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数日間,みっちり「三國志 Online」に励んでみました――波乱に富んだ本作の現状や,いかに
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印刷2008/02/14 18:38

プレイレポート

数日間,みっちり「三國志 Online」に励んでみました――波乱に富んだ本作の現状や,いかに

この画面を撮影したのは,リアル時間の深夜3:30。人はいまだ多く,ウィンドウショッピングでウロウロする人が跡を絶たない。大半は放置露天だとは思うが,人の姿が見えないゲームよりはこのほうが好きだ。オークションシステムが導入されちゃうと,この人混みもなくなるわけで,それはそれでちょっと寂しいなぁ,と思う
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 製品版稼働を見越したプレオープンサービス(以下PO1)の最後に突然の正式サービス開始延期発表がなされ,楽しみにしていたプレイヤーが4か月間お預けを食らった「三國志 Online」(SOL)。延期から4か月が経った2月7日に,待望の「第二次プレオープンサービス」(以下PO2)が始まった。すでに軽く紹介記事を掲載したが,さきの連休にみっちりプレイしてみた限りの,ちょっと深めのインプレッションを,ここで述べておこう。
 すでにPO1を経験している人を対象に書いた記事ではあるが,今回新たに興味を持った人のため,意図的に多くの用語を2パターンで表記しておく。SOLは,その舞台背景からか特殊な用語――というより一般的用語が漢字に置き換わっているだけだが――も多く,SOL用語だけで記事を書いてしまうと,一般的な中世ファンタジーのMMORPGに慣れた人には,何が何やらさっぱり理解できない。分かっている人にはやや読みづらくなってしまうが,なにとぞご容赦を。興味を持った人は,公式サイトのコンテンツの初心者ガイドで雰囲気を掴むのもよいだろう。

 さてプレイしている人なら先刻承知だが,SOLには“クラス”の概念がなく,好きな戦闘スキル(SOLでは技能と呼ぶ)を好きなように上げられる。しかもある程度の自由度を持ってスキルを組み合わせることもできるので,キャラクターが採れる選択肢が非常に多い。
 筆者のキャラクターは黄河サーバーで蜀に士官しているが,戦闘技能は,事実上「練丹」(ヒーラー)と「妖術」(ウィザード)「戦術」(Debuffer)しか上げていない。その状況でのインプレッションとなるので,「防御」「攻撃」「投射」などのMelee職に関しては,一切分からない。現時点では部曲(ギルド)にも属していないし,合戦(RvR)にもまだ出たことがない。ないない尽くしで申し訳ないが,キャラクター単体の成長と生産という部分だけにフォーカスしたインプレッションだと思って読んでいただければ幸いだ。

初心者クエスト群に,地味ながらも大きな変更


 PO1を経験し,すでに育ったキャラクターはいたが,まずやったことは「水鏡村」(初期村)への帰還だ。先の紹介記事でも触れてあるが,プロデューサーである上野氏が言うところ「三国志らしい雰囲気」は,やはり一度は見ておかねばなるまい。

 事実上のオープンβテストなので異様に混んでいる初期村近辺を一通り“再体験”してみたのだが,なるほど,三国志色はずいぶんと濃くなっている。単にPO1のときの初心者クエストの関連NPCが三国志の各種有名人物になっただけ……かと思ったら,地名やバックストーリーにも手が入れられており,それだけでもかなり雰囲気は違う。
 すでにPO1で初期村を終えてしまっている人はともかく,新しくこのゲームを始める人で三国志がある程度好きであれば,ニヤニヤしながらプレイできることだろう。諸葛亮,徐庶,ホウ徳,盧植,馬謖などを筆頭に,有名武将の名前のオンパレードだ。地味な改善点ではあるが,世界観の提示という意味合いでの効果はかなり高い。

(真ん中)事実上のOBTとはいえ,インスタンスゾーン制を全般に採用している本作で,この混みようは割とすごい。コーエーというブランドと,三国志というテーマの相乗効果だろうか(右)低いレベルでも体験できるようになった軍略。せっかく面白いシステムを持っているのだから,マッチングロビーのような,もっと誰でも参加しやすいような仕掛けがあるとなお良いのだが
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スキル連打戦闘から脱却しつつあるモンスター戦は好感触


