テストレポート
国内では9月21日発売。ゲーマー向けマウス「G9 Laser Mouse」ファーストインプレッション
まず,肝心要のレーザーセンサーはAvago Technologies製の「S6090」。向こう1年間はLogitech以外に出荷されない契約になっている同センサーは,既存のGシリーズマウスが搭載する「S6006」に存在した,スキッピングやネガティブアクセルの問題が大幅に改善されているという。なお,イメージ処理能力6.4MPixels/s,フレームレートは7080fpsというスペック,秒速45〜65インチ(1.143〜1.651m,幅があるのはサーフェスによって変動するため)の速度でマウスを動かしても追従する,データは16bitフォーマットで転送するといったスペックは,G5と同じだ。
「最強のカスタマイズマウス」として見た場合のポイントは,ドライバソフト「SetPoint 5.0」と,本体に内蔵のフラッシュメモリだ。G9では,SetPoint 5.0で設定した以下の設定項目を,最大で5パターンのプロファイルとしてG9側に保持できる。
- 解像度設定(200〜3200dpiの範囲を200dpi刻みで,最大5段階。X/Y軸別々の設定も可能)
- ボタンの割り当て&キーボードマクロ
- ポーリングレート(125〜1000Hz。ロジクール推奨は500Hz)※マウスレート,レポートレートともいう
- 本体に内蔵するLEDの色(プロファイルごとに任意の色を割り当てられる)
さすがにドライバ側で処理するほかない加速設定や感度設定までは保存できないため,SetPointがインストールされていないPCで,インストールされているPCと100%同じ操作感覚(≒センシティビティ設定)は再現できない。その点は注意が必要だが,それでも,SetPointのインストールされたPCで設定した,ゲームごとのボタン割り当てや複数のマウス解像度などをまるまる持ち運べるのは,外に打って出るタイプのゲーマーにはメリットといえるだろう。
このほかカスタマイズ性という意味では,以下の点がG9の特徴である。
- 「幅広グリップ」と「ドライグリップ」,2種類の“グリップカバー”が付属し,好みに応じて付け替えられる
- 4g×4,7g×4の錘(おもり)が付属し,そのなかから最大4個を「ウエイトカートリッジ」に取り付けることで,G9の本体重量をベース重量+4〜28gの範囲でコントロールできる
- Logitech独自のスクロールホイール「MicroGear Precision Scroll Wheel」を搭載。カチカチとした小気味良いスクロールが可能なだけでなく,(ゲーム以外で利用するときには)クリック感がなく,画面を一気にスクロールさせられる「ハイパーファーストスクロール」機能も利用できる。切り替えは本体底面のMICROGEARボタンで行う
ケーブルに違いがないとされるG5を同条件で計測すると162g。グリップを取り付けた状態のG9はG5とほぼ同じ重さであり,この状態からマウスを重くしたいという(ゲーム用途での)ニーズは,今回もあまりないように思う。
ちなみにウエイトカートリッジの重量は3gだったので,ウエイトカートリッジを取り外した状態でグリップを取り付ければ,それぞれ3gずつの軽量化が可能だ。
■正確性を重視して“つまみ持ち仕様”を採用したG9
■デザインを一新したSetPointは好印象
まずはその形状からだ。サイズは幅広グリップ使用時に82(W)×108(D)×37(H)mm,ドライグリップ装着時に73(W)×108(D)×35(H)mmで,これまでのGシリーズを知るユーザーからすると,かなり小さくなった印象を受ける。G5だと同72.2(W)×130.3(D)×43.6(H)mmなので,まったく違うコンセプトの製品といったほうがよさそうだ。
2007年夏の時点で,筆者はゲームプレイにG5を愛用しているのだが,G5に慣れた手だと,さすがに最初は違和感があった。5分程度使ってみると,幅広グリップではG5のときと同じような感覚で持てるようになってきたが,ドライグリップに慣れようと思うと,ちょっと時間がかかりそうだ。
より小さなマウスのほうが持ちやすい人にとっては,ドライグリップのほうが向いていると思われるので,このあたりは個人差があるだろうが,いずれにせよ,ほかのLogitech(ロジクール)製マウスに慣れていると,感覚のリセットが必要になるかもしれない。
また少々気になったのは,サイドボタンの使い勝手。というのも,幅広グリップとドライグリップで,ストロークがずいぶんと異なるのである。とくにドライグリップでは,メインボタンに近いほうのボタンが,やや「Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0」を思わせるグリップ部へのめり込み具合を見せており,若干押しづらい。また,いずれもグリップ上でボタンがつながっているので,人によっては押し間違えることもあるだろう。新版のG5よろしく,ボタンはセパレートタイプにしてほしかったところである。
さて,SetPoint 5.0だが,従来バージョンと比べるとシンプルで「コントロールパネルらしくなった」感じである。基本的なマウスの操作設定に関する部分だと,従来のSetPointと大きな違いはないものの,LEDの色を設定したり,プロファイルに名前を付けて本体に保存したり,あるいはファイルとして書き出したりできるようになっているのは,G9用ならではといったところだ。
また,先にプロファイルはマウス底面のボタンを使って切り替えると述べたが,従来どおり,アプリケーションごとに自動変更されるようにも,SetPointから選択して指定できる。
「ようだ」としたのは,β版で用意された[アップデートのチェック]ボタンをクリックすると,ドライバのアップデートをチェックしに行っているように見えたため。最終的にファームウェアを検索できるようになるのか,単なる日本語訳のミスで,製品がリリースされるころには「ドライバのアップデート」になっているのかは,Logitechの開発チームのみが知るところである。
以上,駆け足で紹介してきたが,2007年9月時点におけるGシリーズの集大成……というよりは,Gシリーズを次のレベルへ引き上げるべく,いろいろと新たに挑戦しているといった雰囲気を,より強く感じる。それがゲーマーにどのような形で受け入れられるかどうか非常に楽しみだ。9月21日の発売日が待ち遠しい。(佐々山薫郁)
- Logitech,ゲーマー向けマウス&キーボードの新型「G9」「G15 2007」を北米で発表
- ロジクール,ゲーマー向け多機能キーボード「G15」JP配列モデル
- ロジクール,「G5」のサイドボタン2個モデルを5月18日に発売
- 新型「G5 Laser Mouse」,北米でプレオーダー受付始まる
- ロジクール,「G3 Optical Mouse」の販売を終了
- 関連タイトル:
Logitech G/Logicool G
- この記事のURL:
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