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「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
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印刷2011/09/10 00:00

レビュー

「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや

 Intelは2011年9月4日,デスクトップCPUのラインナップに,Sandy Bridgeコア世代の計11製品を追加した。プロセッサ・ナンバーと主なスペックおよび実勢価格は下記のとおりで,エントリー&ローエンド市場向けの製品が主体だ。

  • Core i5-2320
    3GHz(3.3GHz),4C4T,6MB LLC,DDR3-1333,95W TDP,HDG 2000(850-1100MHz),1万5000〜1万6000円
  • Core i3-2130
    3.4GHz,2C4T,3MB LLC,DDR3-1333,65W TDP,HDG 2000(850-1100MHz),1万2000〜1万3000円
  • Core i3-2125
    3.3GHz,2C4T,3MB LLC,DDR3-1333,65W TDP,HDG 3000(850-1100MHz),1万2000円
  • Core i3-2120T
    2.6GHz,2C4T,3MB LLC,DDR3-1333,35W TDP,HDG 2000(650-1100MHz),1万1000円
  • Pentium G860
    3GHz,2C2T,3MB LLC,DDR3-1333,65W TDP,HDG(850-1100MHz),8000円
  • Pentium G630T
    2.3GHz,2C2T,3MB LLC,DDR3-1066,35W TDP,HDG(650-1100MHz),発売未確認
  • Pentium G630
    2.7GHz,2C2T,3MB LLC,DDR3-1066,65W TDP,HDG(850-1100MHz),7000円
  • Celeron G540
    2.5GHz,2C2T,2MB LLC,DDR3-1066,65W TDP,HDG(850-1000MHz),5000円
  • Celeron G530T
    2GHz,2C2T,2MB LLC,DDR3-1066,35W TDP,HDG(650-1000MHz),発売未確認
  • Celeron G530
    2.4GHz,2C2T,2MB LLC,DDR3-1066,65W TDP,HDG(850-1000MHz),4000〜4500円
  • Celeron G440
    1.6GHz,1C1T,1MB LLC,DDR3-1066,35W TDP,ブランド名なし(650-1000MHz),3000〜4000円

※製品名の下に並んでいる表記は順に,動作クロック(最大クロック),コア/スレッド数,Last Level Cache容量,メモリコントローラ,TDP,統合型グラフィックス機能のブランド名(括弧内は動作クロックの幅),2011年9月10日現在の実勢価格となる

画像集#002のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
 前からSandy Bridge世代のPentiumなどは存在したが,シングルコアSandy Bridgeは初登場だったりと,Intelはエントリー以下の価格帯で,一気にSandy Bridgeの拡充を進めてきた印象だ。
 では,このクラスは,ゲーマーにとって意味のあるものなのか。PentiumとCeleronの両ブランドから,実勢価格が8000円前後の「Pentium G860」と同5000円前後の「Celeron G540」とを,秋葉原のPCパーツ&PCショップであるパソコンショップ・アークの協力により入手できたので,今回は4桁円台中盤〜後半で買える両製品の実力に迫ってみたい。

画像集#003のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
Pentium G860
メーカー:Intel
問い合わせ先:パソコンショップ・アーク
パソコンショップ・アーク販売価格:7680円(※2011年9月10日現在)
画像集#004のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
Celeron G540
メーカー:Intel
問い合わせ先:パソコンショップ・アーク
パソコンショップ・アーク販売価格:7680円(※2011年9月10日現在)

パソコンショップ・アーク



主役の2製品を上位モデルと比較

2008年のデュアルコアCPUとも


 順番に見ていこう。
 まずPentium G860は,動作クロック3GHzのデュアルコアCPUだ。共有のLast Level Cache(L3キャッシュ)容量は3MBで,「Intel Hyper Threading Technology」(以下,HTT)や「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost」といった機能はサポートされていない。

