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正式サービスは2006年内? 「メテオスオンライン」ディレクターに聞く開発秘話と今後の展望
4Gamerでは,開発/運営元のキューエンタテインメントを訪問し,開発ディレクターである平井武史氏にいろいろと話を聞いてきた。メテオスオンライン開発の裏話やクローズドβテストでの収穫,今後の展開予定などをお伝えしていこう。
■■「対戦をもっと楽しめる形でメテオスを作り直したかった」
本日はよろしくお願いします。クローズドβテストがトラブルなく終わったようでなによりです。
平井武史氏(以下,平井氏):
ありがとうございます。
4Gamer:
まずは「メテオスオンライン」がどういう経緯で誕生したのか,あらためて聞かせてください。ニンテンドーDSで発売されたメテオスが,どういうきっかけでPC版オンライン対応タイトルとして登場することになったのでしょうか。
平井氏:
ニンテンドーDS版メテオスを2005年の3月にリリースして,その次の作品をどうしようかと考えるのと同時に,メテオスの反省点についても検討していたんです。
4Gamer:
反省点ですか。それはどのようなものなんでしょう。
平井氏:
反省材料は制作している段階からあったんですが,対戦が面白いゲームなのに,対戦を楽しむ環境が十分には整っていなかったことですね。メテオスの発売当時,ニンテンドーDSがWi-Fi対戦に対応していなかったので,対戦は人と人が面と向かうワイヤレス通信でしかできなかった。対戦をもっと楽しめる形でメテオスを作り直したいと考えていたんです。
そのとき,中国へ視察旅行へ行く機会があって,中国でオンラインゲームの需要が数年前に比べてものすごく伸びていることを知りました。日本でもインターネット人口は多く,オンラインゲーム需要も同じように伸びてきています。その状況を見て,メテオスはオンラインゲームにする方向で考えるのが一番いいのではないかと思って,メテオスオンラインの開発に踏み切りました。
4Gamer:
コンシューマゲーム機で開発するという選択肢もあったと思いますが,プラットフォームとしてPCを選んだのはなぜでしょう。ニンテンドーDSのメテオスをプレイしたことがない,PCゲーマー層を取り込もうという考えもあったのですか?
はい,コンシューマゲーム機という選択肢ももちろんありました。ただ,次世代機と呼ばれるハードは高価で,ニンテンドーDS版を遊んでいた人が,メテオスを遊ぶために新しいハードを買うというのはハードルが高い。多くの人がオンラインで遊べる環境を考えたら,自然とPCに行き着きました。新規プレイヤー層を獲得したいという考えももちろんあります。
ただ,PCとは一口に言っても,スペックは人によってまったく異なってきます。遊んでもらうまでのハードルを低くして,スペックが足りなくて遊べないということは避けたかったのですが,高スペックのPCでは綺麗なグラフィックスで見せたいとも思っていました。そこで,スペックの差をある程度吸収できるよう,クライアントに“ハイスペック”版,“ロースペック”版を入れるという方法を取りました。
4Gamer:
ハイスペック版とロースペック版では,具体的には何が違うんですか?
