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ホンモノが作り出すカジュアルゲーム。Media Moleculeの新作「Dreams」のライブデモが想像以上にすごかった
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印刷2017/12/10 20:05

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ホンモノが作り出すカジュアルゲーム。Media Moleculeの新作「Dreams」のライブデモが想像以上にすごかった

 カリフォルニア州アナハイムで開催されている「PlayStation Experience 2017」において,「リトルビッグプラネット」シリーズで知られるMedia Moleculeの新作「Dreams」のライブデモがメディア向けに披露された。

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 2015年5月,「E3 2015」で初めて存在が明らかにされた「Dreams」は,DUALSHOCK 4やPlayStation Moveを使って,3D空間の中に自由にオブジェクトを設置していくことで,自分が見た夢の世界を再現できるという「お絵かきツール」風のソフトである。
 ツールだからと言って,ゲーム性がないということでもない。今回公開された最新デモでは,キャラクターが武器をスイングしてオブジェクトにヒットさせたり,オブジェクトを飛び越えたり,さらには穴に落ちてしまうといったシーンが見られた。「リトルビッグプラネット」の3D世界版とでも形容できそうな作品に仕上がりつつある。

左から,クリエイティブディレクターのマーク・ヒーリー氏,テクニカルディレクターのアレックス・エバンス氏,そしてスタジオディレクターのシボーン・レディ氏。それぞれ日本語付きの名刺を利用していた
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チュートリアルを兼ねたキャンペーンモード


 今回,Media Moleculeによるプレゼンテーションで明らかにされたのが,「Dreams」にはチュートリアルを兼ねたキャンペーンモードが用意されているということ。クマの少女・フランシス,キツネの少年・フォクシー,そして幼い竜・ランスウィングというキャラクター達がファンタジー世界を冒険するという内容だ。さらに20世紀初頭の世界を描き上げた黒人ミュージシャンが主人公となるエピソード,SFチックな世界で繰り広げられるキュートなロボットの冒険譚といったものもあり,これらを入れ替わりプレイしていくというスタイルになっている。それを通じて,「Dreams」では何ができるのかを習得する仕組みだ。
 なお,キャンペーンモードはシングルプレイに限らず,2人のプレイヤーが異なるキャラクターを操って,協力しながらストーリーを進めていくことも可能だという。

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 各キャラクターにはセリフが用意されているが,PlayStation Eyeの音声認識システム,またはPlayStation 4にマイクを接続して音声を録音し,それをファイル化できるようになっている。当然,キャンペーンモードの音声は開発者が作ったものだとはいえ,すべてゲーム内に用意されているツールやアセットを利用して作り出したというから,「Dreams」の可能性は非常に高いことが分かる。

キャンペーンモードとして用意される「Art’s Room」。自分やほかの人が作った「ドリーム」(ファイルのこと)をつなぎ合わせて,このような1つのキャンペーンに仕上げられるという
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 さて,実際に「Dreams」ではどんなことができるか。今回,約45分のライブデモを紹介してもらったが,まだその片鱗さえ見ていない気がするものの,非常に難解なゲームという雰囲気でもなく,ただプレイヤーの思いどおりのものを制作できる万能ツールといった印象だ。

 今回のデモでは,広大な3D空間に浮かぶ小さな島を舞台に,フランシスがピコピコハンマーのような武器を持って立っているシーンが確認できた。画面内のインタフェースには20種類近いアイコンが並んでおり,カーソルを合わせるとそれぞれの説明が表示される。カーソルは「インプ」と呼ばれるエモート付きのキャラクター状になっている。

赤いクリーチャーは「インプ」と呼ばれるキャラクター状のカーソルで,さまざま表情を持っている。プリセットで10種類ほどいるようだが,プレイヤーが作成することも可能
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 デモプレイを担当してくれたクリエイティブディレクターのマーク・ヒーリー(Mark Healey)氏は,この浮遊島をコピー&ペースト機能を使って拡張していった。浮遊島の約4分の1の大きさがある巨大な岩場をコピーすると,角度や大きさを変えながらペーストして,スイスイと島の面積を増やしていく。DUALSHOCK 4のジャイロセンサーに対応しているので,微妙な角度の調整ではコントローラそのものを動かしつつ,左右のスティックを使っていた。
 なお,キャンペーンモードに登場する各レベルも,プレイヤーの練習用として自由にオブジェクトの位置やモデルを変更できるようだ。

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最新技術「ポイントクラウド」の汎用性の高さ


 ここで特筆しておきたいのが,「Dreams」では通常のポリゴンを利用しておらず,「ポイントクラウド」と呼ばれる最新テクノロジーを利用していること。これはゲームソフトにおいて,利用されたことはないだろう。詳しくは,「PlayStation Experience 2015」のレポートをご覧いただきたいが,簡単にまとめると「X/Y/Z軸全方位にドットを密集させることで,1つのオブジェクトを作成するテクノロジー」といったところだ。

