レビュー
もはや「Civ4.5」とでも呼びたい,強化/拡張の数々
シヴィライゼーション4 ビヨンド ザ ソード【完全日本語版】
» 「シヴィライゼーション4」の拡張パック第2弾,「ビヨンド ザ ソード」の日本語版がついに発売された。Civシリーズ歴代の拡張パックのなかでも,追加/改良要素が最も大きく,とくにAIの大幅な強化が注目される本作ついて,シリーズ全作品をプレイし,当サイトではCiv4の攻略連載も担当した虹川 瞬氏が解説する。
さっそくその内容を紹介していきたいのだが,最初に一言。Civシリーズの拡張パックを,オリジナルや前作からの変化具合/拡張度合いで判断するなら,BtSは歴代最強にして最良のものだ。前回の拡張パック「Warloads」が,とくに内政派プレイヤーにとって,いま一つインパクトに欠けていたのとは対照的に,変更点のボリュームだけでもWarloadsを圧倒する勢いだ。
■新文明の追加
「Warlords」(6文明)
・ヴァイキング(ラグナル)
・オスマントルコ(メフメド2世)
・カルタゴ(ハンニバル)
・ケルト(ブレヌス)
・ズールー(シャカ)
・朝鮮(王建)
「Beyond the Sword」(10文明)
・アメリカ先住民(シッティング・ブル)
・エチオピア(ザラ・ヤコブ)
・オランダ(オラニエ公ヴィレム1世)
・クメール(スーリヤヴァルマン2世)
・シュメール(ギルガメッシュ)
・神聖ローマ(シャルルマーニュ)
・バビロニア(ハンムラビ大王)
・ビザンチン(ユスティニアヌス1世)
・ポルトガル(ジョアン2世)
・マヤ(パカル2世)
■既存文明の新指導者
「Warlords」(4人)
・チャーチル(イギリス)
・ラムセス2世(エジプト)
・アウグストゥス(ローマ)
・スターリン(ロシア)
「Beyond the Sword」(6人)
・リンカーン(アメリカ)
・スレイマン(オスマントルコ)
・ペリクレス(ギリシャ)
・ブーディカ(ケルト)
・ド・ゴール(フランス)
・ダレイオス1世(ペルシャ)
■新しい指導者特性
「Warlords」(3種類)
・防衛志向
・カリスマ志向
・帝国主義志向
「Beyond the Sword」(なし)
■文明固有ユニット以外の追加ユニット
「Warlords」(2種類)
・三段櫂船
・トレプシェット
「Beyond the Sword」(14種類)
・私掠船
・戦列艦
・胸甲騎兵
・飛行船
・空挺部隊
・対戦車歩兵
・移動式SAM
・自走砲
・攻撃型潜水艦
・ミサイル巡洋艦
・ステルス駆逐艦
・誘導ミサイル
・戦術核
・企業重役
■文明固有以外の追加都市建造物
「Warlords」(なし)
「Beyond the Sword」(4種類)
・公安局
・堤防
・工業団地
・公共輸送機関
■文化遺産の追加
「Warlords」(3種類)
・万里の長城
・アルテミス神殿
・サンコーレ大学
「Beyond the Sword」(7種類)
・ゼウス像
・バチカン宮殿
・シェタゴン・パヤ
・マウソロス霊廟
・コルコバードのキリスト像
・モアイ像(国家遺産)
・国立公園(国家遺産)
■テクノロジーの追加
「Warlords」(なし)
「Beyond the Sword」(6種類)
・美学
・軍事科学
・高度飛行術
・レーザー
・超伝導
・ステルス
■システムの大きな変更点
「Warlords」
・指導者特性の追加
・文明固有建造物
・大将軍の導入
・属国化
「Beyond the Sword」
・バチカン宮殿の宗教会議
・スパイ関係の大幅変更
・企業システムの導入
・宇宙船勝利関係の大幅変更
・ランダムイベントの導入
・海外領地の独立
ここに挙げた要素,また,さらに重要な変更点など,BtSのウリとなるポイントを紹介していくことにしよう。
「拡張パック」としての大量の追加要素
またWarloadsにより,指導者特性の合計がオリジナルの8から11に増え,2特性の組み合わせ総数は55通りになっていた。今回の追加分で,これらがほぼ埋め尽くされることになった。また,オリジナル版には存在したが,Warloadsでの特性の見直しによって空きになっていた「金融・拡張」「哲学・創造」といった組み合わせの持ち主も,すべて復活している。ちなみに,前者はマヤのパカル2世,後者はギリシャのペリクレスがそうだ。
それ以前の時代に登場するものにも,飛行船のようにインパクトが大きいものがある。また,ちょっと異色な感じのする「企業重役」は,この拡張パックの大きなポイントの一つだ。企業システムについては,あとで改めて紹介しよう。
