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新作MMORPGとしての「ラグナロクオンライン2」は,一体どういうゲームなのか。テストサーバーでの先行プレイの模様をレポート
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印刷2007/08/09 17:44

レビュー

新作MMORPGとしての「ラグナロクオンライン2」は,一体どういうゲームなのか。テストサーバーでの先行プレイの模様をレポート

ガンホー・オンライン・エンターテイメントが贈る,2007年後半におけるオンラインゲーム最大の注目作の一つ,「ラグナロクオンライン2」。クローズドβテストを目前にして,その実態に迫ってみた
 ガンホー・オンライン・エンターテイメントは,来たる8月16日から,MMORPG「ラグナロクオンライン2 -Episode:0 巡りあう大地-」(以下,RO2)のクローズドβテストを実施する。4Gamerではそれに先立ち,メディア向け先行体験サーバーで,CBT版とほぼ同等のバージョン(日本語ローカライズに関しては調整中とのことで,若干分かりにくい部分があったが)をプレイする機会を得たので,早速レポートしてみよう。
 ただし時間の都合上,実際にプレイしたのは,キャラクターレベル10程度を対象にしたクエスト/地域までであることを,最初にお断りしておく。また本稿は,「RO2は新作MMORPGとしてどういうゲームなのか」というスタンスで執筆しているため,前作に当たる「ラグナロクオンライン」との比較は行っていない。その点に関しても,あらかじめご了承を。



■世界観とキャラクター作成
ホードミメス地域とプロンテラ地域を結ぶ蒸気船。RO2の世界は剣と魔法,そして蒸気機関によって成り立っている
 RO2の世界観は,剣と魔法が存在する中世風ファンタジーと,蒸気機関が登場するスチームパンクで構成されている。冒険の舞台となるミッドガルド大陸には,ノーマン,エル,ディマーゴの3種族が暮らしていたが,ある事件によりノーマンの社会で戦争が勃発し,やがて各種族を巻き込んだ大戦へと発展していく。それから20年,各種族が戦争からの復興を目指しているという背景ストーリーのもとに,ゲームはスタートする。
 といっても,現時点でプレイヤーキャラクターとして実装されているのは,いわゆる人間タイプの種族であるノーマンのみ。次に実装されるのはどの種族になるのだろうか? 今後のアップデートが楽しみである。

 キャラクターメイキングでは,男女それぞれ14種類の髪型,5種類の眉,17種類の瞳が用意されており,髪と瞳に関しては32色の中から選択可能となっている。RO2のキャラクターは5頭身程度でデザインされており,頭部の比重が大きいため,選択する髪型によっては,非常に大きな存在感を持たせられるだろう。

 プレイヤーキャラクターと同じく,使用する武器にも命名できる点は面白い。RO2には武器を売買するという概念がなく,キャラクター同様,戦闘を通じて武器を成長させていくシステムが採用されているためだ。ゲーム開始当初はショートソードが支給され,「###ナイフ」「###の小刀」といった14種類のテンプレートからいずれかを選び,###に相当する部分に任意の文字を入力できる。

上段左/中央:ノーマンの男性キャラクター。オーソドックスなショートやロングに加えドレッドヘアなども用意されている。モヒカンやアフロといったネタ寄りの髪型が少なく,やや物足りなさを感じたが,今後増えていくのだろうか? 上段右/下段左:ノーマンの女性キャラクター。先行プレイではピンクや赤のゴージャス・ツインなど派手な髪型が人気を集めていた。クローズドβテスト以降,プレイヤーの人気を集める髪型はどれになるのだろうか。気になるところだ 下段中央:髪と瞳の色は32色の中から選択する。色数はさほど多くはないが,組み合わせによって,印象はガラッと変わる 下段右:武器の命名。テンプレートがあるため,残念ながら「聖剣エクスカリバー」や「つらぬき丸」といった著名な名前を,任意につけることはできないようだ


