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アラド戦記公式サイトへ
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  • NEOPLE
  • 発売日:2006/09/20
  • 価格:基本プレイ無料+アイテム課金
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アラド戦記
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「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
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印刷2008/02/12 21:31

インタビュー

「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー

画像集#001のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
 2005年,韓国最南端の島である済州島で開催された,新作オンラインゲームタイトルの発表会(関連記事)。当時,現地で取材した筆者が,“そのタイトル”を目にした印象は,「どこかで見たような横スクロールアクションオンラインゲーム」。それ以上のものではなかった。

 そのタイトル「アラド戦記」(原題 Dungeon & Fighter)は,オンラインゲームとしては当時まだ非常に珍しいジャンルだったが,アーケードゲームでは昔からありふれたスタイルであり,課金モデルを適用させるのはかなり難しいというのが業界の一般的な見解だった。

 しかしその予想は見事にはずれた。アラド戦記は10代の学生層から絶大な支持を受け,現在では累積会員数700万人,最高同時接続者18万人を誇る代表的な人気オンラインゲームの一つとして,韓国ゲーム業界をリードしている。2006年にはNHN Japanを通じて日本市場にも進出し,着々と人気を集めている。

 4Gamerは2月3日に開催されたイベント「日韓決闘大会 KOREA Round」の会場で,本作を開発したNeopleの開発取締役,Kim Yoon Jong氏インタビューを実施した。もともと同氏が大会に出席する予定はなかったのだが,インタビューのために会場に来ていただいたのだ。

国際的な対戦と交流の今後はどうなる?


Kim Yoon Jong氏
画像集#002のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
4Gamer:
 休日にもかかわらず,わざわざお越しいただいて申し訳ありません。

Kim Yoon Jong氏(以下,Kim氏):
 いえいえ。しかし家族が待っているので,可能であれば手早くお願いします(インタビュー場所の外では彼の奥さんと赤ちゃんが待っていたのだ)。

4Gamer:
 今日(2月3日)の大会の感想はどうでしたか?

Kim氏:
 数か月前に社内で日韓戦の案件が出たとき,これが果たして技術的に可能かどうか疑問を感じました。しかし今日の大会が無事に終了したのを見て,やりがいが感じられましたね。

4Gamer:
 今回の大会はやはり両国間のバージョンの差が存在したこともあって,必ずしも平等な競争ではなかった……のではないでしょうか。

Kim氏:
 両国間ではサービス開始時期が違うので,仕方ない部分もありました。今後の私達の目標は「World of Warcraft」のように,全世界で同時にアップデートすることです。まずは短期的な計画として,サーバーを越えてトッププレイヤー同士が対戦できる“統合決闘場”が年内に実装される予定です。これは今後,各国のトッププレイヤー達が対戦できるシステムに発展していきます。

4Gamer:
 統合決闘場は各サーバーや各国のトッププレイヤーだけが入場できるのですか?

Kim氏:
 そういうわけではありませんが,現在は一部の上級プレイヤー達しか決闘を楽しんでおらず,普通のプレイヤーはPvPにあまり関心を持っていません。そこで,誰でも簡単に入場してPvPを行える“カジュアル決闘場”のコンセプトも固めているところです。ここはゲームがあまり上手ではないプレイヤーでも,楽しくPvPに参加できる場になるでしょう。

4Gamer:
 両国間のバージョンの差は,現在どれくらい縮まってきていますか?

Kim氏:
 韓国では1月中旬に実装された「鬼剣士の覚醒」が,日本では2月末に実装される予定です。現在は,韓国で毎月1回ずつ行うアップデートを,日本ではまとめて3か月に1回ずつ行っていますが,今後はより頻繁にアップデートを実施し,両国間の差を1か月以内に縮める計画です。

画像集#003のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー 画像集#004のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
画像集#005のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー 画像集#006のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー


女性ガンナーや男性格闘家などが登場


4Gamer:
 日本だけのオリジナルアップデートの計画はありますか?