平井氏:
クライアントは一つで,その中に二つのモジュールが入っています。二つのモジュールで共通するものはたくさんありますが,背景とかが3Dではなかったりとか,3Dでも間引いてる部分があったりとか,演出面で若干の違いがあります。
4Gamer:
なるほど。それでパズルゲームにしてはクライアントの容量がけっこうあったんですね。
平井氏:
そうですね。ただ,ゲームの核となる部分はロースペック版もハイスペック版も同じなので,対戦するときに差は出ないような作りにしてあります。
4Gamer:
ニンテンドーDSという,コンシューマゲーム機のタイトルをPCに持ってくるというのは,かなり大変な作業だったんじゃないかと思うんですが,そのあたりの苦労などあれば教えてください。
平井氏:
あらゆる面で大変でしたね(笑)。
ビジネスモデルを作るところから始まって,たくさんの人に遊んでいただきたいとなると,月額課金は難しい。現状あるビジネスモデルを調べて色々協議に協議を重ねた結果,無料で遊んでもらってアイテム課金にしようということになりました。ただ,そこでも何を有料アイテムにするか,ということで悩んだり。
4Gamer:
なるほど,そこは運営するうえで重要ですもんね。
平井氏:
ええ。あとオンラインゲームでは,カジュアルゲームでも1年から1年半ぐらい,MMOなら2年ぐらいは遊んでもらえないといけないという暗黙の了解というか条件のようなものがあります。
ニンテンドーDS版メテオスのコンセプトは,「48時間遊べるゲーム」だったんです。48時間で惑星すべてをコンプリートできるように,という。メテオスオンラインをニンテンドーDS版メテオスの進化型と考えた場合,そこがPC版にするときの高いハードルになってしまいます。
4Gamer:
確かに,48時間で終わってしまったら,売り切り型のパッケージタイトルじゃないオンラインゲームでは,収益が成り立ちませんね。
平井氏:
そこで思い切って,根本から変えてしまおうと思ったんです。あとはやっぱり,ニンテンドーDS版から進化していないと話にならない。対戦を面白く,そして多くの人に長く遊んでもらえる形に進化させるため,メテオスらしさを残しつつ,ルールを変えてシンプルにしました。
4Gamer:
ルールを変えるというのは,パズルゲームとしてはかなりの英断ですよね。なぜルールまで変更することになったんでしょう。
平井氏:
以前,ニンテンドーDS版メテオスのイベントを何度か実施し,そのすべてに同行したのですが,そのときに感じたことがあります。イベントに参加したプレイヤーさん達で,メテオス初体験となる人の多くは,皆さんメテオを横へ横へと動かそうとするんですね。メテオが縦にしか動かせないというルールを,イベントで何度説明してもなかなか伝わらなかったんです。
4Gamer:
ルールの根本が伝わりにくかった,と。
平井氏:
ええ。だからメテオスオンラインでは縦だけでなく横にも動かせる要素を入れたんです。“縦に動かして三つ以上揃える”から,“三つ以上揃える”と,ルールをよりシンプルにしたということですね。ただ,変えるとしてもニンテンドーDS版メテオスのファンを裏切ってはいけないので,そのあたりは気を遣いました。
ニンテンドーDS版メテオス同様,縦にしか移動できないオプションが用意されていますよね。メテオをドラッグして打ち上げ中のメテオに後付けしたりできる要素は健在だったり。
平井氏:
ええ。いいところだけを生かして遊んでもらえるものにしよう,ということです。カスタマイズ性であったりユーザビリティであったりを大事にするというコンセプトは,今後も持ち続けていこうと考えています。
4Gamer:
メテオスオンラインでは,マウスでメテオにフォーカスして,W/S/A/Dでメテオを動かすという,基本的な操作性がニンテンドーDS版メテオスとがらりと変わりましたが,先日実施されたクローズドβテストでのプレイヤーの反応はどうでしたか?
平井氏:
ニンテンドーDS版のタッチペン主体の操作から,メテオスオンラインでは,キーボードとマウスに変えたのですが,操作性の部分に関してお叱りの声が少なかったのは,僕としてはありがたかったですね。
メテオスオンラインの制作時に,DSのタッチペン操作をそのままマウスに置き換えることはできないので,「こういう操作に変えよう」という確固たるアイデアを持っていました。
メテオスオンラインの制作発表以降,ユーザーさんからも操作に関する意見をもらいましたし,知人や関係者から「できるの?」って聞かれたこともありました。そのときには答えが出ていたので,心が揺らぎませんでしたが,答えが出ていないときに言われてたら相当へこんでたかもしれません(笑)。
4Gamer:
その操作方法は,どういうところから思い浮かんだのですか?