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練丹のダメージソース「体力吸収」。短時間のDoTなのだが,このグラフィックスといい効果音といい,さながら皇帝パルパティーン
 仕事であることを忘れて真面目に(?)レベリングもしたので,通常戦闘についても触れておこう。

 前述のようにピュアキャスターのコンボクラスをメインにやっているので,Melee系の人が抱く感想とは違うかもしれないが,個人的には,確かに(PvEの)戦闘は面白くなったように感じる。Mobの攻撃力はやや上がったように思えるし,倒したときにもらえるお金も増えた気がする。戦闘そのもののやりがいと価値は,増えたといってもよい。しかし以前から,弓を持ったMobってあんなに痛かったっけ?
 戦闘における何より大きな変更点は,やはり「クリティカル」だ。敵の技能準備中(スキル/スペルの詠唱中)に攻撃を当てると“Critical”扱いで大ダメージが与えられるというものだが,このシステムのミソは,Mobがプレイヤーに対しても同じことをやれる(やってくる)ということだ。プレスツアーのときに説明をうけて体験したときには「うーん,イマイチ?」と感じたことをここで正直に告白しておくが,実際に自分の使い慣れたキャラクターでプレイしてみたら,印象はだいぶ違った。「戦闘がスピーディに」と聞いていたのでやや疑問ではあったのだが,「スピーディに戦える」わけではなく,「戦闘のスピード感が増した」という表現であれば,なるほど,納得だ。スキルディレイはもうちょっと短くてもよいかな? という気はするが。
 ダメージソースが決定的に乏しい練丹はソロ向きではないが,他職ではソロの人もよく見かける。徹底して“仲間”がいないと何もできないわけでもないようで,そのあたりも,気軽にできる要素として嬉しい。

 それにしても,PO1のときには片手でお菓子食べながらできたような戦闘も,ちょっと気を抜くとあれよあれよという間にHPが減っていく――というより,一瞬でHPが減る。敵に密接されるとこちらの技能を出すタイミングも難しく,かといって躊躇していると戦闘は長引く。なかなか目が離せない展開になりがちだ。格下のMobであれば余裕もあるが,対等またはそれ以上のクラスのMobと戦っているときには,ヒーラー的には油断も隙もありゃしない。
 その適度な緊張と,前述のお金の入りを考慮すると,通常戦闘に関してはそれなりに改善されているというのが個人的見解だ。

(右)諸葛八卦村……とは関係ないと思うが,八卦とついていた地名があったので行ってみた。Lv44怨霊がてんこ盛りで,PO2の期間中にはお目通りが許されそうにない
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 しかし横から見ているだけの感想ではあるが,Melee系の差別化はちょっと弱い気がする。「防御」(タンク)「攻撃」(アタッカー)「戦術」(Debuffer)「投射」(アーチャー)というタイプ分けはされているものの,とりわけ前3種については,極めて明確なタイプの差別化がなされているようには,あまり思えない(実際はどうなんでしょう?)。
 むろん,技能は全然違うものを持っているのだが,戦闘方法は,結局のところ“強い技能連打”で終始してしまっているように見える。自動技能(パッシブスキル)は差別されているので,違う技能を習得することそのものは大きなメリットになるが,もうちょっと戦い方を変えることを強いられると,もっと面白くなると思う。
 筆者はMelee系も2種ほど上げつつあるのだが,体感だけで言うことを許されるなら,本作のMelee系は,(PvEに限って言えば)キャスター系より圧倒的に強い。筆者自身のキャラクターも,同じくらいの技能レベルをキープするように「妖術」と「戦術」を同時に上げているのだが,同じ敵と戦っていても,戦術を上げるほうが遙かに容易で速い。なんとなくソロで遊んで,いずれ部曲とか入って活躍したいなぁ,と思っている人は,Melee系の技能を最初に選ぶのがよいだろう。

