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「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。最終回は,札幌出身の実力主義ロックバンド“GYROAXIA”を語る

 ブシロードとDeNAの共同企画によるスマホ向けリズム&アドベンチャーゲームアプリ「アルゴナビス from BanG Dream! AAside」iOS / Android。以下,「ダブエス」)のストーリーを紹介する連載の最終回は,札幌出身の実力主義ロックバンド,GYROAXIAを取り上げる。

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 本稿ではバンドストーリーを中心に,各メンバーについても詳しく紹介していこう。なお,記事にはストーリーや設定のネタバレが含まれる場合があるので,気になる人は注意してほしい。

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[2021/03/08 12:00]
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[2021/04/24 12:00]


GYROAXIAの結成〜現在までの歩み


さらなる高みを目指し運命をねじ伏せる絶対王者
GYROAXIA(ジャイロアクシア)


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 今回もアプリ内のヒストリーなどをもとに,バンドの結成から現在までの歩みを簡単におさらいしていく。参考となるストーリーも合わせて紹介するので,全体の流れの参考にしてほしい。

※執筆時点での公開範囲
メインストーリー:第5章まで+Extra第5章第5話まで
バンドストーリー:第5章まで
楽曲ストーリー:那由多,賢汰,涼,礼音
各キャラクターストーリー:第3話まで
イベントストーリー:2021年11月月初まで


<上京前>


GYROAXIA結成
 賢汰が那由多と出会い,GYROAXIAの前身となるバンドに引き入れる。礼音と現Argonavisの結人も所属していたが,那由多が中心となったバンドは空中分解。新たに涼と深幸を迎え入れ,GYROAXIAの現メンバー構成となる。
→参考:小説「目醒めの王者」ほか

Argonavisと出会う
 北海道ツアーの函館ライブでArgonavisが前座となる。その後,対バンライブを行う。
→TVアニメ第5話〜第8話

DRF出演
 北海道で行われる大型ロックフェス「ディスティニー・ロック・フェスティバル(通称DRF/ディスフェス)」に参加。出演キャンセルとなっていたArgonavisをステージに上げるきっかけを作る。
→TVアニメ第9話〜13話

札幌にて単独ライブ
 上京前,札幌にて単独ライブを行う。このライブには,賢汰の計らいでメンバーの親が招待されていた。
→ボイスドラマ「GYROAXIA ONLINE LIVE -IGNITION- PREQUEL #01」ほか


<上京後>※一部順不同


西新宿のシェアハウスで共同生活開始〜キックオフミーティング参加
 西新宿のシェアハウスで共同生活が始まる。上京にあたり,メンバーは東京の大学へ編入(宇治川グループが経営する鴨川大学。学部は那由多が法学部,賢汰が経営学部,礼音が文学部,涼が理学部,深幸が歯学部)。
→参考:バンドストーリー第1章,メインストーリー第1章

スターティングライブ出演
 「ライブ・ロワイヤル・フェス(通称LRフェス)」のスターティングライブに出演し,圧倒的なステージを見せる。
→参考:メインストーリー第2章,バンドストーリー第2章

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曲作りをおこなう
 各メンバーをフィーチャーした楽曲が作られる。
→参考:楽曲ストーリー「Far away from me」「We’re GYROAXIA」「The end of the Galaxy」「I will stay here」

ネットで炎上騒ぎが起きる
 Fantôme Irisとの不仲説が持ち上がり,ファン同士がぶつかりあうなどの炎上騒ぎとなる。その後,ファントムのリーダーであるフェリクスと賢汰が話し合いを行い,それぞれに声明を発表した。
→参考:メインストーリー第3章(話し合いはバンドストーリー第4章)

ライブのアンコール中に那由多が崩れる〜那由多の入院とクーデター騒ぎ
 急遽セッティングされたライブへのシークレット出演中,アンコールで那由多が激しく咳き込み膝をついてしまう。結果那由多は喘息で入院し,涼と礼音と深幸が“クーデター”をする流れに。
→参考:バンドストーリー第3章〜第4章