平井氏:
DS版メテオスの操作の問題点を,逆転の発想でとらえてみたんです。DS版メテオスでは,プレイヤーのほとんどが,上から下にメテオを移動させて,一番下で点火させるというスタイルだったんです。なので,操作しているときには目線が上から下によく動くんですね。
4Gamer:
ええ,ニンテンドーDS版メテオスは,かなり忙しいゲームだった記憶があります。
メテオを上から下まで移動させるという動作を省略すれば,次に何をするか考える時間の余裕が生まれますよね。そうすれば,インタフェースがキーボードとマウスでも,ニンテンドーDS版と同じ,もしくは同等以上の操作性を実現できるんじゃないかと。
要は,“シンク”(考える)と“ムーブ”(動かす)が大事なんです。
4Gamer:
……なんだか理論的になってきましたね。
平井氏:
一応エンジニアなので本格的に証明しようかと(笑)。
そこで目線移動をさせず,常に画像を認識したままメテオを動かせるようにすれば,DS版よりも速い動きができるんじゃないかと考えたわけです。シンクを切らない状態にしてムーブのデメリットをメリットに変えるような動作にできれば,と。
4Gamer:
常に次の手を考えながらプレイできるようになる,ということですね。なるほど,奥が深いですね。
平井氏:
この答えに辿り着くまで1か月以上悩みに悩んで……苦労しました(笑)。
4Gamer:
正直「操作はどうなるんだろう?」って思っていました。実際にクローズドβテストで触れてみて,最初は違和感があったんですが,慣れたら「これはこっちのほうがやりやすいな」って思えるようになりました。
平井氏:
ありがとうございます。メテオスはアクションパズルなので,やっぱり操作性は大切です。メテオを「できるだけ早く」「三つ以上揃えて」「打ち上げる」,この三つのパーツが揃ってないとメテオスじゃありません。
逆に言えば,それが揃えば「メテオス」になるという自信もあるので,操作方法やルールをいじることに抵抗はありませんでした。インタフェースの部分の答えを見つけるまでは非常に悩みましたが。もうほんとにボツ案の資料をお見せしたいくらいです。
4Gamer:
そのボツ案にはどういうものがあったんですか?
平井氏:
例えばですね,カーソルに磁石のような機能を持たせて,メテオを吸い寄せるというものです。一時実装しようかなと思っていたんですが,途中でこれは無理だと思ってやめました。思ったところにメテオが動いてくれない,自分で操作できないことに疑問を感じたので。でも,アイテムの企画など何らかの形で生かせるかなとは思ってます。
■■ゲーム内アイテムはメテオの合成で生成可能
今,アイテムの話が出ましたが,正式サービス後もアイテムはどんどん増やしていくんでしょうか。
平井氏:
はい,今回のクローズドβテストではアイテムを10個ほど入れていましたが,正式サービスのタイミングではその倍くらいにしようと思ってます。対戦で使用するアイテムだったり,プレイヤーキャラクターの装飾アイテムだったり,いろんなものを用意して,更新を続けていきたいと思っています。もちろんオンラインならではの季節ものも出していければと思います。
4Gamer:
アイテムについては,相当考えないとバランスが壊れる可能性がありますよね。
平井氏:
そうなんです。だからそれは大変でもありますけど,逆に面白くもあって。検討に検討を重ねて,いいタイミングでいいものを出していきたいです。実はかなり多くのアイテムをすでに用意しているんですが,調整を重ねつつ,慎重に導入していこうと思ってます。
4Gamer:
メテオスオンラインは,基本プレイ無料でアイテム課金と発表されていますが,ゲーム内アイテムと装飾アイテム,両方とも有料ということになるのでしょうか。
平井氏:
ゲーム内アイテムは有料でも用意しますが,合成でも対応しました。プレイしてメテオをためてもらえば,お金を使わなくてもある程度ゲーム内アイテムを使えます。
4Gamer:
ニンテンドーDS版メテオスと似た仕組みですね。プレイ中打ち上げたメテオの数がストックされ,その数に応じてアイテムが合成できるという。
平井氏:
そうですね。お金をあまり使いたくないという人にも,対価をきちんと用意してあげたいと思っていたので。
その代わりとは言ってはなんですが,装飾アイテムは課金対象になる予定です。オンラインで自分のアイデンティティを表現したいという人は多いでしょうし,表現しなければならない場だとも思っています。自己表現に装飾アイテムを効果的に使ってもらいたいですね。
