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RTX 4080への対応や新機能を追加した「GeForce 526.98 Driver」リリース
同時に,新作タイトルへの対応や,NVIDIA独自の超解像技術「DLSS 3」に関連した新機能の対応など,多数の新要素が盛り込まれている。そのため,既存のGeForceユーザーにとっても意味のあるリリースだ。
GeForce 526.98 Driverで対応した新作タイトルは,PC版が発売となった「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」と,11月17日リリースの「Warhammer 40,000: Darktide」の2タイトルである。
NVIDIAによると,Marvel’s Spider-Man: Miles Moralesは,GeForce RTX 40シリーズのユーザーなら,DLSSの最新バージョンであるDLSS 3が利用できるので,4K解像度においてレイトレーシング技術などリッチなグラフィックス設定を維持したまま,2倍以上のフレームレートを実現できるとアピールしている。
さらに本作は,遅延低減技術「NVIDIA Reflex」にも対応しているそうだ。
また,Warhammer 40,000: Darktideも,DLSS 3とNVIDIA Reflexに対応するという。
さらに,11月28日にリリース予定の「World of Warcraft」拡張パック「World of Warcraft: Dragonflight」への対応も行ったそうだ。とくに独自技術や性能の向上は謳っていないので,NVIDIAが動作を確認しているという理解でいいだろう。
これら新作のほかにも,「モンスターハンターライズ: サンブレイク」で11月中に予定しているアップデートでNVIDIA独自のアンチエイリアシング技術「DLAA」のサポートが,11月16日予定の「WRC Generations」におけるDLSS 3へのサポートなども行われているそうだ。
ゲームへの対応だけでなく,GeForce 526.98 Driverでは,3種類のゲーム技術への対応も行われている。ひとつは,Microsoftが2022年10月にアナウンスした「DirectStorage 1.1」だ。
DirectStorageはGPUからNVM Expressストレージへの直接アクセスを行うことで性能向上を図る技術で,DirectX 12 Ultimateで組み込まれた。その最新版となるDirectStorage 1.1では,DirectStorageによってGPUに転送するアセットの展開を,GPU側で行えるようになる。CPUで圧縮データを展開する必要がなくなるため,実質的な伝送帯域幅が向上する効果が得られるという。
Microsoftによると,DirectStorage 1.1によってロード時間を最大40%削減できるとのこと。NVIDIAは,GeForce 526.98 Driverにおいて,このDirectStorage 1.1にいち早く対応したというわけだ。
なお同時にGeForce 526.98 Driverは,VulkanにおけるDirectStorage相当の拡張である「RTX IO Vulkan Extension」を用いたアセットの圧縮展開にも対応するとのこと。ゲーム側の対応はこれからというところだが,その効果には期待できそうだ。
2つめは2022年1月に発表された「HDR10+ GAMING Standard」仕様への対応だ。
HDR10+ GAMING Standard仕様は,普及しつつあるHDR10+対応テレビやディスプレイとゲーム側のシームレスな統合を実現する標準規格だ。ゲーム側でディスプレイの輝度や色情報を得ることができるようになるため,クリエイターの意図するとおりの映像を,ディスプレイに表示できるという。GeForceシリーズでは,GeForce 526.98 DriverでNVIDIA独自のグラフィックスAPIである「NVAPI」を通じて,HDR10+ GAMING Standardを利用できるという。
3つめは,DLSS 3におけるG-SYNCへの対応だ。DLSS 3では,AIによるフレーム生成を使ったフレーム補間に対応した(関連記事)。DLSS 3のフレーム補間をG-SYNCによるGPU同期に応用すると,テアリングのない映像が楽しめることになるが,原理的に遅延が大きくなってしまう。そこで,GeForce RTX 40シリーズではフレームレートをG-SYNC対応ディスプレイの最大リフレッシュレートよりやや抑えながら,NVIDIA Reflexの技術を応用して内部遅延を低減しつつ,フレーム補間をG-SYNCに対応させることで低遅延とテアリングフリーを両立させたようだ。
この機能を利用するには,NVIDIAコントロールパネルでG-SYNCを有効にするとともに,NVIDIAコントロールパネルの「3D設定」でV-SYNCをオンにする必要があるとのこと。この設定でゲーム側の設定でDLSS 3のフレーム生成をオンにすれば,低遅延かつテアリングフリーの映像が楽しめるとのこと。GeForce RTX 40シリーズ限定の技術ではあるが,ユーザーは試してみるといいのではないだろうか。
以上のゲーム関連以外に,GeForce 526.98 Driverでは,これまでLinuxでしか利用できなかったデータ分析やAI向けライブラリ「NVIDIA RAPIDS」や,AI学習向けのコンテンツ「Learning Deep Learning」が,Windows 11で動作する「Windows Subsystem for Linux」(WSL)で利用できるようになったとのこと。
Windows 11からサポートされている「WSL2」は,Microsoftの仮想化技術「Hyper-V」ベースのLinux環境である。WSL上でCUDAをサポートする「CUDA on WSL」を通じて,NVIDIA RAPIDSなどを利用できるようになったようだ。NVIDIAのブログに,解説とセットアップ方法へのリンクがあるので,興味がある人は見てみるといいだろう。
