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海外ゲーム四天王 / 第36回:「Global Agenda」
2005年に設立されたパブリッシャ/デベロッパのHi-Rez Studios。その第一作となるのが,今回の「海外ゲーム四天王」のテーマ「Global Agenda」だ。オンライン専用のSFシューティングで,がっちりしたハイテク装備に身を固めた兵士達が,くんずほぐれつ戦うという内容。ジェットパックで空を飛んだり,弾丸や体力が自動回復だったりと,全体にカジュアルな作りで,ビギナーでも楽しめそうだ。
そんな一本を,三人の四天王の頂点に立とうと精力的なライターの朝倉哲也氏が紹介する。
「Global Agenda」は,ハイテク戦闘装備で身を固めたプレイヤー達が激突する,オンライン専用のSFアクションゲームだ。
西暦2155年,第三次世界大戦で荒廃した世界は,新たに発足した政府によって統治されていた。だが,圧制をもって地球を支配する政府に不満を持つ人々は,高度に訓練された戦闘技術とハイテク武装を備えた,エリート戦闘集団を作って政府への抵抗を始めた……,というのが本作のバックストーリー。プレイヤーは,一人の新米兵士となり,自由な未来を勝ち取るべく戦いに参加するのだ。
プレイヤーが選択できるクラスは,重火器で敵をなぎ倒す「Assault」,姿を消して近づき敵を葬る「Recon」,味方の回復がメインながら毒による攻撃も可能な「Medic」,そして敵弾を防ぐエネルギー壁やターレットを作れる拠点防衛の要「Robotics」の4種類。
キャラクターとして選択できる人種は人間の男女のみで,目の大きさや口の位置といった顔の造作と,あとは髪型や髪の毛の色くらいしか選べない。身長や体型などボディのほうは変更不可なので,あまり個性的なキャラメイクはできないという印象だ。
まあ,苦労して好みの顔を作ったとしても,いずれ購入することになるヘルメットは頭部をすっぽりと覆うようなスタイルなので,結局,外見から個人を判別するのは難しかったりする。
ゲームモードとしては,ほかのプレイヤーと一緒にAI操作の敵と戦うCo-opスタイルの「PvE」と,最大20人のプレイヤーが二手に分かれて戦う「PvP」,そして後述する「Conquest」の,大きく分けて3種類で,シングルプレイ用のキャンペーンなどは用意されていない。
PvPでは,マップに配置されたコントロールポイントの支配権を争う「Control」,攻守に分かれたチームが,アクティブになったコントロールポイントの攻防を行う「Breach」,自軍陣地に用意してあるロボットに乗り込み,敵陣地の決められたポイントを目指す「Demolition」,マップに敷設されたレールの上を動くコンテナを押し,敵陣に送り込めば勝利となる「Payload」,そして,ランダムに選ばれたコントロールポイントの支配権をめぐって戦いを繰り広げる「Scramble」の,5種類のルールが用意されている。
どれもチーム戦のみで,現時点では,すべてのプレイヤーが敵というデスマッチのような個人戦は「Virtual Arena」でのみプレイできる。ここは,対人戦の練習をするといった雰囲気の施設だ。
戦闘の特徴は,背中に背負ったジェットパックで,短時間だが空を飛べる点にある。これを使って一気に建物の屋根に上ったり,乱戦の真っ只中に空中から飛び込んでいったりするのだ。
ジェットパックで空を飛ぶというギミックは,古くは1998年に発売された名作「Tribes」や,近くは本連載で取り上げた「Section 8」などが個人的に思い出される。2003年に登場したオンラインシューティング,「PlanetSide」なんかにも出てきましたね。本作でもこのジェットパックの活用が,戦いにおける一つのキモになっている。
武器はすべてエネルギー系のもので,撃ちまくってもエネルギーは自動的に回復していくので,弾切れを起こすことはない。体力回復はメディックに頼むか,ヒールアイテムを使うのだが,このアイテムも使用したときは減るものの時間とともに元に戻っていくので,結局自動回復のようなものだ。全体的に,面倒なことがあまりない,カジュアルな作りだ。基本は三人称視点だが,スコープを覗くと一人称視点になるので,状況に応じてこれらを適宜使い分けて戦おう。
