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「The Tower of AION」発表会詳報。韓国や中国で大ヒット中のMMORPGをムービーでチェック
■4月17日12:30頃,制作スタッフのコメントを追記しました。
AIONは,2006年のE3にて初プレイアブル出展され,2008年に韓国で正式サービスが開始されたタイトル。数多のタイトルがひしめく韓国オンラインゲーム市場において,同時接続者24万人を記録し,2008年度の「韓国ゲームアワード」では大賞を受賞。
韓国に続いてサービスが行われた中国市場でも,あっと言う間に88ものワールドが実装されるなど,非常に好調な滑り出しを見せている。そのタイトルがいよいよ,日本にも上陸するのだ。
「The Tower of AION」プレビューサイト
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続いて,NCJの新社長に就任したパク・ソンジュン氏は,韓国で成功した秘訣について「既存のMMOプレイヤーのみならず,ライト層や女性プレイヤー層を大きく取り込んだことが,韓国でのAIONの成功に結びついた」と語る。またチーフ シニア マネージャーのジョン・スルギ氏は,「MMOは製品寿命が長く,長期的に成功し続けるためにはなによりも運営が大切。我が社がこれまで8年間に蓄積したすべての運営ノウハウをAIONに注ぎ込み,「最高の製品+最高の運営」でAIONを日本にお届けしたい」と,AIONへの並々ならぬ意気込みを語ってくれた。
PC勢力の天族と魔族,そしてNPC勢力の竜族が三つ巴で繰り広げる「PvPvE」
まずはバックグラウンドストーリーから見ていこう。もともとAIONの世界では一つの種族が暮らしていたが,とある事象により天と地をつないでいた"永遠の塔"が真っ二つになり,天族と魔族の二つに分かれてしまう。塔からは「オード」と呼ばれる貴重なエネルギーが常に流出し続けており,このままでは天族・魔族共に滅亡してしまう。オードの流出を止めるためには,相手勢力のタワーを完膚なきまで破壊し尽くさねばならないというのだ。
元は同じ種族であったはずの二種族は,自らが生き残るために悲しい宿命を背負ってしまうのである。
アビスでは陣取りゲームや攻城戦をはじめとした,盛りだくさんのPvPを満喫できる。
AIONでのPvPで最大の特徴といえるのは,第三のNPC勢力として「竜族」が介入することだ。この竜族は,主に劣勢の側に助太刀するのがユニークである。仮に,両軍の戦力差があったとしても,ワンサイドゲームにはなりにくく,充実したPvPを楽しめるようになっている。このシステムはAIONの目玉の一つで,「PvPvE」と名づけられている
プレイヤーが作成できる種族は,天族あるいは魔族の2種類。ヒューマンやエルフといった区分はない。種族の数が少ないと思うかもしれないが,AIONには強力なカスタマイズ機能が搭載されている。例えばモーフィング機能を積極的に取り入れており,手や足などの長さも細かく設定できる。顔だけでもなんと30近くの調整要素があるとのことだ。
キャラクターが選べるクラスについても,今回正式に発表された。日本語版は独自の職業名となっている。PCがキャラクター作成時に選べるクラスは,「ソードマン,ストライカー,ウィザード,クレリック」の4種類。そしてレベルが10になったキャラクターは,クエストを通じてそれぞれ2種類の分岐を迎えることになる。それぞれのクラス分岐はこのような流れだ。
ソードマン
ソードウィング(重装近接戦闘)
シールドウィング(盾役)
ストライカー
ボウウィング(遠隔戦闘)
シャドウウィング(軽装近接戦闘)
ウィザード
スピリットウィング(召喚&変身)
スペルウィング(魔法攻撃&CC)
クレリック
キュアウィング(回復職)
チャントウィング(バフ職)
また,レギオン(ギルドなどに相当)を組んでレイドを行うなど,コアプレイヤーにとっては幅広く遊べそうだ。
一方のライト層に向けてもコンテンツはたっぷりとある。例えばクエストに関しては,ソロプレイでも10〜30分程度でこなせるものが多いとのこと。しかも採取や生産関連のスキルを使っても,経験値を獲得できるとのことだ。ちなみにクエストの総数は現時点でも2000近くあり,今も急速に拡大している。
韓国版では一プレイヤーとしてゲームを楽しんでいるという西本氏によると,ほかのゲームのようなパーティ待ちなどでの無駄な時間がなく,ちょっとした時間にカジュアルゲームのように少しずつプレイを楽しめるとのこと。クエストもサクサク進むそうで,全体にストレスが少ないゲームになっているようだ。
そして2006年の発表時から大きくフィーチャーされていた飛行システムも,もちろん健在。現在AIONの飛行システムは,好きな場所で飛んだり着地できたりする。木や建物の上に乗れるようにするため,アーティストの作業量は倍以上になってしまったらしいのだが,プレイヤーにとってはかなり好評のようだ。ちなみに,落下ダメージもあるので注意とのこと。
日本でのサービススケジュールも発表
まず,明日の4月17日にプレビューサイトがオープンする。そして以下のスケジュールでテストが行われる段取りだ。
・6月5日〜 Family&Friend Test:関係者やファンサイト管理人などを対象
・6月12日〜 クローズドβテスト
・6月末〜 一般プレイヤーが参加できるイベントを予定
・7月〜 オープンβテスト
