インタビュー
「パーフェクトワールド」の最新アップデート「ワールドを越えた挑戦!‐序章‐」を先行体験。日本オリジナル楽曲を手がけた岩垂徳行氏,なるけみちこ氏へのインタビューも掲載
さらに岩垂徳行氏となるけみちこ氏による,日本版オリジナルの楽曲も新たに作成された。今回,帝国戦のモードを一足早く体験したのに加えて,岩垂氏となるけ氏へインタビューする機会も得たので,あわせてお伝えしていこう。
サーバー間マッチングも視野に入れた,大規模PvP「帝国戦」が実装に
今回の「ワールドを越えた挑戦!‐序章‐」で実装される「帝国戦」は,大人数のプレイヤーが参加できるPvPのモードだ。参加条件は,レベル100以上で転生済みのキャラクターであることのみ。戦いは,毎週金曜日と日曜日の21時20分から23時20分にかけて実施される。
「祖龍の城」を中心に,四方に広がっているパーフェクトワールドの世界。そこから遠く離れた地には四つの帝国が存在していた。これまでもクエスト中で存在がほのめかされていた4人の女帝が率いる4大帝国,それらの軍勢がぶつかり合う「帝国戦争」が勃発し,パーフェクトワールドの住人は傭兵として戦いに参加することになる。それが,この帝国戦の背景にあるストーリーだ。
北方の蛮族を統治する黒帝リュドミラ,西方の城塞都市を統べる白帝シルヴァ,東方の海上を支配する青帝レイカ,南方から虎視眈々と戦況を窺う龍の庇護者赤帝カーリー。帝国戦に参加するプレイヤーは,これら4人の女帝に率いられた四つの帝国軍のいずれかに所属することとなる。四つの帝国の参加人数が均等になるようにランダムでプレイヤーが振り分けられるが,パーティ単位で申し込めば同じ陣営に参加することも可能だ。
参加したプレイヤーがマップを開くと,帝国戦専用の「戦略地図」が表示される。戦場は80のエリアに分かれており,そのうち四つは各帝国の本拠地(進行不可)。開戦の時点では各帝国が均等に領地を押さえているが,各エリアで戦闘が行われることによって,リアルタイムに勢力図が変化していく。
プレイヤーは,自軍の領土と隣接している敵軍の領土へ攻め込むか,もしくは敵軍が攻め込んできている自軍の領土を守りに行くことができる。プレイヤーが現在いる地点から目的地までの移動は自動で行われるが,距離が離れていればいるほどに時間がかかってしまう。
各エリアで交戦中の敵味方の人数なども戦略地図から確認できるので,敵の守備が手薄なところを攻めたり,味方が押されているエリアへ援護に向かったりと,戦況に応じた判断力が求められるだろう。
帝国戦に参加している間はいわゆる「白チャット」が自軍の勢力内にしか聞こえなくなり,10000コインを使えば勢力内全体に聞こえる発言もできるため,チャットを活かして連携をとるのも重要だ。
ちなみに,ほかの帝国に属している敵プレイヤーに対しては,こちらの発言が見えないどころか,お互いのキャラクターネームすら表示されない。そのため,誰もが気兼ねなく,全力でぶつかり合えるはずだ。
勝敗はポイント先取制で,戦旗の回収で1ポイント,戦旗を目標地点へ届ければ10ポイント獲得。制限時間の25分以内に20ポイントを先取するか,もしくは時間切れの時点で点数が多いほうの勝利(同点の場合は防衛側が勝利)となる。
注意が必要なのは,戦旗を回収したプレイヤーには大幅な行動制限がかかるという点だ。移動速度が低下するのに加えて,飛行やハイドなども使用できなくなる。加えて,マップ上には戦旗を持ったキャラクターの位置が表示されるので簡単に敵に狙われてしまう。そのため,戦旗を運んでいるプレイヤーを,いかに味方がサポートしていくかが勝敗を握る重要な鍵となるだろう。
帝国戦に参加したプレイヤーが褒賞として獲得できるのは,特殊な装備品や素材などと交換できる「軍備物資」というポイントだ。1回の帝国戦で褒賞として用意されている軍備物資の総量はあらかじめ決まっており,プレイヤー自身やその所属する帝国の活躍の度合いに応じて,終了時に得られる軍備物資の量が決定される。
