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印刷2019/04/01 12:00

プレイレポート

人との絆で馬を育てる。馬と馬がドラマを演じる。「Winning Post 9」プレイレポート

 コーエーテクモゲームスが2019年3月28日に発売した競馬ゲームシリーズ最新作「Winning Post 9」PC/PS4/Switch)のプレイレポートをお届けする。
 前作「Winning Post 8」は2014〜2018年と5年にわたって展開されてきたので,ナンバリングの新作が登場するのは久しぶりだ。新要素「ライバル対決」「絆コマンド」の導入で,さらに進化している。

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新人馬主として競馬の世界へ飛び込む


 競馬をテーマにしたゲームといえば,騎手となってレースの駆け引きを楽しむアクションゲームと,競走馬を育てるシミュレーションゲームが存在するが,「Winning Post 9」は後者となる。本作のプレイヤーは,これから競馬の世界へ飛び込んでいく新人馬主だ。基本施設が揃った牧場を譲り受け,秘書と共に強い競走馬を育て,レースに出走させて勝利を目指す。

 競馬ゲームということで,専門用語がバンバン飛び出してくるが,ボタン1つで気になる単語の解説を確認できるヘルプ「競馬用語辞典」が充実しているため,競馬に詳しくなくてもプレイに問題はない。
 また,本作は実名で登場する競走馬や騎手もいて,「メジロマックイーン」や「トウカイテイオー」など,「競馬は知らないけれど名前くらいは聞いたことがある」クラスの有名馬も活躍する。「名馬列伝」「名勝負列伝」で彼らの足跡を辿ることもできるため,日本の競馬史を調べてみるのも面白い。

牧場長と秘書を選んでゲームを開始。本作の競馬界は女性が多い
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メッセージの中に競馬用語が出てきた場合,ボタン1つで「競馬用語辞典」を呼び出せる
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「名勝負列伝」では,日本競馬史に残るレースについて知識を深められる
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実際に活躍した名馬も登場。メジロマックイーンはゲーム内でも強い
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 本作は,1週間ごとにコマンドを入力して日々を過ごしていく。1年の間には現実の競馬同様のイベントが発生し,日本各地で行われるレースに出走するのはもちろん,春には種付けを行い,夏から冬には幼駒や繁殖牝馬,海外馬を買い付けし,年末には借金を返済し……とやるべきことは多い。しかし,競走馬の調教や,レースへの登録,走る時の作戦については大まかな方針を指示するだけで良く,お任せにもできるので,プレイヤーの負担はそう大きいものではない。牧場にさまざまな施設を建てたり,種付けの際に配合を選んだり,活躍できそうな幼駒の目利きをしたり,競走馬の引退を決めたりといった,采配を振るうのがメインだ。

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 本作の楽しさは,自分が育てた競走馬がレースに挑む様を見守るところにある。育成やレースの騎乗そのものには介入できないため,「勝利を強く願ってはいるものの,自分では直接どうしてやることもできない」という(スポーツ観戦が好きな人ならお馴染みの)距離感が存在しており,本作をよりリアルなものにしている。

競馬の世界は悲喜こもごも。たとえ馬主であっても,調教は調教師に,レースは騎手に任せるしかない
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 本作では何をするにもお金が必要だ。牧場は毎月の運営費がかかるうえ,種付けをしてもらう,幼駒を買う,レースに出場するなど,お金の掛からない行動はないといっても過言ではない。しかも,それぞれで数百万〜数億といった,市井の人間の一生を左右しかねない額が吹っ飛んでいくのだから恐ろしい。
 主な収入源は,レースでの賞金や,生産した幼駒を売った代金,種牡馬を持っている時の種付け料などだが,安定した額が毎月振り込まれるようなものではない。種付けをしてから幼駒が生まれるまでに時間が要るし,成長してレースに出て稼ぐとなるとなおさらだ。プレイヤーは30億円の資金(借金)を持ってゲームを始めるが,年末に1億円ずつ返さなければならず,すべて使いきるとゲームオーバーになる。つまり,先々のことを考えてある程度余裕を持ったうえで,牧場を経営しなければならないのだ。

何をするにも,日常生活では考えられないほどの巨額が動く。所持金は30億円からスタートするが,無闇に施設を建設したり,やたらと高額の馬を買ったりするとこの通り
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配合理論を理解し,強い馬を生み出していく


