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攻城戦,月旅行,ジャンヌ・ダルク。「Wonderland ONLINE」開発元に,Taipei Game Show会場で今後の構想を聞く
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印刷2008/02/04 21:56

インタビュー

攻城戦,月旅行,ジャンヌ・ダルク。「Wonderland ONLINE」開発元に,Taipei Game Show会場で今後の構想を聞く

左から,Chinese Gamer(中華網龍)技術開発部 課長 張 道仁氏と,劉 孜鈴氏,邵 弘志氏
画像集#024のサムネイル/攻城戦,月旅行,ジャンヌ・ダルク。「Wonderland ONLINE」開発元に,Taipei Game Show会場で今後の構想を聞く
 思えばベルクスの「Wonderland ONLINE」とは,一昨年のTaipei Game Show 2006で「飄流幻境 ONLINE」として大々的にプレイアブル展示されているのを紹介して以来の間柄である。1月11日にはパブリッシャであるベルクスへのインタビューをお届けしたわけだが,今回のTaipei Game Show 2008取材行で,初めて開発元Chinese Gamer(中華網龍)のスタッフにインタビューする機会を得た。
 この,いささか個性的なゲームの企画経緯や,今後のアップデート予定などに関して,いろいろあけすけに聞いてみたので,まずはご確認いただきたい。

ターン制戦闘は,パーティプレイ重視のため


画像集#020のサムネイル/攻城戦,月旅行,ジャンヌ・ダルク。「Wonderland ONLINE」開発元に,Taipei Game Show会場で今後の構想を聞く
4Gamer:
 本日はインタビューに応じていただき,ありがとうございます。まず「Wonderland ONLINE」を,どんなゲームとして企画したのかを教えてください。

張 道仁氏:
 台湾の初期オンラインゲーム市場では,それほどゲームが多くありませんでした。ローカライズの出来が良くて人気を呼んだタイトルとしては,最初に「King of Kings」という作品があり,次が韓国の「リネージュ」(天堂)と日本の「CROSSGATE」(魔力宝貝)です。台湾のゲーマーは以前から日本製のコンソールゲームを楽しんできましたから,日本的なゲームに親しみがあります。そこで,まずは日本製ゲーム的な雰囲気の作品を作ろうと思ったわけです。

4Gamer:
 広い意味で日本的,ということですか。

張 道仁氏:
 そうです。そして台湾のゲームのほとんどはリアルタイム戦闘を採用していますが,私としては少々戦略要素が足りないのではないかと思っていました。リアルタイム戦闘とターン制戦闘,それぞれ別の良さがありますが,プレイヤー同士がパーティで協力しあう精神をより発揮できる形として,今回はターン制がよいと思ったのです。

4Gamer:
 ターン制だと,パーティメンバーと協力しやすいのですか?

張 道仁氏:
 一人ずつ順に自分のスキルを使いますから。誰かが攻撃を受けて体力が減ったら,そのタイミングで自分がヒールをかけるといったことが,より確実にできます。

4Gamer:
 なるほど,そういう意味ですか。

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張 道仁氏:
 このゲームの開発スタッフは,以前に「呑食天地」という三国志モチーフのオンラインゲームを作っていまして,「Wonderland ONLINE」のさまざまなシステムや戦闘部分など「呑食天地」の良いところを引き継いでいます。ただし,例えばイベントCGなどは「Wonderland ONLINE」独自のものですし,ほかにもさまざまな独自要素を盛り込んでいます。

4Gamer:
 確かにイベントCGは,ほかのいろいろなオンラインゲームと比べても,「Wonderland ONLINE」の特徴となっていますね。

張 道仁氏:
 「Wonderland ONLINE」には同時に,コンソールゲームタイトル的な要素をも,取り入れたつもりです。

4Gamer:
 台湾のプレイヤーさんも,ああいったイベントCGは大好きなのでしょうか?

張 道仁氏:
 ええ,けっこう好きです。そしてこの作品の場合,イベントCGを使ってストーリー性を強化しているわけです。結果として,とくにオンラインゲームとしては斬新な展開のゲームになったと思いますよ。

現実生活に出てくるものはなんでもアイテム化可能


4Gamer:
 確かに,ちょっとびっくりするような展開になりますよね。ところでこのゲームではリモコンを中心とした,物の自動生産システムもかなり大きな特徴だと思うのですが,これは「呑食天地」から持ってきたものなんですか?

