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Access Accepted第618回:進化するAIと,ゲームコミュニティに広まる新しい“遊び”
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印刷2019/07/22 00:00

業界動向

Access Accepted第618回:進化するAIと,ゲームコミュニティに広まる新しい“遊び”

画像(001)Access Accepted第618回:進化するAIと,ゲームコミュニティに広まる新しい“遊び”

 Google検索からSteamの「おすすめ」まで,最近の我々は日常のいたるところで「機械学習」(マシンラーニング)によるAIの恩恵に与かっている。進化したAIはゲームに使われるだけでなく,ゲーム開発にもそれを利用しようとする動きが増えている。今週は,AI分野で世界の最先端を走る「Google DeepMind」の最近の事情と,アマチュアMOD開発者達が楽しみ始めた「AIアップスケーリング」について紹介したい。


AIが「Quake III Arena」の
キャプチャー・ザ・フラッグを攻略


 Google傘下の研究機関「Google DeepMind」(以下,DeepMind)の最新プログラムである「AlphaStar」が,オンライン対戦ゲームの定番タイトル「StarCraft II」の対人戦で勝利を収めたというニュースは,4月22日に掲載した本連載の第609回,「StarCraftでも人類陥落。AIの進化は止まらない」で詳しくお伝えしたとおり。3つの勢力から好きなものを選び,施設を建設してユニットを生産,マップを探索して見つけた敵と戦うという作業をリアルタイムで行う必要があり,人工知能にとっては非常に複雑で選択肢の多い思考が求められる。にもかかわらず,DeepMindの「AlphaGo」が囲碁のプロを破って以来,わずか2年と数か月でそれを達成したことは,AIプログラムの進化の速さを物語っている。

RTSの「StarCraft II」に続き,FPSである「Quake III Arena」を使ったキャプチャー・ザ・フラッグも,AIが人間よりも高い確率で勝てるようになったという
画像(002)Access Accepted第618回:進化するAIと,ゲームコミュニティに広まる新しい“遊び”

 DeepMindが「StarCraft」に並行していくつかのプロジェクトを進めていることはよく知られており,「Quake III Arena」もその1つだ。2018年7月5日に掲載した記事で開発プロセスをお伝えしたが,「FTW」(For The Win)と呼ばれるAIプレイヤーを使用して,2人対2人のキャプチャー・ザ・フラッグの対戦マッチでテストを続け,着実な成果を挙げているという。

 FTWがユニークなのは,対戦相手がどのようにポイントを得るのかを見て自分で研究を進め,勝ちパターンを作ることだ。キャプチャー・ザ・フラッグは,相手の陣地にある旗を奪って自陣に運ぶことでポイントが得られる「旗取り合戦」に,銃を使ったアクションをミックスしたモードだ。2人でプレイする場合,堅実に片方が陣地を守ったり,一緒に行動して出会い頭の戦闘を有利に進めたり,旗を奪いに来た敵を2人で待ち伏せたりするなど,実にさまざまな戦術が考えられる。

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 機械学習では,AI対AI,AI対人間,さらにAIと人間の混成チーム同士の対戦といったパターンでテストが繰り返されたという。
 対人戦で人間のプレイを見よう見まねで学習したFTWは,例えば,押されている試合ではリスクを覚悟して2人一緒に行動したりなど,いろいろな戦いのパターンが使えるようになり,その結果,機械学習がうまくいって勝率が高くなったAI同士が組んだチームでは,79%の確率でプロゲーマーに勝てるようになったという。今後は,ピックアップアイテムを登場させたり,チームの人数を増やしてのテストも行われていく予定だ。興味のある人は,DeepMindが2019年5月に発表した資料を参照してほしい。


機械学習を使った新たなホビー
「AIアップスケーリング」


 欧米ゲーム業界では,こうした機械学習によるAIのゲーム開発分野における活用事例が増えつつあり,GDC 2019でUbisoft Entertainmentの研究部門であるUbisoft La Forgeが行ったセッション(関連記事)では,音声とのリップシンクやキャラクターアニメーション,そしてデバッグなどにAIを利用するための研究が進められていることが発表されている。今のところ,開発の補助的役割を担うだけだが,今後ますます利用範囲が増えていくのは間違いない。

 こうしたAIの進化によって,研究者が公開したプログラムを使ったアマチュアの新たなアプローチが注目されるようになった。「AIアップスケーリング」(AI Upscaling)と呼ばれる遊びでは,2018年に公開された「ESRGAN」(Enhanced Super-Resolution Generative Adversarial Networks)というアルゴリズムを使い,低解像度のレトロゲームを高画質にするMODが次々に登場しているのだ。

ESRGANを使って,「The Elder Scrolls III: Morrowind」のキャラクターデータを高解像度化したというイメージ
画像(004)Access Accepted第618回:進化するAIと,ゲームコミュニティに広まる新しい“遊び”

 画像のアップスケール技術は以前から存在しているが,ESRGANは機械学習によって質の高いテクスチャを,より速く生成できるという。もちろん,筆者のような素人が古いゲームを引っ張り出して高解像度化できるといった簡単なものではないし,AIの学習はいつも同じ結果を生み出すとは限らず,やり直しも多いため,忍耐が必要な作業だ。「AIアップスケーリング」という遊びは筆者に,古い家具のペイントをシンナーで剥ぎ取って再塗装し,ニスを塗って磨いていくような職人的ホビーを連想させる。

 ESRGANでは,一般に「GAN」と呼ばれる,「敵対的生成ネットワーク」(Generative Adversarial Network)という現在,注目を集めるアルゴリズムが使われている。これは,低解像度と高解像度の同じイメージを学習させ,ユーザーが高解像度化したいゲームのテクスチャやモデルの不足分を,学習結果を元に自動生成する仕組みだ。重要なのは,GANが2つのニューラルネットワークシステムによって構成されることで,一方が自動生成した部分を採用するかどうかを,もう一方の「敵対的な」システムが判断する。生成側は識別側を欺こうとし,識別側はより正確に判断しようとすることで,人間の教師なしで能率的な自動学習が可能になっているのだ。

 今のところ,1人のキャラクターを高解像度化するだけで10時間近くかかることもあるそうだが,それでも,何人ものデザイナーが時間をかけてテクスチャを入れ替えるような作業を,AIがほぼ自動的に行うわけだ。
 この新しいアルゴリズムを使って,「Doom II」「Half-Life」「The Elder Scrolls III: Morrowind」,さらにはゲームキューブ向けにリリースされた「メトロイドプライム2 ダークエコーズ」や,プリレンダされた背景の「ファイナルファンタジー VII」などのアップスケールなどが行われている。

敵対的生成ネットワークにより,8K解像度にまで引き上げられた「ウィッチャー 3: ワイルドハント」のCGトレイラー。AIアップスケーリングの例として紹介したゲームソフトにはYouTubeビデオをリンクしてあるので,チェックしていただきたい
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 ユニークなものでは,2013年にリリースされた「ウィッチャー 3: ワイルドハント」CGトレイラーを8K解像度にアップスケールするという試みも行われており,有志達の好奇心には驚かされる。 当然だが,こうしたMODは知的財産権の侵害と隣り合わせであり,手放しで喜んだり推奨したりできるものでもないが,急速に進化するAIがゲームコミュニティで今後,どう使われていくことになるのかは注目に値するだろう。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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