硬派なコンバットフラシムシリーズ最新作「IL-2 STURMOVIK: Cliffs of Dover」で，過酷な英独航空決戦を体験するのが今週の「海外ゲーム四天王」だ

　今週の「海外ゲーム四天王」は，ロシアの1C Maddox Gamesが開発したコンバットフライトシミュレータ「IL-2 STURMOVIK: Cliffs of Dover」（イーフロンティアから「IL-2 STURMOVIK Cliffs of Dover 日本語マニュアル付き英語版」として発売中）を紹介しよう。歴史と伝統を誇る「IL-2 STURMOVIK」シリーズの最新作となる本作は，一新されたゲームエンジンによる，パワーアップしまくったグラフィックスが最大の魅力。
　そんな一本を，四天王では3本の指に入るといわれるエースパイロット，ライターの朝倉哲也氏が紹介する。

　今週は，最近めっきり新作タイトルが減ってしまったフライトシミュレータのジャンルで，一人がんばる「IL-2 STURMOVIK」シリーズの最新作「IL-2 STURMOVIK: Cliffs of Dover」を取り上げよう。最近飛ばすものがなくて寂しい思いをしているという，コンバットフライトシムファンは，ぜひ喜んでほしい。

「IL-2 STURMOVIK: Cliffs of Dover」日本語公式サイト

「IL-2 STURMOVIK: Cliffs of Dover」英語公式サイト

　時は第二次世界大戦真っ只中の1940年。ポーランド，ベルギー，フランスなど欧州各国を手中に収めたヒトラーは，イギリス本土への侵攻を計画し，ドーバー海峡を超えてイギリス本土への本格的な空爆を開始した。ここにイギリスとドイツの一大航空戦闘，「バトル・オブ・ブリテン」が始まったのだ。というわけで，本作はそのバトル・オブ・ブリテンをテーマにしている。


　上にも書いたように本作は，2001年に発売された「IL-2 STURMOVIK」から続くシリーズの最新作だ。開発は，シリーズを通して制作に当たっているロシアの1C Maddox Gamesで，海外では20011年3月に発売された。日本では，イーフロンティアより「IL-2 STURMOVIK Cliffs of Dover 日本語マニュアル付き英語版」として現在発売中だ。

　本作でプレイヤーが搭乗できる機体は，ドイツ，イギリス，イタリアの3か国から以下の13種類。なお，同一機種でも，生産時期や装備などで細かく分けられているため，少ないとは感じない。AI専用機も15種類以上が登場し，機体のバラエティは非常に豊富。しかも，それぞれの機体の飛行特性なども細かく再現されている。ただ，リストを見ればお分かりのように，タイトルにあるソ連の攻撃機，IL-2 STURMOVIKは登場しない。
　これはどうやら，シリーズ初のことのようだが，そもそも本作は，IL-2 STURMOVIKシリーズとは別のタイトルとして開発されており，最終的にシリーズ作品にすることが決まったためのことらしい。


■イギリス
・Blenheim IV
・Hertbreaker
・Hurricane
・Spitfire I
・Spitfire II
・Tigermoth

■ドイツ
・Bf-109
・Bf-110
・He-111
・Ju-87
・Ju-88

■イタリア
・BR.20M
・G.50

　ゲームモードとしては，シングルプレイとマルチプレイの2種類が用意されている。
　シングルプレイには，離陸の方法から上空での機体操作などといった飛行の基礎を学ぶ「Training」，英独両国空軍パイロットの立場からバトル・オブ・ブリテンを体験できる「Campaign」のほか，敵機とのドッグファイトや地上目標の攻撃，ロンドン上空の遊覧飛行などが手軽に楽しめる24種類の「Quick Mission」，飛来する敵爆撃機の迎撃や，敵戦闘機の攻撃をかわしながら艦船へ空爆するなど，ちょっとしたストーリーが用意された5種類の「Single Mission」があり，ボリュームは十分だ。


　マルチプレイでは，最大128人が参加できるという，大規模なドッグファイトがプレイでき，例によって，本作のウリの一つになっている。

　従来作のプレイヤーは，一新されたゲームエンジンが描く，格段にパワーアップしたグラフィックスに驚くはずだ。それぞれの機体は，外観だけでなく，コクピット内部のメーターからスイッチに至るまで正確に再現されている。さらに，地上の建物や道路，施設などのシーナリーもまた1940年当時を徹底再現しているとのことで，Quick Missionで気ままにフライトすると，本当に当時の戦場で，戦闘機のシートに座って操縦している気分になれる。


　コクピットのレバー類をマウスで直接操作して飛行するという，マニアにはたまらないシミュレーション性の高さを誇りながらも，オートパイロットをONにすれば目的地まで勝手に飛んでいってくれたり，墜落しそうな状況を回避してくれたりなど，初心者にも優しい仕組みが用意されている。フラシムファンには長く遊べる一本になりそうだ。

■■朝倉哲也（ライター/四天王）■■
　アクションゲームからMMORPG，アドベンチャーからストラテジーまで，なんでもプレイする雑色系ライター。年季の入ったPCゲーマーでもあったが，最近はコンシューマ機のゲームもプレイするようになったので，そのオールラウンダーぶりをますます強くしている。