画像集#007のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
Kim氏:
 事実,その件についてはNHN Japanさんからいつも要請されていたものの,昨年までは両国間のバージョンの差を縮めるために速度優先のアップデートを行ってきました。しかし今年からは中国サービスが始まることもあり,各国別のオリジナルコンテンツも支援していく方針です。日本でいえば武者装束や日本刀など,中国では中国専用の服装といった方向性ですね。しかし究極的には,アップデートの効率性を考慮した,どこの国でも通用する汎用的なコンテンツこそ,開発会社としては効果的だと考えます。日本のプレイヤーには,今後さらに配慮していく予定です。

4Gamer:
 具体的にはどのような配慮を考えていますか?

Kim氏:
 例えば現在,武器の名称などの大部分は英語表記になっています。しかし長めの英文になってしまった武器名は,あまり記憶されていないプレイヤーも多いことが判明しました。これでは自分が持っている武器に対する愛情も深まりません。そこで武器などのアイテム名を,日本のプレイヤーが覚えやすい名称に変えようかと考えています。

4Gamer:
 なるほど,そうですね。ほかにも何かありますか?

Kim氏:
 これはもちろん日本だけでなく韓国のプレイヤーでも同様ですが,異性キャラクターの構想です。ご存じでのように,アラド戦記は職業別に性別が固定されていますが,この部分の見直しに関する要望が多かったです。公式サイトを通じて投票してみた結果,“女性ガンナー”の登場を望む声が高かったです。 おじさん魔術師の要望も強かったですね。これらは順次,韓国と日本に実装していく計画です。

画像集#008のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
ガンナー(女性)
画像集#009のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
格闘家(男性)

4Gamer:
 異性キャラクターの登場はプレイヤー層の拡大に大いに役立つでしょうね。

Kim氏:
 はい,そうです。現在私達の開発方針は,より誰でも楽しめるものを目指すという方向を取っていて,例えば現在アラド戦記で遊んでいる男子学生のガールフレンドも一緒にゲームが楽しめるような,親切なゲーム内案内や易しいインタフェースなどに作り変えています。

4Gamer:
 日本のプレイヤーはゲームパッドを使う人がかなり多いですが。

Kim氏:
 昨年実施した,日本のプレイヤーとの懇談会(関連記事)の結果,プレイヤー全体の90%がゲームパッドを使っていて,50%がノートPCで遊んでいるということが分かりました。そこでゲームパッド使用時のキーコンフィグが便利になるよう,今後のアップデートに反映する予定です。またノートPCでのプレイをサポートするため,ワイド画面などへの対応も調整中です。

4Gamer:
 アラド戦記専用ゲームパッドなどは計画していないのですか?

Kim氏:
 現在,パブリッシャであるサムスンと,日本向けにアラド戦記の専用ゲームパッド制作を協議中ですよ。

画像集#014のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
4Gamer:
 噂で聞きましたが,コンシューマバージョンと,後継作品である「Dungeon & Fighter 2」を制作中だとか。

Kim氏:
 Dungeon & Fighter 2は現状としてはまったく計画にありません。事実,Dungeon & Fighter自体もまだまだ不足している部分が多く,アップデートの課題が山のように積もっています(笑)。当分はDungeon & Fighterに注力するでしょう。コンシューマバージョンに関しては社内で検討中です。可能ならばNDS用で開発したいですが,まだ任天堂さんに話を持ちかけたこともないので,動き出すとしてもかなり先の話になるでしょう。

4Gamer:
 なるほど,噂はあくまで噂ということですね。では現実的な話に移りますが,本作は韓国で人気が高かったものの,ハッキング問題に非常にぜい弱だったというのもまた事実です。この部分に関連した対策はどうですか?

Kim氏:
 私達にとっても最大の問題がハッキング関連です。とくにプレイヤーのアカウントをハッキングする問題が最も深刻です。しかし昨年8月から本格的にハッキング防止に取り組み,現在はハッキングに関する問い合わせもかなり減少しています。まもなく中国サービスも始まる予定なので,海外サービスチームは万全の準備を整えています。

「アラド戦記」を生み出すのは冒険だった


4Gamer:
 個人的には,Dungeon & Fighterがここまでの大ヒットを記録するとは正直思っていませんでした。本作の最初の開発コンセプトはどのようなものだったのですか?

