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[GDC06#9]日本メーカー攻略にかじを切る「Unreal Engine 3」
顔全体の感情表現のためには,まずリップシンクを行って,それから眉やほほの動きを微調整する。Epic GamesのMark Rein(マーク・レイン)氏によれば,リップシンクにかかっていた膨大な時間が短縮されるため,いままでは数週間かかっていたこの感情表現が,UE3を利用すれば数時間で完了するという。同氏いわく,どんな言語でも問題なくリアルタイムリップシンクできるとのことなので,マルチランゲージ版などの制作に,大いに活用できそうである。
例えばキャラクターが倒れる効果。これまでは,キャラクターが強い衝撃を受けて死ぬようなとき,足が妙な方向に飛び出したり,エビ反りになってしまったりと,現実的にはあり得ないポーズになってしまうことがあり,そしてそれはあまり追求されてこなかった。
しかし,UE3で描かれるキャラクターだと,常に「どの方向から衝撃が加わるのか」を感知しているので,倒れ方がより自然になる。
顔から倒れたキャラクターは腕を使って立ち上がり,仰向けで倒れると足をいったん上に上げ,勢いよく下ろすことで生じる遠心力を使って飛び起きる。Rein氏は,こんなデモを行って,UE3の持つ“再現性”の高さを来場者に見せていた。
まだPS3用の開発キットを受け取ったばかりとのことで,地形データもテクスチャも「Unreal Tournament 2004」のものが使われているなど,デモはPS3の底力を感じさせるものではない。とはいえ,バギーに向かって銃を撃つと車体の部位ごとに破壊されていくなどといったあたりが,細かく描写されており,可能性を感じることはできた。
このほか,Epic GamesがPCとXbox 360用に開発しているアクションゲーム「Gears of War」だが,今回同社は,GDC06で初公開となるマップを用いたデモを披露していた。
Gears of Warは,数人の仲間を率いて凶暴なエイリアン生物の侵略に立ち向かっていくという第三人称視点シューティングゲームである。まだ詳細については明らかになっていないが,ホラー要素が豊富に含まれているようだ。
今回のデモは,重装甲のバギーが土砂降りのジャングルを走り抜けてくるところから始まる。プレイヤーキャラクターとその仲間らしきキャラクターはバギーから降り,廃墟化した場所を進んでいく。水浸しの地面が雷光によって照らし出されるところや,デコボコした廃墟の起伏の表現は非常に優秀。煉瓦質の壁に雨が伝わって流れていく,2005年のGDCで公開されていた「流動効果」も利用されていた。
最後に,Rein氏が「日本は,我々が今後一番力を入れるべきマーケットだと思っています。なんといっても『ゲームの国』ですからね」と,自信に満ちた顔で話していたことを記しておこう。Epic Gamesでは現在,UE3のマニュアルを日本語化する作業を進めているとのことだが,Unreal Engineのロゴマーク「Circle-U」は国内メーカーをどれだけ取り込めるだろうか。注目して見守りたい。(奥谷海人)
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