スターティングライブ結果発表〜那由多の病気を公表する
 スターティングライブの結果は1位となる。那由多の入院やバンド内の衝突がネットニュースになったことを受け,ライブにて那由多の口から病気の噂は真実であると公表される。
→参考:メインストーリー第3章,バンドストーリー第4章

LRフェス本戦出場
 それぞれのバンドが健闘を見せるなか,GYROAXIAも見事なステージを披露する。
→参考:メインストーリー第4章,バンドストーリー第5章

LRフェス本戦結果発表〜バンド同士の話し合い
 LRフェス本戦の結果はGYROAXIAが1位となる。その後,εpsilonΦのフェス妨害についての話し合いが行われる。
→参考:メインストーリー第5章

 次の項からは,バンドストーリーと楽曲ストーリーの内容を紹介していこう。

GYROAXIAのバンドストーリーを語る



――バンドストーリー
あらすじ(第1章〜第5章)――

 LRフェスキックオフミーティングの1か月前。上京してからの那由多は密かに調子を崩しており,いつも以上にピリピリしていた。そんなある日,那由多は腕の未熟さを仲間に責められていた吹奏楽部の中学生に出会う。そして,負け犬でいるのが嫌なら練習しろと声をかける。

 一方のメンバーもまた,フェス本番に向けてそれぞれの日々を送っていた。賢汰は仲間たちの調子を気にかけ,深幸はトレーニングやバイトに勤しみ,礼音は那由多を見返すために練習に励む。そして涼は公園で,那由多が声をかけた中学生に出会った。

 スターティングライブ2日目の本番が終わり,七星 蓮から宣戦布告ともいえる言葉をかけられた那由多。GYROAXIAのメンバーも,Argonavisとは札幌時代から不思議な縁でつながっていると言い合う。吹奏楽部の中学生とふたたび出会った那由多はジャイロのライブを見ろと告げ,賢汰にセッティングを依頼する。シークレットで出演したライブは大盛況となるが,鳴り止まないアンコールに応えるうち,那由多は激しく咳き込んで膝をついてしまう。

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 ライブでのトラブルはうまくごまかしたものの,那由多は持病の喘息で検査入院となった。病気だったことを知らなかった礼音と深幸は賢汰に抗議し,礼音は脱退すると言って飛び出してしまう。涼はメンバーたちが幸せではないと感じ,礼音と深幸にクーデターを提案する。だがその後,那由多と賢汰が演奏する姿を見た3人は,一番悔しかったのは那由多だったと理解する。

 Fantôme Irisとの不仲説を解決するため,賢汰はフェリクスと話し合うことになった。一方,メディアのインタビューに訪れた那由多たちは,単独取材ではなくεpsilonΦの紫夕とのフロント対談であると聞かされる。深幸は最近起きた出来事として,那由多の入院やクーデター騒ぎを玲司に打ち明ける。するとその話がネットニュースとなり,涼はいっそのことすべて話したほうがいいと提案。次のライブの冒頭で,那由多がファンに向けて病気であることを明かし,生きている限り歌い続けると宣言した。

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 LRフェス本戦当日,それぞれのバンドが健闘を見せる。ジャイロのメンバーはあらためてこの場所に来た理由を胸に本番に臨んだ。大舞台を終えて一段落したメンバーだが,礼音と那由多の大学の単位が危ういことが分かり,2人は賢汰から真面目に大学に行くように言い渡される。

 登校した礼音は結人を見かけ,ここ最近の炎上騒動について尋ねる。風太も加わってεpsilonΦが他バンドを妨害しているという話題になるが,風太は楽しいことしか考えたくないと言う。その様子を見た礼音は,風太のように観客に寄り添う姿勢はジャイロにないものだと感じはじめる。一方,同じく大学に登校した那由多は,蓮とフェスについて言葉を交わすのだった。



◆注目したいポイント

 GYROAXIAのバンドストーリーはとくに複雑な構成ではなく,1章のみメインストーリーの前日譚(キックオフミーティングの前の話のため)となっている。そのほかは概ねメインストーリーを補完するような形で進んでいく。以下では,バンドストーリーに登場する注目ポイントや,気になるセリフなどをピックアップしていこう。