新テクノロジーの追加は,初期〜中期に登場するもの二つと,現代近くになって出てくるものに分類できる。前者のうち「軍事科学」は,新設の胸甲騎兵や,騎兵隊・擲弾兵に必要な新テクノロジー。騎兵隊にライフリングが必要になったことと併せて,騎兵隊と擲弾兵でラッシュをかける戦術は成立しにくくなった。
なお今回は詳述しないが,必要テクノロジーや性能の変更が行われたユニットはかなり多い。後者は,宇宙船パーツや現代ユニットに影響するものも多数含まれる。
こうして見ると,基本スペックの拡張は,Warloadsまでの段階で生じていた「穴を埋める」形で行われているものが多いようだ。特性の組み合わせで欠けていた部分の補填や,特定資源がない場合,生産資源が得にくい立地の都市で,極端に不利になる状況を回避できるような拡張。そして,既存戦術の一部を成り立たせていた,システムの組み合わせの隙間を埋める新技術。これらによって,プレイヤーはこれまでの戦術を見直す必要に迫られる。新たなチャレンジが生じるのだ。
「コルコバードのキリスト像」には,宗教特性ではない指導者でも,体制変更後の無政府状態がなくなる効果がある。今回のリリース版では無制限に利用できるが,海外最新版では1ターン1回までという制限が付いた |
本文で触れた「国立公園」の適用例。人口13人の都市で,食料資源中心に6人の市民を配置,残り7人+6保安林で,13人の専門家を擁する状態になっている |
中盤まで重要性を大きく増した宗教
まず筆頭に来るのが「バチカン宮殿」と,それによって行われる国際会議だろう。もともと国際会議は,世界遺産「国際連合」の建造で行われるようになるものだった。「バチカン宮殿」による世界会議は,それを大きく前倒しするものだ。遺産保有国を一方の候補にした多数決投票で議長国が決まり,議題はメニューの中から議長国が選ぶ,というシステムは国連と同一。国連同様に,この会議でも外交勝利を目指せる(後述)。
ただし,バチカン宮殿の運営には宗教が大きく影響する点が,大きな違いだ。バチカン宮殿には,建造文明の国教の属性が付く。バチカン宮殿の国際会議投票に参加できるのは,この宗教が伝播した都市を持つ文明だけ。票数は,その宗教が伝播した都市の人口分となる。さらに「正規メンバー」になるには,その宗教が国教である必要がある(ただしバチカン宮殿建造国は,国教を変更しても常に正規メンバー)。そして正規メンバーには「その宗教の施設(礼拝堂を除く3種類)が,ハンマー(生産ポイント)2を生み出すようになる」というボーナスがある。
こうした特性を持つバチカン宮殿が,中盤以降の宗教戦略にかなり大きく影響するのは明らかだろう。バチカン宮殿を取ってボーナスと議題のヘゲモニーを握るのが一番よいのだが,これができなかった場合が難問だ。とくに自国に伝わっていない宗教でバチカン宮殿が作られてしまうと,生産と外交にハンディキャップを抱えることになってしまう。
また,バチカン宮殿による電撃的な勝利を狙う戦略も可能になった。2大陸マップの場合,まずバチカン宮殿を作り,自大陸で2国程度を属国化して投票の過半数を握っておく。そこで自由主義を発見して「信教の自由」を採用したあと,他大陸との交通が成立した直後に伝道師を派遣し,人口が少ない1都市にだけ伝道を行って全文明をメンバーにする。このあとの会議で投票を行えば勝利,という具合だ。
この戦略,一見したところ相手国が神権政治体制で,国教以外の伝道ができないと,成り立たないように思われる。ところがBtSでは,さらにそれをひっくり返す手段が用意された。それが,一新されたスパイ関係の機能だ。
禁輸決議が可決された画面(右上のポップアップウィンドウ)。これはプレイヤーが属する儒教ブロックから仕掛けている例だが,逆にターゲットにされることもあり得るわけだ |
バチカン宮殿の効果で,寺院・僧院がそれぞれ2ハンマーを生み出している様子。4ハンマーの追加はマップにもよるとはいえ,かなり大きい効果といえる |
完全に一新されたスパイ関連機能
BtSでのスパイ,というよりも諜報戦の機能は,文字どおり一新されている。スパイユニットを使う能動的な活動と,新設された「諜報ポイント」で行う受動的な情報収集/防諜活動の組み合わせになっているのだ。
「諜報ポイント」は,「文化ポイント」同様に,建造物が生み出したり,収入の一部を振り分けたりすることで積み立てていくポイント。これを相手文明別に溜めていくことで,相手国の情報が得られる。逆にいえば,出会ったばかりの文明や,ポイントを溜めるのを怠った文明の情報は,情報画面から得られないのだ。
