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HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか
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印刷2018/09/08 00:00

テストレポート

HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか

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 テレビ分野では,2016年頃から多くの製品が販売されるようになったHDR(High Dynamic Range)表示対応製品だが,ことゲーマー向け液晶ディスプレイの分野では,対応製品の登場は2017年の後半からと出足が遅かった。現時点でも,ゲーマー向け液晶ディスプレイでHDR対応を謳う製品は,決して多くはなく,価格も高めだ。HDR表示と100Hz超の垂直リフレッシュレート対応を両立する製品となると,ごくわずかと言ってもいい。

 ゲーマーが満足できる仕様と,手の届きやすい価格帯の製品が少ないなかで,注目に値するゲーマー向け液晶ディスプレイがLG Electronics(以下,LG)から登場した。それが今回紹介する「32GK850F-B」だ。
 32GK850F-Bは,31.5インチサイズで6万3000円前後という税込実勢価格でありながら,複数のHDR関連規格に対応しているのに加えて,垂直リフレッシュレート最大144Hz表示にも対応するという,充実したスペックが見どころの製品である。32GK850F-Bは,ゲーマーが選ぶに値するHDR対応液晶ディスプレイとなっているのだろうか。実機を使って検証してみたい。

32GK850F-B
メーカー:LG Electronics
問い合わせ先:LGエレクトロニクス・ジャパン サポートページ
実勢価格:6万3000円前後(税込,※2018年9月8日現在)
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外観は既存のLG製ディスプレイを踏襲


こちらは2016年発売の34UC79G-B。画面サイズやアスペクト比は異なるが,全体のデザインは32GK850F-Bとあまり変わらない
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 まずは外観のチェックからだが,あらかじめ言ってしまうと,32GK850F-Bの外観は,既存のLG製ゲーマー向け液晶ディスプレイ――4Gamerで取り上げた製品では「34UC79G-B」――と,あまり違いがない。
 ほぼ全面をカバーガラスで覆ってベゼルを目立たなくした表示面,大きく開いたY字型の台座,黒いボディにアクセントとして赤色を配したカラーリング,そしてLG製ゲーマー向けディスプレイではお約束と言っても過言ではない,ディスプレイ下端中央に装備したOSD(On Screen Display)メニュー操作用の「OSDジョイスティック」といった要素は,細かい違いはあってもLG製ゲーマー向け液晶ディスプレイでは共通の意匠となっているのだ。
 そうした事情を踏まえたうえで,32GK850F-Bを見ていくこととしよう。

製品ボックスの同梱物。電源はACアダプター方式となっている
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 32GK850F-Bは,ディスプレイ本体とスタンドのアーム部分(スタンドネック),台座からなる3ピース構成といったところは,ごく一般的なディスプレイと変わらない。台座にアームをはめ込んで,台座底面にある手回し式のネジを締めてスタンドはできあがり。あとはディスプレイ裏面の取り付け部にスタンドをはめ込むだけで,32GK850F-Bは完成だ。

アーム部分に台座をはめ込んで,底面にあるネジを締めればスタンドは完成(左)。底面の取り付け部にはめ込んでできあがりだ(右)
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組み立てた状態の背面。スタンド取り付け部を囲むようにアクセントカラーの赤色で大きな円が描かれているので,この円環部分でディスプレイが縦に回転するのかと思うかもしれないが,これは単なるデザインだ
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 スタンド取り付け部の右側には,インタフェース類をまとめたパネルがある。ビデオ入力インタフェースは,DisplayPort×1とHDMI×2の3系統。いずれも対応バージョンは明記されていないのだが,説明書を見る限り,DisplayPortの対応バージョンは1.2,HDMIは2.0のようだ。
 それに加えて,インタフェース部には,アップストリームType-B×1,ダウンストリームType-A×2のUSB 3.1 Gen.1ハブ機能と,3.5mmミニピンヘッドフォン出力端子も並んでいた。なお,32GK850F-Bはスピーカーを内蔵していないので,PCからDisplayPortやHDMI経由でサウンドを入力した場合,背面のヘッドフォン出力を利用することになる。