助けに入る那由多
バンドストーリー第1章第2話より
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 公園で吹奏楽部のメンバーに実力を責められる中学生を見かけた那由多は,間に入ったうえに「お前は,そのまま負け犬でいるつもりか?」と声をかける。普段は他人を寄せ付けようとしない那由多なので,これには少し驚いてしまった。でも,ひょっとしたらこのときの那由多は,その中学生に幼いころ=まだ音楽や歌の実力が今ほどなかったころの自分が重なったのかもしれない。「自分に言い訳できねえくらいに」というのは,ストイックなまでに努力を続ける,今の彼に通じる信念のように感じられる。

バーテンダー深幸
バンドストーリー第1章第3話より
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 深幸は上京後,知り合いのバーでバーテンダーのアルバイトをしている。趣味のキックボクシングは中学3年から続けているらしいが,バーテンダーもドラムも体力を使うので,普段のトレーニングが役に立っているのかもしれない。なお,イベント「夜明けのサヴァラン」では,バーテンダーとしての深幸の姿を見ることができる。

「にゃんこ・たろう」ではなく「にゃん・こたろう」
バンドストーリー第1章第5話より
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 GYROAXIAのシェアハウスにいる猫のにゃんこたろうは,札幌時代の那由多がマンションで飼っていたペットだ。「にゃん」が苗字で「こたろう」が名前らしく,性格は那由多にそっくりな唯我独尊タイプとのこと(世話は主に賢汰がしている)。ちなみにメスなので,にゃんこたろうはさしずめ「GYROAXIAシェアハウスの女王」と言ったところかもしれない。

GYROAXIAの他バンド評
バンドストーリー第2章第2話より
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 圧倒的な強さを誇るジャイロも,他のバンドのチェックを怠ることはない。第2章ではLRフェス出場バンドのスターティングライブのステージを見て,それぞれに感想を述べているところに注目したい。ここで気になったバンドは礼音がArgonavis,深幸はFantôme Iris,涼は風神RIZING!,賢汰はεpsilonΦと回答していた。なお,このあとの第5章ではフェス本戦でのそれぞれのステージについてコメントをしており,各バンドの良さをよく見ていて興味深い。

分かるよ……
バンドストーリー第2章第4話より
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 撮影可のジャイロのライブに訪れた中学生が,ステージを録画している周りの観客を見て感じた心のセリフ。これはARGONAVISプロジェクトのリアルライブに足を運んだ人の多くが感じることだろう。本当に,たくさんの人が心置きなくライブ会場に足を運べる日が早く来てほしいと思う。

那由多の病気について
バンドストーリー第3章第1話より
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 那由多が喘息持ちであることは,これまでに本人と賢汰しか知らなかった事実だが,これはアプリで初めてジャイロを知った人にとっても衝撃だったかもしれない。病気の話の初出はアプリの前日譚である小説「ARGONAVIS from BanG Dream! 目醒めの王者」だ。小説では那由多と賢汰の出会いや深幸のバンド加入についても語られているので,未読の人はぜひチェックしてみてほしい。

ジャイロのファンを公言するフェリクス
バンドストーリー第4章第1話
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 ネット炎上の話し合いのため,ジャイロのシェアハウスを訪れたFantôme Irisのリーダー,フェリクス。にゃんこたろうの存在も把握しており,「ファンなら常識」とまで言っていて頼もしい(?)。フェリクスはFantôme Irisのバンドストーリー第3章でもスターティングライブのGYROAXIAを高く評価しており,「公式ブログもチェック済み」と話していた。

フェス出場バンドの大学生メンバーたち
バンドストーリー第5章第4話より
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 LRフェス出場バンドのメンバーは現役大学生も多く,我々の知る5バンドの大学生メンバーは全員,鴨川大学に通っている(鴨川大学は宇治川グループが経営)。ジャイロのバンドストーリー第5章では蓮と那由多がキャンパスで顔を合わせていたが,他のストーリーでもよく同学部メンバーの絡みが見られる。以前の記事にも掲載したが,あらためて彼らの所属学部を紹介しておこう。

