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[GC 2008#36]PC版の追加要素などが紹介された「Far Cry 2」“for PC”のカンファレンスの内容
Ubisoft Entertainmentがリリースを予定している「Far Cry 2」は,2004年に発売された「Far Cry」のデベロッパであるCrytekが,パブリッシャをElectronic Artsに変えたため,前作とは無関係なUbisoftのモントリオールスタジオが制作にあたっているFPS。開発当初には“PC専用”という話もあったくらいで,もともとは本家Crytekにも負けないようなグラフィックス技術やストリーミング技術,そしてオブジェクトやストーリーの自動生成といった最新テクノロジーを山盛りで投入した意欲作になるはずだった(実際の対応機種はPCのほか,Xbox 360とPLAYSTATION 3)。いや,だからって今がどうだと言っているわけではないのです。
連日,Ubisoftのカンファレンスルームへ通ううち,すっかり顔なじみになった受付嬢がどうしても私の名前を発音できない事実はさておき,Far Cry 2のプレス向けカンファレンスとしては珍しいことに“for PC”というサブタイトル付き。これまで何度かお伝えしてきたタイトルだが,実際のプレイとグラフィックスはいずれもコンシューマ機でのものであり,PC版はムービーでしか見たことがなかったのである。
というわけで,今回は我々PC&オンラインゲーム情報サイト4Gamerとしては貴重なレクチャーになったわけである。まあ,ネタを明かすと,PC版に「Far Cry 2 map editor」というゲームエディタが同梱され,その解説がレクチャーの最後にくっついていたのが,わざわざPCと断った理由なのだが,Far Cry 2のルーツはやはりPCにあるんだなあと個人的に期待度が高まってしまうのも本音。
さて,ここでちょっとおさらいをしておくが,Far Cry 2はアフリカの某国を舞台にしたミッションオリエンテッドなFPSだ。50km四方にわたる広大なアフリカの土地が緻密に再現され,プレイヤーは傭兵としてアフリカを縦横に動き回ってミッションをこなしていくことになる。プレイヤーの移動は完全に自由で,好きなときに好きな場所に行って好きなことができる。
こうした自由度の高さは,環境だけでなくストーリーにも及んでおり,プレイヤーの選んだ行為が,後の物語に大きく影響を与えるという。基本となるストーリーはあるものの,与えられるミッションの内容が変化したり,キーとなるNPCとの関係が変わったりと,オープンエンドなRPGを思わせるシステムになっている。
プレイヤーが何もしていない間にも,舞台となるアフリカの地ではさまざまなことが起きており,所属できる二つの勢力の力関係などもダイナミックに変化していくのだ。
プレゼンに使用されたのはデモ版でなく,現在,実際にテスターが使用しているビルドであり,つまり完全なゲームであるとのこと。まだバグも残っており,バランス調整も終わっていないうえに最適化も施されていないらしく,プレゼン中にも不意にフレームレートががっくりと下がってしまうシーンが見られた。
グラフィックスは,これまでプレイする機会のあったコンシューマ機版に比べてやはり美しい。いやまあ,ひいき目なのかもしれませんけど,全体に落ち着いたトーンになっており,より自然な感じがする,ってのはやっぱり気のせいかしら。
さて,Ufllという人物から依頼されたミッションは,武器のブローカーであるYabekを暗殺することだ。YabekはNaga川にかかる鉄道橋の下に武器を満載したはしけを係留しており,彼と彼の仲間約30人が守っている。その人数を相手に真正面から撃ち合ったら,勝ち目は薄いだろう。しかもまずいことに,Yabekのはしけのある場所は,敵対勢力であるAPRが掌握する地域の奥にあるのだ。
橋を吹き飛ばしてしまえば,Yabekははしけもろともお陀仏になるはず。そのための爆薬はあるが,起爆装置がない。というわけで,まずはAPRの弾薬庫を襲って起爆装置を手に入れるという流れになる。
APRの監視哨に行き当たると,さっそく戦闘が始まる。敵AIのデザインはかなりアグレッシブに設定されており,積極的な攻撃をしかけてくるが,デモを見ている限りではやや間抜けな印象を受けた。こちらの背後に回ろうとしてパスを見つけ損なったという雰囲気もあり,このあたりはさらに調整が必要かもしれない。