それにしても,プレイヤーは反政府勢力のはずなのに,なんで反政府勢力同士で戦っているのかはちょっと不明。まあ,いろいろあるのだろう。
PvEは,全員が同じ場所から一緒にスタートし,一本道のマップで敵を倒しつつ,最後に待ち受けている強力なボスをやっつけるという内容で,15分前後の短い時間で終了する。
正直なところ,マップが単調なのでPvEはあまり面白くない。プレイに慣れるための練習,あるいはアイテム生産に必要な材料集め専用と割り切ってしまうほうが良さそうで,やはり本作のメインは対人戦闘にあるようだ。
ちなみに「アイテム生産」とは,敵を倒したときにランダムに拾えるアイテムを集め,街のショップで買える設計図を使って,防御力や攻撃力がアップするさまざまなアイテムが作れるという,RPGっぽいフィーチャーのことだ。
本作の課金形態は少し変わっている。月額のプレイ料金は12.99ドルとなっているのだが,クライアントさえ購入すれば,月額プレイ料金を支払わなくとも,ほぼすべてのPvEやPvPが楽しめる。
では,なんのためのプレイ料金なのかといえば,それが上記の,Conquestモードが遊べるかどうかだ。Conquestとは,複数のプレイヤーが結成したAlliance(アライアンス。MMORPGのギルドのようなもの)が,所有する土地の支配権を賭けて戦うというものだ。ほかのAllianceが支配している土地に攻め込んだり攻め込まれたりするわけで,所有する土地に自分達の建物を建てたりといったことも可能だ。
もっとも,2010年2月1日の正式サービス開始から3月31日までは,月額料金支払いの有無に関わらず,すべてのプレイヤーがConquestを楽しめるサービス期間になっている。
Conquestができるマップは現在のところ5種類で,これらは,オープン時間がそれぞれ決まっており,いずれも一日のうち2時間30分しかプレイできない。
詳しいオープン時間は,公式サイト「こちら」でチェックしてほしいが,見て分かるように,どれも欧米のゴールデンタイムを中心に設定されており,日本人プレイヤーが参加しようとすれば,休日を利用しない限り厳しそうだ。もっとも,Allianceに加入していなければConquestに参加することはできないので,その点,日本人ゲーマーが気軽に参加するにはいささかハードルが高いようだ。
そうした点を考慮に入れたうえでも,本作は肩ひじ張らずに楽しめるSFシューティングとして面白い作品になっていると思う。
対人戦をメインとするオンラインゲームをプレイする以上,相手プレイヤーがいなければゲームにならない。そこで問題になるのが,時差による日米のプレイ時間のズレだ。
欧米サーバーにプレイヤーが集まりやすい時間帯は,日本では早朝から午前中となる場合がほとんどで,それは本作にも当てはまる。逆に日本人ゲーマーが多くプレイする夜から深夜にかけては,あちらのプレイヤーが減ってしまうため,対戦待ちの時間が長くなりがちだ。
本文にも書いたが,Conquestモードの場合,マップがオープンしている時間帯が日本時間の深夜から早朝にかけてとなってしまうため,日本のゲーマーはなかなか参加しにくい。
今後のアップデートによって,オーストラリアのプレイヤーのための新たなConquestマップが追加される予定があるとのことで,これがオープンすれば,我々日本人にとってもナイスな時間帯になりそうだ。また,2010年3月2日のゲームアップデートにより,Conquestに「Tradewind」と「Anvil」という二つのマップが追加された。
そのうちTradewindは,オーストラリアのプレイヤーに向けたもので,オーストラリア現地時間の19:00〜21:30がオープン時間に設定されている。日本時間にすると17:00〜19:30となり,ちょうど夕食時だが,北米向けに比べれば格段にプレイしやすい時間帯となったといえるだろう。
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