現状は,Lv20を超えてからが本番戦


夜だったのでちょっと暗いけど,関羽。やはり人気は高いのか,関羽所属の部曲は,見かけることが多い
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 PO2だから,という理由であろうことは想像に難くないが,現状でLv20以上のクエストが皆無に近い部分は,ちょっとだけ控えめに苦言を呈しておきたい。Lv20までは割ととんとん拍子にクエストでレベルが上がり,お金もアイテムも結構もらえたので進めやすかったのだが,拠点を長安に移してからはそれがパタリとなくなった。「まだできてないのかなー」とか「製品版稼働まで隠されてるのかなー」とか色々考えてはみるものの,その豹変ぶりにちょっと面食らったことは否めない。クエストが割と好きなので,3時間くらいウロウロと探し回っていたことはナイショだ。

 通常のMob戦闘でドロップするお金は増えたので,もしかして行動の主軸をそっちにシフトしなさい,ということなのかもしれないが,それはそれでちょっと厳しいものがある。目先の変わったことでキャラを育てよう,と思ったらいまのところたぶん「軍略」(パーティミッション/プチRAID)しかないわけで,みんながみんなこれをやりたいわけではないだろう。しかも,軍略はまだそこまで多くのパターンが提示されているわけではないので,やや単調になりがちだ。確かに集団に属することで面白さが倍増する作品ではあるが,それをシステムで強制されるのはちょっと好ましくない。
 というより,蜀の民であるがゆえ益州をウロウロしているのだが,Mobの数も少ないような……。生産職の「採集」に対する気遣いかとは思うのだが,これだけMobが少ないと,よさそうな敵を探して倒して稼ぐのも一苦労である。前述のように戦闘が割と面白くなったので耐えられないようなものではないが,もうちょっと選択肢を増やしてもらえると,いま以上に面白くなるのではないかと期待してしまう。

 ところでまったくの余談なのだが,共有倉庫を作って複数キャラクターでのプレイを公に認めているのだから,ぜひメニューに「キャラクターチェンジ」という項目を作ってほしいと思うのは筆者だけだろうか。キャラチェンジしようとすると一度ログアウトするしか手がなく,地味に面倒かもしれない。大した手間ではないのだが。

クエスト探しでウロウロしたのだが,結果的に世界各地の風景を見て回ることになり,思わぬNPCに出会えることもあったりして,割と楽しい。成都のパンダは,いつ足を運んでも観光客がいる。撮影してるんだろうなぁ,と思うと前を横切るのも躊躇する
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生産について,少し長めに語ってみる


3キャラクターで,布,木材,医食と上げているが,とりたててどれかが上げづらいということは感じない。敢えていうなら,材料を多種多様に使う医食が一番大変,か
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 MMORPGの楽しさの一要素である「生産」にも,ダイナミックな変更が及ぼされた。かつては,一箇所で採集(=素材集め)をすると3種類4種類,竹簡(スキルが書いてある竹の札)まで含めると5種類くらいの素材が一斉に採れて,インベントリを異様に圧迫したものだが,それが「一箇所の採集ポイントにつき2種」(竹簡を入れても3種)に変更された。すべての採集ポイントを回ったわけではないので断言はできないが,ほぼそう考えて問題はないだろう。
 4種5種採れたところで,自分に必要なものはそのうち2,3種程度しかなく,半分くらいのものが邪魔だったのは事実だが,それによって,売買や交換など他のプレイヤーとの交流が促進されていたことも,見逃せない。PO2ではピンポイントで2種を狙って採集できるので,“不要素材”が以前ほど発生しないようになっているわけだ。生産技能1種に絞って見るならば,得てして2種のうち片方は「不要素材」になりがちなので,採集の効率だけを考えてデザイニングされているわけではないのは見てとれるし,そこはある意味安心ではあるのだが。

 採れる素材が減ったのなら,以前よりプレイしやすくなったんじゃないかと言われればまったくそのとおりなのだが,なんだかちょっとだけ寂しい。
 例えば,布地加工(いわゆるテイラー)の人は麻が必要で,医食調合(いわゆるアルケミスト)の人は蜂蜜が必要なのだが,その二つの素材が同じ場所で(しかも大量に)採れたのが,PO1の状況だ。採集しながら「誰か麻と蜂蜜交換してー」とかいうSayが流れていたあの状況は,それはそれで楽しいものだった。互いに不要なものが採れて,そしてそれがお互いに必要なものであるという関係は,採集現場ばかりか街にも交換シャウトが連呼されていたし,想像以上にコミュニケーションの促進になっていたように思う。