張 道仁氏:
 いいえ。自動生産部分は「Wonderland ONLINE」からです。それともう一つ,自分で乗り物を造れるのも「Wonderland ONLINE」の特徴ですね。簡単なボートからUFOまで。
 また,メイドロボはアイテム生産を助けるだけでなく,倉庫として機能しますから,アイテム生産も存分に楽しめます。

画像集#022のサムネイル/攻城戦,月旅行,ジャンヌ・ダルク。「Wonderland ONLINE」開発元に,Taipei Game Show会場で今後の構想を聞く
邵 弘志氏:
 ちなみに横スクロールの戦闘方式については,日本のコンソールゲームタイトル「テイルズ オブ エターニア」を,大いに参考にしています。


4Gamer:
 ええと,では順番に。こういった自動生産システムは,台湾ではほかのゲームでも見られるものでしょうか?

張 道仁氏:
 生産部分については,日本の「無人島物語」を参考にしました。戦闘を自動化するリモコンは独自に作った設定で,開発時点でほかのゲームにはなかったものです。メイドロボも独自要素ですね。

4Gamer:
 現在のMMORPGには,どうしても作業の繰り返しになってしまうところがあって,自動戦闘/生産システムはよい考えだと思います。ただ,そうやって効率化してしまうと,プレイがどんどん速く進んでしまいますよね。それは心配ではないですか?

張 道仁氏:
 リモコンが戦闘を,メイドロボが生産をサポートして,プレイヤーが単調な操作を繰り返さなくてよいようにすることは,大切だと思いました。
 アイテムや素材に関しては,新しいものをいろいろ考えていますので,大丈夫ですよ。

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4Gamer:
 いま考えている新しいアイテムを,いくつか教えてください。

劉 孜鈴氏:
 例えばテントの内装に使える壁紙ですが,これはデザインごとに必要な素材を変えることで,新しい生産目標になります。同じように机にしても,いまは四角いものしかありませんが,今後丸いテーブルなども出していきますし,長い間には実生活に登場するあらゆるものについて,すべてアイテム化が考えられるわけです。
 それに年中行事に合わせたアイテムなども,随時追加していますから,プレイを効率化してもとくに心配はありません。

4Gamer:
 なるほど,アイテムの企画は始めから十分と……。

張 道仁氏:
 このゲームでは,自分のテントを飾り付け,友達を呼んでチャットするとかいった部分が大きな楽しみですから,そこには力を入れていきます。モンスターを狩るだけでなく,コミュニケーション要素も重視しているのです。

第2章ではテントの外観も変えられる


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4Gamer:
 ところで,このゲームで作れるアイテムはたいへん特徴的で,ウランを精製したり,原油からプラスチックを合成できたりしますよね? 例えばウランを何に使ったらよいのでしょう。

張 道仁氏:
 月に行く乗り物の燃料として使います。

4Gamer:
 な,なるほど。日曜大工で宇宙開発まで可能なのか……。

張 道仁氏:
 生産部分については,日本の「無人島物語」に着想を得つつも,企画担当総掛かりで,いろいろ膨らませています。

4Gamer:
 少なくとも日本サービスで,プレイヤーキャラクターの住居はテントのままで,いろいろアイテムを作れるにもかかわらず,木やレンガでしっかりした家を建てるという設定はありません。そこは今後変わっていくのでしょうか?

張 道仁氏:
 日本サービスは現在第1章なのですが,第2章以降には,テントの外観を変えられるようになります。変え方は2種類あって,その一つめはテントの色/柄です。これを変えるためには,アイテム「パレット」が必要で,これは有料アイテムになります。
 テントの形を変えるのに必要なのは「造形粘土」で,こちらは採取/合成が可能です。

4Gamer:
 どこかで一念発起して,テントでないマイホームを建てるという設定はないのでしょうか?