32GK850F-Bのスタンド取り付け部を拡大したところ(左)。取り付け部の四隅には,あらかじめネジを取り付けたVESAマウント用ネジ孔がある。取り付け部右側にインタフェース類がまとめられている。右写真はインタフェース部を拡大したところで,ビデオ入力としてDisplayPort×1とHDMI×2が並んでいる
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縦回転にも対応しているので,デジタルサイネージ風に使うことも可能
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 本体サイズは,実測で幅が約715mm,奥行きは約275mm。机上から上端までの高さは約490〜600mmの範囲で調整可能だ。スタンドは高さ調整に加えて,−5〜15度の上下回転(チルト)と,左右に20度の左右回転(スイーベル),右に90度の縦回転(ピボット)にも対応しており,調整範囲は広い。
 公称本体重量は約8.3kgで,パネル部分の公称重量は約6.5kgとなっている。

スタンドは下方向に−5度(左),上方向に15度の上下回転が可能
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高さ調整の範囲を示す写真で,左は一番上,右は一番下まで下げた状態だ
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HDR規格のHDR10とDisplayHDR 400に対応


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 32GK850F-Bが採用する液晶パネルは,VA方式で31.5インチサイズ,解像度2560×1440ドットでノングレア仕様のものだ。大雑把に計算すると,画素密度は約93ppiで,ドットピッチは約0.272mmとなる。24インチサイズでフルHD解像度の液晶パネルが約92ppiなので,パネルサイズと画素密度をそのままに解像度を上げると,これくらいのサイズになるわけだ。

 このサイズと解像度であれば,Windowsのデスクトップ画面をドットバイドットの100%で表示した状態や,小さなテキストで情報を大量表示するゲームの画面でも見やすいのは利点である。ただ,30インチを超えるサイズの液晶ディスプレイになると,4K解像度の液晶パネルを採用する製品も多いので,解像度の面で物足りなく思う人もいるだろう。

暗闇の中で画面にテストパターンを表示して,角度を変えながら撮影した様子。極端に横から覗き込みでもしない限り,輝度の変化は感じないだろう
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 32GK850F-Bの液晶パネルで特筆すべきポイントは,HDR(High Dynamic Range)表示に関する2つの仕様に対応する点だ。
 1つは「HDR10」。耳にしたことのある人も多いだろうが,4K Blu-rayこと「Ultra HD Blu-ray」で採用となった映像信号や伝送といった要素を規定する規格だ。ある意味,テレビやディスプレイにおける業界標準的な規格でもある。

 2つめは「DisplayHDR 400」。これは,映像技術の標準化団体であるVESAが策定した規格「DisplayHDR」に含まれる仕様の1つで,ディスプレイパネルのピーク輝度が400cd/m2以上,色域規格「BT.709」のカバー率95%以上を満たしていることを示すものだ。
 LGの32GK850F-B製品情報ページには,色域に関する記述は見当たらないのだが,公称輝度が400cd/m2であることは明記されていた。市販のHDR対応テレビには,1000cd/m2に対応する製品もあるので,それらに比べると高輝度とは言えないが,HDR対応を謳いながら,最大輝度が400cd/m2未満というものが多いPC用ディスプレイとしては優秀と言ってもいいだろう。

 それ以外の液晶パネルに関するスペックは,コントラスト比が3000:1で,中間調応答速度(Gray-to-Gray)は5ms,視野角は上下左右ともに178度,垂直リフレッシュレートは最大144Hzに対応しており,AMDのディスプレイ同期技術「FreeSync」にも対応する。

FreeSync 2対応を謳うメジャータイトルのFar Cry 5
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 ところで,ディスプレイパネルの仕様ではないが,32GK850F-Bは,AMDのHDR関連技術「FreeSync 2」にも対応していることもポイントだ。
 FreeSync 2とは何かの説明は,西川善司氏による解説記事を参照してほしいが,Radeon搭載グラフィックスカードと組み合わせることで,HDR映像表示における遅延を短縮したり,ゲームアプリケーション側がディスプレイのHDRスペックを正確に把握できるといった機能を実現する技術である。ゲーム側の対応が必要なうえ,対応ゲームがまだ少ない――メジャーなタイトルでは「Far Cry 5」が対応済み――のがネックではあるものの,Radeonユーザーであれば期待できる要素といったところか。