注意しなくてはならないのは,武器には程度があることで,アフリカの民兵が落としたAKなどは,きっちり手入れされているわけないのである。というわけで,非常に薄汚れたM16を拾ったHocking氏だったが,頻発するジャム(弾詰まり)に苦しめられてしまい,ついに撃ち倒されてしまう。
ちなみに,M16にジャムが発生した主人公が必死にボルト・フォワード・アシストボタンを押しまくるなど,武器/銃器に関するこだわりにはかなりのモノがあると見る私だ。
ちなみに,Far Cry 2にもHUDはまったくなく,例えば銃を持てば残弾数が,ダメージを受ければヘルスバーが表示されるという仕掛けになっており,EAの「Mirror's Edge」や「Dead Space」など,こうした「HUDなし」は2008年〜2009年のアクションゲームのトレンドになりそうである。だからどうしたと言われてもまあ,困るんですけどね。
バディが蘇生してくれはしたものの,でかい破片が足に刺さっており,それを引っこ抜くと血しぶきが飛び散る。Far Cry 2は「大怪我を負った場合,自分で自分を手術する」というシステムになっており,ヘルスバーがあまりにも少なくなると(派手に出血していることを意味する),手術が必要になるようだ。
いずれにせよ,それからバディが戦闘に参加して,この場はなんとか事なきを得た。ただし,バディは戦闘中に死んでしまう場合もあり,死んだら二度とゲームには出てこない。そうなったら新しいバディを雇うか,バディなしで仕事をすることになる。
再びジープに飛び乗るHocking氏。時間がないということで,バディは置いてきぼり。かわいそうである。
その後もいろいろあったが,やっとのことで橋にたどりついて奪ってきた起爆装置を使うと,橋は大爆発。川面にあったYabekのはしけは,彼と彼の手下もろとも大音響と共に水底へ沈んでいった。かくしてミッションクリアというわけだ。
土地の起伏から,植生,さらには天候や時間のコントロールまで,簡単な操作で実現できることがデモンストレーションされた。ゲームに使われている無数のアイテムも使用可能で,それを使って複雑なマップを編集できるうえ,マルチプレイのときのリスポーンポイントまで設定できるという優れたエディタだ。自分で作ったマップにいつでもジャンプイン可能で,その出来映えをシームレスに確認できるところも嬉しい。
とはいえ,故意か偶然か「Crysis」に同梱されているマップエディタ,「Sandbox 2」によく似ているような気がするので,もしかすると,そのあたりのことは意識しているのかもしれない。まあ,使い勝手を追求すれば,同じ目的のエディタがよく似てくるというのは必然かもしれませんけどね。
いずれにせよ,「Far Cry 2はWindowsに強くフォーカスして作られており,エディタの同梱は当然」とHocking氏のいう本作は,全世界のMOD制作者にとっても腕のふるい甲斐のあるタイトルになるだろう。
率直なところ,最初はどうなることかと思っていたFar Cry 2だが,情報公開が進むにつれてますます面白い作品に見えてきた。行ったことはないが,実にアフリカらしいアフリカがゲームの中に作り込まれ,前作にもあった未知の土地を歩き回る楽しさがより深くなったような気がする。本作が2008年末の話題作になることは間違いない。
最後に,GCに併せて公開されたトレイラームービーを掲載しよう。インゲームのシーンよりはイメージが中心の内容だが,アフリカのさまざまなロケーションが見られるほか,一癖も二癖もありそうなキャラクターが雰囲気を盛り上げる。アフリカ好きなら,見逃すわけにはいかないだろう。
また,一緒に公開されたMap Editorのムービーも掲載したので,MOD制作に興味のある人はどうぞ。
■トレイラームービー
■Map Editorのムービー
- 関連タイトル:
Far Cry2 日本語マニュアル付英語版
- この記事のURL:
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(C)2008 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Far Cry, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Based on Crytek's original Far Cry directed by Cevat Yerli.
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