なお,アップデート名に「序章」と入っているとおり,11月20日の時点で帝国戦の全要素が実装されるわけではない。来年には,帝国戦をワールドの垣根を越えたサーバー間PvPにする予定とのことなので,今後はより大人数での対戦が楽しめるようになるはずだ。まずは今回実装された帝国戦で練習を重ね,近い将来実現する「ワールドを越えた」戦いに備えよう。
日本版オリジナル楽曲を手がけた岩垂徳行氏,なるけみちこ氏にインタビュー
さて,今回のアップデートにおけるもう一つの目玉要素として,日本版オリジナル楽曲の収録が挙げられる。
来年でサービス開始から6周年を迎えるパーフェクトワールドだが,これまでずっと同じ楽曲がBGMとして使われてきていた。今回の帝国戦を皮切りにサーバーの枠を越えた展開など,従来より一つスケールの大きな展開が続くという。現在はパーフェクトワールドにとっての大きなターニングポイントにあたる時期なのだそうだ。
そこで,今回のアップデートを機に,ログイン画面で流れるメインテーマ曲「Perfect World」と,ゲーム内で多くのプレイヤーが交流する場である「祖龍の城」のBGMを,これまで数多くのゲームミュージックを手がけてきた岩垂徳行氏と,なるけみちこ氏が新たに書き下ろしている。今回,両氏に作曲の裏話をインタビューする機会を得たので,その内容をお伝えしよう。
本日はよろしくお願いします。まず,岩垂さんが担当されたメインテーマ曲「Perfect World」ですが,どのようなオーダーのもとに作曲されたのでしょうか。
岩垂徳行氏(以下,岩垂氏):
今まで使われていた曲を聴かせてもらったり,実際に曲が流れるログイン画面も見せてもらったうえで,「ここからバーッと駆け抜けるような,『これから冒険が始まるよ』という曲を作ってほしい」と言われたんですよ。
4Gamer:
では,これまで使われていた曲を参考にされた部分も?
岩垂氏:
いえ,逆に「今までの曲は意識しないで」と言われました。
4Gamer:
なるほど。今回は,フルオーケストラによる生演奏でレコーディングされていますよね。フルオーケストラで収録すること自体も,制作当初から決まっていたんでしょうか。
岩垂氏:
最初からフルオーケストラにしようという話はありましたね。編成とかはこちらで決めさせてもらいましたが。
4Gamer:
編成について,とくに意識された部分はありますか?
岩垂氏:
スタジオのレコーディングだと,弦楽器の数が少なかったりするんですよ。なので,今回は「86442」(第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,コントラバスの人数)くらいの大きさにしてください,とお願いしました。どうやら最近は「64221」とか,人数の少ない編成で録っているものが多いらしいんですが,私としてはちゃんと人数を揃えたいなと。木管や金管とかも「この人がいい」という指定でやらせていただきました。
4Gamer:
今回は先に編成を決定されてから作曲に移られたんでしょうか。
岩垂氏:
まず曲から作りました。この曲を作ったので,こういう編成でいきたい,と。
4Gamer:
作曲されるにあたって,具体的にイメージされたものなどはありますか?
大陸が舞台なので,3拍子の曲にしようと決めました。3拍子だと,馬の駆け足のように「パッカパッカパッカ」となりますし,とくに大陸やヨーロッパでは3拍子の曲が多いんですよ。逆に日本は「どっこい,しょ」といった2拍子が多いんですけど(笑)。
4Gamer:
なるほど,たしかに3拍子には島国よりも大陸的な印象を受けます。
岩垂氏:
あと,今回のストーリーは「女帝」がキーワードになっていますので「優しさ」みたいなイメージもあり,「新しい世界を駆け抜ける」というイメージもあり,さらにメロディも覚えやすく。いろんな要素を踏まえながら作っていった感じでしょうか。意外にすんなりとできました。
4Gamer:
アップデートの予告とともに楽曲もウェブ上で先行公開されましたが,曲を聴かれた方々からの反響はいかがですか?