上がPentium G860,下がCeleron G540の底面。キャパシタのレイアウトは同じだが,採用されている部材は異なるようにも見える
画像集#005のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
画像集#006のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
 消費電力の目安となるTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は65W。統合されるグラフィックス機能は「Intel HD Graphics」ブランドが与えられており,Sandy Bridge世代のCore i3以上で採用される「Intel HD Graphics 2000/3000」と比べると,「Intel Clear Video HD Technology」(以下,Clear Video HD)や「Intel Quick Sync Video」(以下,Quick Sync Video)といった,ビデオ周りの機能がごっそり削られているのも目を引く。
 まあ早い話,5月に発売となった「Pentium G850/2.9GHz」比で動作クロックが100MHz上がったモデルである。

 続いてCeleron G540だが,こちらは動作クロック2.5GHzのデュアルコアCPU。スペックは基本的にPentium Gシリーズを踏襲するが,Last Level Cache容量は2MBに引き下げられ,さらにメモリコントローラもDDR3-1066対応とスペックダウンしているのが差別化のポイントだ。

「CPU-Z」(Version 1.58)実行結果。左がPentium G860,右がCeleron G540のものだ
画像集#007のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや 画像集#008のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや

 表1は,そんなPentium G860とCeleron G540とを,Sandy Bridge世代の通常版Core i3最下位モデルとなる「Core i3-2100/3.1GHz」,そして,2008年1月に高性能デュアルコアCPUとして市場投入された「Core 2 Duo E8600/3.33GHz」(以下,C2D E8600)と比較したものである。グラフィックスカードを差す前提に立てば統合型グラフィックス機能は無視できるので,チェックすべきはCPUやメモリ周りだろうか。

※2011年9月10日現在。C2D E8600は販売終了しているため,入れていない
画像集#012のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや

 というわけで今回は,いま挙げた4つのCPUを用いて,Pentium G860やCeleron G540とCore i3-2100の間にはどれだけの性能差があるのかを検証し,同時に,2008年のハイクラスCPUに対し,Sandy Bridge世代のエントリー&ローエンドCPUがどの程度の性能を持っているのかも確認してみたいと考えている。

P5G41T-M LX
G41+DDR3。いまや貴重な選択肢
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:6000〜7500円(※2011年9月10日現在)
画像集#009のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
 テスト環境は表2のとおり。対象となるCPUの価格設定を踏まえ,メインメモリ容量は4GBで統一している。当時のIntel 4シリーズ環境だとメインメモリはPC2-6400を選ぶのが現実的だと思われるが,Intel 4シリーズ+DDR2メモリという仕様で,かつテストに堪えるマザーボードは用意できなかったため,今回はASUSTeK ComputerからDDR3メモリに対応した「Intel G41 Express」搭載の現行モデル「P5G41T-M LX」を借用することとした点は,あらかじめお断りしておきたい。
 Sandy Bridge世代のCPUをテストするのに用いる「P8H67-M EVO」は,4Gamerで独自に用意したものだ。

 なお,GPUに「Radeon HD 6850」を選んだのは,ゲーム用PCに用いるCPU性能を確認するにあたって,消費電力が高すぎず,かつ性能がボトルネックになりにくいものという目的に同GPUが適ったものだったためである。

画像集#013のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション11.0準拠。ただし,CPUの性能差をより分かりやすくするため,「高負荷設定」のテストは行わず,「標準設定」および「低負荷設定」のみとする。また,アスペクト比16:9のディスプレイが市場で支配的となっているため,解像度は1280×720ドットと1600×900ドットの2パターンとしている。