所属学部 在籍者
法学部 蓮,那由多
(政治)経済学部 凛生,岬
文学部 結人,航海,礼音,風太,大和,あおい
商学部 万浬
経営学部 賢汰
理学部
工学部 絋平
歯学部 深幸


GYROAXIAの楽曲ストーリーを語る


「Far away from me」/旭 那由多
楽曲:FAR AWAY


―あらすじ―
 車のCMタイアップ曲の話を受けたGYROAXIA。楽曲のテーマが「家族の温もり」と聞いたメンバーは,ジャイロのイメージと合わないと考えるが,那由多は曲を作ると宣言する。


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 那由多の曲作りに対する“執念”を感じるストーリー。この話で面白いなと思ったのは,那由多の父が作った同じCMの過去曲について,賢汰が「家族への愛にあふれた優しい曲だが,歌詞やメロディには別の何かがある」と言い,那由多が作った今回の新曲を聴いたときには「那由多の父の曲と構成は同じだが,歌詞やメロディの奥底には父親に対する那由多だけの感情がある」と感じたことだ。

 涼は那由多の父の曲に「悲しみ」を感じた言っていたが,那由多が自分の曲にどんな想いを込めたかは明かされていない。あの美しいメロディにはどんな感情を乗せたのか,非常に興味深いところだ。

「We’re GYROAXIA」/里塚賢汰
楽曲:EGOIST


―あらすじ―
 GYROAXIAの新曲をヒット曲にするため,事務所側が有名プロデューサーにアレンジさせようとしていると聞いた一同。礼音のアレンジ案を聞いた賢汰は,ある考えを実行に移す。


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 メンバーが事務所に対して不満を言い合うシーンで,賢汰が「とりあえず寿司でも食って帰ろう」というセリフが個人的にとても気に入っている。賢汰曰く,「こういうときは旨いものを食って気を落ち着けてから考えればいい」ということだ。対応が大人すぎて大学生とは思えない……。

 また本ストーリーでは,賢汰のある意味での“エゴイスト”ぶりが痛快だった。彼はジャイロを結成したときから一貫して「那由多の歌を世界に知らしめる」ことが己の目的であり,それを達成するためには,いかなる邪魔も決して許さないのである。なお,本作では那由多のちょっとした“デレ”が見られるシーンもあり,こちらも必見。

「The end of the Galaxy」/曙 涼
楽曲:GETTING HIGH


―あらすじ―
 事務所から,これまでのGYROAXIAの路線とは変えた大衆受けしそうな曲を作るようにと命令が下る。そこで賢汰は,涼がふと口ずさんだメロディをもとに2人で曲作りをする。


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 ジャイロに「ポップでキャッチーで大衆受けしそうな曲」を作るように命じる事務所,正気か? ……というのはさておき,こうした無茶とも言える指示に振り回されるメンバーは本当にお疲れさまである(音楽を仕事にするのは本当に大変そうだ)。

 だがそんな状況のなかでありながら,本作では涼が天才ぶりを発揮していてワクワクする。曲作りは涼のメンバーに対する視点の鋭さも垣間見えるし,ラストの「那由多の作る曲は土砂降りの雨。それでみんなを楽しくさせる」「雨のない雲の上まで連れて行く」というセリフがとてもいい。“宇宙人”の涼が言うことを,筆者がきちんと理解できているかは分からないが,この人の存在が多くの地球人を幸せにしているのは間違いないと思う。

「I will stay here」/美園礼音
楽曲:GET MYSELF


―あらすじ―
 新曲のアレンジ中,那由多にやり直しを命じられて不満な礼音。うまく演奏がハマらないことに悩んでいると,深幸から気分転換にと他のバンドのサポートをするようお膳立てされ……。


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 落ち込む礼音を「こういうときはリラックス&気分転換」と励ます深幸,いい“お兄さん”でグッジョブである。だがたしかに,一つのことに悩んで凝り固まっているときは,あえてその対象から離れてみるのは有効な手段だ。このストーリーでは,礼音は結人にも「たまには羽を伸ばして楽しめ」と言われており,普段のジャイロでは意識することのない考え方に感じるものがあったようだ(バンドストーリー第5章での意識の変化にも通じる気がする)。