 ハードウェアに関する説明の最後に,32GK850F-Bの主なスペックをまとめておこう。

●32GK850F-Bの主なスペック
  • パネル:31.5インチ,VA方式,ノングレア(非光沢)
  • バックライト:LED,フリッカーフリー
  • パネル解像度:2560×1440ドット
  • 最大垂直リフレッシュレート:144Hz
  • ディスプレイ同期技術:FreeSync対応
  • HDR対応:HDR10,DisplayHDR 400,FreeSync 2対応
  • 輝度(通常):32GK850F-B 400cd/m2,32GK650F-B 350cd/m2
  • 表示色:約1677万色
  • コントラスト比:3000:1
  • 視野角:左右178度,上下178度
  • 中間調応答速度:5ms(Grey to Grey)
  • 内部フレーム遅延:未公開
  • ビデオ接続インタフェース:DisplayPort×1,HDMI Type A×2
  • そのほかの接続インタフェース:3.5mmミニピンヘッドフォン出力×1
  • USBハブ機能:USB 3.0×3(アップストリーム×1,ダウンストリーム×2,※32GK650F-Bは非対応)
  • スピーカー:非搭載
  • チルト(上下回転):−5〜+15度
  • スイーベル(左右回転):左右20度
  • ピボット(縦回転):右90度
  • 高さ調整:上下110mm
  • VESAマウント:100×100mm
  • 公称消費電力:44W(標準),0.5W(待期時)
  • 公称本体サイズ:715(W)×272(D)×494〜604(H)mm
  • 公称本体重量:8.3kg
  • 主な付属品:DisplayPortケーブル,HDMIケーブル,USBケーブル,ACアダプター,ソフトウェアCD-ROM,簡単セットアップガイドなど
  • 保証期間:3年間(※バックライト含む)


ゲーマー向け製品らしさをアピールするOSDメニュー


LG製液晶ディスプレイではお馴染みのOSDジョイスティック。前後左右
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 先述したとおり,32GK850F-BのOSDメニューは,ディスプレイの下端中央部にあるOSDジョイスティックで入力する。最近の液晶ディスプレイでは,筐体の背面側にOSD入力用ボタンを配置する製品が多いが,背面に手を回さないと操作できないものよりは,下端中央部というOSDジョイスティック配置のほうが扱いやすいと感じる。

OSDジョイスティックをクリックすると表示されるメインメニュー。4方向のいずれかに倒すと,次のメニューへ遷移する。「設定」は細かいユーザー設定メニューに,「ゲーミングモード」はゲーム用画調モードの切換メニューに切り替えるものだ
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 メニュー類を何も表示していない状態でOSDジョイスティックを押し込むと,OSDメニューのトップ画面(メインメニュー)が表示された。同様に,メニュー類を表示していない状態で,左右に倒すとヘッドフォン出力の音量調整を,前後に倒すと画面の輝度を調整するサブメニューが表示される仕組みだ。

左はヘッドフォン出力の音量調整メニュー,右は輝度調整メニューを表示した状態。左右入力で音量や輝度を調整し,一定時間操作しないと消える
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メインメニューで「入力」を選択した状態(左)。映像入力をHDMI1,HDMI2,DisplayPortのいずれかに切り替えるサブメニューだ。右写真はメインメニューでゲーミングモードを選択した状態。選択中の画調モードと設定値が表示される。各設定の詳細は後段で説明しよう
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 32GK850F-BのOSDメニューで面白いのは,メインメニューをはじめとしたメニューのデザインが,なかなか凝ったデザインをしていること。操作方法や設定項目自体は,既存のLG製ディスプレイとそれほど変わらないのだが,ゲーマー向け製品なら,メニューもそれらしいものにしようという考えのようだ。凝ったデザインと言っても,操作に迷ったり,現在の状態が分かりにくかったりすることはないので,好みはともかく,ユーザーにとってマイナスの要素にはならないだろう。

 細かい設定を行うユーザー設定メニューには,ゲーミングモード,ゲーム機能設定,画像調整,入力,全般という5つのサブメニューがある。おおまかな内容は以下のとおりだ。

  • ゲーミングモード:画調モードを選択する。ここでできるのは選択のみで,細かい設定はほかのサブメニューで行う
  • ゲーム機能設定:ゲーム向けの機能を設定するサブメニュー
  • 画像調整:輝度やコントラスト,ガンマ値や色温度などの調整を行うサブメニュー。選択中の画調モードによっては設定できない値があり,そうした値は表示がグレイアウトして選択できない
  • 入力:映像入力の切り替えや,画面表示のアスペクト比切り替えを行うサブメニュー
  • 全般:OSDメニューの表示言語,各種省電力設定,OSD全体のリセットを行う設定が並ぶサブメニュー

