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[TGS 2006#45]「Age of Empires III:The WarChiefs」開発者インタビュー。新たに追加される時代「革命」とは?
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印刷2006/09/24 20:47

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[TGS 2006#45]「Age of Empires III:The WarChiefs」開発者インタビュー。新たに追加される時代「革命」とは?

 つい先日,英語版の完成が発表されたばかりの「Age of Empires III」(以下,AoE3)の拡張パック「Age of Empires III: The WarChiefs」(以下,AoE3:WC)だが,東京ゲームショウの開催に合わせて,開発元のEnsemble Studiosでプロジェクトを統括するエグゼクティブ・プロデューサーPatrick Hudson氏が来日。The WarChiefsについてのインタビューに応じてくれた。
 「帝国の時代」に代わる新たな時代である「革命」をはじめ,新勢力のアメリカ原住民族や新ユニットなど,AoE3:WCの新要素について,いろいろと聞くことができた。

新たに追加されるアステカ,イロコイ,スーという三つの勢力

4Gamer:
 はじめまして。今日はよろしくお願いします。

Patrick Hudson氏(以下,Hudson氏):
 はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。

4Gamer:
 ではまずは,AoE3:WCの代表的なフィーチャーから紹介してください。

Hudson氏:
 分りました,では早速紹介していきましょう。
 AoE3:WCの最も大きなフィーチャーは,以前よりアナウンスしていた通り,新たな勢力としてアメリカ原住民族の国家(部族)が加えられることです。これはよく聞かれる質問なので先にお答えしておきますが,なぜ新たな勢力としてアメリカ原住民族を加えることにしたかというと,一つは既存のAoE3とはまったく違う感覚で楽しめる要素を盛り込みたかったからですね。
 AoE3で登場したヨーロッパ列強というのは,もちろんぞれぞれの国家で特徴はありますが,銃器があり大砲があり……などなど,基本的な部分での“プレイ感覚”に大きな差異はありません。AoE3:WCを開発するにあたって我々がまず考えたのは,プレイヤーがまったく違う感覚……要するに新鮮な気持ちでゲームがプレイできるかどうか? という部分でした。

4Gamer:
 追加されるアメリカ原住民族の国家(部族)は具体的に何になるのでしょう。E3では,二つまでしか発表されていませんでしたが。

Hudson氏:
 追加される勢力は,アステカ,イロコイ,スーの三つです。これらの勢力にはいずれも非常にユニークな特色が盛り込んであり,新鮮な感覚を表現するのに良い選択だったと自負しています。

4Gamer:
 なるほど,ではせっかくですので,その各勢力について詳しく教えてください。

Hudson氏:
 ではまずイロコイから説明していきましょう。というのも,イロコイはアメリカ現住民族ではあるのですが,最も“西洋化”された勢力として位置づけられています。なので,銃を持ったユニットも扱えるし,他の現住民族勢力と違って大砲なども使えます。プレイスタイルという意味でも,既存のヨーロッパ文明により近い感覚で扱えるように設定されています。もちろん,現住民族勢力ならではのフィーチャーはしっかりと盛り込まれているので,近い感覚といっても比較論に過ぎませんが。ユニット的にもバランスの取れた編成を組むことが可能になっています。

4Gamer:
 ほかの二つの勢力はそんなに先鋭化されているのですか?

Hudson氏:
 そうですね。では続いてスーの説明に入りたいと思いますが,例えばこのスーでは,ほかの全文明で「人口」を引き上げるために必要な「家」を建てる必要がありません。これは,スーが遊牧民族であったという史実をボーナス化したルールなのですが,これによって,より早期から軍隊を揃えることが容易になっています。
 またスーといえば騎乗技術が優れていたことでも知られた部族なのですが,ゲーム中でも強力な騎馬部隊を編成できる勢力になっていて,短期決戦を行うのに向いています。ただ,スーでは火薬を使った兵器が扱えないので,ゲームが後半になるにつれて厳しい戦いを強いられることになるでしょう。

4Gamer:
 確かにかなり特徴的ですね。

Hudson氏:
 最後にアステカですが,この勢力では,騎馬ユニットが存在しません。その代わりに歩兵ユニットが非常に強力で,歩兵を主体にした戦いを得意としています。
 またE3でも説明を受けたかもしれませんが,現住民族勢力には,「Fire Pit」(たき火)という特殊なフィーチャーが用意されています。これはFire Pitで「町の人」を踊らせることでさまざまな恩恵を得るというものですが,アステカでは,Fire Pitに「聖職者」を割り当てることができ(イロコイ,スーでは不可能),その場合,通常の町の人二人分の効果を得られるなどという特性もあります。
 Fire Pitは非常に強力な効果を生みますが,通常,それなりの人数の町の人を従事させねばならず,その分だけ経済力が落ちたりなどというデメリットが存在します。しかしアステカでは,聖職者を使うことによって,経済力を落とさずにFire Pitの恩恵を存分に受けるなどということができるワケです。
 さらに言うと,Fire Pitの効果の中には各勢力固有のものも用意されているのですが,アステカには「回復の祈り」という効果が用意されており,それをうまく利用して,非常に“死ににくい軍隊”を作ったりすることもできるのです。

