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[GC 2007#106]次に狙うのは欧州? 「トリックスター0」「パンヤ」でお馴染みNtreevにミニインタビュー
ところが,2007年のGCには,Mgame,CJ Internetなど,韓国企業も多く参加していた。もっとも,彼らがブースを構えていたのはエキスポ会場ではなく,ほとんどが商談専用のビジネスセンター。その奥のほうの一画に韓国系企業が集まり,現地のパブリッシャ達と交渉をしていたのだ。
4Gamerでは,このうち「トリックスター0 -ラブ-」「スカッとゴルフ パンヤ」の開発元としてお馴染みのNtreevに時間をいただき,GCに参加した理由や,ヨーロッパ市場をどう考えるのかについて聞いてみた。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,GCに参加した主な理由を教えてください。
こちらこそよろしくお願いします。GCには,当社のタイトルの売り込みのために参加しました。「Trickster Online」(邦題 トリックスター0 -ラブ-)や,その他の新タイトルをヨーロッパで展開してくれるパブリッシャを探しています。
4Gamer:
こちらのパブリッシャの反応はいかがでした?
Kang氏:
おおむね良い感じですよ。絵柄がキュートなので,若い層にも受け入れられるだろうという意見をよく聞きました。また,Trickster Onlineの場合,すでに6か国・地域でサービスしている(日本,韓国,中国,台湾,タイ,アメリカ)という実績も,評価されました。
4Gamer:
しかし,ヨーロッパで人気のあるオンラインゲームというと,「World of Warcraft」しかり,「Dark Age of Camelot」しかり,どちらかというとハードコアなタイプのゲームが多いですよね。その中で,カジュアル寄りの作りになっているTrickster Onlineは,どういった点に勝算があると考えていますか?
Kang氏:
確かに話をしたパブリッシャさんの中には,ハードコアなタイプのゲームを求めている人もいました。しかし我々は,これまでにあまりなかったタイプだからこそ,成功する可能性があると考えています。
今までにゲームをプレイしていない,女性や子供の層を開拓できればと思っています。日本のアニメはこちらでも人気があるので,それほど抵抗はないのではないでしょうか。
4Gamer:
今のヨーロッパのゲーム市場について,どのように感じられていますか?
Kang氏:
以前は,ヨーロッパでオンラインゲームを成功させるのはかなり難しいと考えていました。ところがここ1,2年でずいぶんと状況が変わってきたように感じています。やはり,インターネットやPCによるインフラがずいぶんと整ってきたのが大きいですね。オンラインゲームの市場というものも,出来始めていると言えるでしょう。
もしかしたら,いずれは北米市場を超えるかもしれないとさえ思っています。そのときのために足がかりを作っておければと考えています。
4Gamer:
では,幾分は進出しやすくなった……?
Kang氏:
もちろん,今でも進出は大変でしょう。アジアに住む我々とはまったく文化の違う人々を相手に,ゲームで楽しませなければならないのですから。また,ヨーロッパと一口に言っても,数多くの民族が存在しています。そのそれぞれをサポートするのは,かなり難しいですよね。
しかし,ヨーロッパにポテンシャルがあるのは間違いないし,挑戦していくべき課題だと考えています。
分かりました。そういえば,「Pangya」(邦題 スカッとゴルフ パンヤ)はすでに,GOA社によってこちらでサービスされていますね。こちらはどういう状況ですか?
Kang氏:
まだ大きな結果は得られていませんが,良い結果を得るため引き続き努力中です。
4Gamer:
大きな結果が得られていない理由は,どこにあると思いますか?
Kang氏:
我々が運営しているわけではないので,その質問にはちょっとお答えしづらいですね。GOAさんは,扱っているタイトルも多いので,なかなか一つのタイトルにフォーカスしたマーケティングはできないのでしょう。これからに期待してください。
4Gamer:
ついでというわけではないのですが,ゲームポットによる日本での運営は,どう思っていますか?
Kang氏:
最高のパートナーですよ。彼らはゲームにも,日本の市場にも詳しいですから。またジークレストも,やはり最高のパートナーです。両社とは,今後も良い関係を維持していきたいと考えています。
4Gamer:
日本人としては,実に嬉しい話ですね。
ちなみに,GCに参加されるのはこれが初めてですよね。どのような印象ですか?
Kang氏:
イギリスのECTSに代わって,ヨーロッパ最大のゲームショウと呼ばれているので,実はもう少し大規模なイベントを想像していました。それこそ以前のE3のような。しかし実際には,もう少しアットホームな感じのするイベントですね。
4Gamer:
ゲーマー中心のイベントなので,トレードショウであるE3とは,ずいぶん趣が違いますね。では,そのゲーマー達の印象はどうでしょうか。日本や韓国のゲーマーとはどこが違いますか?
Kang氏:
我々ゲーム会社から見た場合,まず日本人は,一つのゲームをずっと遊んでくれるというイメージが大きいです。韓国だと,いろんなゲームを少しずつ遊ぶ人が多いですね。で,ヨーロッパのゲーマーに関してですが,まだ,よく分からないというのが正直なところです。そのために今回,GCに参加したというのもあります。
4Gamer:
ヨーロッパ市場を知るのも,このGC参加の目的の一つなんですね。ところで話はずいぶん戻りますが,先ほどGC参加の理由を聞いたとき,Trickster Online以外に,新作も売り込み中だとか。それはどういったタイトルでしょうか?
パブリッシングタイトルとして,FPSと,カジュアルゲーム「GongBak」。あともう一つ,Ntreevで開発しているタイトルがあるんですが,それはまだ言えません。
4Gamer:
そのあたりのタイトルは,日本でのサービスも考えていますか?
Kang氏:
ええ,もちろんです。9月の東京ゲームショウで,これらのタイトルを紹介するつもりですよ。
4Gamer:
あれ,出展されるんでしたっけ?
Kang氏:
とくにNtreevとしてブースを構えているわけではないですね。韓国政府による合同ブースに参加する予定です。
4Gamer:
分かりました。今回このようにヨーロッパへの足がかりを作っているとのことですが,これまでどおり,日本市場にも力を入れていくと考えてよさそうですね。
Kang氏:
ええ,もちろんそうです。最近では,日本の大手ゲーム会社もオンラインゲームに進出してきており,徐々に競争が激しくなってきていると思いますが,それでもまだ,オンラインゲームを遊ばない層も多いですし,そこには可能性を感じています。
韓国を除けば,日本のプライオリティが一番高いです。次は中国ですね。
4Gamer:
分かりました。では,ヨーロッパでの展開にも期待しています。本日はありがとうございました。
今回,立ち話レベルで,ほかの韓国企業にも話を聞いたのだが,どこも口を揃えて,ヨーロッパ市場のポテンシャルについて語っていた。逆に言えば,「今」はまだ市場としては小さいものの,今後大きくなる可能性を感じるので,今のうちに足がかりを作っておきたい,という企業が多かったようだ。
アジアを席巻した韓国ゲーム業界は,今後もしばらくはアジア地域に注力していくようだが,すでにその次の一手も打っているわけである。
数年後……いや,2,3年後にも,GCのエキスポ会場に韓国企業のブースが立ち並び,日本の任天堂やスクウェア・エニックスのブースのように,ドイツのゲーマー達が群がる光景が見られるのかもしれない。(Iwahama)
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