ゲーミングモードは画調モードの選択メニューだ。2種類のユーザー設定と,6種類のプリセットがある
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 ゲーミングモードで選択できる画調モードには,「ゲーマー1」「ゲーマー2」「FPS」「RTS」「鮮やか」「ブルーライト低減モード」「HDR効果」「sRGB」の計8種類がある。ゲーマー1とゲーマー2は,ユーザーによるカスタム設定を保存しておくもので,残りの6種類がプリセットの画調モードだ。
 画調モードの1つであるHDR効果とは,32GK850F-Bの特徴としてアピールされている機能で,従来からあるSDR(Standard Dynamic Range)映像を,HDR映像のように見せるという,擬似HDRモードとでも言うべきプリセットだ。
 SDR映像をHDR風に見せるという特性上,HDR効果を選択できるのは,入力された映像信号がSDRの場合のみであり,HDR映像を表示中は,HDR効果を選択できない。

HDR映像を表示中は,ゲーミングモードのサブメニューが「HDRゲーミングモード」に切り替わり,HDR効果が「標準」という画調モードプリセットに変わる(左)。さらにHDR表示中は,画像調整のサブメニューにおけるいくつかの項目が調整できなくなっていた
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 HDR効果で映像の見栄えがどのように変わるのかは後段で検証してみるとして,ここではOSDメニューの説明を続けよう。

ゲーム機能設定のサブメニュー
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 ゲーム機能設定のサブメニューには,ゲームの映像表現に関わる以下の設定項目がまとめられていた。なお,選択した画調モードプリセットによっては,グレイアウトして調整できない項目もある。

  • 1ms Motion Blur Reduction
    映像の残像感を低減する「1ms Motion Blur Reduction」機能のオン/オフ切り替え
  • FreeSync:対応GPUと組み合わせた場合に,FreeSyncのオン/オフ切り替え
  • ブラックスタビライザー:暗部の階調を強調して視認性を高める「Black Stabilizer」機能の強度設定。0〜100の範囲を1刻みで設定する
  • 応答速度:応答速度を高速化するオーバードライブ機能の設定。「Faster」「Fast」「Normal」「オフ」の4段階から任意のものを選択する
  • クロスヘア:画面中央に照準マークを表示する機能。マークの形状は,小さな十字型か輝点の2種類で,それぞれ赤色か緑色を選択できる

1ms Motion Blur Reductionの項目は,オン/オフを切り替えるだけ(左)。ブラックスタビライザーの項目は,スライダーを調整して機能の強度を切り替える仕組みだ(右)。基準値は50だった
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応答速度は,いわゆるオーバードライブ機能で,オフも含む4段階から選択する。ゲームならFasterかFastを使うのが適当だろう(左)。クロスヘアは照準マークを画面中心に表示するFPS向け機能(右)。照準マークが小さめなので,あまり目立たない印象を受けた
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 ゲーム機能については,いくつか説明が必要だろう。
 まず,1ms Motion Blur Reductionだが,同じLG製である「34UC79G-B」のテストレポートで説明しているので,ここでは簡単に述べると,映像フレームの間にバックライトを消した黒い画面を挿入することで,残像感を低減するといういわゆる「黒挿入」機能だ。
 ちなみに,34UC79G-Bでは,入力映像の垂直リフレッシュレートが60Hz,100Hz,120Hz,144Hzのときに同機能を利用できたが,32GK850F-Bの場合は,垂直リフレッシュレートが120Hzか,144Hzのときだけ有効にできるようになっている。
 なお,HDR映像を表示中でも,1ms Motion Blur Reductionは利用可能だが,FreeSync使用時やHDR効果の画調モードを選択した状態では,項目がグレイアウトして設定できなかった。

