「信長の野望 Online 〜破天の章〜」発表会レポート：ビジュアル面の強化や，新職業「傾奇者」の追加が魅力の大型拡張パック，12月中に発売予定

拡張パック第2弾の正式タイトルは，「信長の野望 Online 〜破天の章〜」に決定。同拡張パックで追加される新職業「傾奇者」の，「破天荒さ」を意識したタイトルでもある

　コーエーは本日9月12日，戦国時代を舞台としたMMORPG「信長の野望 Online」（以下，信On）の，次期拡張パックに関する発表会を実施した。

　発表会は，横浜市日吉にあるコーエー本社ビルで行われた。まずは信Onのプロデューサーである松原健二氏が登場し，同作の国内展開の歴史/海外展開の歩みを紹介。そこでは，盛宣鳴社による中国サービスが，2006年秋に開始されることが改めて発表された。台湾での評判は上々だという同作だが，果たして中国でも高評価を得られるだろうか。極めて日本的な日本製オンラインゲームが，海外でどう評価され，どのような数字を残すのか。実に興味深いところである。
　その後松原氏は，信Onの次期拡張パックの正式タイトルが「信長の野望 Online〜破天の章〜」に決定したことを明らかにした。前拡張パック「飛龍の章」もそうだったが，今回も，信Onのプレイの幅を大いに広げてくれそうな，勢いのあるタイトルである。

写真上段：信長の野望 Onlineプロデューサーの松原健二氏　写真下段：左は，これまで信Onで行われたアップデート/イベント情報をまとめたもの。右は，信Onの海外展開に関する情報だ

同作ディレクターの山中肇氏

　破天の章の概要については，松原氏からバトンを受けた，同作ディレクターの山中肇氏が紹介してくれたので，以下に列記していこう。

●粋を極める暴れん坊「傾奇者」が，新職業として追加に
　破天の章における最大の注目点は，なんといっても，新職業「傾奇者」（かぶきもの）の追加である。これまでの信Onにも，侍や忍者，陰陽師といった，極めて日本的な職業が用意されていたが，戦国時代（安土桃山時代）の華ともいえる傾奇者（異端な身なりや奔放な行動を粋とする伊達男。前田慶次が有名である）が実装されることで，仮想戦国時代での生活は，より魅力的なものとなるだろう。
　今回発表された傾奇者の特徴は，下記のとおり。

・殺陣（たて）
　傾奇者は，特定の条件下で仲間と連携し，強力な連携業が繰り出せる。連携業は準備動作を経て繰り出す「合体技」のようなもので，連携する仲間の職業によって，殺陣の効果が変化するようだ。詳細については明らかにされていないが，その効果のバリエーションには期待が持てそうだ。

・四象（ししょう）
　破天の章では，各ゾーンに土/水/火/風の四象（属性）が設定されるのだが，傾奇者はその四象を操り，徒党（パーティ）構成や戦術に合わせた場を作り出せる。例えば，陰陽師がいる場合は火属性を上げ，火属性攻撃の威力を高めることが可能なのである。

・地勢
　破天の章では，四象とは別に「地勢」という概念も導入される。これも戦闘ステージに設定される属性の一種なのだが，「物理攻撃が効きにくい」「回復効果が上昇する」など，戦術級シミュレーションゲームでいうところの「地形効果」に似た概念だ。傾奇者は四象だけでなく，地勢をもコントロールし，戦闘を有利に展開できる。傾奇者の存在は，徒党にとって非常に重要なものとなりそうだ。
　なお四象と地勢は，いずれも「場」に設定された属性なので，その効果は敵/味方を問わず影響する。

多くの信Onプレイヤーが待ち望んでいたであろう「傾奇者」が，ついに実装される。ゾーンの属性/特性をコントロールし，戦闘を有利に展開するということで，派手な技だけでなく，燻し銀の活躍にも期待できそうだ

●キャラクターのビジュアル面が，大幅にパワーアップ
　より見栄えのする上位装備品や，茶人や鍛冶屋をモチーフとしたコスチューム（おしゃれ装備）が実装される。装備者の生産能力を高める特殊装備なども用意されるそうなので，着替えの楽しみが一層増すだろう。
　そのほか，キャラクターの所属や生き様を示すために背負う「旗指物」（はたさしもの）が実装される点にも注目したい（傾奇者の代表的存在，前田慶次が背負っていたとされる「大ふへん者」の旗指物も，当然用意されている）。
　また，生産した武器に，「炎」や「雷」などのエフェクトが（低確率で？）つくようにもなるので，より派手に，より格好良い戦闘を楽しみたい人は，ぜひ試してほしい。

写真上段：左3点は，新しい上位装備。中央3点は特殊エフェクト付きの武器。右3点は，ユニークなコスプレ装備だ　写真下段：装備面におけるグラフィックスの強化だけでなく，戦闘時のエフェクト/モーションもパワーアップしているようだ