攻撃を受ける可能性を判断するため利用できた「エネルギー」(原語は「Power」で,つまり戦力指標)のグラフも,もはやタダでは使えない,ということになる。積み立てが進んでいけば,相手の都市の中身がまるまる見えることもある。なおこれに伴って,宗教による自文明以外への視界拡大機能は廃止された。
こうした基本システムに加え,偉人としての「大スパイ」も設定された。捕えられない偵察ユニットとして使うほか,特殊な都市建造物「スコットランドヤード」の建造(従来の国家遺産から位置付けが変更になった),特定敵国に対して諜報ポイントを一気に稼ぐといった使い道がある。
実際にプレイしてみると,AI文明のスパイ攻撃はかなり熾烈で,しかもどこが仕掛けてきているのか分からないという難儀なもの。諜報ポイントにある程度費用を割かないと,毎ターンのように自国都市の水源に毒を入れられたり(都市衛生が低下),都市建造物や地形改善施設が破壊されたりといった憂き目に遭う。もちろん総収入にもよるのだが,終盤なら収入の20%以上は諜報に回すことが必要になるようだ。
なお,従来になかったコストやテクノロジーの追加で,ゲームはこれまでよりも少し長くなる。最終ターンが2050年というのは変わらないが,1ターンあたりの年数を変えることで,標準ゲームの場合最大500ターンまでプレイするように設定が改められている。
スパイの活動メニュー。「体制変更」はこのあとサブメニューが出る。これは比較的初期のかなり安い状況で,ゲーム後半では数千単位のコストがかかる任務も出てくる |
諜報ポイントの割り振り画面は,メイン画面右上の小さなアイコンの一番右(前の画面参照)で呼び出す。大航海時代に新たな文明と出会ったら,割り振りを0から変更しておかないと,いつまでたっても相手の状況が分からない羽目に陥るので要注意 |
終盤の展開に影響する? 企業システム
企業は「企業」テクノロジーと,もう一つ必要なテクノロジーがあるときに,対応する偉人(大将軍と大預言者以外)を都市で消費して,「企業本社」を設立すると利用できるようになる。例えば「シド寿司社」の場合,「医術」テクノロジーと大商人が必要だ。
企業本社では,その企業の「重役」ユニットが作れる。この重役を,自文明に限らずほかの都市に向かわせると,使い捨てで企業の支社を作れる(失敗することもある)。そして支社が出来ると,その都市でも新たに企業重役を作れるようになる……。これは伝道師による宗教伝播と同じシステムだが,宗教と異なり,企業は自然に隣接した都市に進出することはない。
さて進出した都市で,企業は富を消費し,食料/文化/ハンマー/その都市でだけ消費できる特定資源のうち,決められたものを生み出す(1種類とは限らない)。その規模は,企業が利用する資源がどのくらい供給されているかによる。例えばシド寿司社なら,蟹・魚・貝・米が利用可能な量に合わせて,食料と文化ポイントを生産する。そして支社はある程度の富を維持費として払わされ,その富が本社の都市に流れ込むことになるわけだ。端的に言えば,本社は集金装置兼各種ポイントや資源の生産装置,支社は富を各種ポイントや資源に変えるコンバータというわけだ。
なお,一つでも利用する資源が重なる企業は,同じ都市には置けない。例えばシド寿司社と同じく米を使う企業として「スタンダード・エタノール社」があるが,両社は共存できないのだ。
企業はまず,ライバル文明から富を奪うのに利用できる。ただし,ライバルはその見返りとして資源や各種ポイントを得られる,という両面性がある。アルミの産出なしで宇宙開発レースに参加している相手文明に,石炭からアルミが生み出せる「アルミニウム社」の支社を進出させたのでは逆効果というわけだ。
企業を自国内展開する場合,この効果を使って,自国に欠けている資源を補ったり,食料で都市規模をさらに拡大したりできる。また,文化勝利を狙うときの文化産出企業,宇宙開発勝利を狙うときのハンマー生産企業は,かなり大きなブースト要素になる。実際,何度かプレイするうち,文化勝利目前で戦争を仕掛けられ,企業による文化ポイント増産がなければ危なかった,という経験もした。
登場が終盤近いこと,肝心な時期に肝心な偉人が出てくるか/ストックしておけるか,という点で,活用しにくい面もあるが,うまく噛み合えば,勝利に貢献できるシステムといえる。
そのほかの変更点も盛りだくさん
これら以外にも,ゲームシステムに変更が加えられた点が少なからずある。