HDR効果を選択中のゲーム機能設定(左)と画像調整(右)のサブメニュー。1ms Motion Blur Reductionやブラックスタビライザーはグレイアウトして設定できない。画像調整に至っては「明るさ」(輝度)の調整しかできないようになっていた
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 1ms Motion Blur Reductionは,ディスプレイ内部での映像処理が必要になるため,最低1フレームは表示遅延が避けられないという問題点を抱えている。とはいえ,120Hzでの1フレームは約8.3ms,144Hzならば約6.9msという短い時間なので,実害はあまり大きくないとは思う。むしろ,瞬間的に画面全体を黒くするという仕組みなので,映像の輝度が下がったように見えることのほうが気になるかもしれない。
 通常はオフにしておき,残像感が気になるゲームでは1ms Motion Blur Reductionをオンにするといった具合に,ゲームによって使い分けるのがよいだろう。

 もう1つのブラックスタビライザーは,暗部の強弱を調整して暗がりの視認性を高めるという機能だ。画面全体の輝度を上げるのとは異なり,ブラックスタビライザーの値を上げると,明部の輝度はあまり変化させずに,暗部の輝度だけを上げられる。つまり,暗所に落ちているアイテムを見つけやすくなったり,暗所に潜む敵を視認しやすくなるわけだ。
 逆に,値を上げると暗部が明るくなってしまうので,映像の美しさを楽しむゲームやホラー要素の強いゲームでは,ブラックスタビライザーの値を下げたほうが,雰囲気が出るかもしれない。


HDRと擬似HDRの違いをゲームで体験


画像集 No.037のサムネイル画像 / HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか
 さて,それではいよいよお待ちかね,実際のゲームを使って32GK850F-Bの映像表現をチェックしてみよう。
 今回テストに用いたゲームは,PC版「Far Cry 5」。HDR表示に対応するゲームだ。Far Cry 5はFreeSync 2にも対応しているのだが,残念ながら今回のテストに用いた筆者のPCは,短尺仕様の「GeForce GTX 1060 6GB」搭載グラフィックスカードを使っているため,FreeSync 2でのテストはできなかったことをお断りしておく。

 そこで今回は,同一のシーンをSDR映像とHDR映像,そして擬似HDRモードであるHDR効果で表示して,見え方がどのように違うのかを比べてみることにした。Far Cry 5では,HDR映像の出力方法として「HDR10」と「HDR scRGB」の2種類を選択できるのだが,今回はすべてHDR10に統一している。また,ゲーム側の画質に関する設定は「最高」に設定した。
 一方,32GK850F-B側のOSD設定は,すべて初期状態の設定を用いて,画調モードのみ,SDR映像とHDR10は「ゲーマー1」に,擬似HDRはHDR効果に設定している。

 サンプルとして掲載した画像は,カメラで撮影した写真からトリミングしたうえで,掲載用にサイズの縮小をかけたものだ。輝度や色調が変わるような調整はかけていないので,暗部や明部の階調表現における違いを見比べる役には立つ。ぜひサムネイルをクリックして,一回り大きなサイズの画像を確認してほしい。

 まずは明るい日中の屋外を撮影したシーンから見ていく。上からSDR映像,HDR10,HDR効果の順で並んでいる。一目で分かるとおり,HDR10は空の色味がまったく異なり,鮮やかな青い空となっているのが見てとれるだろう。
 また,よく見るとHDR10では,右に見える車庫内の影になっている天井や床が,SDR映像やHDR効果の映像よりも視認しやすくなっていた。中央に見える店内も同様で,SDR映像やHDR効果では視認しにくい店内のポスターやカウンターが,HDR10ではやや見えやすい。暗部の階調表現が向上したことで,SDR映像ではつぶれて見えにくい部分も,多少ではあるが視認しやすくなったのだろう。

 一方,HDR効果は,空の青さこそHDR10に似ているものの,暗部の階調表現に変化は見えない。色の彩度を上げる調整をかけて,HDR映像に色調を近づけたものと言っていい。また,映像全体に強いシャープネスもかかっているので,輪郭や線が目立ちすぎて多少違和感を感じる。

上から順にSDR映像,HDR10,HDR効果
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 次のサンプルは,夜の建物を撮ったものだ。HDR10は,全体的に青みがかかったように見える。暗部の表現階調が異なるのは,こちらのサンプルも同様で,SDR映像では見えにくい建物の影に隠れた柱や床の模様が,HDR10では少し見えやすくなっているのが分かるだろう。
 多少意外だったのは,ネオンサインの光で照らされた部分の表現が,SDR映像とHDR10で変わっていないことだ。HDR映像であれば見え方が変わるかと思ったのだが,ネオンサインは光源ではなく,擬似的な手法でそれらしく見せているからだと思われる。
 HDR効果の色調は,日中よりもHDR10の色調に近いように見えた。ただ,こちらもシャープネスが極端で,ノイズが載っているように見えてしまう。