今回のカンファレンスでは,登壇した関係者のほとんどが,かなりの自信を持ってAIONを紹介している姿が見受けられた。「触ってもらえれば絶対に気に入ってもらえるはず」と,一般的なMMOだとちょっと浮いてしまうレベルだったかもしれないが,確かにAIONのシステムを見ていくにつれ,思わず納得してしまったのが正直な気持ちである。
AIONは少なくとも現在発表されている中では,本年度最大の注目タイトルの一つといっても過言ではない。このタイトルが今後日本でどのように受け入れられるか注目していきたい。
※4月17日12:30頃追記しました
NCsoftのスタッフらが開発時のエピソードを披露
カンファレンスの最後では,AIONの開発に携わった主要スタッフ4名が登壇。日本側のプロデューサーである西本氏も交えつつ,それぞれの立場から,AIONの開発にまつわるエピソードなどを語ってくれた。彼らのコメントを要約してお伝えしよう。
■キム・ヒョンジュン(アートディレクター)
キャラクターエディット関連には最も力を入れており,プレイヤーがマイキャラに愛着を持てるよう最善を尽くした。ほかのMMOで,体全体の長さをモーフィングで変えられるのはよく見かけるが,AIONでは腕や足の長さや太さを個別に調整できる。そのほかにも,膨大なエディット項目があり,サーバー内に同じ外見のキャラクターは二人としていないのではないかと思える。キャラエディット機能に関しては,ゲームプレイを行なう前に,前もって試せる機会を設ける予定だ。
開発時に苦労したのは,すべてのオブジェクトを「360度,どの方向からでも見られる」ことを前提として作ることだった。従来は,プレイヤーから死角になる部分に関して,それほど作り込まなくてもよかったが,空を飛べるAIONではそうはいかない。木や屋根の上に乗ったりすることも考慮する必要があり,開発の作業量は想像していたよりもかなり大きくなってしまった。
■イ・ジホ(ワールドデザインディレクター)
オンラインゲームのビギナーでもプレイしやすいことにこだわって作った。例えばLFG(パーティ参加希望)を出して返事のないまま何時間も無駄に過ごすことなく,短い時間でもクエストでサクっと遊べるなど,カジュアルなプレイスタイルも可能。あとは,ユーザーインタフェースの分かりやすさと,画像をふんだんに盛り込んだチュートリアルも,初心者が遊ぶことを意識して作っている。これらの努力は十分に成果を出しており,AIONのユーザー層を分析すると,これまでMMORPGが未経験だったという人の割合が高い。
全体的にゲームのボリュームが大きく,しかも現在進行形で急速に増え続けており,これらを開発し続けるのはかなり大変。クエストの数はサービス開始段階では1500だったものの,現在では2000近くまで増えている。AIONの開発期間は長かったが,クエストを初めとしたコンテンツの量を考えると,むしろ短いという見方もできる。
クエストのバリエーションも多彩で,NPCとの会話で受けられるものだけではなく,例えばドロップアイテムを拾った途端にクエストが始まったりする。シークレットクエストも用意した。ソロプレイでこなせるものも多く,クエスト主体のプレイでもキャラクター育成は十分可能だ。
■シム・マロ(プログラミングディレクター)
1ワールド(サーバー)に5000人が同時にログインしても,ラグなどを出さず円滑にプレイできることを目標した。サービス開始以降のログイン率は全体的に高いものの,サーバーダウンは極端に少なく,このAIONの根底を支える技術については自信を持っている。
開発時に苦労したのは,飛行やジャンプといった空中に関するプログラム全般。単にキャラクターを空中に浮かべるだけでなく,鳥が飛ぶような自然な動きを表すのが難しかった。あたかもグライダーのように,緩やかに滑空するようなことも可能で,このあたりの表現に注目してほしい。
■梁 邦彦(ミュージックプロデューサー)
3年前にBGM制作のオファーを受けた際,「ゲーム用の音楽ではなく“作品”を作ってほしい」と言われ,クリエイターとして俄然やる気が出た。その際に提示されたキーワードは「スケール感,壮大さ,オーケストラ使用」の三つのみで,あとは完全に自由にやってくれて構わないとのこと。最高水準の楽曲を作るべくロンドンへ飛び,フィルハーモニー管弦楽団とアビー・ロード・スタジオにて楽曲を収録。楽団のスタッフは,最初は“ゲーム音楽”と聞いて渋い顔をしたが,開発途中のバージョンのAIONを見せると「ああ,映画を作るんだね」と納得。それ以降は楽団の雰囲気がガラリと変り,とても良い感じで収録できた。
作曲時に意識したのは二つで,まずはキャッチーなメロディ。オーケストラを用いたゲーム音楽はほかにも見かけるが,ゴージャスさはあるものの,いま一つメロディがはっきりしないのが不満だった。もう一つは,オンラインゲームにおけるBGMは長時間耳にするため,繰り返し聞いても,くどさを感じないこと。この部分は映画やアニメのBGM制作とは大きく違い,今でも良い経験をさせてもらったなと思っている。
なお4Gamerでは,プレスカンファレンスの終了直後に,開発スタッフへのインタビューを行なっている。いろいろと興味深い話を聞くことができたので,近日掲載予定のインタビュー記事をぜひ期待して待っていてほしい。
「The Tower of AION」プレビューサイト
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