4Gamer:
 それは面白そうですね。



「帝国の時代」に代わる新たな第5の時代「革命」
そして「交易の独占」による勝利とは?


4Gamer:
 そういえば,「帝国の時代」に代わる新たな第5の時代として,「革命」が追加されているようですね。革命について教えてもらえますか?

Hudson氏:
 まさにこれから説明しようと思っていました。革命とはおっしゃる通り,帝国の時代に代わる新しい「第5の時代」ということになります。そのコンセプトは「All or Nothing」。一か八かの戦いを挑む時の選択肢という位置づけで考えています。

4Gamer:
 All or Nothing?

Hudson氏:
 ええ,本当に言葉の通りですよ(笑)。具体的に説明していきますが,簡単にまとめると,革命の効果は次の通りです。

 ・甲鉄艦やマシンガン兵など,次世代の特殊ユニットを得られる
 ・すべての町の人が「民兵」になる
   >通常の民兵と違って,時間でHPは減っていかない
 ・町の人の生産ができなくなる
 ・ホームシティが置き換えられ,専用の四つのカードのみの選択となる

 つまり,経済力がゼロになってしまう代わりに,強力な軍事力を得られるという内容になっています。ホームシティで用意される四つカードも軍事カードのみで,敵を滅ぼさない限り敗北という,まさにAll or Nothingな選択肢なんです。
 ちなみに革命の時代に進むために必要な資源は,食料1000,木材1000,金1000と,通常の帝国の時代に進むための資源(食料4000,金4000)よりは割安になっています。しかし革命は,ゲーム内の誰か一人でも実行してしまうと,ほかのメンバーは選択できなくなってしまうなど,使いどころは非常に難しい選択肢になると思います。

4Gamer:
 最後の最後に逆転の目が残されているというのは,なかなか面白い試みですね。

Hudson氏:
 ありがとうございます。それともう一つ,ゲームの勝敗という意味だと,AoE3:WCでは「交易の独占」という新要素も追加しています。

4Gamer:
 おっと,初耳かもしれません。それは一体?

Hudson氏:
 これは,マップの各所にある「交易所」をすべて抑えることが勝利条件の一つになるというものです。具体的には,すべての交易所を抑えるとタイマーが作動し,その時間交易所を守りきれば勝つという内容です。以前のAge of Empiresシリーズにあった「民族の象徴」に近い扱いですね。このルールの導入によって,より戦略性が高まったのではないかと考えています。

4Gamer:
 それは面白そうですね。ほかの新しい要素としては何がありますか?

Hudson氏:
 そうですね。まずユニットにもいくつか新しいものが追加されます。目立つところでは,新しい傭兵ユニットである「忍者」がユニークでしょうか。これは騎兵に対して強い白兵ユニットの一種なのですが,忍者には特殊な能力として「Sneak」(隠密)というものが用意されています。これは敵から見えなくなってしまうというもの凄い能力で,敵を背後から攻めたりするときには非常に効果的なものです。
 またPetard(自爆兵)というユニットも変わっている追加ユニットの一つですね。こちらは対建物用のユニットという扱いなのですが,爆弾を手で運んでいって自爆して破壊するというものです。
 ほかには……,ああ,忘れていました。今回は,交易所のような中立施設に「Saloon」(酒場)というものが追加されています。ここを占拠していると,強力な傭兵ユニットを雇うことができ,戦いを有利に進められます。ただ傭兵は高額なユニットですし,数を揃えるには莫大な金が必要になることでしょうね。ちなみに雇える傭兵の種類は勢力によって変わります。



余談:Ensemble Studiosのオンラインに対する取り組み
Ensemble Studios Onlineはどうやって運営されている?


4Gamer:
 ちょっと話がAoE3:WCから外れてしまいますが,Ensemble Studios Online(以下,ESO)は,現在どのような体制で運営されているのでしょうか?

Hudson氏:
 コミュニティのサポートに専属で4人。パッチの開発に5〜6人という体制で臨んでいます。

4Gamer:
 結構多いですね。パッチの開発に5〜6人というのは,専属の部隊ということなのでしょうか?