また,装飾アイテムを課金することに対する対価もしっかりと用意したつもりです。クローズドβテストのバージョンでも一部実装しましたが,キャラクターが身に着けたものによって,ボイスやアニメーションが変わるようにしてあります。今後もそういう要素を入れつつ装飾アイテムを追加していきたいと思います。
4Gamer:
既存のゲームでは,絵が変わるだけというものが多いですけど,それとはひと味違うわけですね。
平井氏:
ちょっとたとえが強引かもしれませんが,ゲーム中で「クマになりたい」と思う人がいるとしますよね。で,見た目をクマに変えたら,やっぱり動きや声も,ちゃんとクマっぽくないとダメだと思うんです。ただ……内部からは反対が強かったですね。「そんなことしたらこっちが大変じゃないか」って(笑)。
4Gamer:
あはは,そうですよね。そのぶん,動きや音声を作る必要がありますから。
平井氏:
でもそれは,今後のことを考えると,プレイヤーにサービスするという意味で絶対必要だと思っていたので,みんなを説得して納得してもらいました……してもらったつもりです(笑)。
■■チーム戦の要素を取り入れて,対人戦をより面白く
今回の「メテオスオンライン」では,フレンドメテオを核とした,チーム戦での協力プレイも重要な要素になっていますね。
平井氏:
はい。ただ複数人で競い合うだけじゃなく,協力するという要素も用意したかったんです。味方を助けるという要素を多く入れて,それらは点で見るとうっとうしく感じるようなものもあるんですが,味方と協力するときに利用するとすごい効果を発揮するとか。
4Gamer:
実際,クローズドβテストでも,最初はバトルロイヤルばかりでしたが,後半になるとチーム戦でプレイしている人が多くなりましたね。確かにチーム戦でプレイすると,味方との連携はすごく重要だと感じました。
平井氏:
そこはかなり考えて調整しました。フレンドメテオに象徴されることなんですけど,トス役とアタック役といったような役割が重要だったりしますし。トス役は大きく打ち上げないといけないし,アタック役は攻撃の早いところじゃないといけない。自分の母星の選択でかなり影響が出てきます。
この考えは,ニンテンドーDS版メテオスでは,各惑星が持つ特徴が分かりにくかったという反省点から生まれました。あとニンテンドーDS版メテオスでは,メテオの降下率を上げて難度を上げるという部分があったんですが,そこはメテオスオンラインで改善しています。
4Gamer:
コンピュータの都合ではなく,惑星の能力やプレイヤーの腕で勝負が決するようになるんですね。
平井氏:
はい。まだ未完成ですが,面白いものになったという自信はあります。
4Gamer:
まだ未完成とのことですが,クローズドβテスト時のクライアントの完成度はどの程度だったんですか?
平井氏:
クローズドβテストのバージョンは,最低限お客さんに楽しんでもらえるレベルのもので,まだまだ100%には遠く及びません。ただ,このタイミングでテストしたい項目があったので実施しました。その一つがダークマターです。
4Gamer:
クローズドβテスターの間で話題を呼んでいた,一番下まで落ちてきて,動かすこともできないメテオですね。
平井氏:
ええ。あれは僕なりのテストだったんです。どれだけ嫌がってもらえるかという(笑)。
4Gamer:
いや,あれは本当にイヤらしい要素だと思います(笑)。
平井氏:
今回のテストでは,ダークマターの発生する頻度や量をあえて多めの設定にしました。その状態で遊んでもらって,実際どれくらい効果があって,プレイヤーがどう攻略するのかを確認したかったんです。
4Gamer:
実際に対戦してもらってデータを取り,今後のバランス調整に生かすと。
平井氏:
そうですね。ダークマターが出ると完全にアウトというわけじゃなくて,いろんな攻略法があるんですが,けっこう早くに攻略法を見つけた人がいましたね。爆弾を9個も持てるようになっているのは,実はダークマター対策だったりするのですが。爆弾で対処しているのを見たときは,「もうバレたのか!」って思いましたけど(笑)。でも,ほかにも裏技はたくさんあって,いくつかは気づかれなかったのでいいんですけどね。
4Gamer:
お,どんなものがあるんですか?