上から順にSDR映像,HDR10,HDR効果
画像集 No.041のサムネイル画像 / HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか
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画像集 No.043のサムネイル画像 / HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか

 とくにシャープネスの影響が顕著なのは,人物の顔だ。SDR映像とHDR効果で,人物の顔部分を拡大してみると,シャープネスの極端な強調具合が分かる。先述したとおり,HDR効果を選択した状態では画像調整サブメニューにあるシャープネスの値を調整できないので,もう少しマイルドな表現にしたいと思っても,ユーザーレベルでは変更できないのだ。
 ただ,HDR効果がまったく役に立たないかというと,そう言うわけでもない。HDR効果を有効にしたままゲームを少しプレイしてみたが,たとえば木々や草の中に紛れた敵や動物を見分けるのに,シャープネスの極端な強調が役立ったように思えたこともあったからだ。

SDR映像(左)とHDR効果の映像(右)で,人物を比較してみた。極端なシャープネスは,人の表情を表現するには適さないように見える
画像集 No.044のサムネイル画像 / HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか 画像集 No.045のサムネイル画像 / HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか

 もう1つ,HDR10による暗部の階調表現で面白いサンプルとして,暗い坑道の中で撮影した写真を挙げよう。注目してほしいのは,坑道の奥にうっすらと見える柱や梁(はり)だ。写真ではちょっと分かりにくいかもしれないが,暗闇に溶け込んだ柱や梁は,HDR10のほうが見やすいのだ。
 逆にHDR効果の映像は,暗部がより暗く見えるように調整しているからか,坑道奥の柱や梁が闇の中に消えてしまっており,HDR10との違いは明白である。暗闇に潜む何かを探すようなゲームの映像表現に,HDR効果は適さないのかもしれない。

上から順にSDR映像,HDR10,HDR効果
画像集 No.046のサムネイル画像 / HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか
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画像集 No.048のサムネイル画像 / HDR表示&144Hz対応のゲーマー向けディスプレイ「32GK850F-B」をテスト。擬似HDR機能はゲームで実用的に使えるのか

 HDR10の映像と比べてしまうと,いろいろと粗が目立つHDR効果だが,SDR映像だけのゲームではどうなるだろうか。HDR非対応のゲームでテストしてみよう。

 1つめのタイトルはPC版「INSIDE」。色彩を抑えたモノトーンに近い映像のゲームなので,明暗の表現が重要となる。
 柱の陰に隠れて,サーチライトで照らされるのをやり過ごすシーンで確かめてみると,HDR効果の映像は,標準状態と比べて暗部がより暗く見えるようになった。外光の中に浮かぶ建物もやや鮮明に見えて見栄えがいい。シャープネスの強調も違和感を感じるほどではなく,HDR効果は,シンプルな見た目のINSIDEに適しているようだ。
 ただ,シーンによっては暗部を暗くしすぎるため,微妙な階調の違いが分かりにくくなる場合もある。また,明部の表現は標準の状態とめぼしい変化はなく,強い光を浴びると白くつぶれてしまっていた。映像にポストエフェクトをかけるHDR効果では,明部の表現はあまり変わらないのだろう。

上から順に標準状態の映像,HDR効果
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 2つめは,ちょっと意地悪なテストだ。使用したタイトルは「エルダー・スクロールズ・オンライン」で,石造りの街でHDR効果を有効にすると,シャープネスの強調が悪影響を及ぼすのではないかと予想して,実際に試してみた。
 結果は予想どおりで,石を積み上げた壁や石畳の街路は,極端に輪郭線が強調されてしまうので,かなり違和感のある映像になってしまう。もはや階調表現がどうのと言うレベルではない。

上から順に標準状態の映像,HDR効果
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 こうしてゲームにおける表示を見比べてみた限り,彩度やコントラストの補正,シャープネスの強調でHDRっぽい表現を目指すというのがHDR効果の仕組みであるようだ。しかし,こうしたポストエフェクト処理でSDR映像をHDR風に,しかもリアルタイムで描画するというのは,やはり難しいのだろう。INSIDEのように効果的に機能するゲームもあるが,使いどころや適したタイトルは相当に選ぶのではないだろうか。


