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Intel,発表会で“新世代”Centrinoをお披露目。Centrino Duo/Pro対応ノートPCが各社から登場
この発表会では,Centrino Duo/Centrino Proについての基調講演および新世代Centrino Duo/Proを採用した新製品やソリューションの展示などが行われた。ここでは,発表会の内容や,会場で展示されていた新世代Centrino Pro/Duo対応ノートPCを中心に紹介していこう。
■第4世代に進化したCentrino Duo
開発コードネーム「Santa Rosa」(サンタロサ)と呼ばれていたCentrino Duoの詳細については,5月9日の記事で解説されているので,ここでは簡単にその特徴を紹介するに留める。
今回発表された新世代Centrino Duoは,2003年3月に発表された初代Centrinoから数えて4世代めとなるプラットフォームだ。Centrinoは,「いつ,どこででも可能なコンピューティングとネットワーク接続」(いわゆるユビキタスコンピューティング)を実現するために誕生したモバイル向けプラットフォームで,以下の四つの要素を特徴としている。
- 「優れたパフォーマンス」
- 「シームレスなワイヤレス接続」
- 「長時間のバッテリー持続時間」
- 「革新的な新型フォームファクター」
まずCPUだが,従来のCentrino Duoと同じくCoreマイクロアーキテクチャーを採用したCore 2 Duoが採用されている。Core 2 Duoについては,以下の4点が改良されており,より高いパフォーマンスと長いバッテリー持続時間を実現する。
- FSBが667MHzから800MHzに向上
- FSBを動的に変化させる「Intel Dynamic Front Side Bus Frequency Switching」
- キャッシュメモリへの電源供給をカットする「Enhanced Intel Deeper Sleep」
- シングルコア動作時にクロックを引き上げる「Intel Dynamic Acceleration」
■内蔵グラフィックス機能の3D描画性能は,従来の2倍以上に向上
チップセットについては,グラフィックス機能統合型のMobile Intel GM965 Express(以下,Intel GM965)およびグラフィックス非統合のMobile Intel PM965 Express(以下,Intel PM965)が用意される。Intel GM965では,グラフィックスコアとしてGMA X3100を採用。Windows Vista Premium Readyの要件を満たしており,Vista Aeroも問題なく動作する。Mobile Intel 945GM Expressの内蔵グラフィックスコア「GMA 950」に比べて,3DMark06のスコアは2倍以上に向上するとのこと。ただし,従来に比べて3Dグラフィックス性能が向上したといっても,グラフィックスカード向けのGPUと比べると性能は遙かに及ばない。3Dゲーマーを満足させるほどの性能ではないので,過度な期待は禁物だ。
Intel GM965では,「Intel Clear Video Technology」と呼ばれる技術の搭載によって,動画再生時の品質が大きく向上していることもウリだ。動画再生時のジャギーを軽減させることができるので,ノートPCでDVD-Videoなどの映像を楽しみたいという人には朗報であろう。ショーケース会場でも,実際に動画再生品質を比較するデモを行っていた。
■ドラフト版IEEE 802.11n対応で高速ワイヤレス通信を実現
最後の要件が,高速無線LAN規格IEEE 802.11n(ドラフト版)をサポートした,無線LANモジュール「Intel Wireless WiFi Link 4965AGN」である。Intel Wireless WiFi Link 4965AGNは,複数ストリームで通信を行うMIMO技術を採用することで,従来のIEEE 802.11a/b/g対応無線LANモジュールに比べて,最大5倍(300Mbps)という高速通信と,2倍のカバーエリアを理論上実現する。ただし,300Mbpsという速度は,チャネル幅を40MHzにした場合の値である。現時点で日本国内では40MHz幅での通信は認められておらず,最大速度はその半分となる。
なお,ドラフト版IEEE 802.11nをサポートしない「Intel Wireless WiFi Link 4965AG」も提供されるほか,従来の「Intel PRO/Wireless 3945ABG」も引き続き提供され,これらの無線LANモジュールとの組み合わせも可能だ。