平井氏:
例えば,「横移動ありのルールだったら爆弾を好きなところに持っていけるけど,縦移動モードではできない」と言う人がけっこういたんですが。じつは好きなところに落とせるんです。
4Gamer:
ええと,それはどうすれば……。
平井氏:
簡単に説明すると,爆弾を落とすときに下がってる列に揺らぎがあって落ちる,というテクニックです。例えば,右側を触ってる状況で爆弾のファンクションキーを押した場合,爆弾はその近くに落ちるんです。
4Gamer:
えー,そうだったんですか! 全然気づきませんでした。
平井氏:
ほかにもフレンドメテオが落ちやすい場所が決まっていたりとか,いろいろとあります。これは実際にプレイして,よく調べてもらえれば分かると思います。オープンβテストの開始まで少しだけ待ってください。
4Gamer:
あと目立つ変更点としては,ダメージがHP制になったのですが,こちらについてはどうでしょう。
平井氏:
はい。これも賛否両論あるかなと思っていたんですけど,おおむね好評でした。なぜHP制に変えたかというと,対戦しているときに誰が一番ピンチで誰が一番有利なのか,視覚的に分かりやすくしたかったんです。ニンテンドーDS版メテオスではそこが分かりにくかったせいで,対戦相手とつながっているという感覚が薄かったように思います。
4Gamer:
確かに,ニンテンドーDS版メテオスと比べると,分かりやすいですね。ほかには,好意的な意見としてどのようなものがありましたか?
平井氏:
「新鮮な作品で面白い」という意見をたくさんいただきました。これは本当にこれからの励みになりますね。あとは,フレンドメテオですね。僕の中では「いける」という自信があったんですけど,それを実際の対戦で活用してもらえるのかどうかがやっぱり気になっていました。それに関して「面白い」という意見がたくさんあったのも嬉しかったです。
4Gamer:
実際にプレイしていると,メテオスオンラインは,スポーツゲームやFPSのチーム戦に通じるものがあるなぁ,と感じました。協力プレイ時に暗黙の了解じゃないですけど,役割分担が自然にできるというか。
平井氏:
ショートメッセージでも協力プレイで使える言葉をたくさん入れてあったのですが,多くの人がプレイ時に使ってくれたみたいで,もうこちらとしては「してやったり!」です(笑)。
4Gamer:
かなり多くの意見が寄せられているようですが,クローズドβテスト時に送られてきた意見で多かったのは,どういった内容でしたか?
平井氏:
やっぱりダークマター関連の意見が多かったですね。とくにテスト初日は多かったです。
4Gamer:
一番下まで貫通して落ちてきて,動かすことすらできないとなると,「これは何だ?」って話になりますからね。
平井氏:
先程言ったように,クローズドβテストでは,あえて多めにダークマターが降ってくるようにしてあったんですが,「バランスが崩れてるんじゃないか」という意見もいただきました。これに関しては調整段階でのテストなので,今回のデータを生かしつつ,今後調整していきます。
あと,一部の惑星でブラウン管のディスプレイだと見えづらい惑星があるという指摘がありました。この二つが多かった意見ですね。
そのほか,ルームを作ったときに,そのルームでのルールが分からないなど,プレイヤーにとって身近な問題点の指摘もいただきました。これは我々も認識していたことなのですが,クローズドβテストのタイミングでは対応が間に合いませんでした。次回のバージョンでは対応済みなので,ご安心ください。
■■開発/運営が一体となってスピーディな展開を
4Gamer:
今回のクローズドβテストを終えて,なんらかの手応えのようなものは感じましたか?
