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HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ
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印刷2015/05/12 12:00

テストレポート

HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ

総試用時間:7時間
短評(2)短評(1)

HyperX Cloud II
メーカー:Kingston Technology
問い合わせ先:00531-88-0018(平日9:00〜19:00)
実勢価格:1万4500〜1万6000円程度(※2015年5月12日現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ
 米Kingston Technology製ゲーマー向けヘッドセット「HyperX Cloud II」の短評第3回。今回は,マイク品質を,計測と試聴で検証する。マイクテストの計測方法は解説ページを見てもらえれば幸いだ。

 下に示したのは,その計測結果だが,問題は公称で18kHzまでサポートするとされる周波数上限が,8kHzでぷっつり切れた格好になっていること。これはおそらく,HyperX Cloud IIのUSBサウンドデバイスへ新たに搭載されたノイズキャンセリング機能が8kHzまでしか入力しない仕様なのだと思われる。おそらくUSBサウンドデバイスではなく,ヘッドセット本体の仕様のみが記されているのだろうが,不親切だ。

周波数特性のグラフは緑がリファレンス,オレンジが計測した波形のものになるが,ここでとにかく目を引くのは,6kHzより上で一気に落ち,8kHz以上ではほぼ入力されない状態になっていること。62Hzより下の落ち方もかなり大きい。それ以外のところでは,3kHz超のところを頂点に,900Hz,375Hzといった具合に,山が生まれながら少しずつ下がっていく,低弱高強仕様となっている
画像集 No.003のサムネイル画像 / HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ

 なお,製品情報には「デジタル処理のノイズキャンセリング機能」を持つと書かれているが,その場合,出力はモノラルになる。それを裏付ける位相特性はモノラル出力で期待されるとおりの結果になっており,この点はまったく問題ない。
 2マイクを用いたノイズキャンセリング機能はDSPに与える負荷が大きいため,非力なDSPだと,今回のようにサンプリングレート16kHz,実測値8kHz以下に設定しないと処理しきれないことが多い(※)。それで,先ほど示したような周波数特性になっているのだろう。

※「あるオーディオ波形を正確にサンプリング(標本化,つまりデータ化)するためには,当該波形の周波数成分よりも2倍以上高い周波数を用いる必要がある」という「サンプリング定理」に基づいた解釈

マイクスポンジを取り外した状態のマイク部。装着時に口側から反対側にも空気孔がある。最初はダミーかと思っていたのだが,8kHz以上がばっさり落ちているテスト結果からして,2マイク仕様のノイズキャンセリング機能を搭載していることになるはずだ
画像集 No.004のサムネイル画像 / HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ 画像集 No.005のサムネイル画像 / HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ

製品ボックス(上)とその中身(下)
画像集 No.006のサムネイル画像 / HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ
画像集 No.007のサムネイル画像 / HW短評:Kingston「HyperX Cloud II」(3)マイク特性検証とまとめ
 実際にマイク入力した声を試聴してみると,聞こえるのは,いかにも「ノイズ処理を行いました」と言わんばかりの「鼻づまり」サウンドだ。オンラインゲームのチャット機能では,8kHzくらいまでしか再生されなかったりもするので,実用上はこれで問題ないという判断かもしれないが,最近ではゲーム中の利用も増えている「Skype」などででは,「チャット時の音質が下がった」と感じるかもしれない。
 音質面での褒めるところは,低周波ノイズ,高周波ノイズとも聞こえないこと。話していないときはほぼ無音状態が維持されていること。Kingstonは,ゲームイベントや大会の会場といった,非常にノイジーな環境を想定して仕様を決定した可能性もありそうだ。

 オリジナルの「HyperX Cloud」と基本仕様を共通化しつつ,USB Micro-B端子もあるがサウンドデバイスを付属させた結果,スマートフォンやPlayStaton 4,Xbox Oneと簡単に接続できるようになったことと,比較的高品位なヘッドフォン出力品質をワンパッケージで入手できるようになったこと,マイク入力時のノイズがとにかく少ない点は評価できるだろう。
 「7.1chサラウンドサウンド」とされる機能がゲーム用途ではまず使い物にならないのと,マイクの周波数特性が公称値と大きく異なるのは減点対象だが,全体的には価格に見合った製品と言っていいのではなかろうか。


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Kingston TechnologyのHyperX Cloud II製品情報ページ


※HW短評に関する注意
  • HW短評(ハードウェア短評)は,各執筆者が,テスト経過時点でのインプレッションをまとめたものです。最終的な評価の掲載を目的とするわけではないため,次回以降のHW短評,もしくは別途掲載されるレビュー記事などとは異なる評価が掲載されることもあります
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