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Core 2
  • Intel
  • 発表日:2006/07/27
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Intel,Core 2 Extreme/Duoを正式発表。「ゲームでは今後も高い性能のCPUが必要」
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印刷2006/07/27 23:22

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Intel,Core 2 Extreme/Duoを正式発表。「ゲームでは今後も高い性能のCPUが必要」

 Intelの日本法人であるインテルは,2006年7月27日に,開発コードネーム「Conroe」(コンロー)および「Merom」(メロム)として知られていたデュアルコアCPUを,Core 2 Extreme X6800,Core 2 Duo E6000番台,Core 2 Duo T7000/T5000番台として,正式に発表した。

 Core 2 Extreme/Duoのラインナップは下に挙げたとおり。まずデスクトップPC向けはすべてFSB 1066MHzで,AMD64互換の64bit機能「Intel 64」(旧称EM64T),仮想化技術のIntel Vitualization Technology(以下VT)をサポートする。最上位モデルとして用意されるCore 2 Extremeだが,動作クロックとTDP以外にCore 2 Duo(の上位2モデル)と違いはなく,純粋に高クロックの特別モデルという理解でいいだろう。消費電力の目安となるTDPは65〜75Wで,Pentium Dシリーズの最上位であるPentium Extreme Editionが130Wだったことを考えると,劇的に下がっているのが分かる。
 次にノートPC向けCore 2 Duo。こちらはいずれもFSB 667MHz。L2キャッシュ容量4MBモデルがT7000番台,同2MBモデルがT5000番台となる。

 Core 2 Extremeは,発表と同時に店頭販売が始まっているが,Core 2 Duo E6000番台の発売は2006年8月初旬の予定。また,Core 2 T7000/T5000番台は,8月下旬に価格が発表される予定となっている。

※ 価格は1000個ロット時(1000個受注時における1個)の価格。リテールパッケージの店頭価格の目安ではない。店頭の“初値”は,基本的にこの価格よりも幾分高くなる


 発表会では,インテルの代表取締役共同社長である吉田和正氏が,「驚異的な性能を提供しつつ,優れた電力効率も提供するCoreマイクロアーキテクチャに基づいたCore 2 ExtremeとCore 2 Duoは,今日(こんにち),そして将来のコンピューティングを革新する製品」と挨拶。続けて,同社マーケティング本部長の阿部剛士氏が,Coreマイクロアーキテクチャの特徴について,改めて解説を行った。

左:Core 2 Duoを持つ吉田和正氏。勝利を確信しているためか,この笑み
右:Coreマイクロアーキテクチャの概要を説明する阿部剛士氏


マイクロアーキテクチャの進化を示したスライド。Coreマイクロアーキテクチャの登場によって,デスクトップ向けとモバイル向けに分かれていたマイクロアーキテクチャが再び一つになった
 阿部氏はまず,1989年に登場したCPU「i486」以降におけるマイクロアーキテクチャの進化を示した。Intelは2003年以降,デスクトップPC向けにはNetBurst,ノートPCにはモバイル(Baniasともいう)という,別のマイクロアーキテクチャに基づく製品をリリースしてきたが,今回のCore 2シリーズでは,デスクトップPCでもノートPCでも(さらにはサーバー/ワークステーションでも)同じCoreマイクロアーキテクチャを採用。Pentium 4系のNetBurstにほころびが見え始めたこともあって,電力効率のいいマイクロアーキテクチャで,統一を図ったといったところである。

 では,Coreマイクロアーキテクチャとは何かといえば,その特徴は,下に挙げる五つの技術を搭載している点にある。

ワイド・ダイナミック・エグゼキューション
(Intel Wide Dynamic Execution)

実行パイプラインを従来に比べて広げ(ワイドパイプ),1クロックで実行可能な命令数を増やすもの。従来のNetBurstでは,1クロックあたり3命令の同時発行が可能だったが,Coreマイクロアーキテクチャでは,1クロックあたり4命令の同時発行が行えるようになった。つまり,同じクロックでも,4命令/3命令=1.33で,最大33%の性能向上が期待できるわけだ。また,マクロフュージョンと呼ばれる,一般的な命令のペアをまとめて一つにすることで,さらに命令実行効率を高める工夫もなされている。ちなみに,今回発表されたCore 2シリーズのパイプライン段数は14で,NetBurst系に比べると浅く,キャッシュミス時のペナルティが少ない


スマート・メモリー・アクセス
(Intel Smart Memory Access)

メインメモリへのアクセスにかかる待ち時間を隠蔽するための技術だ。CPUの速度に比べると,メインメモリの速度は非常に遅い。そこでスマート・メモリー・アクセスでは,データの読み出しや書き込みの順序を並び替えて(アウト・オブ・オーダー実行),待ち時間をできるだけ少なくするようにしている


アドバンスド・スマート・キャッシュ
(Intel Advanced Smart Cache)

デュアルコアCPU向けに最適化されたキャッシュシステム。Pentium D(やAthlon 64 X2)など,これまでのデュアルコアCPUではCPUコアごとにL2キャッシュが用意されていたのに対し,Coreマイクロアーキテクチャでは,2個のCPUコアでL2キャッシュを共有する仕様になり,いずれのコアもL2キャッシュの全領域にアクセス可能となった。デュアルコアCPUの場合,片側のコアに大きな負荷がかかることが多いが,このようなときに,Coreマイクロアーキテクチャであれば,“負荷の低いほうのコアに接続されたL2キャッシュがまるまるムダになる”ことがないため,性能面で有利。また,L1とL2の両キャッシュ間帯域幅も従来の2倍になっており,より高速なアクセスが可能だ