 サポートを終えてジャイロに戻った礼音は相変わらずの居心地の悪さを感じながらも,これこそが自分のいる場所だと想いを新たにする。「なにがなんでも食らいついてやる」という決心は,礼音のいい意味での頑固さが表れていて胸が熱くなる。

★GYROAXIAメンバーの登場する
イベントストーリーを紹介★

 ここでは,リリースから2021年9月までに公開されたイベントストーリーのなかから,GYROAXIAのメンバーが登場するものを紹介する。

「MANIFESTO〜宣戦布告〜」(関連楽曲「MANIFESTO」)
登場メンバー:全員
 上京後,LRフェスに向けてワンマンライブを計画するGYROAXIA。新宿の巨大スクリーンをジャックしたライブは,現実との連動でも話題となった。



「夜更けのサヴァラン」(関連楽曲「CORE PRIDE」)
登場メンバー:全員
 考え方の違いでぶつかった賢汰と深幸のストーリー。深幸のバイト先のバーが登場する。

「Rockin' Lockin' on」(関連楽曲「ロキ」εpsilonΦ)
登場メンバー:全員
 GYROAXIAとεpsilonΦが対バンでぶつかりあうストーリー。涼とεpsilonΦの奏との会話に注目。

「NO RICE NOLIFE」(関連楽曲「NO RICE NOLIFE」風神RIZING!)
登場メンバー:賢汰,礼音
 大学でミスターキャンパスを決めるコンテストに出場することになる礼音。賞品はなんと学食無料券半年分……!

「JUNCTION 衝突-交差」(関連楽曲「JUNCTION」Argonavis)
登場メンバー:全員
 Argonavisとの対バン。このイベントはリアルバンドによる現実の対バンライブ(2021年5月,富士急コニファーフォレスト)とほぼ同時期に行われた。

「WITHOUT ME」(関連楽曲「WITHOUT ME」)
登場メンバー:全員
 賢汰と礼音が音楽雑誌のジューンブライド特集でインタビューを受けることになるストーリー。礼音のモテエピソードが見られる。

「keepout boyz」(関連楽曲「key plus words」εpsilonΦ)
登場メンバー:全員
 蓮と紫夕にこっそり尾行される那由多。ラストでは那由多が出かけていた意外な理由が明かされる。

「Rage on -緋く染まる一瞬へ-」(関連楽曲「Rage on」)
登場メンバー:全員
 夏フェスに参加するGYROAXIAのストーリー。深幸と礼音,努力家な2人のやりとりが見どころ。

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「Live Royal Fes 1st Round 本戦」(関連楽曲「AAside」)
登場メンバー:全員
 LRフェス本戦当日,5バンドがステージに上がる。

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「星空パレード」(関連楽曲「スターライトパレード」Argonavis)
登場メンバー:賢汰
 プラネタリウムコラボをすることになったArgonavisのストーリー。賢汰と航海の兄弟にスポットが当てられ,幼少期のエピソードも登場。

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「甘美なお茶会」(関連楽曲「モノクロのキス」Fantôme Iris)
登場メンバー:涼
 Fantôme IrisのHARU主催のお茶会ストーリー。涼と航海と3人でベース談義に花を咲かせる様子がほほ笑ましい。

「曇天の下」(関連楽曲「曇天」)
登場メンバー:全員
 ジャイロの年長組が不在となり,シェアハウスで2人残された那由多と礼音のストーリー。

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「FRICATIVE SOUND」(関連楽曲なし)
登場メンバー:全員
 新曲を作った那由多と,その曲に違和感を覚えた涼が対立するストーリー。普段はあまり強く意見を言わない涼だからこそ,その言葉が刺さる。TVアニメではお馴染みの摩周氏も登場。

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GYROAXIA各メンバーを語る


 ここでは,すでに紹介したストーリーに加え,それぞれのキャラストーリーやイベントストーリーなどを交えながら各メンバーについて語っていこう。合わせて,筆者の好きなセリフもピックアップしていきたい。