 本作で競走馬を手に入れるには,主に「種付けをする」「セールで購入する」「知り合いの他牧場から直接購入する」という3つの手段が存在する。種付けは本作における見どころの一つで,幼駒の能力を上げる「配合理論」を成立させ,より強い馬を作り出していくのだ。
 配合理論とは,簡単にいえば「血統の組み合わせによるパワーアップ/ダウン効果」のようなもの。「父と母の先祖に同じ馬がいる」「多数の血が混じっている」といったリアルなものから,「両親ともに毛色が同じ」「評価額に差がある父と母を配合する」といったゲーム的なものまで,条件は多岐に渡る。血が近い「インブリード」の組み合わせは,能力は高いが気性や健康に難のある馬が生まれやすいなど,配合理論の効果はプラスばかりではない。
 と言うと,こうした効果をすべて把握しなければゲームを進められないように思えるかもしれないが,「配合評価」と「爆発力」という配合理論の評価値のようなものが存在しているため,そう難しくはない。最初のうちは,配合評価と爆発力が高くなる組み合わせで種付けをするといいだろう。

種付けはプレイヤーの腕と競馬知識の見せどころ。血統表はかなり専門的だが,総合評価図で爆発力を目安にしよう
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秘書のアドバイスも参考にしていこう
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どの世界適性と血統を持つ競走馬が勝っているかをチェックすることも可能
競走馬の能力は,最初は不明な部分もあるが,レースに出すことで明らかになっていく。「気性」は騎手の指示に従うかどうかを表すパラメータで,「インブリード」など血が近い配合だと,指示に従わない激しい気性になりやすい
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 ゲームが進めば海外のレースに出場できるようになるのだが,そこで重要になるのが「世界適性」だ。大まかに「日本」「欧州」「米国」の3地域の芝に合った適性を持っていると,それぞれの地域におけるレースで有利になる。例え日本で芽が出ない馬でも,海外のレースに出すと勝てるようなこともあるのが面白い。前作は,日本で最強の馬を生み出せば,そのまま海外でも勝ててしまったが,本作では世界適性を視野に入れた配合を考える必要があり,より奥深くなっているのだ。

馬は年に何度か行われるセールで手に入れる方法もある。オークション形式になっており,ほかの馬主たちの動向次第では高い買い物になることも
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手に汗握り,レースを見守る


 幼駒が生まれるのは種付けの翌年だが,即座にレースへ出せるわけではなく,自分の牧場で調教師に育成してもらう必要がある。調教師との友好度が上がれば「スピード」「パワー」「健康」など重視する能力を決めることができ,あとはプレイヤーが何もしなくても時間とともに育成が進んでいく。病気を発症すると治るまで育成がストップしてしまうが,プレイヤーにはどうすることもできず,もどかしい。前述した独特の距離感を覚える瞬間でもあるが,現実の馬主もこうした思いをしているのだろう。

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 無事に成長した幼駒は,入厩を済ませデビューする。競走馬ライフの本格スタートだ。
 とはいえ,プレイヤー自身が競走馬を操作するわけではなく,「逃げ(最初からスピードを出して先行する)」や「差し(中央から後ろの位置に付け,レース終盤で追い抜く)」などの作戦方針を指示できるのみ。あとは騎手にお任せするしかない。

 レースは音声によるアナウンスつきで,グラフィックスもリアルだ。まるでTV中継を見ているような気分に浸れる。自分の競走馬には自由に名前を付けることができ,アナウンス時のイントネーションも決められる。そのため,上位に入って名前を連呼された時などは気持ちがグッと盛り上がる。もちろん,レースのすべてを見る必要はない。「ダイジェスト」なら最終コーナーを回ったクライマックスのみを確認でき,なんならレースを見ずに結果だけを知ることもできるが,ここはしっかりと応援したいところだ。

レースシーンは競馬中継を見ているかのようにリアル
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 レースに勝つと経験値のような「育成バー」が伸び,最大値に達すると,能力が上がったり「特性」が身についたりする。長距離レースで勝つと「超長距離」,人気が低い時に何度も勝つと「大駆け」がついて,同様の条件を満たしたレースでパワーアップするなど,活躍に応じた特性が発動するのがドラマチックだ。