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 また,過去のインタビューなどで「生産者でも国に貢献できる」ようにという意志表明がなされているが,それを体現したものが「納入」である。三国のどこかに所属することで,特定のアイテムを納入して国力の増加に貢献できるようにするシステムで,それ自体は非常に興味深く面白いシステムだと思う。PO2の時点で,すでに三国の納入度合いに差が付いているのが見てとれて,なんだか呉と蜀の行く末が心配になってしまったりもするわけだが。頑張って竹簡を収めねば。
 納入できるものは4種あるのだが,「装備品」が納入できるところに注目だ。生産レベル上げの過程などで作ったアイテムを納入することで,生産者でも国力増加に貢献できる。なるほど,これは素晴らしいシステムだ。生産をメインに活動することでも十分にゲーム内世界に参加できるようになっているわけで,それはすなわち,極論かもしれないが生産だけでもゲームが面白いようにという方向性であると見てとれる(しかし食料と医薬品が納入できないことにはいささか疑問を感じる)。
 現実的に,まともな生産システムをゲーム内に持っていて,その生産「だけ」でプレイを続けられるMMORPGは,筆者の知る限り後にも先にもウルティマ オンラインしか存在せず(不勉強だったらごめんなさい),その部分においては,たぶん特定の――でも決して極々少数というわけではない――人々の期待がかかっていることは想像に難くない。

街中の立て札で見られる,3勢力の様子。2月12日夕方の時点だ。グラフの伸びは,(おそらく)イコール納入した数だと思うのだが,魏の気合いの入りようがすごい。呉と蜀のみんなも頑張ろう。しかしこれ,「強い軍がどんどん強くなる」システムなので,リセットされなかったらかなり厳しそうだ(されることは明言されている)
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 がしかし,今回のPO2では,生産システムそのものは,事実上下方修正されたといってもよい。
 採集は相変わらず分離されたシステムで,極論戦闘レベルが1でもなんら問題はない。それはこのゲームの良い部分でもあるのだが,前述の採集システム変更により素材の流通量がやや減ったこと,そして生産品のNPC売りの値段が「異様に」安値になったことの2点をもって,生産プレイヤーが泣く泣く戦闘レベルを上げる理由になっている。生産だけでお金を稼ぐことが難しいので,レシピや自分で採れない必要素材さえ買えないという状況なのだ。さらに,ちょっと生産レベルが上がると,完成品を作るために「必ず」店売りのアイテム(しかもそう安いものではない)が必要になるので,とにかくお金がないことには何も進められない。
 前述のように,戦闘で入手できるお金の量も全体的に増加傾向にあるように思われるので,そもそもそういう方向にバランスの針を振れさせたのかもしれない。

 生産というちょっとかったるい作業を好まない人が大勢いるのは理解しているし,そういう人にしてみれば「戦闘すればいいじゃない」ということになる。それはまったくそのとおりだし,
  • 素材や中間素材のNPC買い取り価格が,大幅に下落した
  • 1箇所で採れる素材の種類が大きく減少して,素材が流通しづらくなった
  • 武器や防具がそうそう簡単に壊れるものではないので,完成品の流通にはすぐ限界点が来る
  • 一方,戦闘によりお金の実入りは増えた
  • というあたりからみても,開発チームの意図が「お金は戦闘で稼いでくださいね」という方向に向いていることは見てとれる。
キャラクターを売りモードにするときに,検索コメントを入れておくと検索しやすくなる。ゴールデンタイムの長安は,なんだかもうよく分からない混みようなので,売り子のみなさんは,ぜひコメントを入れていただけるとみんなハッピーになれる気がする
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 しかし前述のように「共有倉庫」なるものがある時点で,この三國志 Onlineは,複数キャラクターでのアイテムやお金のやり取りを公式に認めている。戦闘関係のスキルは,極論すれば1キャラクターが全種極められる――そしてそのほうがプレイの幅も広がる――システムであり,かつ所属国がアカウント内の全キャラクターに“縛り”として入るルールである以上,共有倉庫でやり取りするものは,事実上「生産関係」のアイテムに限られる。裏を返せば,生産活動を行わない限り,複数キャラクターで遊ぶメリットは皆無であるといってもよい。しかもいわゆる普通のMMORPGとは違い,Mobドロップのアイテムは皆無に近い。生産者が作るアイテムこそが,強いアイテムなのだ。
 そこまで「生産」に気を遣って(?)おり,しかもそれだけでかなり楽しめるコンテンツとして作られているのだから,もう一押し何か欲しい気もする。今のままでは,よく言われることだが「趣味の生産」に過ぎないものになってしまう。

