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ロックワークス発表会後のインタビューで語られた,両タイトルの進む道とは?(十二之天編)
イベントから少し時間は経ってしまったが,発表会後,それぞれのタイトルのプロデューサーおよび開発者に話を聞いてみたので掲載しよう。九龍争覇では,ロックワークスのプロデューサー 前田康幸氏と,開発元であるINDY21の代表取締役社長 ユン・ソンハク氏に。また十二之天のインタビューでは,ロックワークスのプロデューサー 加藤仁氏と,開発元であるギガスソフトのイ・ジョンヒョク氏にインタビューを行っている。後編となる今回は,十二之天のインタビューをお届けしよう。
なお,前編(九龍争覇編)のインタビューは「こちら」へどうぞ。
■導入部を改善して日本人に受け入れられやすいゲームを目指す「十二之天」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。十二之天は,すでにクローズドβテストを実施していますが,手応えはいかがですか?
そうですね。クローズドβテストを終えて,テスターの皆さんから多くの要望をいただきました。とくに具体的な改善点の指摘やプレイアビリティの向上を望む声が多かった点で,非常に手応えを感じています。あとは不具合報告が少なく,システム面での不安がほとんどないという点でも手応えを感じますね。
4Gamer:
改善要望について,内容を教えてもらうことはできますか?
加藤氏:
まずはチャットシステムの改善ですね。これは十二之天に限らず,多くの韓国産ゲームで問題となるところですが,解決は可能です。あとは大規模戦闘が売りのゲームですので,それを低レベルでも楽しめるようにといった要望が多かったですね。
4Gamer:
クローズドβテストでは,大規模戦闘も実際にテストしたわけですが,バランスなどの手応えはどうでしたか?
加藤氏:
残念ながら今回は大きなバランス調整の必要を感じるほどのテストはできなかったのですが,今後のオープンβテストで確認が取れるかと思います。
各勢力の人数比に関しては,自由を求める「覇王破天連」が一番人気だったのですが,それでも倍以上の開きが出るというようなことはなく,せいぜい1.5倍といったところで,割と綺麗に分かれました。また,高レベルキャラクターも偏らずにほぼ同じ割合で各勢力に存在していました。
4Gamer:
高レベルというと,どのくらいだったんでしょう?
加藤氏:
レベル80を超えるような人もいて,相当やり込んでもらえたんだなあ,と感じています。
4Gamer:
十二之天は大規模戦闘をはじめ,対人戦をメインに据えたタイトルですよね。レベル層ごとに複数種類の対人戦が用意されているとのことですが,ほかのタイトルを見ても,結局のところ最高レベル同士の対戦ばかりが盛り上がって,そのほかはいまいちという状況に陥りがちです。その点について,どうお考えですか?
加藤氏:
用意されているレベル別の対人戦がシステム的に強固ですので,それほど問題はないかと思います。とくにダンジョンの争奪戦では,勝利すると獲得できる経験値の上昇やドロップアイテムにおいて多大なメリットがありますので,勢力戦は非常に盛り上がるのではないかと予想しています。中には非常に強力なアイテムが入手できる場合もあって,それはそれで,運営サイドとしては頭の痛いところではあるんですが。
なるほど。それでは,そもそも日本では対人戦メインのタイトルが苦戦している状況がありますが,対策や勝算はあるんでしょうか?
加藤氏:
十二之天は,韓国では長くサービスが提供されていて,非常に人気の高いタイトルです。したがってゲームとしての完成度も高いということを,まず日本のユーザーにお伝えしなければならないと考えています。そのうえで,日本のユーザーが望むものを追加していく形で対策を立てていきます。
実際に我々の側で対策を講じたとしても,日本のユーザーが望むものにならなければ意味がありませんから,今あるものに意見をいただいて,それを反映していくほかないでしょう。
4Gamer:
十二之天に関しては,社内αテストやGM1日体験など,ほかとは違った斬新なプロモーションを展開している感が強いですが,今後はどういった展開をお考えでしょう?
加藤氏:
オンラインゲームタイトルでは,オンラインでのイベントを企画する場合が多いですが,我々が実際に一般の人を招いて社内αテストを実施した結果,オフラインでもいろいろできるんではないかという感触が得られました。そこで今後もオンラインだけでなく,オフラインも重視したサービスを企画していきたいと考えています。当社では都内に開発スタジオを設けていますので,プレイヤーの皆さんをお招きしてイベントをするといった展開がやりやすい環境にあります。そうした点を強みとしたサービスを充実させていきたいですね。
4Gamer:
GM1日体験イベントを実施されてどうでしたか? GMといえばゲーム内の機密や,もっといえばロックワークス社内の機密に関わる重要な存在で,普通は一般のユーザーに体験させるものではないですけれども。
加藤氏:
もちろん,そうした重要な部分は触れられないように,権限はかなり絞りました。ただ,九州のような遠方からも応募があったということで,皆さんの期待が大きかったイベントだったと実感しています。
今回は,実際に当社までお越しいただいて,不具合の検証作業をお願いしました。ユーザー側から見れば,GMはなんでもできる存在というイメージがありますが,実際にはそうでもなくて,なかなか大変な役割であるという感想を抱かれたようです。今後はオンラインでのGM体験といった形も含めて,継続的に実施できるようにと考えています。
4Gamer:
そのほか,何か面白い企画はお考えですか? アイデアの段階でもかまわないのですが。
加藤氏:
大規模戦闘のみを切り取った対抗戦を,当社の開発スタジオで行ったりというのは考えています。また開発スタジオでの開催にとどまらず,外部でも行えると面白いですね。
あと,GM体験ではなく,イベントでGMを採用してしまおうというアイデアもありました。これは単に奇抜な面白企画になってしまうのではないかという懸念もあって見送られたんですが,このように,プレイヤーと一緒にゲームを育てるような企画を日々考えています。
4Gamer:
イベントでGMを採用ですか……,ある意味プレイヤーの人生を左右しかねないイベントですね。では,次の質問です。十二之天を日本で展開していくうえでの独自仕様などはお考えですか?