岩垂氏:
僕のほうに届いている評判はすごく良いですね。今回はとくにみんなの反応が速かったです。
4Gamer:
パーフェクトワールドのトップページと,アップデートの特設サイトとで,同じメインテーマでも曲の構成が異なっていますよね。
楽曲を作ったあとに,「全体の感じはいいんですけど,イントロだけ“渦巻く感じ”に変えてください」と要望がきまして(笑)。
4Gamer:
そういった経緯で完成したのが,実際にゲーム内でも使用されている,特設サイトのバージョンなんですね。たしかに,イントロから不穏な空気が立ちこめています。逆に,トップページで聴けるバージョンのイントロからは美しく澄んだ印象を受けました。
岩垂氏:
そちらのWebサイトは青や白を基調にした綺麗なイメージでしたので,「そこで出だしからドロドロした曲が流れたらマズいんじゃないか」という話になり,Web専用のバージョンを作りました。
4Gamer:
なるほど,こちらはゲーム内では聴けない特別な構成のバージョンなんですね。
岩垂氏:
はい。ですので,それも意識して聴いていただけたら楽しめるかなと思います。
4Gamer:
ありがとうございます。では続いて,なるけさんの「祖龍の城」についても聞いていきたいと思います。こちらはどういったイメージのもとに作曲されたんでしょうか。
コンシューマのRPGで流れるような「町の曲」,と概要をいただきました。とくにこうしてくれ,という指示はなかったんですけど――今まで祖龍の城で流れていた曲は,中国の古い民族楽器を多用していて,町自体も中国の古い町のようでしたので,「音楽のほうも多少は中国を意識したほうがいいかな?」と思ったんです。でも,私がそれをやると,いかにも「借りてきた」ような曲になってしまうおそれがありましたので,それをわざわざやる必要はないなと。
4Gamer:
実際の曲調としては,和風っぽいテイストも混ざっているのかな? と感じました。
なるけ氏:
捉え方としては,中国というよりも「アジア」です。日本人が見たアジアの雰囲気ですね。ですから,和風っぽく聞こえるかもしれないんですけど,大陸もイメージして書いています。
4Gamer:
日本も中国も含めた,広い範囲でのアジアンテイストなんですね。こちらの楽曲も生演奏のようですが,やはり最初から生演奏と決まっていたんでしょうか。
なるけ氏:
最初は,全部打ち込みで,という話だったんです。ただ,岩垂さんの曲も聴きながら,お互いにやりとりをして作っていったところ,だんだん編成が大きくなってきて……(笑)。
岩垂氏:
オケ(オーケストラ)のほうが絶対いいよ,と話をして。
なるけ氏:
じゃあ,ついでにオケで録ろうと。
4Gamer:
2曲とも同じオーケストラの演奏で一緒にレコーディングされたんですか。
岩垂氏:
はい。ただ,祖龍の城では特別な楽器を使っていますね。
日本の「篠笛」(※)という,牛若丸が吹いていたような笛で,古い感じのメロディを間に挟んでいます。
※竹で作られた横笛。祭囃子や,歌舞伎の下座音楽などの演奏で用いられる。
4Gamer:
同じオーケストラの演奏でありながら,まったく違った印象の2曲になっていますよね。ぜひ,祖龍の城の聴きどころも教えてください。
なるけ氏:
町の曲ですから,岩垂さんの曲みたいに疾走感のある感じではありません(笑)。ただ,町の中には人々の営みがありますよね。お店屋さんがあったり,田舎のフィールドがあったりと。そんないろんな暮らしぶりがある場所を俯瞰する,ゆったりした感じの曲にしています。
4Gamer:
プレイヤーが祖龍の城を訪れること自体が多いため,ゲーム内でもとくに聴く頻度の高い曲になるでしょうね。
なるけ氏:
そうですね。邪魔にならないように……。
岩垂氏:
でも主張しつつ(笑)。
なるけ氏:
うん,いいバランスでゲームと合っていると感じてもらえたらいいな……と思います(笑)。
4Gamer:
今後もお二人がパーフェクトワールドの曲をさらに手がけられる可能性もあるかと思います。また,こういったジャンルの曲を作ってみたい,といった希望はありますか?
なるけ氏:
スタッフの方に今後の展開を聞いてみたところ,これから国取りの戦いになってくるそうですので,「戦争のシーン」みたいな曲を作りたいですね。もう,曲のイメージも勝手にできています。
岩垂氏:
僕も,今後の話を聞いて面白そうだなと感じたので,テーマ曲のアレンジをいろんなところに使ったりとか,そういうことができたらいいなと思います。
ああ! やりたいですね,それは。
4Gamer:
メインテーマのフレーズをほかの曲でも用いるのは,映画のサウンドトラックなどでもよく見る手法ですよね。非常に面白そうです。
岩垂氏:
あと,今回はTwitterなどで,「テーマ曲を演奏したい!」というアマチュアオーケストラの人たちも現れました。ですので,演奏会形式でも広めたいな,と関係者で相談しているところです。
4Gamer:
曲をきっかけにして,パーフェクトワールドを知る人が出てきたら面白いですよね。
岩垂氏:
そうそう! そうやって広まってくれたら嬉しいなと思います。ぜひ2曲セットで演奏をしてほしいですね(笑)。もう譜面はありますから。
4Gamer:
では,演奏に興味のあるオーケストラ関係者の方は,シーアンドシーメディアさん経由で問い合わせすればいいんですね。
岩垂氏:
連絡していただければ,こちらで譜面を用意します(笑)。
4Gamer:
では最後に,プレイヤーへのメッセージをお願いいたします。
岩垂氏:
公式サイト上でも先行して聴けますが,ぜひゲームのログイン画面でこの曲を聴いて,しっかりパーフェクトワールドの世界を楽しんでいただけたらと思います。ぜひ皆さん遊んでください!
なるけ氏:
できればBGMを止めないで,ずっと聴きながらゲームをやってほしいです。オンラインゲームをやったことがない方も,曲がきっかけとなって遊んでいただけたら,作曲した甲斐があります。ぜひお願いいたします。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
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