,設定ソフトで1つのキーに割り当てられる機能は,通常状態とEASY-SHIFT状態のそれぞれに1つだけとなっており,Macro+Preset FunctionとAssign Timerを同時に割り当てるといったことはできないからだ。

 では,これらの機能を1キーで実行するのは不可能なのかというと,キー割り当てとマクロを工夫することで,ある程度は実現可能だ。たとえば,[F1]キーでスキルを発動したあと,Assign Timerのカウントダウンでクールタイムの通知をさせようという場合,まずは該当するAssign Timer設定をゲームで使わないキーに割り当てたうえで,スキル発動のキー入力とAssign Timerを割り当てたキーの入力をセットにしたマクロをMACRO MANAGERで組めばいい。ややこしくはあるが,工夫次第で可能性はいろいろと広がりそうだ。
 ただ,同じテクニックで,スキルのクールタイムをAssign Timerに変えてLED Macroの点灯で示すマクロを作ろうとしたところ,うまくいかなかった。LED Macroを割り当てたキーをマクロ作成時に押しても,なぜかMACRO MANAGERがキー入力を検出してくれなかったためだ。これが仕様なのかバグなのかは分からないが,可能なら改善してほしいところである。


KEY ILLUMINATIONでのバックライト機能をチェック


 Ryos MK Proの特徴であるキーボードバックライト機能の制御は,設定ソフトのKEY ILLUMINATIONタブから行う。ここでは各キーの点灯設定のほか,ユーザーが独自のバックライト点灯パターンを作成・管理するための「LED MACRO MANAGER」機能などを利用できる。

バックライトの点灯を管理するKEY ILLUMINATIONタブ。見た目はKEY ASSIGNMENTタブと似ているが,設定可能な項目はこちらのほうが多い
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 設定項目と概要は以下のとおりだ。

  • LAYER ILLUMINATION:何も押していない状態と,EASY-SHIFTキーを押した状態,[Fn]キーを押した状態という3つの動作モード(ACTIVE LAYER)を切り替える機能。KEY ILLUMINATIONタブでは,ここで選択した各モードに対してLEDの挙動を指定していく。詳細は後述するが,動作モードの数は設定次第で最大11に増やせる
  • ILLUMINATION MODE:バックライトを設定したいキーを選択するための領域。LED MACRO MANAGERを開くボタンもここにある
  • ※「AUTOMATIC」と「MANUAL」は,LAYER ILLUMINATIONで選択できる動作モードを制御する設定だ。AUTOMATICの場合は上述した3モードとなるが,MANUALを選択すると,LAYER ILLUMINATIONにLeft Shift,Right Shift,Left Ctrl,Right Ctrl,Left Alt,Right Alt,Left Win,Right Winという8種類のモードが追加される
  • KEY LIGHT CONTROL:選択したキーのバックライトを有効にするか無効にするかを選択する項目。「BLINKING」にチェックを入れると,そのキーが点滅する
  • KEY LIGHTING EFFECTS:各モードごとにキーボード全体に対して2種類の点灯パターン「FADE FX」「RIPPLE FX」から1つを選んで設定できる機能。これを設定した動作モードでは,他のイルミネーション設定を使えなくなる。FADE FXは,キー押下するとバックライトが消灯して,指定時間(1〜30秒)経過後に再び点灯するという効果,RIPPLE FXは,押したキーを中心として,波紋のように光が広がっていく効果がそれぞれ得られる
  • PRE-DEFINED LIGHT GROUPS:特定のキーグループをまとめて選択する機能
  • LED FEEDBACK:マクロ実行時や音量変更時にバックライトで通知する機能。「MACRO EXECUTION LED FEEDBACK」を有効にすると,マクロを実行したときに全キーのバックライトが一瞬だけ消灯する。「LED VOLUME INDICATOR」を有効にすると,PCの音量を変更したときに音量レベルに合わせて,メインキーの[1]〜[0]キーまでが点灯する