 ……とまぁここまでご託を並べておいてナニだが,なんだかんだ言いつつ三國志 Onlineの生産活動は,そこらのゲームよりは楽しいものだと個人的には思っている。何より「実際に自分で役に立つもの」が作れることがたまらなく楽しいし,どんどん積まれていく素材を眺めるのも楽しい(それを一気に使うのはもっと楽しい)。聞いたこともない素材がいくつも必要なレシピを見ると,「お,次は何が必要なんだろう」と,それだけで楽しい気分になれる。文字どおりワンクリックの作業でしかない採集については,なんらかの手を入れる必要性は感じているが。
 “本当に生産が大変なゲーム”に比べればレベル上げが大変なわけではないし,「ホントにどーでもいいもの」ばかりが作れる生産システムが多い世のMMORPGの中においては,明らかにやりがいがあると言っても過言ではない。もう少し言うならば,コーエーのMMORPGは生産要素が面白いが,本作にもその遺伝子はちゃんと生きている。等級(ランク,といえばよいだろうか)が非常に高いアイテムには,ごく稀に特殊効果などついたりすると,完成品そのものを作る楽しさとモチベーションが,いま以上に増えることだろう。

実は装備品のグラフィックスパターンはそこまで多くないのだが,染色の要素や武器の見かけの違いなどもあり,思ったよりはにぎやかな雰囲気だ。ちょっと装備を覗かせてもらうと,結構な割合で,みなさん自分のアイテムを自分で作っていることが多い
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 PO1を知っている者から見れば「えええ?」という変更点もあるが,概ねにおいて満足している。そもそもゲームというものは,少しくらい不自由がないとちっとも面白くない。望む素材がバンバン採れて,レベル上げも超簡単で,それで超強いアイテムとかがガンガン作れて,挙げ句NPCに高値で売れてウハウハなんていう日には,いったい誰がそんなものを面白いと思うのだろうか。それはもはやゲームですらない。exploit的にそういうことが起こることはあるかもしれないが,少なくとも仕様として導入されるべきものではない。

将来構想をも踏まえれば,期待度は相当高し


2月9日に開催された合戦直前の,蜀軍の兵士達。時間の都合で参加できなかったので,次こそは……
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 ……ここまで書いて読み直してみたら,なんだか苦言ばかりが目立つ原稿になってしまった。誤解しないでいただきたいのだが,筆者は本作をとても面白いと思っている。国産メーカーの雄コーエーらしい丁寧な作りと,軽くてキレイなグラフィックス,自由度の高いキャラクター成長システムなど,プライベートで遊んでいても普通に面白い。筆者は時間の都合で合戦にはいまだ参戦できていないが,参加した人達からの感想を聞くと「すげえ面白い」「やはり合戦あっての三國志Online」とのことで,練丹で参加すること自体が微妙な気もしつつ(ヒールの射程が少し短くありませんかね?),ぜひとも出てみたいと思っている。
 幾度ものテストを繰り返していることもあってか,接続障害こそ1回あったものの,とにかくサーバーが落ちないことも,高く評価したいポイントだ。数年前に比べれば驚くべき進歩を遂げているオンラインゲーム業界ではあるが,「実際に落ちない」ことは,地味ながらも高ポイントだ。事実上製品稼働が目の前だというのに,開発チームがキッチリ稼働していて,こまめに不具合修正パッチがあたることも,とても心強い。目の前なのにまだ修正されるのか!という突っ込みはナシでお願いしたい。