オリジナル版や「Warloads」のプレイヤーがBtSをプレイしてまず気づくのは,ランダムイベントやクエストの発生だろう。BtSでは数ターンに1度程度の割合で,さまざまなランダムイベントが発生するようになった。具体例はスクリーンショットで確認してほしいが,種類はかなり豊富だ。また,プレイヤーに最大3通りの中から対応を選ばせるものもある。こうしたイベントはAI文明にも発生しているようで,画面上部にはひっきりなしにメッセージが流れるようになった。
悪いイベントの典型例「火災」。お金を払うか,都市建造物を失うかの選択になる。なお不幸にして十分な蓄えがないと,お金を払う選択肢はグレイアウトして選択できない。ランダムイベント対応のため,ある程度の蓄えが必要になるのだ |
こちらはよいイベントの例。時代を選ばずに起きるようなイベントもある一方で,このように文明の発展状況や体制を反映したものもある |
通常のイベントのほかに,期限と条件が設定され,達成するとボーナスが得られる「クエスト」もある。筆者は「都市建造物を決められた数揃える」「敵文明支配下にある資源を獲得する」「企業を規定以上の都市数に進出させる」という3パターンを経験したのだが,プレイスタイルに合わせて発生しているため,まだほかのパターンもありそうだ。ランダムイベントと併せて,単調になりがちな展開にアクセントを与えてくれるスパイスといえよう。
ちなみにクエストの期限はターン数ではなく,次の時代,または二つ先の時代に入ってしまうと時間切れ,という設定のようだ。このため,クエスト達成を優先すると,テクノロジー取得の順序が通常のプレイスタイルと変わる,といった影響もあるだろう。もっとも,苦労する割に,得られる特典はたいしたことがないケースも,ままあるのだが……。
クエストの発生例。筆者は勤労特性の指導者を好んで使うためか,このイベントにはかなりの頻度で出くわした |
クエスト達成時の画面。画面以外の選択肢では,首都の都市圏内に銅資源が発生する/首都に技術者の専門化市民が1人定住するという効果。ただ,一度だけ鉄も銅も得られないでいた状況で,このイベントで銅が手に入るようになり,かなり救われたことも |
宇宙開拓勝利の仕様と画面も変更された。宇宙船を組み上げて打ち上げたらそれで勝利するのではなく,アルファ・ケンタウリ星系に先着することが必要になった。これに応じてか,宇宙船のパーツが一部欠けた状態で打ち上げを行うことも可能になっている。ただしその場合,到着までのターン数が余分にかかったり,途中で失敗したりする可能性がある。ライバル文明の動向に合わせて,見切り発射もできるが,リスクを伴うというわけだ。ちなみに,完璧に組み上げた宇宙船の場合でも,到着には打ち上げターンを含めて11ターンかかる(標準速度のゲームの場合)。また,各パーツを建造するのに必要なテクノロジーが,ゲーム終盤で追加されたものに合わせて多少変化している。こうした事情で,宇宙開拓勝利は従来より少し難度が上がった印象だ。
その解決策として「海を隔てた領地を,属国として独立させること」が可能になった。属国システム自体はWarloadsで導入済みだが,これが拡張されたわけだ。こうして設立された属国は元の国家に高い好感度を持っているので,リーズナブルなレートで貿易に応じてくれる(ただし,100%言いなりになるわけではない)。
こうした植民地独立は,AI文明もごく普通に使う。このためBtSでは「プレイ中に文明が増える」といった現象が起きるのだ。メフメド2世(本家)とスレイマン(分家),二つのオスマントルコ領が出来たという経験をしたこともあった。
RTSが流行すればその手法を,Paradox Interactiveのストラテジーゲームがヒットしたら,イベントに選択肢を用意し,傀儡政権の使い方も工夫してみる。そんなアグレッシヴな開発姿勢も,もはやCivシリーズの伝統といえるかもしれない。
オマケというにはウェイトが大きいModとシナリオ
海外の大手ファンサイト「Civilization Fanatics' Center」によると,BtSでは「より多くのゲームメカニズムがXMLとPython(で操作できるよう)に暴露された(exposed)」とのこと。このため,BtSには従来のCivilizationのイメージとは相当に異なったModや,それを利用したシナリオが添付されている。
例えば「Final Frontier」は「銀河を舞台にしたSid Meier's Alpha Centauri」といった趣のシナリオ。中央集権的に殖民星系を管理していた地球との連絡が途絶し,各殖民星系が独自に探索と拡張を始めるという設定だ。殖民対象となる星系は位置が固定されているとか,資源のある区域を支配領域に収めるための「星間基地」を作るにはコストがかかるとかいった点は,Civilizaionシリーズとは違った感覚になっている。