■職業や武器のレベル概念と転職
ステータスと装備のウィンドウを開いたところ。武器には能力値や耐久度のほかにレベルもあるのが見て取れる。装備可能箇所の多さにも注目してほしい
 プレイヤーおよび武器の成長概念にはレベル制が採用されており,「キャラクターレベル」のほか,「ジョブレベル」「ウェポンレベル」が存在する。
 キャラクターレベルでは,レベルアップごとに各パラメータにステータスポイントを振り分けていくシステムを採用。パラメータはSTR,DEX,CON,INT,LUCとなっているが,プレイヤーが任意にポイントを振り分けられるのはLUC以外の4種類となっている。

 ジョブレベルは職業に関するレベルだ。ゲーム開始当初はいずれのキャラクターもノービスに固定されており,そのジョブレベルが5を数えて初めて転職可能となる。各職業の特徴は以下の通りである。

●ノービス
RO2の基本職で,近接攻撃を主体とする。基本スキルは,ショートソード・マスタリーとマーシャルアーツ・マスタリー

●ソードマン
物理的な攻撃力と防御力をバランスよく兼ね備えた近接攻撃職。基本スキルはロングソード・マスタリー

●エンチャンター
属性攻撃魔法と治癒魔法,バフを得意とする,いわゆる魔法使い。基本スキルはソードスティック・マスタリー

●リクルート
蒸気の力を利用した「ダンプフリンテ」と呼ばれる銃を駆使し,近接/遠隔ともにこなす。基本スキルはダンプフリンテ・マスタリー

●シーフ
不意打ちや回避に長けた近接攻撃職。基本スキルはショートソード・マスタリー

●クラウン
治癒魔法や状態異常攻撃などを駆使する職業。基本スキルはショートソード・マスタリー

左:戦闘を重ねるごとにキャラクターレベルとジョブレベル,さらに使用している武器のウェポンレベルとマスタリーそれぞれに,経験値が加算されていく 中央:職業専用のスキルは条件を満たした後,スペシャリティスキルに登録することで,転職後も使用可能となる。上位スキルには適用されないのが残念 右:転職時には武器も作り変えられる。ウェポンレベルが引き継がれるだけでなく,武器の追加名も見合ったものに変更できる


 転職すると,当然のことながらジョブレベルは1に戻ってしまうが,キャラクターレベルはそのまま引き継がれ,ステータスは再振り分けが可能となる。また転職後に再びジョブレベルを5以上にすることで,何度でも転職は可能だ。
 加えて,ジョブレベルを一定以上にすると,その職業の専用スキルを「スペシャリティスキル」として登録できるようになり,転職後も引き続き使用可能となる。例えばソードマンがエンチャンターに転職する場合,スペシャリティスキルを活用すれば,ロングソードとそれに伴うスキルを駆使する,魔法剣士的なエンチャンターに転職できるというわけだ。ただし,職業間のバランスを保つため,各職業の上位スキルはスペシャリティスキルに設定できなくなっているようだ。

 一方「ウェポンレベル」は,戦闘で武器を使い込むごとに上がっていくもので,攻撃力などが強化されるほか,外見も変化していく。先述の通り,RO2には武器売買の概念がないので,転職の際には職業に合わせた武器に作り変えなければならないケースも生じるが,ウェポンレベルは引き継がれるため,ほとんど不便はない。
 また,最初に与えられる武器は一つだけなので,しばらくはそれを転職のたびに作り変えることになる。ゲームが進むと,クエスト報酬として新たな武器が入手できるため,より幅を持たせた戦闘スタイルが期待できそうだ。

左:鍛冶屋では,戦闘で減少した装備の耐久度を修理できる。またウェポンレベルの上昇や名前の変更を行うのも鍛冶屋だ 中央:プロンテラの街にいる鍛冶屋。ホードミメス村のジャルコもそうだが,この世界の鍛冶屋は少々自信過剰気味な男が多いようだ 右:プロンテラ騎士団にて。オージェを装着することにより,武器の外見を変更できるようだが,残念ながらウェポンレベルが足りなかった