ドライバのアップデートが自己責任となる点は理解してもらったうえで,すぐにでも入手したい人は,以下に示したリンクかGeForce Experienceを利用してほしい。
→Windows 11・64bit版Windows 10用GeForce 526.98 Driver(813.42MB)
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/194385/jp
→ノートPC向けのWindows 11・64bit版Windows 10用GeForce 526.98 Driver(813.42MB)
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/194403/jp
●GeForce 526.98 Driverの対応製品
- デスクトップPC向けGeForce RTX 40シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- NVIDIA TITAN RTX
- NVIDIA TITAN V
- NVIDIA TITAN Xp
- NVIDIA TITAN Xシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX TITAN X
- デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜700シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 500シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 400シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 300シリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ
●GeForce 526.98 Driverが統合するソフト(※比較対象はGeForce 526.86 Driver)
- GeForce Experience:3.26.0.154
- HD Audio Driver:1.3.39.16
- PhysX System Software:9.21.0713
- Vulkan RT:記載なし
- NVIDIA RTX Desktop Manager:記載なし
- CUDA:12.0
- NVIDIA Control Panel(DCH):8.1.963.0(←8.1.962.0)
●GeForce 526.98 Driverにおけるゲームへの最適化
- 記載なし
●GeForce 526.98 Driverの新要素
- 「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」「Warhammer 40,000: Darktide」に対応
- 「モンスターハンターライズ: サンブレイク」「WRC Generations」のアップデートに対応
- DirectStorage 1.1およびRTX IO Vulkan Extensionのデータ圧縮・展開に対応
- HDR10+ GAMING Standard仕様に対応
- DLSS 3のフレーム生成がG-SYNCに対応
- G-SYNC Compatible Monitorsに12機種を追加(関連リンク)
- GeForce Experienceの最適化に7タイトルを追加
- Windows 11上でNVIDIA RAPIDS等のAPIをサポート
●GeForce 526.98 Driverで解決した問題
- LG製有機ELテレビをGeForce RTX 40シリーズに接続すると,テレビ側のOSDメニューにG-SYNCのロゴが表示されないことのあった問題
- GeForce GTX 10シリーズで「アンチャーテッド トレジャーハンターコレクション」が起動時にクラッシュすることのあった問題
- 以下のディスプレイを接続しても,Windowsのディスプレイ設定でネイティブ解像度を選択できないことのあった問題
・QNIX「QX2710」
・富士通シーメンス「SL23T-1」
・Dell「P2715K」
・HP「HP Z27q」 - 最新ドライバにアップデート後,3Dグラフィックスソフト「Daz Studio」でシミュレーションを実行しようとするとアプリがクラッシュすることのあった問題
- WindowsのDesktop Window Managerサービス(dwm.exe)からGPU使用率が高すぎるという報告を受けることのあった問題
- Maxon製3D制作ソフト「Cinema 4D+Redshift3D」においてvidmemory(※ビデオメモリ)の割り当てでVideo TDRエラーが発生もしくはドライバがクラッシュすることのあった問題
●GeForce 526.98 Driverにおける既知の不具合
- ディスプレイのネイティブではない解像度でゲームをプレイしているとき,ゲーム内でHDR設定を切り替えると,ゲームが不安定になることがある
- Windowsのディスプレイ設定にあるHDRを有効にした状態で,DirectX 12対応タイトルを「Shadow Play」で録画すると,露出過多になることがある
- 旧バージョンの「Minecraft Java Edition」で画面表示が破綻することがある
- MSI製オーバークロックツール「Afterburner」において,電力制限を引き上げる設定を行ったときにGPU温度制限が優先されない(※つまり無視される)ことがある
- GeForce RTX 40シリーズで「Metro Exodus Enhanced Edition」プレイ中に,ランダムに画面が点滅することがある
- GeForce RTX 4090を使用して「Watch Dogs 2」プレイ中に空を見上げると表示が点滅することがある
- DSRやDLDSRを有効化していると,ディスプレイがスリープから復帰したときに画面が一時的にちらつくことがある
- 関連タイトル:
GeForce Driver
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