 ゲームはそもそもからして嗜好品であるので,好き嫌い,合う合わないがあるのは当たり前である。それでも客観的に見るならば,本作の現状と将来のポテンシャルには相当期待できると素直に思う。PO2では足りない要素や調整不足な部分も目立つが,長い目で見てこのまま進化していくのであれば,国産RvRのゲームとして確固たる位置を確保できるだろう。「キャラ育成」「クエスト」「生産」「RvR」など,現状でも一通りの要素をそれなりに高い次元で備えた秀作であるがゆえ,ちょっと欠けている部分があると目についてしまうことを,ご容赦いただきたい。
 Lv20以降のLv上げ「だけ」を見ればやや単調な作業が目立つことも事実だが,別にそれは問題ない。Lvを上げてキャップにいったらハイおしまい,という作品ではないのだ。プロデューサーである上野氏自らが「さっさとレベルを20とか30まで上げていただいて,メインコンテンツに触れていただく」「時間があまり大量にとれないサラリーマンの方でもストレスなく遊べるようにしたいと考えている」と明言するように,時間のない人でもゆっくり末永く遊べる,そういうコンセプトで作られているのだ。
 気合いを入れてLvを上げよう,と思わなければ,それなりにやることがたくさんある。LvMax(現状はLv30)であれば技能の種類も増え,合戦や軍略で役に立てることは事実だが,だからといって「30未満お断り」というゲームでもない。Lv20を超えると成長曲線が途端に鈍くなるような気がするので,Lv上げに疲れた人は,軍略なり生産なり,違うことにも手をつけてみよう。

合戦の1シーン。軍略然り合戦然り,「みなでプレイする」ことが売りのゲームなのだから,前述のように,それらに参加するまでのUIはもっと容易にするべきだと思う。いまのままでは,ちょっと面倒で入っていきづらい
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 オンラインゲームは,アップデートでその姿を変えていけることが,一つのメリットだ。採集時のアイテム獲得率変更もそうだし,合戦管理官というNPCが長安に配置されたこともそうだが,SOLのチームがプレイヤーの意見にちゃんと耳を傾けているであろうことは,おそらく間違いのないところだろうし,今後ともぜひその姿勢は崩さないでほしいと思う。
 が,しかし。それは諸刃の剣でもあるわけで,声の大きいユーザーの意見を真摯に受け止めすぎて右往左往している作品は,歴史の中にいくつもある。どうか本作の運営チームは,ユーザーに媚びすぎることなく,自分達が良いと思った策を信念を持って講じて,バランス調整とアップデートに励んでほしいと思う。
 昨今のオンラインゲーム業界は全般的に,「ユーザーの意見」というものを,何かの印籠か,はたまた一種の逃げ口上のように使っている節が見受けられる。“作品”とは,ユーザーが作るものではなく,メーカーが作るものであるということを,どうか忘れないでほしい。

 本作の最大の特徴は何かと問われれば,己の義を乱世に示す「合戦」であることは疑いのないところだろう。RvR以外の要素も相当に楽しめる本作は,あまた存在する「PvP/RvR」が売りの作品群と一線を画したポジションが取れるのだろうか。
 グルグルとゲーム内世界を歩き回ってみた人なら先刻承知だと思うが,ほかのMMORPGに搭載されている「メール宅配システム」や「オークションシステム」も,どう見ても稼働寸前という感じで場所が用意されているし,そもそも肝心要の“三国制覇”は,その片鱗さえ見えていない。昨今のオンラインゲーム事情を考えると,PO2(というよりOBT)の時点で主たる要素の多くが見えていないことはマイナス面に働くような気がしてそこが心配ではあるが,この調子でフィーチャーが追加されていくのであれば,まだまだ楽しんでいけるだろう。
 4か月間のブランクを埋める新フィーチャーの数々が,山ほどあるであろうこの作品の,1年後の姿が楽しみでならない。
  • 関連タイトル:

    三國志 Online

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