■操作体系はW/A/S/Dタイプを主軸としてマウスにも対応
戦闘は,画面エフェクトも効果音も適度に派手で,プレイしていて気持ちが良い。操作もシンプルにまとめられているが,対人戦を見越したテクニカルな操作にも対応しているようだ
 操作体系は,キーボードのW/A/S/Dキーで移動,Spaceバーでジャンプという一般的なスタイルが採用されているが,マウスによる操作にも対応しており,MMORPGをプレイしたことのある人にとっては,馴染みやすいものとなっている。
 通常攻撃は,敵をターゲットしてからFキーもしくはマウス右クリックで繰り出す。スキルの使用は,ショートカットスロットに登録し,それに対応する数字キーを押して発動するというオーソドックスなスタイルだ。
 戦闘のテンポがよく,エフェクトや効果音も適度に派手で分かりやすく仕上がっているため,ストレスを感じることなく楽しめるはずだ。

 なお,こうした操作方法および後述するクエストの受領から完了までの一連の流れは,チュートリアルでスムースに学べる。
 いずれの要素も,昨今のMMORPGとしてオーソドックスなものを,要領よくまとめているという印象だが,移動している際,キャラクターがマップ上のオブジェクトに引っ掛かり,すぐに動きを止められてしまう点に若干のストレスを感じた。それは,とくに階段を上っている際に起こりやすく,これ以上進めないのか,それとも引っ掛かっているのかが分かりづらいため,そのつどジャンプして確認する作業が必要となった。些細な点ではあるが,これは早急な改善を望みたいところだ。
 ちなみにRO2では,最大5人のパーティが組めるが,残念ながら今回の先行プレイでは,テスターが少人数に限られていたこと,また筆者のログイン時間が悪かったこともあって,実際にパーティプレイを体験することはできなかった。

上段左:水中の戦闘では,呼吸ゲージの残量も重要となる。呼吸ゲージがなくなると即ダメージにつながるので,適度に「息継ぎ」をしたほうがいい 上段中央:筆者が最初に出会ったボスモンスター「ボスプクイ」。見た目に似合わず強力で,適正レベルではパーティでないと倒せないかもしれない 上段右:プロンテラの街は階段が多く,少し移動するとキャラクターが頻繁に引っ掛かってしまう。スムースな移動ができるよう,改善を望みたい 下段:チュートリアルでは移動や戦闘,オフィシャル・クエストの受領から完了までを学べる。続くホードミメスの村も,難度からいえば実質チュートリアルの続編といっていいだろう


■クエスト主体のMMORPGだがまだ未完成な部分も多い
オフィシャル・クエストの受領は,マップの随所に設置された掲示板を通じて行う。プレイヤーキャラクターのレベルが上がれば,それに応じた依頼内容が貼り出される
 RO2のクエストは,「オフィシャル・クエスト」と「プライベート・クエスト」の2系統に大別される。オフィシャル・クエストは,マップの随所に設置された掲示板にNPCからの依頼内容が貼り出される形式となっており,キャラクターレベルに応じて新しいものが追加されていく。
 一方のプライベート・クエストは,プレイヤーキャラクターが,レベルや特定クエストのクリアなどの条件を満たしている場合に,NPCから直接受領できるもの。いずれのクエストも,モンスターの討伐やアイテムの収集などがほとんどで,内容に大きな差はないが,プライベート・クエストは,NPCに関するエピソードがより深く楽しめる内容になっていた。
 ゲーム序盤においては,こうしたクエストを順次クリアしていくことで,レベルアップに必要な経験値が効率よく稼げるバランスになっている。