Hudson氏:
 ええ,専属です。以前は,パッチの開発には別のプロジェクト(新タイトル開発とか)のメンバーから何人かを引き抜いてきて,小規模なプロジェクトとして短期的に行うことが常でしたが,今回からは,専属でチームを設ける形に変更しています。

4Gamer:
 ただ,例えばMMORPGのようなオンラインゲームと違って,ESOのサービスの強化というのは,直接的な利益になりにくい部分ですよね。そういう部分に10人を専属で従事させるのは,コスト的に厳しいということはないでしょうか?

Hudson氏:
 うーん,確かにコストは掛かります。しかし,我々はそれを無駄だとはまったく思っていません。なぜなら,オンライン対戦で遊ぶプレイヤー達とそのコミュニティが,最もロイヤリティの高いプレイヤー達だと知っているからです。またオンラインで遊ぶプレイヤー達は積極的にフィードバックを送ってくれます。これは,ゲームのクオリティを高める上で欠かせない要素なのです。
 それにオンライン対戦を遊び続けていてもらえれば,今回発売するような拡張版の売り上げにも大きな影響を及ぼします。ビジネス的にも,オンラインコミュニティを重視することはまったく正しい選択だと思っていますよ。

4Gamer:
 なるほど,そういうお考えなのですね。よく分かりました。
 ところで,前々から気になっていたのですが,AoEシリーズの購入者でオンライン対戦を楽しむプレイヤーというのは,どのくらいの割合になるのでしょうか? 差し支えなければ教えて頂きたいのですが。

Hudson氏:
 これまでの経験からいうと,大体20%前後のプレイヤーがオンライン対戦を楽しんでいるのではないかと考えています。シングルプレイを遊ぶ割合は95%くらいでしょうか。つまり,5%くらいはオンライン対戦目当てのプレイヤーということになりますね。

4Gamer:
 20人に一人とは,結構多いものですね。ちなみにAoE3の売り上げ本数は,現時点ではどのくらいなのでしょうか? またESOの累計アカウント数なども興味がありますが。

Hudson氏:
 ESOの累計アカウント数はちょっと分からないですが,同時接続者数は,ピークタイムで5000〜1万人といったところでしょうか。またAoE3の売り上げは,現時点で約200万本だと思います。

4Gamer:
 さすがに凄い人気ですね。

Hudson氏:
 Ensemble Studiosとしては,これからどんなジャンルの作品を作るにせよ“オンラインの体験”をとくに重視したいと考えています。作品のクオリティはもちろんですが,オンラインの体験が素晴らしい,という評判を我々は追い求めたいなと。

4Gamer:
 それは,Ensemble Studiosが新たなオンラインゲームを制作中,あるいは制作する予定があると解釈してよいのでしょうか?

Hudson氏:
 そのへんについてはノーコメントです(笑)。ただ,来週くらいには新しいタイトルについての発表ができると思いますよ。

4Gamer:
 ええっ? それはビッグニュースなのでは。今ちょっとだけお話を聞けたりとかは……。プラットフォームとかジャンルとか。

Hudson氏:
 いやいやいや,言えるんなら,言ってますよ。勘弁してください(笑)。ただ,ぜひ期待していてください,とだけ言わせてください。

4Gamer:
 うーん,残念ですが,とりあえずは来週の発表を楽しみにしていますね。本日はどうもありがとうございました。

Hudson氏:
 こちらこそ。ありがとうございました。


 さて,新たな勢力の追加に加えて,「革命」や「交易の独占」といった新ルールの追加など,拡張パックとしてそつのない出来を感じさせる本作。インタビューの印象,そして今回展示されたプレイアブルデモを遊ぶ限り,これまで通り安心して楽しめる内容であることは,まず間違いないという雰囲気だ。
 Age of Empiresシリーズは日本でも非常に人気の高いRTSであり,いまだに多くの根強いファンが夜な夜なオンライン対戦に興じているほどの作品。「Age of Empires III: The WarChiefs」の発売によって,そのオンライン対戦のさらなる盛り上がりに期待したいところだろう。
 ちなみに気になる日本語版の発売だが,マイクロソフトの担当者曰わく「今冬」とのこと。つまり年内発売はまだ保証できない……というのが現状のようだ。ただローカライズ作業自体はすでに相当進んでいる様子で,順調に進めば年内の発売もあり得そうな雰囲気。本シリーズの長年のファンである筆者としても,ぜひ年末年始には遊びたいというのが正直なところなので,ローカライズチームのがんばりに期待したい。(TAITAI)


  • 関連タイトル:

    マイクロソフト エイジ オブ エンパイア III:ザ ウォーチーフ

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