オンラインゲームは開発するのも運営するのも初めてなんですが,クローズドβテストが始まって,プレイヤーが入ってきた瞬間は「これは面白い!」と思いましたね。よくオンラインゲームはサービス業だって言われてますけど,その意味がよく分かりました。まさに“開店”という感じでした。
テスト中は,プレイヤーの動向や対戦プレイを見ていて,ユーザーとして参加して対戦もしました。いろんな声を聞かせてもらったのですが,そこで感じたのは,ニンテンドーDS版メテオスのプレイ経験者も多かったということです。
4Gamer:
それはどのあたりから感じ取れたのでしょう。
平井氏:
チャットでの会話がとにかく濃いんです(笑)。クローズドβテスト開始直後なのに,「ブロック」と言わずに「メテオ」って言ってる人が多かったり。
4Gamer:
その人達はニンテンドーDS版メテオスのプレイ経験者ですね,間違いなく(笑)。
メテオスオンラインには,プレイヤーを楽しませようというアイデアが随所に散りばめられてますよね。このあたりからも,開発と運営が作品に対して意思統一されているというか,連携がうまく取れていることがうかがえるんですが。
平井氏:
はい,そこは大切だと思ってます。開発と運営を持てばプレイヤーの声を聞きながら,自分達のコンセプトを持って長期的に作品のことを考えることが可能ですから。
日本で開発と運営を一緒にしている会社って少ないじゃないですか。だから「やるなら最後までしっかり自分達の手でやろう,プレイヤーを喜ばせよう」って気持ちがあるんですよ。でも最初は,社内で全部やるとは思ってなかったんですけどね。
4Gamer:
最初は開発だけの予定だったんですか?
平井氏:
はい。インフラから課金システム,運営ツールの構築まで,すべて自分達だけでやっていくのは不可能じゃないかと何度も思いました。何度も悩んで考えて……。で,あるとき,こちらにとって一番都合のいい形が,プレイヤーにとって一番いい形とは限らないと気がついたんです。
4Gamer:
開発と運営を分けると,意見の相違が出てくると。
平井氏:
ええ。そこはプレイヤーのことを考えて,「いや,苦労してでも全部自分達でやろう」という結論になりました。プレイヤーからの意見をすぐに聞けて,それを反映対象にする。これをスピード感を持ってできる形じゃないといけないな,って。生の意見をすぐに聞ける環境,意見が温かいうちにストレートに聞ける環境での開発/運営のほうがいいなと。
4Gamer:
それだけダイレクトに遠慮なく意見交換できる近さに,開発と運営がいるというのはいいですね。
平井氏:
近くにいるというのはお互い心強いですし,ディスカッションも頻繁にできるので,すごくメリットはありますね。
4Gamer:
さて,プレイヤーのことを第一に考えているキューエンタテインメントさんに一つ聞きたいと思います。,プレイヤーが最も気になるであろう,メテオスオンラインの正式サービス,もしくはオープンβテストがいつから開始されるのか,このあたりの予定を教えてください。
平井氏:
正式サービスの前に,オープンβテストをする方向で考えています。
4Gamer:
それはいつ頃始まるんですか?
平井氏:
えっと……早いタイミングで(苦笑)。
4Gamer:
“早い”にもいろんな“早い”がありますよね。時期を数字で教えてもらえるとその,非常に嬉しいんですが(笑)。
平井氏:
……そうですね,11月の早いタイミングでオープンβテストが始められればと思います。
4Gamer:
お,11月というのは本当に早いですね。では11月からオープンβテストをしばらくやって,その後正式サービスに入るということですか?
平井氏:
はい。オープンβテストの期間はまだお教えできませんが,それほど長くかけるつもりはないですよ。
4Gamer:
制作発表からオープンβテストまで,すごく展開が早いですね。
平井氏:
僕はスピードが最重要ファクターだと常々思っていますから。メテオスオンラインを1年間で仕上げたのも,その考えがあるからです。
今後のサービスではいろいろと追加するものもありますし……。せっかくですし,今日ここで一つ,今まで話さなかったことを教えちゃいましょう。
実は,メテオスオンラインでは,ニンテンドーDS版メテオスにもなかった新規惑星を追加していきたいなと思っていて,すでに四つほど考えています。4Gamerさんにちなんで(笑)。
4Gamer:
え? 本当ですか!?