ILLUMINATION MODEがAUTOMATIC(左)の場合と,LAYER ILLUMINATIONで選択できるモードはNormal(何も押していない状態)と,EASY-SHIFT,Fnのみ。MANUALの場合(右)は,左右[Shift]キーや左右[Ctrl]キーなど,8つのキーを押した状態が追加される
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 テキストで読むだけではイメージしにくいかと思うので,LAYER ILLUMINATION,KEY LIGHTING EFFECTSのFADE FXとRIPPLE FX,LED FEEDBACKのLED VOLUME INDICATORをテストした様子を動画で撮影してみた。これを見てもらうと,どんなことができるかイメージしやすいと思う。


 バックライトの点灯をカスタマイズするLED MACRO MANAGERは,MACRO EDITORとほぼ同じ要領で,「どう光らせるか」のマクロを作成するもの。マクロを作成するプロセスも同じで,光らせたいキーを押して設定していくだけとシンプルな作りとなっている。指定した回数だけマクロを連続して繰り返す「REPEAT THE MACRO」を組み合わせれば,たとえば「[A]〜[L]キーまでを連続で指定回数点滅させる」という使い方も可能だ。

[Print Screen]キーを起点として,[Page Down]キーまでを順番に点滅させるバックライトマクロを組んでみた。REPEAT THE MACROを「30」に設定すると,一度発動させれば30回連続で点滅を続ける
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バックライトで文字を書いてみた。しかし,これが動いて見えるように設定するのは難しい。せいぜい「こんなこともできますよ」程度だ
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 Ryos MK Proのバックライト機能は,「特定の操作に応じてバックライトを光らせ,視覚的に状況を把握する」ような凝った使い方よりも,もっとシンプルに,EASY-SHIFTキーを押している間はSECONDARY KEY FUNCTIONを割り当てたキーを光らせるといった,「押すべきキーの目印」といった使い方をするのが適当ではないかと思う。
 マクロを多用する人なら,MACRO EXECUTION LED FEEDBACKでマクロが入力されたことを視覚的に把握するといった使い方もできなくはないが,そもそも部屋が明るい場合,意識していないとバックライトが消灯したことに気付かないため,実用的に使える場面は限られるのではないだろうか。

 なお,Macro+Preset FunctionとAssign Timerを組み合わせるテクニックで説明したとおり,「バックライト点灯用マクロを割り当てたキー」をMACRO MANAGERが検出できないため,キー入力マクロにバックライト点灯用マクロを組み込んで連携させることはできない。これが可能になれば,いろいろと凝ったマクロが作れそうなので,なんとか改善してほしいものだ。


バックライト機能はオマケと見るべき

ゲーマー向けキーボードとしての実用性は評価できる


Ryos MK Proの製品ボックス
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 キーごとのLEDバックライトこそが目玉であるはずのRyos MK Proだが,単に光らせるだけならともかく,入力やマクロ操作と細かく連動させるのは難しい。現状の仕様では,EASY-SHIFTや[Ctrl]キーを押している状態で,どのキーを押せばいいのかバックライトで分かるといった使い方が正解という程度。LEDバックライト機能に重点を置いて本製品を選ぶというのは,正直あまりお勧めできない。そして,そう考えると,単純に割高なゲーマー向けキーボードということになり,その点でかなり人を選ぶ製品ということになってしまう。

 だが,ゲーマー向けキーボードとしての基本的な部分は優秀だ。筐体の頑丈さや安定感は,激しいプレイにも耐えてくれる安心感がある。Macro keyやThumbster keyといった追加キーの数や配置もなかなかいい。とくにThumbster keyは,押し間違いや操作の邪魔になりにくい位置にあるので,活用するシーンは多いだろう。
 「ちょっと使いやすい追加ボタンのある,ゲーマー向けメカニカルキーボード」に2万円払える人は多くないと思うが,LEDのカスタマイズ機能をオマケと割り切れる人なら,Ryos MK Proは,いい相棒として付き合っていけるのではないかと思う。
 最後にROCCATには,設定ソフトの日本語化を強く期待しておきたい。

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Ryos MK Pro 製品情報ページ(英語)


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