●陸/海/空を舞台とする「攻略侵攻型ダンジョン」が追加に
　信On最初の拡張パックである飛龍の章では，徒党単位で生成されるトライアルダンジョン（いわゆるインスタンスダンジョン）が導入されたが，破天の章では，それを上級者向けに発展させた「攻略侵攻型ダンジョン」が実装される。
　この新ダンジョンは，陸/海/空を舞台とする六つのステージから構成されており，二つのステージのボスを倒すことで，次のステージに進めるようになる。上級者向けということで，狩り場としてのうま味はかなり多そうだが，徒党ごとに生成されるダンジョンなので，他の徒党とボスを奪い合うはめに陥ることはない。

新ダンジョンに登場するモンスター達。これはごく一部だが，モンスターデザインのバリエーションはかなり豊富なようだ。西洋風の「竜」が追加されるというのも，なかなか興味深いところである

●新参者の集いし隠れ里「新参者ゾーン」が追加に
　破天の章の発売以降，新規作成されたプレイヤーキャラクターは，新参者ゾーンという初心者専用エリアからゲームを始めることになる（破天の章を導入していない人も同様）。
　新参者ゾーンにいるキャラクターは無所属扱いとなり，初心者用に新たに用意されたクエストを進めていくことで，無理なく（ある程度のレベルまで）キャラクターを育てられる。新参者ゾーンからは任意のタイミングで抜け出せるので，ゲームに不慣れな新規プレイヤーでも，ゲームシステムを存分に学んでから，外の世界へと旅立てるはずだ（仕官は，新参者ゾーンから出たタイミングで行える）。



●ゲーム内経済を活性化する「楽市楽座」が実装に
　「楽市楽座」という名称からも分かるように，これは「自分の屋敷に自分だけの商店が開ける」システムだ。
　自分の店では，売りたい品/買いたい品を設定できるのはもちろん，ほかのプレイヤーの店の売却希望品/購入希望品/性能/価格などを簡単に検索できる。プレイヤー間の商売がより気軽に楽しめるようになるので，ゲーム内経済が一気に活性化しそうだ。



●新しい装備品強化アイテム「宝玉」が登場

宝玉の共晶効果は，装備単体ではなく，全装備の合計宝玉数によって判定されるようだ

　新たな装備品強化アイテムとして，「宝玉」が実装される。これはダンジョンにいるボスを倒したときなどに，ドロップ品として入手できるレアアイテムだ。宝玉にはさまざまな特殊効果が秘められており，装備品に付属させることで，その効果を開放する。装備品に複数の宝玉を取り付けた場合（宝玉の数は装備全体で判定），「共晶効果」が発動し，さらなる恩恵が得られるそうなので，自分だけの「業物」を生み出すために，ぜひ収集したいところだろう。



●その他の追加要素について
　上記以外にも，技能目録が約120冊，生産レシピが約400種，約50種の潜在能力が追加され，キャラクターの育成システムがさらに深化。また，両替商の蔵が増設されたり，武家屋敷内の家具にギミック（メッセージが記入できるなど）が追加されたり，異国情緒あふれる南蛮街が実装されたりと，多くの追加要素がある。詳細に関しては，後日改めて発表するとのことなので，プレイヤーは期待して待っていてほしい。

松原/山中両氏へのインタビューによって，「破天の章」の輪郭はより明確になった。インタビュー記事は近日中に掲載する予定なので，もうしばらく待っていてほしい

　破天の章の概要説明が一通り終わると，再び松原氏が登場。同拡張パックと連動する「モバイルサービス」構想を明らかにした。
　モバイルサービスは2007年春のサービス開始を目標に開発が進んでおり，携帯電話を通じて親書（メール）の送受信や，知行/採集/生産が可能になる予定だという。ゲーム内世界がより身近になるサービスなので，プレイヤーならば非常に気になるところだろう。こちらに関しても，詳細が決まり次第改めてアナウンスされるので，楽しみに待っていよう。
　なお，同拡張パックの発売スケジュールに関しては，2006年11月に「テストリリース」（βテストのことだろう）が行われ，2006年12月に販売が開始される。価格は未定とのことだが，クライアントは飛龍の章と同様，パッケージ版/ダウンロード版の2種類が用意されるので，近所にPCゲームショップがないという人でも，気軽に購入できるだろう。

　なお4Gamerでは，発表会が終了したあと，同作プロデューサー松原氏/ディレクター山中氏に独占インタビューを行っている（近日中に掲載予定）。破天の章の「概要」ではなく「詳細」が知りたいという人は，そちらも忘れずにチェックしてほしい。（Text by 大路政志，Photo by kiki）