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[COMPUTEX 2007#13]Radeon HD 2600/2400カードが一斉公開(1)デュアルGPUソリューション編
■GECUBE,HIS,MSI,SapphireがデュアルGPUカードを用意
[COMPUTEX 2007#02]のプレビュー記事で,「HD2600 Gemini2」とお伝えしていたカードは,「D26XT2-F5」としてGECUBEブースで展示されていた。同社のNicole Yang氏によると,開発途上版ゆえに製品名は最終版ではない(※注:GECUBE製品には一般に「GC」型番が付与される)が,カード自体はほぼ最終版だという。
カードデザインは先にお伝えしたものと同じで,GeForce 8800 GTXのリファレンスカードと同じくらいの大きさに見え,HD 2600 XT×2と,GPU 1基当たりに512MBのグラフィックスメモリを搭載している。
製品紹介ポップによると,動作クロックはコア800MHz,メモリ1GHz相当(実クロック500MHz)。メモリチップはDDR2だという。少々バランスの悪い仕様ではないかとツッコミを入れてみたところ,Yang氏の回答は,「GDDR3メモリを選択したときと比べて,CrossFire動作時の性能はほとんど変わらなかったため,コストパフォーマンスを重視してDDR2を選択した」というものだった。表記ミスではなく,本当にメモリクロックは1GHz相当だと思われる。
なおYang氏によると,(GECUBEでは)2007年6月下旬にHD 2600 XTチップの最終版を入手できるそうだ。その後,シングルGPU仕様の製品を投入し,それから2〜4週間遅れて同製品を投入予定という。なお価格は未定とのこと。
HISブースで,GPUクーラーを外したカードだけの状態で展示されていたのが,「HIS Radeon HD 2600 XT Dual」である。カードサイズはGeForce 8800 GTX搭載製品相当といった印象だ。
同社の製品開発部門ディレクターであるJoe Ho氏によると,現在のところ動作クロックは決定していないが,少なくともHD 2600 XTのリファレンスクロックよりは高くなるとのこと。ちなみにメモリチップは,Samsung ElectronicsのGDDR4チップ「K4U52324QE-BC09」(512Mbit,0.9ns品)を搭載していた。
同氏によると,発売時期は「シングルGPU版のHD 2600 XTカードより1〜2か月あとになる」そうで,順調にいけば8〜9月頃には店頭に並びそうだ。
その巨大なサイズで,MSIブースを訪れた人達の目を釘付けにしていたのが,「RX2600 Geminium」である。ブースに貼られたスペックシートではコアクロックは800MHz,GDDR3チップを採用するメモリのクロックは1.4GHz相当(実クロック700MHz),メモリ容量はGPU 1基当たり512MBとされていた。巨大なカードの裏面に,これまた巨大なヒートシンクを搭載するのが印象的な同製品について,MSIのプロダクトマネージャーであるMatt Su氏は笑いながら「もちろん,このまま製品化するつもりはない」と述べる。COMPUTEX前日に完成した手作りの一品で,あくまで“間に合わせ”。実際には,ファンレスという仕様を保ちつつカードサイズを縮小し,2007年末の販売を予定しているという。
その数は,生産数と同じ10枚。店頭展示用などに使われる可能性があるとのことで,実際に10枚すべてが販売されるとは限らないが,それでも何枚かは,そう遠くない将来,国内で流通するようだ。
ちなみに,手作りの初期サンプルということで恐る恐る値段を聞いてみると,店頭価格は軽く10万円を超えるという。石岡氏の口ぶりからすると,GeForce 8800 GTX搭載カードでNVIDIA SLIが組めてしまいそうな価格になる気配。まあ,明らかにマニア向けとなってしまうが,希少価値のあるPCパーツに興味がある人達の間で,話題になることは想像に難くない。
Sapphireは,会場近くに設けた同社のスイートルームで,「SAPPHIRE HD 2600 XT Dual」を公開した。同製品はGPUクーラーを取り付けた状態と,取り外した2枚が並べられており,完成度の高さが窺えた。同社の広報マネージャーであるCasey Chow氏によれば,2007年7月末の市場投入が予定されているという。
具体的な動作クロックは,顧客からのフィードバックを参考にしてCOMPUTEX終了後に決定するとのことで,取材時点では未定。ちなみに,カードが搭載していたメモリチップはSamsung Electronics製のGDDR3チップ「K4J52324QE-BC12」(512Mbit,1.2ns品)だったので,このままの仕様で最終製品になるとすれば,メモリクロックは最大で1.66GHz相当(実クロック約830MHz)まで期待できることになる。
というわけで,(イレギュラーなMSIも含めると)日本でもよく知られたベンダーのデュアルGPUソリューションは,思いのほか早く市場投入されそうだ。4GamerではCeBIT 2007 Hannoverのタイミングで「ミドルレンジやローエンドのGPUを2個利用することで,ミドルレンジGPUとハイエンドGPUの間にある性能差を埋める方向に進む」とお伝えしていたが,いよいよ具体性を帯びてきたといっていいだろう。
また,まだ先の話ではあるが,1枚でCrossFire動作が可能ということは,2枚でQuad CrossFireを実現できるはずである。今回カードを用意していた4社は,いずれもQuad CrossFireへ容易に拡張できるメリットを口にしていた。
ただ,ハードウェアだけではどうにもならないのも確か。AMDには,CrossFireの安定性向上と,スケーリング対応ゲームタイトルの増加を期待したい。(佐々山薫郁)
- 関連タイトル:
ATI Radeon HD 2600
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