張 道仁氏:
 それはありませんが,ギルド単位でお城を奪って占有することはできます。

4Gamer:
 ……攻城戦があるんですか,このゲーム。では先に確認させてください。台湾でのサービスは現在第何章でしょうか。

張 道仁氏:
 台湾サービスは現在第4章です。日本でのサービスが,同じような順番と内容で進むとは限りませんが,第2章以降は新しいマップの追加が主体となっています。

4Gamer:
 聞くところによると,このゲームのマップ全体は世界地図によく似た形をしているはずです。第1章で行ける地域を教えてください。

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邵 弘志氏:
 第1章では,日本,ニュージーランド,マヤ王国,中国,イースター島,ハワイ,南極,インドなどに行けます。プレイヤーにとって親しみやすい設定にすると同時に,現代に限らないそれぞれの地域の文化に触れてもらえるようになっているわけです。
 例えば日本のマップでは,童話の浦島太郎にまつわるクエストが受けられますし,エジプトではピラミッドに関するもの,マヤでは人身供犠を扱う,といった具合です。

4Gamer:
 では,それらに含まれていない地域は,第2章以降で登場すると。先ほど,月へも行けるという話でしたが,これもどこかのタイミングで導入されるわけですね。

張 道仁氏:
 そうです。月と火星に行けるようになります。また,乗り物には潜水艦もありますので,海の底の「竜宮」へも行けます。

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4Gamer:
 ではマップ以外で,第2章以降に導入される主なゲームシステム/プレイ要素を教えてください。

邵 弘志氏:
 例えばシステムイベントがそうですね。それと先ほど触れた攻城戦です。もちろん,ストーリーの進展に従って新しいNPCの仲間も増えていきます。

4Gamer:
 システムイベントとは,どんなものでしょうか?

邵 弘志氏:
 一定の間隔と時間で,プレイヤー参加型のイベントが開催されるシステムのことです。あらかじめプログラミングされていて,時間になるとメッセージが流れ,自動で実施されます。

4Gamer:
 具体的にはどんなものがありますか?

張 道仁氏:
 例えば,プレイヤーさんが一斉に答えるクイズなどがあります。正解した人先着20名までは,賞品がもらえます。また,フィールド上の特定位置に行くことで,答えの選択肢を選ぶといったパターンもあります。

4Gamer:
 そうしたイベントは,どのくらいの間隔で実施されていますか?

邵 弘志氏:
 先ほどの,特定位置に集まるようなイベントは週に1回,クイズは週に2回実施されています。

初心者でも参加できる攻城戦


4Gamer:
 なるほど,うまく使えばなかなか面白そうなイベントですね。出題の工夫次第でもありますが。では次に,お待ちかねの(?)攻城戦について教えてください。まず,城はどこにいくつくらいありますか?

張 道仁氏:
 ニュージーランドの南島に一つだけです。そしてそこは初心者向けエリアです。

4Gamer:
 うーむ……城は今後増えていく,ということですか???

張 道仁氏:
 いいえ,まだあまり乗り物を造れない初心者にも参加できるものとするために,あえてここに城を設置したんですよ。ですから,ほかのマップにも置くという予定はありません。

4Gamer:
 ではその城を手に入れると,どんなメリットがありますか?

張 道仁氏:
 お城を手に入れると,宝箱が一つもらえ,参加したギルドメンバー全員がアイテムをもらえます。

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4Gamer:
 その次の攻城戦には,別のギルドが城に攻め込んで来ますよね? そこで城を守りきったら,守ったギルドはもう一度宝箱をもらえるのでしょうか?

張 道仁氏:
 正確にいうと,城を陥とした直後に宝箱はもらえません。一度手に入れた城を守りきるたびに,もらえる形になっています。また,城のなかではモンスター狩りもできて,そのドロップアイテムは通常のフィールドで手に入るものより良いです。
 さらに城の地下にはダンジョンがあって,そこのボスであるミノタウロスと戦うというクエストもあります。もちろんこのクエストは,城を手に入れたギルドだけが進められるものです。

地中海地域に続き,第5章ではイギリスとフランスが


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4Gamer:
 台湾で今後導入を考えている,第5章以降の地域やプレイ内容について,少しだけ教えてください。

劉 孜鈴氏:
 第5章では新しい地域としてイギリスとフランスが加わります。第3章で地中海地域が追加されましたので,その先ということになります。新しいプレイ要素については……まだお話できません。