旭 那由多
バンドストーリー第5章第5話より
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 LRフェスに出場する5バンド25人には,それぞれに音楽をやるモチベーションやLRフェスで優勝したい理由がある。それは自己表現だったり楽しさや幸せだったりとさまざまだが,「乗り越えたい,あるいは勝ちたい存在がいるから」というメンバーが何人かいて,那由多もそのうちの一人であると言っていいと思う(ほかにも理由はあるだろうが)。

 那由多が越えたい存在は言うまでもなく彼の父親だが,筆者がこういう人を見ていて思うのは,「その目標を達成してしまったら,そのあとは?」ということだ。世の中には夢や目標にたどり着いたあと,バーンアウト(燃え尽き)症候群になってしまう人もいる。
 那由多はバンドストーリー第5章で,蓮に「ジャイロのLRフェス本戦はすごいライブだった」と伝えられる。上記に載せた言葉は,そのときに那由多が答えたセリフだ。那由多は父親を超えるという強い信念がありつつも,それは一つの通過点に過ぎない。個人的な解釈というか推測だがつまり,彼自身にとってのゴールは「まだ見えない場所」ということなのかもしれない。

 見たことのない世界を目指し,たどり着く。そうしたら,そこからさらに知らない世界へと向かっていく。ギリシャ神話のイカロスは父のあとをついて空を飛び,太陽に近づきすぎたために落下してしまった。那由多は天才だと言われるが,この人がすごいのは“天才でありながら誰より努力家であるところ”だ。

 だから那由多がもし翼を失ったとしても,必死で何かをよじ登っていくだろうし,登れなければ這ってでもまだ見ぬ場所に向かっていこうとするだろう。そういう強さが,強くあろうとする姿が,彼の歌を聴く人の心を震わせるのだと思う。

里塚賢汰
里塚賢汰キャラクターストーリー「賢汰とフェス」より
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 個人的にジャイロのメンバーのなかで,自分が一番緊張しそうだなと思うのが賢汰だ。決して他のメンバーが単純だという意味ではないけれど,賢汰は「人間らしい優しい面」と「冷徹な面」の振り幅が大きく,とても複雑な人に思える。

 彼はどんな人なのかと考えたとき,「一見クールだけど本当は優しい人」とも,「人当たりはいいけれど実は冷徹な人」とも,そのどちらにも捉えることができる気がするのだ。それに,ある出来事に対して賢汰が思ったことがあるとして,彼自身がその本心を隠そうとしたならば,他人がそれを知ることは絶対に不可能かもしれない……そう思わせる“意思の強さ”が,この人にはあると思う。

 印象的なのが,周りの人からの彼の見え方だ。例をあげると,幼いころに両親が離婚した際,(弟の航海が父についていくなら)自分は母と一緒にいると言い,航海から「兄さんの気持ちはどこにあるんだよ!」と反論されたことがある(イベントストーリー「星空パレード」より)。

 つまり身近な人でさえ,賢汰の心中は分かりにくいということではないだろうか。上記のセリフも,一見すると「本当にそれでいいの?」と言いたくなるものだ。けれどおそらくこの人は,一度心に決めたことを決して覆すことはないだろう。そういう強さが頼もしくもあり,怖いと思うところでもある。

美園礼音
バンドストーリー第3章第1話より
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 バンド内では那由多と同い年にも関わらず,礼音には何となく「末っ子」感があるなと思うのは筆者だけだろうか。彼は音楽に対しては非常に誠実で,頑固といえるほどに真っ直ぐな性格だ。すごくいいなと思うのが,バンドストーリー第1章で賢汰に「ジャイロを辞めたいと思うことはあるか?」と聞かれて「ない」と即答したシーンだ。

 礼音はそのとき,「那由多は気に入らないが,那由多にいいように言われる自分はもっと気に入らない」と言った。那由多に対してはしょっちゅう反抗もするし,口ではすぐ「辞めてやる」と言うけれど,自分に否があればそれを受け入れ,何くそとばかりに努力して乗り越えようとする。見ていて素直に応援したくなる人だし,彼がどこまで成長していくのかが楽しみでならない。