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 テクニカルディレクターを務めるアレックス・エバンス(Alex Evans)氏はポイントクラウドを採用した経緯について,「ポイントクラウドにはポリゴンやテクスチャという概念が適応されないため,どれだけオブジェクトを密集させても処理が重くならないから」と説明している。
 つまり,プレイヤーに制約を感じさせることなく,思うがままの世界を作ってもらう。そのためにポイントクラウドが採用されたというわけだ。ちなみにファイルサイズについて聞いてみたところ,「社内でテストしてみたところ,最大でも8MBにも達しなかった」らしい。

 「Dreams」のトレイラーを見ると,綿菓子のような草木やオブジェクトが並び,「いかにも夢の中です」といった雰囲気だ。しかし,今回のデモでは壺やロボット,板,蒸気機関車など,硬い表面を持つオブジェクトが見られた。どう見てもポリゴンで制作したオブジェクトのようだが,エバンス氏によると,オブジェクトの制作ツールには,それぞれのオブジェクトのポイントクラウドを「タイト」もしくは「ルーズ」に調整するバーが存在し,点の密集度を自在に操れるとのこと。それによって,オブジェクトの質感を変化させられるという。

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アニメーションからBGMまで,驚くほど簡単に複雑なものを作成可能


 デモプレイの話に戻ろう。ある程度の地表を作り出したところで,ヒーリー氏は木材を並べて橋を作っていく。このとき,コントローラを操作するだけとは思えないような速さで作業が進められた。コントローラをひねり上げれば,ローラーコースターのレールのような螺旋状にもできるという。

 ここで新たに紹介されたのが,アニメーションツールだ。アニメーションの制作では,対象となるオブジェクトを選び,「録画ボタン」を押す。そしてカーソルを使ってオブジェクトを動かし,自分が納得できる位置やスピードであれば録画を終了する。たったこれだけで,ゲーム中に動くオブジェクトが表示されるようになる。
 ヒーリー氏は左右に動く板のアニメーションを制作すると,これに飛び乗ることによって,橋の途中にある大きなギャップを越えていくというゲーム的なシーンを作り出した。

 また,キャラクターの動きには,人間や動物,ロボット,エイリアンといったプリセットがあるほか,おどろおどろしい動きとなる「Horror」,フランシスのような可愛いキャラクターに使う「Cute」といったテーマがあり,これらをキャラクターに合わせて設定するだけでいい。もちろん,独自のアニメーションを作ることも可能とのことだ。
 今回,そのツールは公開されなかったものの,PCで作成したでデータをPS4にインポートするのではなく,「Dreams」内ですべてのアニメーション作成が可能になっているとヒーリー氏は語っていた。

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 最後に音楽ツールが紹介された。インタフェースに表示されるウィンドウですべての作業が可能になっており,プリセットで用意されたリズムをベースに,パーカッションなどのサウンドを付け加えて,いくつものシークエンスを重ねていく。場所によって音色が異なる四角いウィンドウを使って,スティックを動かして位置を変えたり,ボタンを押してサウンドを付けたりするという手順で録音していた。
 ヒーリー氏は「市販の音楽ツールに負けないほどのBGMを作り出せる」と胸を張っていたが,確かに操作自体は簡単でありながら,作り込んだ音楽を制作できるようだ。デモルームに集まった人達の声を録音して,BGMの一部として利用することもできたので,やる気次第では本格的な歌を完成させることも可能だろう。

音楽ツールのシーケンサー。斜めに表示されているが,見やすいように2D状の表示も可能になっている
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 「Dreams」によってプレイヤーが制作したファイルは「ドリーム」,その制作者は「ドリーマー」と呼ばれる。オブジェクトであれ,キャラクターであれ,BGMであれ,すべてのドリーム(ファイル)はほかのプレイヤーと共有することが可能だ。もし自分の作品をいじられたくないというのであれば,ロック状態で公開することもできるという。ジャンクファイルのようなドリームが多数公開される可能性もあるが,エバンス氏は「それぞれのサーバーにマネージャーを置き,コンテンツの品質管理を行う」と話していた。

ファンメイドコンテンツは「ドリーム」と呼ばれ,それぞれに「ホラー」「幼少期」「アクション」などのタグが付けられる。定期的にMedia Moleculeが優秀作品を選んだり,テーマに沿ったドリームを提出してもらうといったイベントも予定しているという
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こちらはキャラクターやオブジェクト,BGMといったカテゴリ別にプレイヤーが作成したファイルがアップロードされる場所
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 これまで,「Dreams」に対して「自分の夢を再現するソフト」といった印象を持っていたが,今回の取材によって「3Dコンテンツやゲームを自分で作りたい人の夢を叶えるソフト」であるかもしれないと強く感じた。自分で作らなくても,誰かが作ったものを遊ぶだけでも楽しいかもしれないし,そのうちに自分だけの世界を実現したいと考えるようになるかもしれない。
 果たして,Media Moleculeの“ドリームプロジェクト”が,どれだけのゲーマーに夢を与えることになるのだろうか。

「Dreams」公式サイト

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