マップ左右に見えるのが位置が固定された恒星系。中央に,小惑星の資源獲得拠点と連絡経路の防衛を兼ねた「星間基地」を置いてみたところ |
恒星系の開発画面。「都市圏に相当する影響圏内に軌道が収まらない惑星には殖民できない」というルールがあり,これが恒星系の人口上限になる |
さらに「Afterworld」は5人の分隊を指揮して,ミッションクリア形式で進めていくタクティカルRPG風のシナリオで,これにはテクノロジーツリーもユニット生産も存在しない。崩壊した建物を暗い色調で描く3Dマップは,「Diablo」を髣髴とさせる。
カカシ風の格好のものが,プレイヤーが扱う分隊メンバーが乗る「ボディタンク」。廃墟の中で視界を確保し,敵を排除しながら,短期目標を達成していくシステムだ |
敵は怪物化した殖民惑星労働者。5機の小隊の1機でも落とされるとゲームオーバーだ,反撃されない間接攻撃や強力なアイテム攻撃を交えた,慎重な展開が必要になる |
このほか,クエストやヒーローユニットのクラスチェンジといった要素を持つファンタジー風シナリオ「Age of Ice」や,ヒストリカルに文明が登場する「Rhye's and Fall of Civilization」,オーソドックスな第二次世界大戦マップ「WWII: Road to War」(これはヨーロッパ戦線と太平洋戦線の2本立て)など,バラエティもボリュームも十分だ。これだけで数本分のゲームに相当する翻訳作業が必要そうだが,すべて日本語になっているのはありがたい。
「Age of Ice」は,大作ファンタジーMod「Fall from Heaven」と世界観を共有している。ファイアーボールなど派手な演出もあり |
マップは固定されており,プレイヤーは序盤で金属資源を敵から奪取しなければならない。ヒーローユニットの成長と特殊能力の活用がカギになるようだ |
真の変更点は「強化されたAI」
筆者についていえば,しばらくCivに触れないでいて,腕がなまったということもあるのだが,「貴族」設定でAIに出し抜かれることもたびたびあった。とくに,宇宙開発勝利を目指しているとAIの文化勝利に出し抜かれるパターンが多く,宇宙船打ち上げから到着までの間に文化勝利を達成されたこともあった。宇宙船勝利は前述の通りハードルが上がったのに対し,文化遺産が多少増えたり,企業によるブーストが効いたりする関係で,プレイヤー・AIともに,文化勝利を狙いやすくなっているようだ。
熱い戦争をしていなくても,スパイによる妨害工作が厳しいことはすでに触れたとおり。また,それを抜きにしても,厳しくなった衛生管理や,手ごわくなったAIとの文化遺産獲得戦は,手応え十分だろう。なにせ,青銅器を取って森林伐採体制を整え,ストーンヘンジとアポロ神殿を押さえるという一種の定番パターンを踏むと,ファロス灯台やピラミッド,万里の長城は,メニューに出る前にAIに取られる場合がほとんどなのだ。
ただ一つ残念なこととして,リリースされるバージョンが3.02であることが挙げられる。海外では,ゲームバランスのさらなる見直し(企業のコストや「Afterworld」シナリオのユニット移動力変更など)と,細かなバグフィックスが実施された「3.13」バージョンへのパッチがすでにリリースされている。今後長期的にプレイ方針を組み立てていくうえでは,3.13バージョンをもとに考えたいところがあるからだ。
また、3.02では,とくにシヴィロペディアへのアクセスによってゲームが落ちることがあるという既知のバグがあり,これも3.13では改善しているとのこと。発売元であるサイバーフロントには,ぜひもうひと頑張りをお願いしたい。
主観的な言い方をすれば,BtSの登場によりCiv4は「Civ 4.5」になったという印象さえある。熱心なCivプレイヤーならばマストバイの拡張パックといえるだろう。
本文では触れなかった改良点だが,ルネサンス期以前くらいまでのユニットの多くは,文明圏別に違った外見を持つようになった。この画面はすべて開拓者のもの |
こちらは騎士。左から東〜東南アジア,インド・中東・アフリカ,ヨーロッパ・アメリカ文明,南北アメリカの先住民系。このため,序盤〜中盤は見た目の印象もかなり新しい感じを受けるはず |
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