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Microsoft製のタブレット「Surface RT」が国内発売。あえてゲーマー視点での使い道を考えてみた
いよいよ発売されたSurface RT。キーボードにもなる「タッチカバー」は3色を用意 |
Surface RTの販売に合わせて,日本マイクロソフトは,東京都内にて発売記念レセプションを開催。製品の体験会のほか,日本マイクロソフト 執行役常務コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏と,米Microsoft ジェネラルマネージャーのブライアン・ホール氏による,Surface RTについての説明が行われた。イベントの様子も交えて,お伝えしていこう。
日本マイクロソフトの香山春明氏 |
米Microsoftのブライアン・ホール氏 |
Surface RTでは動作するのはWindowsアプリのみ!
ご存じの方も少なくないと思うが,Surface RTが搭載するWindows RTについて説明しておこう。Windows RTは見た目こそWindows 8と同じだが,対応するCPU(SoC)が異なる。Windows 8はIntelやAMDが製品展開しているx86 CPUアーキテクチャに対応するが,Windows RTは,スマートフォンやタブレットでお馴染みの「ARMアーキテクチャ」のCPUに対応している。
USB接続のカードリーダーやキーボードなど,手持ちのWindows資産の多くがそのまま使えるのも,Windows RTの魅力 |
一方,アプリの制約以外の点では,Windows RTはWindowsと同様の使い勝手を実現している。ファイルの扱いはまったく同じだし,対応する周辺機器も,登場して1年未満のOSとしては豊富だ。
タッチカバーを付けたSurface RTは,ノートPCに近いビジュアルになる |
まずはSurface RTの外観について見てみよう。タブレット型の本体は,サイズが275(W)×172(D)×9(H)mmで,重量は約675g。側面から見ると,台形に近い形状になっている。エッジが鋭角なデザインは一般的なタブレットと異なる趣だが,持ちやすさは変わりなかった。
黒いボディの素材には,「VaporMg」と称するマグネシウム合金を採用している。剛性を重視した素材を選んだ点は,キーボードやマウスといった周辺機器の品質で定評ある,マイクロソフト製品らしいなと感じた。
本体頂部。電源・スリープスイッチとマイクがある |
本体底部。カバーとの接続端子があるのみ |
本体左側面。スピーカー,ヘッドフォン端子,ボリュームボタンが並ぶ |
本体右側面。micro HDMI出力,USB 2.0,ACアダプタ用端子が並ぶ |
本体背面。上側にアウトカメラ,下半分にはキックスタンドがある。Windowsロゴがうっすらと刻印されている |
キックスタンドを立てると,約22度の傾斜がつく。ホール氏曰く「キー入力にもタブレット操作にも適した角度」とのこと。たしかに,ちょうどいい角度に感じる |
Surface RTの底部に接続する2種類のカバー,「タッチカバー」と「タイプカバー」は,マイクロソフトがSurface RTで提案するものをよく現している。どちらも本体にぴったり合うサイズのキーボード兼用カバーで,タッチカバーは厚さ3mm,感圧式キーボードを備える。タイプカバーは厚さ6mmとやや厚いが,打鍵感のある薄型キーボードを備える。
これらのカバーを付けて,本体背面のキックスタンドを広げると,Surface RTはノートPCのように使える。ある意味では,Windows 8を搭載するコンバーチブルノートPCと似た運用が,タブレット端末でできるわけだ。
イベントでは香山氏とホール氏も,Surface RTのノートPC的な運用を強く推していた。またホール氏は,「3ヒンジのキックスタンドの仕上がりもチェックしてほしい」と語った。側面のスリットに親指を引っかけるだけで立てられ,閉じるときは「カチッ」という小気味いい音が鳴るあたりは,使い心地の良さを巧みに表現しているように思う。
スペック面も軽く触れておこう。SoCにはNVIDIAのTegra 3を採用し,システムメモリ容量は2GB。ストレージ容量は32GBまたは64GBの2製品がラインナップされる。バッテリー駆動時間は最大約8時間などなど,Androidタブレットと似たような構成になっている。
液晶パネルは10.6インチサイズで,解像度は1366×768ドット。5点マルチタッチに対応する。発色も良好だ。
現状は圧倒的なアプリ不足
Windowsストアアプリの将来性をどう評価するか?