インテリジェント・パワー機能
(Intel Intelligent Power Capability)

Coreマイクロアーキテクチャでは,CPUコアごとに動作状態(ステート)を変更できるほか,各コアを構成するサブシステム(≒機能)中の使わない部分について,電力供給をカットしたり,使うようになったら瞬時に復帰したりする「パワー・ゲーティング」技術が搭載されている。これにより,電力消費の削減と,高速なレスポンスの両立が可能だ。また,ステートとしてはCore Duoで採用された「Enhanced Deeper Sleep」を引き続き搭載。これにより,CPUコアを再起動しないで済むギリギリのところまで供給電圧を下げられるようになるため,消費電力のさらなる低減を実現できる


アドバンスト・デジタル・メディア・ブースト
(Intel Advanced Digital Media Boost)

SSE命令などの128bit命令セットを高速に実行するための技術だ。従来,128bit命令は,下位64bitと上位64bitに分けて,2クロックサイクルで実行していたが,Coreマイクロアーキテクチャではこれを1クロックサイクルで実行可能になった。このため,SSE命令では純粋にパフォーマンスが倍増。マルチメディア関連のアプリケーションでの性能向上が期待できる


 こういった新しい技術がどれだけの性能向上をもたらしたのか,そして,どれだけの消費電力低減をもたらしたのかについては,すでに4Gamerでベンチマークテスト結果を掲載しているので,ぜひ参考にしてほしい。阿部氏は発表会で,(ゲームを含めた)全般的な話として,Core 2 Duoの性能はPentium Dに比べて40%以上向上し,消費電力は40%以上減ったとアピールしている。

7月27日には,グラフィックスコア統合のCore 2 Duo Extreme/Duo対応チップセット「Intel G965 Express」も発表された。ただし,発表会では,グラフィックスコアの詳細などは明らかにになっていない


■「より豊かなゲーム体験のために,
■今後もさらなるCPUの性能向上が要求される」


「ホスト(招いた側)の新製品発表を祝う」という“オヤクソク”なしで,いきなりゲームの話を始めた和田洋一氏。その瞬間,会場の空気が変わった
 さて,今回の発表会では,スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏がゲストスピーカーとして登壇。同氏の講演内容は,かなり興味深いものだったので,ここにお知らせしたい。

 登壇するなり,和田氏は「最近,ゲーム産業の関係者や,ゲーム関連メディアなどで,我々の感覚とは異なるメッセージが発せられていると感じます」と発言。「ゲームはこれまで高精細なグラフィックスを追求していたが,そういう時代は終わったのではないか。それを追求しすぎると開発コストが増大して,ゲーム産業が成り立たなくなるのでないか。(ハードウェアの)性能競争はいったん休んで,違うところへ向いて発展していくのではないか,いや,そちらを向いているに違いない」という論調が増えていると指摘した。
 そして和田氏は,この論調の中に,あまりにも急激な「高性能なハードウェアはもういらない」「高精細なグラフィックスは不要で,ゲームデザインなどへ進むべきだ」という意見が含まれていることへの懸念を表明する。
 「ハードウェアが急激に進化していた頃,確かにグラフィックス重視の一辺倒だったことがありました。しかし,それは『もう高性能なハードウェアはいらない』ということにはなりません。単に,それ以外の方向“にも”進化するようになっただけ。ユーザーのリッチな体験のためには,今後もハードウェアの性能向上が必要です」。

 また,開発コストの増大という問題についても「確かに開発コストは年々増大していますが,これはユーザーが何を求めているのか,それとビジネスモデルをどうするのかという問題なわけです」と話す。氏は,ソフトを供給するメディアがカートリッジから光学メディアを経て,今後はネットワークになっていくという予測を示し,これによって,流通コストや収益モデルが多様になるとした。すでに開発コストを吸収可能なビジネスモデルを構築する環境は整っているから,開発コストの問題をハードウェアの性能の高さに転嫁するのは誤りと,和田氏は言っているわけだ。

フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークソフトにおける,Core 2 ExtremeとPentium Dの比較
 和田氏はまた,マルチスレッドに対応したスクウェア・エニックス製オンラインアクション「フロントミッション オンライン オフィシャルベンチマークソフト」で,Pentium D 940と比べてCore 2 Extreme X6800が36%高速であることや,“次世代プラットフォーム”向けに開発中のゲーム画面を提示。「より豊かなユーザーエクスペリエンスを追求していくのがクリエイターの魂です。お客様方のマシン環境が進化すれば,今までと違った体験をできるようになる。今後も,さらなるパフォーマンスの向上を期待したいと思います」と語り,CPUの性能向上が,ゲーマーに新たな体験をもたらしてくれると力説した。


次世代プラットフォームに向けて開発中とされるゲームのショット。スクウェア・エニックスのPC用ゲームタイトルはこれまでどちらかというと,低スペックなPCでも動作するものが多かったわけだが,和田氏の発言に呼応する形で,ハイエンドPCを要求するものが登場してくるようだと,これはかなり面白くなりそうだ


 和田氏が述べるように,ゲーム開発の方向性が従来のような描画性能一辺倒ではなく,多軸に進化していくようになったのは事実であろう。しかし,映画に匹敵する高品質な映像でゲームを楽しみたいというニーズは確実に存在する。そういったニーズに応えるためには,CPUもGPU(グラフィックスチップ)もさらなる性能向上が必要だ。その意味で,Core 2シリーズは,そうした進化へ向けての大きな一歩といえるだろう。(石井英男)

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