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Intel,Core 2 Extreme/Duoを正式発表。「ゲームでは今後も高い性能のCPUが必要」
Core 2 Extreme/Duoのラインナップは下に挙げたとおり。まずデスクトップPC向けはすべてFSB 1066MHzで,AMD64互換の64bit機能「Intel 64」(旧称EM64T),仮想化技術のIntel Vitualization Technology(以下VT)をサポートする。最上位モデルとして用意されるCore 2 Extremeだが,動作クロックとTDP以外にCore 2 Duo(の上位2モデル)と違いはなく,純粋に高クロックの特別モデルという理解でいいだろう。消費電力の目安となるTDPは65〜75Wで,Pentium Dシリーズの最上位であるPentium Extreme Editionが130Wだったことを考えると,劇的に下がっているのが分かる。
次にノートPC向けCore 2 Duo。こちらはいずれもFSB 667MHz。L2キャッシュ容量4MBモデルがT7000番台,同2MBモデルがT5000番台となる。
Core 2 Extremeは,発表と同時に店頭販売が始まっているが,Core 2 Duo E6000番台の発売は2006年8月初旬の予定。また,Core 2 T7000/T5000番台は,8月下旬に価格が発表される予定となっている。
発表会では,インテルの代表取締役共同社長である吉田和正氏が,「驚異的な性能を提供しつつ,優れた電力効率も提供するCoreマイクロアーキテクチャに基づいたCore 2 ExtremeとCore 2 Duoは,今日(こんにち),そして将来のコンピューティングを革新する製品」と挨拶。続けて,同社マーケティング本部長の阿部剛士氏が,Coreマイクロアーキテクチャの特徴について,改めて解説を行った。
では,Coreマイクロアーキテクチャとは何かといえば,その特徴は,下に挙げる五つの技術を搭載している点にある。
ワイド・ダイナミック・エグゼキューション
(Intel Wide Dynamic Execution)
スマート・メモリー・アクセス
(Intel Smart Memory Access)
メインメモリへのアクセスにかかる待ち時間を隠蔽するための技術だ。CPUの速度に比べると,メインメモリの速度は非常に遅い。そこでスマート・メモリー・アクセスでは,データの読み出しや書き込みの順序を並び替えて(アウト・オブ・オーダー実行),待ち時間をできるだけ少なくするようにしている |
アドバンスド・スマート・キャッシュ
(Intel Advanced Smart Cache)
インテリジェント・パワー機能
(Intel Intelligent Power Capability)
アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト
(Intel Advanced Digital Media Boost)
SSE命令などの128bit命令セットを高速に実行するための技術だ。従来,128bit命令は,下位64bitと上位64bitに分けて,2クロックサイクルで実行していたが,Coreマイクロアーキテクチャではこれを1クロックサイクルで実行可能になった。このため,SSE命令では純粋にパフォーマンスが倍増。マルチメディア関連のアプリケーションでの性能向上が期待できる |
こういった新しい技術がどれだけの性能向上をもたらしたのか,そして,どれだけの消費電力低減をもたらしたのかについては,すでに4Gamerでベンチマークテスト結果を掲載しているので,ぜひ参考にしてほしい。阿部氏は発表会で,(ゲームを含めた)全般的な話として,Core 2 Duoの性能はPentium Dに比べて40%以上向上し,消費電力は40%以上減ったとアピールしている。
■「より豊かなゲーム体験のために,
■今後もさらなるCPUの性能向上が要求される」
登壇するなり,和田氏は「最近,ゲーム産業の関係者や,ゲーム関連メディアなどで,我々の感覚とは異なるメッセージが発せられていると感じます」と発言。「ゲームはこれまで高精細なグラフィックスを追求していたが,そういう時代は終わったのではないか。それを追求しすぎると開発コストが増大して,ゲーム産業が成り立たなくなるのでないか。(ハードウェアの)性能競争はいったん休んで,違うところへ向いて発展していくのではないか,いや,そちらを向いているに違いない」という論調が増えていると指摘した。
そして和田氏は,この論調の中に,あまりにも急激な「高性能なハードウェアはもういらない」「高精細なグラフィックスは不要で,ゲームデザインなどへ進むべきだ」という意見が含まれていることへの懸念を表明する。
「ハードウェアが急激に進化していた頃,確かにグラフィックス重視の一辺倒だったことがありました。しかし,それは『もう高性能なハードウェアはいらない』ということにはなりません。単に,それ以外の方向“にも”進化するようになっただけ。ユーザーのリッチな体験のためには,今後もハードウェアの性能向上が必要です」。
また,開発コストの増大という問題についても「確かに開発コストは年々増大していますが,これはユーザーが何を求めているのか,それとビジネスモデルをどうするのかという問題なわけです」と話す。氏は,ソフトを供給するメディアがカートリッジから光学メディアを経て,今後はネットワークになっていくという予測を示し,これによって,流通コストや収益モデルが多様になるとした。すでに開発コストを吸収可能なビジネスモデルを構築する環境は整っているから,開発コストの問題をハードウェアの性能の高さに転嫁するのは誤りと,和田氏は言っているわけだ。
和田氏が述べるように,ゲーム開発の方向性が従来のような描画性能一辺倒ではなく,多軸に進化していくようになったのは事実であろう。しかし,映画に匹敵する高品質な映像でゲームを楽しみたいというニーズは確実に存在する。そういったニーズに応えるためには,CPUもGPU(グラフィックスチップ)もさらなる性能向上が必要だ。その意味で,Core 2シリーズは,そうした進化へ向けての大きな一歩といえるだろう。(石井英男)
- 関連タイトル:
Core 2
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