基調講演では,バッファロー製のドラフト版IEEE 802.11n対応無線LANルーターと組み合わせて,1080pのHDビデオ映像をワイヤレスでストリーミング再生中に,ビデオチャットを行っても,一切コマ落ちせずにスムースに映像が表示されるというデモを行った。
■内蔵フラッシュメモリを利用して
■ディスクパフォーマンスを向上する「Intel Turbo Memory」
また,新世代Centrino Duoでは「Intel Turbo Memory」と呼ばれる新技術も提供される。これはCentrino Duoの必須要件ではなく,オプション扱いとなっている。
これは,Windows Vistaでサポートされた「Ready Boost」や「Ready Drive」といった機能を,内蔵フラッシュメモリで利用する技術だ。アプリケーションのロード/実行時間が最大で半分に短縮されるほか,システム起動時間も最大20%ほど短縮されるという。また,HDDアクセスの頻度が減るため,消費電力削減にも効果があるとされている。
なお,Intel Turbo Memoryは,Intel製フラッシュメモリと専用コントローラLSI(ASIC)によって実現される技術であり,モジュールまたはオンボード搭載用キットとして提供される。Intel Turbo MemoryではPCI Express接続となるため,USBメモリよりReady BoostやReady Driveの効果が出ることが期待できる。
氏はまず,Centrinoの基本コンセプトを提示し,新世代Centrinoは,人々の生活をさらに豊かにしてくれるものだと語った。
また,世界のノートPC市場は,今後も年平均で19%という高い成長率が見込まれていることや,日本では一般消費者向けPC市場におけるノートPCの割合がすでに60%に達していることなどを示した。また,Centrinoは,ノートPCだけのためのものではなく,低消費電力を活かして,先進的なデザインで静音性に優れたスリムPCを可能にしてきたと語った。今後は,「新しい無線技術を積極的に取り込み,さらに進化させていく」とのことだ。
■FSB 800MHz版Core 2 Duo+
■GeForce 8M搭載ノートPCが多数展示
基調講演が行われたホールの隣では,新世代Centrino Duoを搭載したノートPCの新製品が多数展示されていた。その中でも,4Gamerで注目したいのは,NVIDIAから先日発表されたばかりの最新ノートPC向けGPU(グラフィックスチップ)「GeForce 8M」ファミリーを搭載した製品だ。なお,GeForce 8Mについては,「こちら」の記事で詳細を確認してほしい。
GeForce 8Mは,ノートPC向けGPUとして現時点で唯一のDirectX 10対応製品である。そのパフォーマンス次第では,3DゲームをノートPCでもそれなりにプレイできるようになるのかしれない。
なお,今回展示されていたGeForce 8Mファミリー搭載ノートPCは,以下の8製品だった。
- マウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE M3800WX1」(GeForce 8600M GS搭載)
- アロシステム「Lesance AS301GW-C2D-GT」(GeForce 8400M G搭載)
- 東芝「Qosmio G40/97C」(GeForce 8600M GT搭載)
- 東芝「Qosmio F40/87CBL」(GeForce 8400M GS搭載)
- サードウェーブ「Prime Note Chronos IS」(GeForce 8600M GT搭載)
- ソーテック「WinBook DN7030」(GeForce 8600M GS搭載)
- ASUSTeK Computer「W7S」(GeForce 8400M G搭載)
- ASUSTeK Computer「G1S」(GeForce 8600M GT搭載)
これまで,ノートPCのパフォーマンスに不満を感じていたゲーマーも多いだろうが,新世代Centrino DuoとGeForce 8Mファミリーの登場によって,ノートPCのパフォーマンスは,一段とジャンプアップする。ゲーマーにより向いたノートPCが,続々と登場することになりそうだ。(ライター:石井英男)
- 関連タイトル:
Core 2
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