i3-2100に迫る場面も見られるPentium G860

Celeron G540はC2D E8600に届かない


 では,早速テスト結果の考察に移ろう。グラフ1は「3DMark 11」(Version 1.0.2)の「Entry」および「Performance」プリセットにおけるスコアをまとめたもの。マルチスレッド処理に最適化された3DMark 11ではHTTの影響が強く出るため,i3-2100のスコアが良好であり,EntryプリセットではPentium G860との間に最大2割程度の差をつけている。
 一方,Pentium G860とCeleron G540の差は1〜4%ほどしかなく,3GHz対2.5GHzという動作クロックの違いや,3MB対2MBというLast Level Cacheの違いは,あまりスコアを左右していないことも見て取れよう。EntryプリセットでPentium G860がC2D E8600に大きく置いて行かれる理由は,これだけではなんともいえないが,C2D E8600で採用されるCoreマイクロアーキテクチャの特性を踏まえると,キャッシュ容量の違いが効いている可能性はある。

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 続いてグラフ2,3の「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)では,Pentium G860とi3-2100とでほとんど差がない。描画負荷が高く,いきおいCPU性能の違いが出にくくなる「SunShafts」だけでなく,「Day」でも同じ傾向になっているのは注目すべきだろう。
 CPUとして見たとき,Pentium G860とi3-2100の違いは,HTTに対応しているかどうかと,3GHz対3.1GHzというわずか100MHzのクロック差だけ。つまり,HTTの恩恵を受けにくいタイトルの場合,両者の性能差はかなり縮まるというわけだ。C2D E8600も含めて,3製品のスコアはほぼ同じレベルにまとまっているといっていい。

 一方,Celeron G540はPentium G860から最大で17%ほど引き離されている。

画像集#015のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
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 今回テストしたタイトルのなかで,HTTの影響が最も大きく出たのが,テスト結果をグラフ4にまとめた「Battlefield: Bad Company 2」(以下,BFBC2)だ。
 BFBC2において,Pentium G860はi3-2100に30〜32%もの差を付けられた。これは看過できないと見る人も多そうだ。また,1280×720ドットでPentium G860のスコアがC2D E8600を上回りながら,1600×900ドットで逆転を許す点が気になる人もいるだろう。BFBC2がマルチスレッド処理に最適化されていることからすると,より高い負荷状況で共有キャッシュの容量(や動作クロック)が効いたと見るべきか。

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 グラフ5は,「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)の結果だが,全体的にはSTALKER CoPのDayと似た傾向で,Pentium G860とi3-2100のスコア差はほとんどない。
 メモリ周りの性能がスコアを左右しやすいCall of Duty 4で,ここまでいいところのなかったCeleron G540がC2D E8600より高いスコアを示しているのに気づいた人もいると思うが,その理由は,メモリコントローラを内蔵するSandy Bridge世代のほうがそうでないC2D E8600よりもメモリアクセスのレイテンシ面で有利である点に求められそうだ。

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 「Just Cause 2」のスコアは,どちらかというとBFBC2と似た傾向(グラフ6)。Pentium G860はi3-2100から11〜14%置いて行かれており,ここにHTTの影響を見て取ることができる。
 BFBC2と異なるのは,Pentium G860が,C2D E8600よりも16〜17%高いスコアを示していること。これもメモリコントローラの効果だろう。

 なお,そのC2D E8600と,Celeron G540では,解像度によるスコアの違いがあまり出ていないが,これはおそらく,今回のテスト設定に対して,純粋にCPUがボトルネックになっている(≒CPU性能が足りていない)のだと思われる。

画像集#019のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや

 グラフ7は「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)の結果だが,ここでPentium G860は,i3-2100に対して97〜98%,C2D E8600に対して103〜104%のスコアを示した。Celeron G540のスコアは,C2D E8600比92〜96%だ。

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 3D性能検証の最後となる「DiRT 3」だが,ここでの傾向はCall of Duty 4とほぼ同じ(グラフ8)。Sandy Bridge世代の3製品が高めのスコアを示しており,とくにPentium G860とC2D E8600との間に1割強の差がついた点は押さえておきたい。

