HyperX Cloud II
メーカー:Kingston Technology
問い合わせ先:00531-88-0018(平日9:00〜19:00)
実勢価格:1万3000〜1万4100円程度(※2015年4月30日現在)
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米Kingston Technology(以下,Kingston)製となるゲーマー向けヘッドセット「
HyperX Cloud II」の短評第2回は,ゲーム環境における試聴結果をまとめてみたい。
さて,
前回簡単にお伝えしたとおり,HyperX Cloud IIは,インラインリモコンに用意された[7.1ch]ボタンを押すことで,バーチャルサラウンドサウンド機能の有効化/無効化を行えるようになっている。
Kingstonに直接確認したところ,「(“7.1chモード”は)あくまで,ステレオ音源へ,仮想的にサラウンド効果を付け加えるもの」という回答が得られたので,スペイシャライザーと断定していい。マルチチャンネル入力には非対応なので注意が必要だ
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ただし,HyperX Cloud IIは,Dolby Laboratriesの「Dolby Headphone」で実現されるような,「ゲームのマルチチャネルサウンドをヘッドフォン用にダウンミックスする」機能をサポートしていない。機能を有効化しても,もともと残響がほとんどない音源に無理やり残響を負荷するような,往年のスペイシャライザー(Spatializer,日本語ではスペシャライザーと呼ぶほうが一般的。欧米では「WOW Effect」ともいう)のようにしか聞こえないのだ。HyperX Cloud IIの「7.1chバーチャルサラウンド機能」は,「
“7.1ch風”エフェクトを加える機能」という理解が正解である。
筆者の耳で実施したRazer Surround Pro較正結果。ちなみに今回Razer Surround Proを有効化すると,付属する2種類のイヤーパッドのいずれにおいても,無効時よりも高域が落ち込み,むしろ聞きやすい音になった。HyperX Cloud IIのように,高域が強めのゲーマー向けヘッドセットが多くなってきたことを受け,Razer Surround Pro側で「汎用設定」の仕様変更があったのではないかと考えられる
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もっとはっきり言うと,
HyperX Cloud IIのバーチャルサラウンド機能はオマケ以上でも以下でもなく,サラウンド前提のゲーム用途で使うべきではない。バーチャルサラウンドヘッドフォンを利用したい場合は,「
Razer Surround Pro」(旧称:Razer Surround)を組み合わせるべきだ。
というわけで,Razer Surround Proを使ってキャリブレーションし,付属する合皮と布のイヤーパッドで「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,CoD4)および「Battlefield 3」(以下,BF3)の音をバーチャルサラウンドで聞いてみることにした。
まず,合皮製イヤーパッド装着時の音質傾向は
ステレオでの音楽試聴時と変わらない。周波数上に変な凹凸がなく聞こえるのは好ましい。Razer Surround Proの新仕様で高域が少し落ちこんでも,後方まできれいに定位する印象だ。
布製イヤーパッド装着時は,重低域までちゃんと存在しているものの,イヤーパッドの素材が原因で中低域が「中抜け」しているため,低域から中低域がかなり弱く聞こえ,その分,高域やプレゼンスが相対的にかなり強く聞こえることになった。CoD4では銃声が耳に痛くなり,BF3では凶悪なエンジン音が落ち着く感じである。サラウンドの定位感は,基本的には合皮イヤーパッド装着時と同じだが,高音が強調されている分だけ,より分かりやすいと感じる向きはあるかもしれない。
ただ,音質傾向からして,低音たっぷりのタイトルをプレイするときは布製もありだが,それ以外では合皮製を使うのがベターだろう。
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