画像集#011のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
Kim氏:
 最初の企画は,「ストリートファイター」のような対戦格闘をオンラインゲームで開発してみようというものでした。しかし人間同士の対戦では,勝てない人がいずれゲームをやめてしまうという問題が浮上し,それならプレイヤーのストレスを減らす方向で企画を変えてみることにしました。人間の代わりにモンスターをなぎ倒そうということになったのです。

4Gamer:
 それで両方のコンセプトを併せ持つゲームになったのですね。

Kim氏:
 Dungeon & Fighterのサービス直後は,よく「天地を食らう」や「ダブルドラゴン」を真似たのではないかと言われましたが,実際には「キャディラックス 恐竜新世紀」をかなり参考にさせていただきました。さわやかなアクション,ダッシュなど……今でもこのゲームを作った開発者には感謝しています。

4Gamer:
 当時としては非常に冒険的な試みでしたよね。

Kim氏:
 はい,周りからは憂慮の声が高かったのが本当のところです。しかし当時,私達は「FreeStyle」(邦題 フリスタ!)の成功に勇気づけられ,私達の会社のモットー「WE MAKE WONDERS!」を実証してみせることにしたのです。リスクは非常に大きなものでしたが,成功のためにはまず挑戦が必要だと考えました。

4Gamer:
 なるほど。Neopleは現在,どんな新作開発に挑戦中ですか?

Kim氏:
 具体的には言えませんが,2か所の社内スタジオでそれぞれ新作を開発中です。 一つは女性層をターゲットにした可愛らしいオンラインゲームで,もう一つはまだ秘密です。

4Gamer:
 Kim氏ご自身についての質問ですが,今後はどんな新しい挑戦をしたいですか?

Kim氏:
 個人的には「Heroes of Might & Magic」のようなストラテジーを,オンラインゲームとして作ってみたいです。しかし,こういうジャンルはまだオンラインゲーム市場から乖離していると判断しているので,個人的な構想だけに留めています(笑)。

4Gamer:
 Neopleで大きな功績を上げたKim氏ですが,開発経歴を教えてください。

画像集#010のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
Kim氏:
 大学でコンピュータ工学を専攻し,プログラマとして1997年にPC用のストラテジーゲーム「三国志演義98」を,その後「VOS」というPC用のリズムゲームを作りました。Neopleにはアルバイトのサーバープログラマとして入社し,「Candy Bar」というカジュアルゲームポータル用のゲームを10種類ほど開発しました。そのときP2P方式の同期(synchronization)問題に関して多くの研究を進め,ノウハウを持っています。特許出願もかなりしました。

4Gamer:
 開発経歴がすごいですね。それでは最後に日本のアラド戦記のプレイヤーに一言,お願いします。

Kim氏:
 まだ多くの問題点を抱えているアラド戦記ですが,ゲームをプレイしてくださっている日本のプレイヤーの皆さんには心から感謝の気持ちを伝えたいです。韓国のプレイヤーは掲示板などで,問題点の指摘や苦情,あるいはただの悪口といったものまで毎日数多く寄せています。これは開発にとっては多いに役に立っています。日本のプレイヤーの皆さんは黙々と耐えて遊んでくださっているようですが,非常に心苦しいです。悪口でもいいのでぜひ我々に伝えてください。 とにかく,今年はアラド戦記を一層快適にプレイできるように,さまざまな手を打っていきます。愛情を持ってプレイしてくださっている皆さんには必ず報いるようにします。

4Gamer:
 ありがとうございました。

画像集#013のサムネイル/「アラド戦記」の開発総括取締役,Kim Yoon Jong氏インタビュー
 横スクロールアクションというジャンルをオンラインで成功させた,アラド戦記の父であるKim Yoon Jong氏。彼はNeopleにアルバイトとして入社して,現在は同社の開発を総括する取締役まで昇進した,韓国業界でも珍しい立志伝中の人物だ。そのような大物でありながら,彼は始終一貫して謙虚な姿勢でインタビューに応じてくれた。また驚くべきは,同作の開発にあたって「キャディラックス 恐竜新世紀」から多くを参考にしたと明かし,その開発者に感謝を述べるという率直な受け答えぶりだった。現在,多くの韓国の開発者は「某ゲームを参考にしませんでしたか?」と質問すれば,否定するのが普通だ。Kim氏の率直さと謙虚な姿勢は,アラド戦記の今後にも期待を寄せられる理由になると思うのは,筆者だけではないだろう。
(2008年2月3日収録)
  • 関連タイトル:

    アラド戦記

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