 なお,クエストはオフィシャル/プライベートともに,同系統のものを複数同時進行することはできない。新しいクエストを受けるためには,同系統のクエストを完了または放棄することになる。したがって,対象となるモンスターの棲息地域が近い,あるいは対象モンスター自体が同じクエストを複数同時に受け,まとめてクリアするというプレイスタイルは,基本的に不可能なのだ(オフィシャル/プライベートクエストの目的が似たようなものならば,ある程度は可能だが)。
 これだけを指摘するとどうということはないのだが,実際には,それだけNPCがいる街とフィールドを行き来する回数が増えるため,移動時間が長くなりストレスを受ける。
 この仕様に対しては,モンスターを倒してドロップアイテムを集めるだけ,とくに別の仕事が派生したりしない簡単なクエストについては,街/村まで戻らずとも前出の掲示板脇に設置された「カプラ回収箱」に報告するだけで完了可能という策が講じられている。しかし,全クエスト数から見ると,このシステムが利用できるケースは必ずしも多いとはいえないのだ。とはいえ,街とフィールドの往復により,ゲーム内世界の地理やモンスターの棲息場所といった知識が身につくので,序盤では必要なことかもしれない。

 さらに特定のクエストが完了したあと,連続してクエストが派生する場合があるが,この際にクエストを放棄すると,オフィシャル/プライベート問わず,後に掲示板を通じて派生後から引き継いでプレイできるようになっている。しかし,まずNPCから情報を収集し,それをヒントに調査に向かうというような流れのクエストでは,それをいったん放棄してしまうと,再び同じクエストを受けても二度と情報を提供してくれず,また以前収集した情報を参照することもできないという状況に陥る。
 いくつか検証してみたところ,このような事態が起きるのはごく一部のクエストに限られるようだが,これについては完了したクエストの履歴を参照できるシステムを実装するなど,今後の対応策に期待したい。

左:派生のない単純なクエストは,カプラ回収箱に報告すれば完了できる。しかし,装備の修理などで結局街や村に戻る場合も多く,移動時間の短縮への効果は薄い 右:クエスト完了ボタンを押さないと,経験値や報酬を受け取れない。また,完了前にうっかり同系統のクエストを受けてしまうと,それまでの行動が無駄になってしまうので注意


オークション,倉庫,チャットシステムなど,MMORPGの基本的な機能は実装済み。とくにチャットシステムのフィルター設定は細分化されているにもかかわらず,操作が分かりやすく,使いやすい
 そのほか,コミュニティに関する部分においては,63種類にも上るエモーションや細分化された豊富なフィルターを持つチャットシステムなどが用意されている一方で,フレンドリストやギルドシステムなどは,今回の先行プレイでは未実装だった。

 総じてRO2は,非常に大きな可能性を持っているMMORPGだといえるだろう。今回の先行プレイは調整中ということもあり,一つのMMORPGとしては未完成な部分も見られるが,まさにクローズドβテスト以降,テスターの意見を反映させながら,時間をかけて完成させていく作品だという印象を受けた。
 筆者としては,長年サービスが続けられてきたラグナロクオンラインの完成度を期待するコアユーザーから,厳しい意見が挙がりそうだという予想を立てている半面,運営も開発もそうした忌憚のない意見を真摯に受け止め,多くの人が納得できる形になってから正式サービスを開始するだろうと考えている。

上段:マップ上の椅子に座ることができたり,63種類にも及ぶエモーションを実装していたりと,プレイヤー間のコミュニケーションに重点を置いている印象がある。その一方でフレンドリストやギルドシステムが未実装だったので,今後のアップデートに期待したい 下段:序盤の舞台となるホードミメス村のNPC達。プライベート・クエストをこなしていく中で,それぞれの思想や人間関係がはっきりしていく過程は,コンシューマ機のRPGに近いかもしれない


 2007年最大の注目作といえるRO2だが,それを運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントの入れ込みようは,言うまでもなく相当なものだ。その熱意が,ファン達の多大な期待とうまく調和すれば,RO2の成功は約束されたようなものだろう。(ライター:大陸新秩序)

※本稿は開発中のクライアントを元に執筆しているため,ゲーム内の仕様や各種名称は,変更される可能性があります

プロンテラの街にいるNPC達。王宮が近いせいか,ホードミメス村のNPCよりもきちんとした服装をしている気がする。彼らの背景も,プライベート・クエストを中心に語られていくのだろう




  • 関連タイトル:

    RAGNAROK Online 2: Legend of the Second

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