 あるとき深幸が,「すぐ『辞める』という礼音と,すぐ『辞めろ』と言う那由多はそっくりだ」と言っていたことがある。目標や人との触れあい方は違えど,たしかにこの2人はよく似ている気がする。

 那由多のところで「目標を達成したあとにどうするのか」という見解を書いたが,礼音もまた,“ゴールはまだ見えないずっと先”にあるような気がする。この先の未来で那由多に自分を認めさせることができたとしても,夢である海外のステージに上がることができても,彼はそこで留まることなくさらに高いところを目指すはずだ。どんなにくじけても,それを乗り越える根性と力がある。礼音はそう信じさせてくれる人だと思う。

曙 涼
曙 涼キャラクターストーリー「涼とフェス」より
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 これまでに筆者はいろいろなキャラクターと向き合ったり,考察を述べたりしてきたが,宇宙人について考えるのは初めてだ。……などと思いつつ,彼が本当に宇宙人かそうでないのか,そうでないとしたらなぜ宇宙人だと自称しているのかはさほど重要ではない。

 彼を見ていると,「涼っていいよね」と笑顔になる人は多いだろう。筆者もその一人だ。彼は「とある罪で星を追放されたが,その罪を償うために地球人を幸せにしなければいけない。そうすれば星に帰れる」のだと言う。その真偽はさておき,今地球で過ごしている彼には周りを和やかにする穏やかさがあって,いつでもみんなが幸せになる方法を考えている。

 不幸な人を見れば悲しみ,誰かが喜んでいればうれしそうな顔をし,音楽に関しては天才ぶりを発揮して,見事なパフォーマンスを繰り広げる。こう書くと,マイナス面がないのではないか? と思うくらいにすてきな人だ。地球人はみんな,涼をお手本に生きるべきかもしれない。

 筆者が好きな涼のセリフはたくさんあるが,そのなかでも「地球人はややこしい」はお気に入り。我々地球人は小さなことで怒ったり落ち込んだり,他人の一挙一動に影響されたりする面倒くさい生き物だ。涼は宇宙人だからなのか,彼自身は本当にそういうところからは遠いところにいるなと思い,うらやましくなる。そんな涼が大好きで最高だと認めるGYROAXIAは,言ってみれば宇宙規模のすごいバンドなのである。

界川深幸
イベントストーリー「Rage on -緋く染まる一瞬へ-」より
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 界川深幸は「かっこいい男」だ。見た目がいいとかモテるとかそういうことではなく(いやそれも紛れもない事実なのだが),この人はとにかく心意気がかっこいいのである。

 ほかのメンバーにもそういう面はあるが,深幸もまた紛うことなき努力の人であるところがいい。バンドストーリー第3章で彼は「自分には音楽の才能がないと思っている」と言っていた。だが才能の不足は努力で補えるし,練習で天才を越えられると信じていたのだと。

 けれど那由多と出会ったことにより,努力では追いつけない天才はいるということを知って絶望する。そして深幸は「ついていくことしかできない」という結論を出すのだが,追いつけないような高みにいる存在についていくだけで,いったいどれだけの努力が必要なのだろう。
 だが彼はそうした努力を見せびらかすわけでもなく,「泥臭さとは無縁のモテモテお兄さん」の顔をしてドラムを叩き,ジャイロの音を支えるのだ。これまた勝手な推測だが,もし深幸が音楽か女の子かを選ぶような場面になったとき,この人はは迷わず音楽=バンドを選ぶだろうという気がする。

 深幸が折れずに努力を続けるのは“プライド”があるからこそであり(イベントストーリー「夜明けのサヴァラン」),冒頭で上げたセリフは,彼がたゆまぬ努力を続ける理由だ。音楽だけでなく,バイトやジムや勉強などすべてに手を抜かないのは,「ひとつでも欠けたら手が届かない」からだという。その瞬間を手に入れるために,自分が自分であり続ける――。やっぱり界川深幸は「かっこいい男」だと思う。


GYROAXIAまとめ


 「言うは易く行うは難し」という言葉がある。口で言うだけなら簡単だが,実行するのは難しいという意味で,これは多くの人が常々思っていることではないだろうか。作中でのGYROAXIAというバンドは「絶対的強者」「王者」などと呼ばれ,LRフェスの開始前から大きな注目を集めていた。そして現実と物語がリンクした先で,彼らは本当に“頂点”に立った。