4Gamer:
 ヒントだけでもぜひ。

張 道仁氏:
 うーん,開発状況によって遅れる可能性があるので……。代わりにクエストについてちょっとだけお教えします。いままでのものでいうと,大魔王をめぐるものがいろいろあったわけですが,これの続きが加わっていきます。プレイヤーキャラクターが元の世界に戻れないのも,大魔王の仕業であることが明らかになるはずです。
 そして大魔王と戦っている間に,もし仲間のNPCが死んだら,星座になります。

4Gamer:
 ああ。それで腑に落ちるプレイヤーもいそうな設定ですね。

邵 弘志氏:
 そしてNPCは,各地の文化や伝承に基づいていまして,歴史上の人物が登場します。コロンブスなどがそうですが,新しい地域のフランスではジャンヌ・ダルク,イギリスでは円卓の騎士を企画しています。まだ正式決定ではありませんが。

4Gamer:
 ちなみに第5章の導入は,いつごろになりますか?

張 道仁氏:
 6月末になる予定です。ちなみにここまで,約5か月おきにアップデートしてきました。

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4Gamer:
 分かりました。では話題ががらっと変わるのですが,Chinese Gamerにはどのくらいの人数のスタッフがいるのでしょうか。

張 道仁氏:
 450人くらいです。

4Gamer:
 すべてPCオンラインゲームの開発に当たっているのでしょうか?
張 道仁氏:
 そうです。

4Gamer:
 現在開発中の新作などはありますか?

張 道仁氏:
 会社としては年内に6本のコンテンツを出す予定ですが,「Wonderland ONLINE」のチームは,別のコンテンツの開発に着手していまして,そのタイトルは「女神 Online」です。「Wonderland ONLINE」の優れた部分を引き継いだうえで,新要素を追加した作品になる予定です。

4Gamer:
 そのゲームの詳しいお話が明らかになるのはいつごろですか?

張 道仁氏:
 社内テストが今年の7月くらいです。社外に向けてβテストが開始されるのは10月くらいになると思います。

4Gamer:
 そちらの作品について,いまお話をお聞きすることはできますか?

張 道仁氏:
 内容については……まだちょっと難しいです。

4Gamer:
 分かりました。情報が固まり次第,ぜひ教えてください。では最後になりますが,「Wonderland ONLINE」を楽しんでくれている日本のプレイヤーさんに向けて,メッセージをお願いします。

邵 弘志氏:
 日本の運営会社と協力して,サービスが提供できていることを,たいへん嬉しく思っています。とくにキャラクターボイスなど,本当はやりたかったのにできなかったことまで実現していますから,これは本当にありがたいことです。
 日本のプレイヤーさんに対しては,まず「Wonderland ONLINE」をプレイしていただき,本当にありがとうございます,と言いたいです。そして今後も日本プレイヤーの期待を裏切らないよう,頑張って良いゲームを作り続けたいと思います。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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画像集#025のサムネイル/攻城戦,月旅行,ジャンヌ・ダルク。「Wonderland ONLINE」開発元に,Taipei Game Show会場で今後の構想を聞く
 既存の作品から学びつつも,既成の概念にとらわれないのが,「Wonderland ONLINE」の魅力であるように思われる。アイテム生産を楽しむゲームを作るに当たって「無人島物語」のシチュエーションを借りつつも,実はゲームを始めて間もなくプレイヤーキャラクターは無人島を脱出可能で,今度は不思議な世界各地を舞台に冒険を進める。
 普通こうなってしまえば,アイテムを自作する必要性も薄れていくはずなのだが,そういった再帰的な捉え返しで,最初の着想を覆したりはしない。純粋にプレイ要素で考えたとき,そんな捉え返しはどうでもよいのである。
 攻城戦にしてもそうだ。既成の「城」の概念,つまり地域支配の要という特性はすっぱり捨てて,防衛戦に伴うボーナスを中心に,上級コンテンツでなく誰にでも参加できるものへと概念を作り変えている。ダンジョンの主がミノタウロスである点は妙に正統派だが,その設定を古代ミノア文明まで遡らせるわけでもない。

 作れるアイテムからして,何でもアリのこの作品,日本サービスではまだ第1章だ。月や火星に行くまでには,いろいろ予想外の要素が楽しめそうである。
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