画像集#021のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや


Core 2 Duoから消費電力,CPU温度はともに低下

32nm High-kプロセスの恩恵はけっこうある


 新世代のエントリーCPUと,2008年のハイクラスCPUとで,消費電力を比較したらどういう結果になるのか。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を利用して,システム全体の消費電力を計測してみよう。今回は,テストにあたって,システム全体に100%の負荷をかけ続けられるストレスツール「OCCT」で30分間負荷をかけ続けた時点を「高負荷時」,その後,30分放置した時点を「アイドル時」としている。

 その結果はグラフ9のとおり。まず目に付くのが,高負荷時にC2D E8600の消費電力が頭一つ抜け出しているところだ。Sandy Bridge世代の3製品は110W前後でまとまっており,32nm High-kプロセス技術を採用して製造されるCPUのメリットを確認できる。

画像集#022のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや

Pentium G860と,製品ボックスに付属の薄型クーラー。Celeron G540,Core i3-2100に付属のものも,見る限りは同じものだった。付け加えると,C2D E8600付属のクーラーも同じ高さである
画像集#011のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
 さらに,アイドル時と高負荷時のそれぞれについて,モニタリングツール「HWMonitor Pro」(Version 1.12)から温度を追った結果がグラフ10となる。HWMonitor Proは2コアそれぞれの温度を取得できるため,ここではバーの数がこれまでの倍になっている。
 さて,今回はテストした全製品で,それぞれ製品ボックスに付属するクーラーを用いている。いずれも,ほぼ同じように見える薄型リファレンスクーラーを使い,ファン回転数はPWM制御に任せているわけだが,高負荷時の結果を見る限り,Pentium G860とCeleron G540のCPU温度がC2D E8600より確実に低いとは言ってよさそうだ。とくにCeleron G540の50℃台前半というのはインパクトがある。

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Pentium G860は意外に悪くない

Core 2 Duo世代からの乗り換え最低ラインか


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 以上のテストから,Pentium G860の性能は,ほぼC2D E8600以上と述べてよさそうである。オンラインゲームだと,動作条件としてCore 2世代の製品名が挙がっているケースも少なくないが,できる限りコストをかけずに,3DオンラインゲームをプレイできるPCを自作しようと思ったときに,今回のテスト結果は参考になるのではなかろうか。
 あと2000円払えるなら,もちろんCore i3-2100のほうを選んだほうがいいのは間違いないものの,その2000円をグラフィックスカード予算に振り分けつつ,3Dオンラインゲーム用のCPUとしてPentium G860を選ぶというのも,選択肢としてはアリと言えるのではないかと思う。

 ただし,序盤でも触れたとおり,Pentium Gシリーズが統合するグラフィックス機能では,Clear Video HDやQuick Sync Videoなどがサポートされない。「Intel Z68 Express」マザーボードを購入し,必要に応じてCPU側のグラフィックス機能を使いたいと考えている場合,動画周りで弱点が露呈する可能性があることは憶えておきたいところだ。

 一方のCeleron G540は,Core 2 Duo E8600から離される場面も多く,Core 2 Duoからの買い換え対象としても,今一つ魅力に欠ける。消費電力面でのメリットはあるため,「セカンダリでプレイしている3Dオンラインゲーム用」などという,割り切った用途向けのCPUになるだろう。

 ところで,最後にグラフ11は,一般的なPC用途を想定した総合ベンチマークソフト「PCMark Vantage」(Build 1.0.2)のテスト結果だ。ゲームと関連するのは,「3DMark06」相当のテストが行われたり,ゲームのロードを想定したHDDアクセスのテストが行われたりする「Gaming」くらいなので,結果について個別に述べることはしないが,興味のある人は目を通しておくといいかもしれない。

画像集#024のサムネイル/「Pentium G860」「Celeron G540」レビュー。8000円と5000円のSandy Bridgeはありやなしや
  • 関連タイトル:

    Pentium&Celeron(LGA775/LGA1156/LGA1155)

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