 もちろん,どのバンドも優勝する可能性はあった。けれどこの物語のなかの世界において,ジャイロが優勝したことに異議を唱える声は少なかっただろう。彼らが評判や人気に胡座をかかず,人から見えないところでも絶えず努力をしていることは,その音を聴けば明らかだと思わせる説得力があったはずだ。そして本戦優勝を果たした彼らは息つく間もなく,この先の未来に目を向けている。

メインストーリー第5章第2話より
画像集#032のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。最終回は,札幌出身の実力主義ロックバンド“GYROAXIA”を語る

 GYROAXIAは,この先もきっとますますの快進撃を続けていくのだろう。では,ここでこれ以上語ることはないのかと言われれば,個人的に気になる点がないことはない。

 那由多のキャラストーリー「フェスについて」で,深幸が「那由多はひとりでやってけるだけの才能を持ってるのに,バンド組んでるだろ?」と言う。そのときの那由多は何も答えないのだが,たしかに那由多がなぜバンドを組んでいるのか,の答えは知りたい。

 ジャイロの中心人物である那由多は,排他主義どころか仲間すら必要ないと思っていると言っていいくらいの孤高の人だ。彼はボーカリストなので,極端なことを言えば自分1人でも人に歌を聴かせることはできる。けれど,彼にとっては自分が作り出す音楽をいかに最高の状態で世界に聴かせるかが重要であり,バンドのメンバーは(誤解をおそれず言えば)武器のようなものだ。

 最高の武器を手にして世界と戦う――おそらく那由多はそういう理由でバンドという形態をとっているのだろう。でも,理由はそれだけだろうか? そこには,バンドのボーカリストだった父親の存在が関係している……というのは想像が過ぎるかもしれないが,父親を超えることは那由多の大きなモチベーションなので,同じ道を進んでいるのは当然といえば当然な気もする。個人的には,那由多にとってのGYROAXIAが「俺」ではなく「俺たち」になり,自分自身だけの「バンドである意味」を見つけてほしいと思う。

 もう一つ気になるのは,バンドストーリー第5章で礼音が考えるようになった「GYROAXIAにはないもの」のことだ。LRフェス本戦を終えた礼音は,ほかのバンドの演奏の映像を観ながら,「全バンドで作り上げたあの熱狂を,自分たちだけで再現したい」と思いはじめる。そして,他のバンドにはある“観客に寄り添う”という姿勢が,自分たちには無いものかもしれないと気づくのである。

バンドストーリー第5章第4話より
画像集#033のサムネイル/「ダブエス」ストーリー紹介&解説連載。最終回は,札幌出身の実力主義ロックバンド“GYROAXIA”を語る

 ジャイロの音楽はたしかに,一緒に踊ろうとか歌おうなどという種類のものではないし,これからもそうなることは想像しにくい。では,彼らがまた一つ大きくなるためには何が必要なのか。そのあたりが今後,見られたら面白い。

 仲間というのは素晴らしいものだし,1人ではないからこそ乗り越えられることは絶対にある。けれど,一人一人が弱くては意味がない。筆者はLRフェス本戦の前,円陣でも組むか? という話になったジャイロのメンバーが,結局はそれをやらずにステージに向かうエピソードが好きだ。

 肩を組むことでより一層パワーが溢れてくるバンドもいるだろうが,少なくとも今のジャイロはそうではない。彼らは音楽という同じ夢を持ち,最高の音を作り上げるための仲間ではあるけれど,同時に一番身近なライバルでもある。弱いやつは振り落とされる,そういう覚悟で同じステージに――戦場に立っている。

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バンドストーリー第5章第1話より
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 運命も何もかもねじ伏せて,世界を奪いにいくと“宣言”するGYROAXIA。そう口にした彼らは,きっと命を賭けてでもそれを叶えようとするだろう。いつかの未来,その日が来るのが本当に待ち遠しい。世界中のファンが彼らにひれ伏す,その輝かしい日が。

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