平井氏:
はい。これはニンテンドーDS版メテオスのときにやり残したことの一つなんです。ニンテンドーDS版メテオスでは,32個の惑星を用意してあったのですが,本当はもっと構想があったんです。ただ,容量の制限があって入れられなかったんです。ニンテンドーDS版メテオスでは,512メガのROMに509メガまで入れたのですが……。
4Gamer:
それは相当ギリギリですね。
平井氏:
そうなんです。で,DS版には入れられなかった惑星候補がいくつかあるので,それをメテオスオンラインに入れたいと思ってます……というか,もう作ってあります。
4Gamer:
よほどDS版に入れられなかったのが悔しかったんですね(笑)。
平井氏:
ええ,メテオスオンラインを作るとき,ニンテンドーDS版メテオスに入っていた惑星より先に作り出しましたから(笑)。真面目な話をすれば,既存の惑星はパラメータさえあれば挙動が分かるので,分からないものから先に作っていったんです。
4Gamer:
それはオープンβテストから実装されるんですか?
平井氏:
残念ながら,オープンβテストではまだ入りません。といっても正式サービスのタイミングであったり,もしくはそれに近いタイミングで,年内に一つくらいは実装したいと思っています。
4Gamer:
いま,「正式サービス」かそれに近いタイミングで「年内に一つ」との発言でしたが,それって正式サービスが年内にはスタートするってことですか?
平井氏:
まぁ,そこはご想像にお任せします(笑)。
4Gamer:
話を戻しますが,惑星の追加って,対戦格闘ゲームで新しいキャラクターがどんどん増えていくような感覚に近い気がします。
平井氏:
ええ,そのとおりです。実際僕は,メテオスオンラインは対戦格闘ゲームだと思ってるんですよね。どの惑星にどんな必殺技を持たせるかをすごく考えて,みんなで協議しています。
4Gamer:
新規惑星,楽しみにしています。では最後に,4Gamerの読者にメッセージをお願いします。
平井氏:
メテオスオンラインは,6人でゼロから始めて,インフラ設計/構築,課金システム構築,サーバープログラム制作,クライアント制作,そして運用まですべてを1年で準備しました。
これはひとえに開発スタッフ達の多大なる貢献によるものですが,キューエンタテインメントのような,まだまだ小さな企業でも実現可能ということを証明できました。多くの企業に同様の可能性があるので,コンシューマゲームメーカーでも,新規にオンラインゲームを作る企業が増えてほしいと思っています。
4Gamer:
そうですね。オンラインゲームをもっと日本のゲームメーカーに盛り上げてもらいたいと思います。
平井氏:
ただ,現在のオンラインゲーム事情は,機能にほんのわずかでも不備があると叩かれやすく,“とんがった”作品を作りづらい風潮があるように思います。僕はこの風潮を打破していきたいし,それにはプレイヤーの皆さんの支援が必要だと考えてます。
4Gamer:
なるほど,いわば開発者とプレイヤーの二人三脚で作り上げるということですか。
平井氏:
制作者にとって,プレイヤーの方々の意見は本当にありがたいものです。キューエンタテインメントでは,スタッフ全員がしっかりしたコンセプトを持って開発/運営に取り組んでいます。プレイヤーの方々に良いところ/悪いところをしっかり評価していただき,それらの意見を多面的に検討したいと考えています。そのうえで,できることはスピーディに対処し,親身になってサービスしていければ,結果,良質な作品が早期に世の中に出てくることにつながると思います。温かい目で見守っていただければ幸いです。
オープンβテストも11月中には行われることも判明し,さらにその後,アイテム課金などが加わった正式サービスも,すぐに行われるということが話の中から見えてきた。さまざまなアイデアを詰め込んで行われるであろう今後のサービスにも期待したいところだ。(Text by midi/Photo by oNo)
※2006年10月24日収録
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メテオスオンライン
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