大画面でHDR映像を楽しめるゲーマー向けディスプレイ

HDR効果はオマケ程度に


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 そろそろまとめに入ろう。
 ゲーマー向け液晶ディスプレイを作り慣れたLG製品だけあって,32GK850F-Bは,機能や使い勝手の面で満足のいく仕上がりのディスプレイであると感じた。
 32インチという大画面に対して,2560×1440ドットの解像度には,物足りなさを感じる人もいるだろう。しかし,高リフレッシュレート表示に対応するゲーマー向け4K液晶ディスプレイが非常に高価であることや,4K解像度で60Hzを超えるゲーム映像を表示するには,PC側,とくにグラフィックスカードにも相当なコストがかかることを考慮すると,2560×1440ドットというのは,現実的な落としどころといったところか。

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 今回は32GK850F-Bの売りであるHDR表示と,HDR効果を重点的にテストしてみた。見比べないと分かりにくい面はあるものの,HDR表示で暗部の階調表現が豊かになったように見えるのは,ゲームにおいても効果的に作用するだろう。
 一方,予想し得る結果ではあったがHDR効果は役立つゲームがかなり限定されそうな機能である。この機能を目当てに32GK850F-Bを選ぶというのは,さすがに考え直したほうがいい。あくまでもオマケ的な機能であると割り切ろう。

 32GK850F-Bの実勢価格は6万3000円前後で,販売店によっては6万円を下回るところもある。4K解像度にこだわらないのであれば,HDR表示対応で高機能なゲーマー向け液晶ディスプレイとして,手の届きやすい価格帯の製品と言えよう。「そろそろHDR対応のゲーマー向けディスプレイが1台欲しいな」と考えている人にとって,32GK850F-Bは悪くない選択肢の1つとなるのではなかろうか。

コラム HDRの忠実度は? 編集部:aueki
 昨今では,各社のテレビやディスプレイによるHDRの実装が,正しいものになっているのかが問題になっており,ゲーム業界やテレビ業界などを挙げて,統一的なガイドラインを作るといった動きがある(関連記事1関連記事2)。
 そこで今回,関連記事で言うところの「ディスプレイマッピング」が,32GK850F-Bでどのように行われているのかを確認した実験の結果をお伝えしてみたい。

実験で使用したテストパターン
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 今回の実験では,「Adobe Photoshop CC 2018」を使い,RGB値0.1〜1.0まで0.1刻みの色パターンを作成して.HDRファイルに保存し,それをHDR10接続したそれぞれのディスプレイ上で表示したものを,輝度計を使って実測したデータとなる(グラフ1)。0.0の部分だけは,テストパターンではなく,別の黒画像を使っている。
 また,比較対象として,編集部にあった唯一のHDR対応機材であるシャープ製液晶テレビ「LC-45US40」でのデータも併記しておく。

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 グラフ化に当たって,低輝度部分があまりにも分かりにくいので,対数軸にしたグラフ2も下に併載するが,こちらには大した意味はない。

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 これらは,信号値と輝度の関係を示すグラフとなるので,右肩上がりのPQカーブを描くことが望ましい。どちらも高輝度部分が緩やかになっているのが確認できるが,これはディスプレイマッピングが行われていることを示している。
 
 輝度のリファレンスとしてPQカーブを計算して加えてみたのが次のグラフだ。

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 32GK850F-BはSDR範囲が少し明るめに出ていることが分かる。とはいえ,作成した画像と映像信号レベルがちゃんと対応しているかなどは未検証で,今回はあくまで参考程度のグラフとなる。全体的な傾向は外してないはずだが,実測時にそれなりの誤差は出ているので,その点もご了承を。

※9/13グラフ修正
 PQ値の計算に使った式の値域が0〜1.0であったのに対し,Photoshopのカラーコードはビデオ信号レベルに対応しているようで,0〜1.0981までの範囲になっていた。よって,グラフもそれを補正したPQ曲線に差し替えた。これを見ると,シャープLC-45US40は最高輝度は低めなものの,低輝度部分はかなりPQに近いことが分かる。対する32GK850F-Bは,かなり明るいというか輝度を高めに振っているようだ。

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LGの32GK850F-B製品情報ページ

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