 本作をプレイしていて繰り返し頭をよぎるのが「勝負は時の運」「勝敗は水物」といった,勝負の不確定性を表す言葉である。レースの条件は競馬場や天候によってさまざまであり,相手となる馬の実力も異なる。期待していないレースで勝ったり,鉄板だと思った時にまさかの負けを喫したりといったどんでん返しが起こるのだ。
 前述の通り,レースの様子はTV中継を見ているような画面で描写される。配合からこだわった馬が一気にごぼう抜きを決めたり,期待のエースが馬群に沈んだりと悲喜こもごも。競馬場では,予想を外して頭を抱えたり,馬券を破いて紙吹雪のように飛ばしたりする人を見るが,筆者も画面の前で同じようにしたくなる。

大レースの前には白馬のセレモニーも
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接戦だったときはVTRが流れる。緊張の一瞬だ
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 こうしてレースを重ねていくと,大舞台でトップ争いした競走馬とライバル関係が成立することがある。ライバルに勝てれば,競走馬の能力を底上げする「闘志」がアップし,ライバル関係にあった競走馬同士を繁殖させると「ライバル配合」の配合理論が成立して能力も上がるなど,ゲーム的なメリットが大きい。
 また,こちらが勝っているとライバル陣営が「これ以上調子づかせるわけにはいかない!」と出走予定を変えてわざわざ直接対決を挑んでくるようなこともあり,気持ちが大いに盛り上がる。ほかの馬主達が登場して,プレイヤーに賞金額を競う勝負を挑んでくることもあり,これによって中期的な目標ができるので,プレイのモチベーションも上がるだろう。

大レースで1位を争うとライバル関係が成立。ライバル馬の陣営が,こちらを潰すために直接対決を挑んでくることもあって盛り上がる
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人との絆で,競走馬を育てる


 馬主生活を彩るのが,新要素の「絆コマンド」だ。これは,特定の条件を満たすと,ほかの馬主や調教師といったキャラクターからもらえる特別なコマンド。2頭の競走馬を同時に育成できる「併せ馬」,該当週に出走する競走馬の調子を上げる「当週追切」,ライバルに勝たなくてもいきなり闘志を上げられる「賞賛の言葉」など,どれも便利な効果を持っている。
 使えるコマンドの種類は,レースに勝つなど,良いプレイをすると増えていくが,負けが込んでいるとき救済的にもらえる場合もある。ただし,絆コマンドは使うとなくなるうえ,実行できる回数は月ごとに決められている。使いどころは考えないといけないが,腐らせてももったいないので,なかなかに悩ましい。

謎の獣医師・高松歌劇が牧場にふらりと現れ,腰の甘い幼駒を診察してくれ,絆コマンドまでくれた
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絆コマンドの効果はさまざま。適切なタイミングでうまく使っていきたい
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 絆コマンドが手に入るときは,キャラクター達とのイベントが発生する。面白予想の井坂修三郎などシリーズお馴染みのキャラクターもいて,ファンには嬉しいところだろう。絆コマンドを使えば,調教師や馬主,騎手と新しく知り合ったり,友好度を上げたりもできる。優秀な騎手ならレースに勝ちやすくなり,調教師なら幼駒をしっかり育ててくれるなど,メリットも多い。こうして増えた知り合いが絆コマンドをくれて,ゲームがさらに有利になっていくのを見ると,縁の大切さが感じられる。

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お馴染みのキャラ,井坂修三郎。やっぱり今回も温泉好きで,彼に会うと「温泉施設」を建築できるようになる
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調教師の友好度が最大になると,競走馬の能力が伸びやすくなる。本作は絆のゲームなのだ

 本作は,これまで以上にエモーショナルなゲームであると感じられた。高額で手に入れた馬が思うような結果を残せなかったり,逆に大して期待していなかった馬がぐんぐん伸びたりと,馬のそれぞれにドラマがある。こうしたドラマを,ライバル関係や絆コマンドといった,感情に訴える新システムが彩っている。史実に基づいた有名馬や騎手が出てくるため,競馬ファンなら楽しめるのはもちろん,じっくりと遊ぶゲームを求めている人にもオススメだ。

衰えた競走馬を引退させるという決断は辛いが避けて通れない。引退にまつわるドラマは競馬ゲームならではのもので,心が揺さぶられる
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