こちらはWindows 8で,Windowsストアの「ゲーム」を開いたところ,5000タイトル近くがリストアップされているが,Windows RTでは動かないデスクトップアプリも混ざっているので,Surface RTで遊べるのはこれより少ない |
当然ながらマイクロソフトとしては,アプリのラインナップ強化を推進していくだろうが,正直なところエンターテインメント用途を重視するのであれば,Surface RTはしばらく様子見しておくのが,正解だろう。
ところで,Surfaceの日本語ページを見ると,Core i5をCPUに搭載し,Windows 8 Proがプリインストールされた上位機種「Surface with Windows 8 Pro」(以下,Surface Pro)のページが,すでに用意されている。「日本未発売」とはなっているが,公式ページに登場したということは,Surface Proの日本市場投入は確定したと見ていい。
Surface Proについて香山氏に,「米国と同じく,1か月後に登場するのか?」と聞いてみたところ,「ご想像にお任せします」といい笑顔で返された。Surface Proに関しては,近いうちにアナウンスがあると思っていいだろう。
Surface RTはXbox SmartGlassや
プレイメモ記録に適する……かも?
「Halo 4」でのXbox SmartGlassデモ。このタブレット側にSurface RTを使うというのはアリだろう |
Windows RTはXbox SmartGlassに対応しているので,Surface RTとXbox 360を組み合わせれば,対応ゲームでマップを表示したり,テレビとSurface RTでの2人同時プレイといった使い方が可能だ(あくまで対応ゲームならの話だが)。
既存のスマートフォンやタブレットでも,Xbox SmartGlassは使えないわけではないが,動作に難があることも多い。そうした点に不満を感じていた人なら,Surface RTを検討してもいいだろう。
Windows 8と同じようにファイルを取り扱え,Windows PCとのネットワークでの連携も容易。さらに「Office 2013 RT」がプリインストールされている点を考えると,Windows PCのサブモニター的な運用にも適する。
例えば,オンラインゲームをウインドウモードでプレイしながら,Webブラウザで情報を確認したり,メモを取るといった使い方をしている人は少なくないだろう。しかし1つの画面でゲームとWebブラウザを同時に表示するのは,よほど高解像度のディスプレイを使っているのでもない限り,使い勝手はよくない。
そんなときにSurface RTがあると,例えばExcelのワークシートにNPCからのドロップアイテムのデータを書き込んだり,ゲームの情報サイトやSNSのチェックをしたりといった作業もはかどる。これならゲームを動かすPC側は全画面表示にしておけるし,よけいなアプリも動かさずに済むので,快適さも増すというわけだ。
トークセッションでは
「攻殻機動隊ARISE」とのコラボも発表
トークセッションの様子。左から黄瀬和哉氏,冲方 丁氏,江川達也氏,ホール氏 |
3氏ともSurface RTに対して,「仕事と私生活が混在する人とってはひどくマッチしたもの」という共通認識があるようだ。この認識は,イベントでホール氏が語っていた部分と共通している。
トークセッションでは,攻殻機動隊ARISEとSurface RTのコラボも発表された。劇中にSurfaceが登場するとのことだ。
「攻殻機動隊ARISE」とのコラボも発表。登場キャラクターが総じてSurfaceを所持している。キャラクターに応じてタッチカバーを使わせるといったことを考えているそうだ。例えば,トグサの手にはチラッとタッチカバーが見えている |
Windows環境への取り込みが容易な点を
どう評価するかがポイント
日本でのSurface RTの販売は,Microsoft公式Webサイト上でのオンライン販売のほか,ヨドバシカメラやビックカメラ,ヤマダ電機などの大手量販店で展開される。すでに各店舗では,タッチ&トライも行えるとのこと。
使えるアプリの制約があるとはいえ,Windows中心のPC環境に違和感なく取り込めるタブレットというのは,iPadやAndroidタブレットとは違った魅力でもある。その点を踏まえて,もし興味がある人は,実際に店頭で触ってみてから,導入を検討してみるのがいいだろう。
Surface RT 製品情報ページ
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