加藤氏:
クローズドβテストを通じて,対人戦を行えるレベル30に達する前にストレスを感じるという意見が届いています。その部分で,もう少しプレイヤーさんがプレイしやすい仕様を考えています。例えばレベルが上がりやすいようにする,チュートリアルを用意するといったようなことですね。ただ,これは開発元のギガスソフトとの相談ということになりますので,どこまでできるかの即答は難しいところです。
ちなみに十二之天のディレクターは韓国語に堪能ですし,ギガスソフトのほうでも日本語を使えるスタッフを多く用意していますので,対応の速さについてはプレイヤーの皆さんにも安心していただける部分ですよ。
ロックワークスとギガスソフトの間でのコミュニケーションは,非常に密接です。また私自身も,1ユーザーとして日本のコンシューマゲームやオンラインゲームに親しんできていますので,日本で導入すべき要素や導入すべきでない要素なども把握しているつもりです。ロックワークスのスタッフと協力して,日本人にとってより受け入れやすいゲームを目指しています。
4Gamer:
なるほど,パブリッシャと開発元で意志の疎通が図れているので,韓国と日本の文化の違いによる齟齬は生じにくいというわけですね。
イ氏:
また,ギガスソフトは十二之天のデベロッパですが,それ以前にはパブリッシャの経験もあります。パブリッシャが抱えてしまいがちな問題点とその解決方法もある程度把握していますので,十分な対応が可能だと思いますよ。
そのほか,日本のプレイヤー独特の要望はありますか?
加藤氏:
これは日本人の特徴といいますか,ひょっとしたら短所として捉えられるのかもしれないのですが,道筋が決まっていないとゲームを楽しめないというところがあります。なので,十二之天でもゲームを開始した当初は「何をやっていいか分からない」という状況に陥ってしまうようです。その点は改善すべく検討中ですね。
4Gamer:
どういった解決策をお考えですか?
加藤氏:
先ほど述べた通り,チュートリアル用のNPCを配置するとか,クエストを順々に達成する中でゲームを理解させて,同時にある程度レベルも上がっているとか,いろいろな手法があると思います。そういった中から,どれが十二之天に最適かを探っていくことになります。現在は,ロックワークスとギガスソフトでそれぞれ企画を立てて,その摺り合せをしている段階ですね。
それでは最後に,今日の発表会では言及されなかった課金形式と今後のスケジュールについて教えてください。当初のお話では4月中にオープンβテスト実施とのことでしたが。
加藤氏:
課金形式に関しては,韓国でも現在アイテム課金ですから,そのままの形になる線が濃厚です。ただ先日,プレイは完全無料でゲーム内広告をクリックすることによってお金が発生するというタイトル(関連記事)があると知りまして,気になっているところではあります。いつまでもアイテム課金だけに頼っているのは難しい状況になってきているとは思いますので,そうした別の方法も検討していかなければならないでしょうね。
また現在,クローズドβテストでの反応を踏まえて,スケジュールを調整しているところです。まあ予定が大幅に遅れることはないです。次のβテストは,可能な限り日本のテスターからの要望を反映したバージョンとなる予定です。なので詳細は後日発表となりますので,期待してお待ちください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
本インタビューは,発表会終了後の会場片付けで時間がない中,あわただしく行われた。したがって4Gamerとしても聞きたいことを全部聞けたわけではなく,プロデューサーおよび開発諸氏も言及しきれない部分が残ってしまった。とくに九龍争覇のプロデューサーである前田氏は,プロモーションその他に関してまだまだ語りきれない部分が多いとのことで,次回の発表が待たれるところだ。もちろん4Gamerでも,随時取材はしていくので,楽しみにしていてほしい。
また,わざわざ武侠ジャンルで同時期に2タイトル発表というと,素人目にも互いにパイを奪い合ってしまうのではないかという懸念が生じる。これについて加藤氏は,まずロックワークスでは武侠モノを揃えるという戦略があること,そして九龍争覇は個人でストーリーを楽しむ,十二之天はみんなでワイワイと大規模戦闘を楽しむといったように,それぞれ特徴があり,嗜好するプレイヤー層も分かれるので問題ないとの見解を示していた。果たしてこの見解が吉と出るかどうか,今後の状況を見守りたい。(ライター:大陸新秩序)
- 関連タイトル:
十二ノ天 〜TwelveSky〜
- 関連タイトル:
九龍争覇
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