連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第238回「『妖怪ウォッチ』は守りのゲイム」
あのね,もう一度確認しておきましょうか。この連載は,ゲイレスラーである男色ディーノが,ゲイムを気ままにプレイして,そのとき思ったことを書き殴るという,ただそれだけの毒にも薬にもならないものなの。だから,「偏ったゲイムの紹介をしてるんじゃねえ!」ってキレられても困るわけ。
というのもですね,とうとう後輩から文句を言われたのよ。「もっと自分が買いそうなゲイムを紹介してくださいよ! 当てにならん」と。待て待て待て待て,と。君が買いそうなものなど知らんわい。
というか,その前に君がゲイムを買う動機として,この連載なんぞ当てにするな,と声を大にして言いたいわ。TVの音量でいうと目盛り23くらいのところで。
推奨というか希望として,この連載はアイドルのブログにおける,ほかのアイドルとの2ショットとか自分撮りとか,その日食べたもんの画像くらいのものとして扱っていただきたいのですよ。
「今週はこんなゲイムプレイしましたよー」という私の記事と,アイドルの「今日は撮影がありましたー(^O^)」は同じレベル。私に興味のある人にとってはちょっとした情報かもしれないけど,どうでもいい人にとってはどうでもいい。そういうものなの。それを分かったうえで,あえて伝えるのがアイドルの仕事なの。だから,それに対して文句を言うのは時間の無駄。
そしてもう一つ言っておきたいんだけど,文章には攻める文章と守る文章があるのね,例えば「○○反対!」という自分の政治思想を叫んだり,本当に自分の思っていることを何のオブラートにも包まず書いてしまうのが攻めの文章。一方,なるべく波風を立てずに突っ込みどころのないように心掛けているのが守りの文章。
反対意見が出てくるのをいとわずに,読んでる人に考えさせるのが攻めで,自分のことを知っている人に対して,安心させるのが守りであると,言い換えてもいいわね。
だから,守りの文章に対して攻撃しても響かないというか,意味がない。ま,すでにこの分類すらどうでもいいんだけどね。
そして今から! レベルファイブの「妖怪ウォッチ」について語るんだけども,やっぱりこのタイトルも,私が好きなレベルファイブっぽさが全開で,期待に違わず面白いのよ。こりゃもうね,好きなんだからしょうがないって感じ。
ほら,自分にとってのゲイムの良し悪しって,最終的には好きか嫌いかが重要なわけじゃない。じゃあレベルファイブ作品のどこが好きなのかっていうと,私の場合,作品から伝わる「レベルファイブっぽさ」なのよ。レベルファイブ作品をこの連載で取り上げるときって,ゲイムそのものもそうなんだけど,何より「レベルファイブっぽさ」の素晴らしさを語っている気がするのね。その「ぽさ」っていうのは,これすなわち子供に向けて正しいものを提供しようという姿勢。妖怪ウォッチは,妖怪を集めて育てるRPGなんだけど,ストーリーがいちいち平和なのよ。
プロレスでもそうで,悪役が反則攻撃をするのは勝つためなの。特別に危険なもの以外は,5秒以内であれば反則負けにならないっていうルールの中での反則攻撃は,裏を返せばルール上,認められる範囲の攻撃なのよ。
ひょっとしたら,その試合に勝たなければそのプロレス団体をクビになり,愛する家族を養えなくなってしまうから,勝つために手段を選ばずギリギリの反則攻撃をしているだけなのかもしれない。手術を怖がっている少年と「今日私が勝ったら怖がらずに手術を受けてくれるね?」と約束しているがゆえの,手段なのかもしれない。でも,初めて見た子供にとって,そんな背景は関係ない。栓抜きで相手を殴る人は悪で,クリーンファイトしている人は善。
一方,妖怪ウォッチは,善や悪という概念すら語られていなくて,夏休みの昆虫採集のかわりに妖怪採集をするっていう,平和そのもののストーリーが展開していくわけ。RPGだから妖怪とのバトルもあるんだけど,そのバトルもまったく毒気がないものなの。
コマンドバトルでもなく,勝手に妖怪達が攻撃をしていく戦闘なんだけど,アイテムを使ったり必殺技を使ったりのタイミングは,プレイヤーが操作できるのね。だから,放っておいても戦闘は進むし,やろうと思えばやれることはいっぱいあるから,戦闘に積極的に介入できるのよ。結果,戦闘に飽きが来ないわけね。
それでいて,バトルしたあとには妖怪と「ともだち」になれて,仲間が増えていくという美しさまで完備。
結局,複雑な善悪を小難しく描こうとするのではなく,子供が素直に感じられるような,「良いことは良い,悪いことは悪い」といった表現にとどめているのが,「レベルファイブっぽさ」なのかなって私は勝手に思ってるんだけど,それにしても作品ごとの整合性のつけ方が素晴らしい。
妖怪ウォッチも,「妖怪を集めるのが楽しい」「戦闘が飽きない」「クエストがいっぱいある」「妖怪だけでなく昆虫採集や魚釣りなどの収集要素もある」「ウィスパーという妖怪の執事のキャラが立ってる」と,ざっと思いつくだけでこれだけの楽しい要素があって,基本的には誰がプレイしても面白いと思えるであろう安定感があるのよ。
ケツ論を言うとすごくオススメ。確かに「レベルファイブっぽい」ゲイムではあるけれども,そういうことを抜きにしても,単純に面白い。個人的には,移動スピードがちょうどいい点と,一話一話が短めという点がおススメポイントね。RPGを途中で諦めてしまいがちな人でも,テンポ良くプレイできちゃうから最後まで続けられると思うわ。なので,オススメ。是非に。
さっき,攻めの文章と守りの文章という話をしたけど,それをゲイムに当てはめたとき,レベルファイブ作品って基本的には「守りのゲイム」だと思うのよ。尖った部分がないというか,危うさがないというか,要するに誰がプレイしても面白いって意味でなんだけど。
「作品はとがってないと刺さらない」っていう人がいるけども,私は必ずしもそうではないと思っているのね。どっちかっていうと,「とがっていると刺さりやすい」ぐらいなんじゃないかなって。そもそも,心に影響を与える方法は刺すだけじゃない。丸いものをぶつけることでも衝撃は与えられるし,なんなら丸くても刺さるときは刺さる。とがってるほうが印象に残りやすいケースがあるのは事実だけど,それがすべてではない。
私は才能がないから,ゲイという性癖をリングで出すことでとがらせないといけないの。でも,「ドラゴンクエスト」シリーズやレベルファイブ作品は正統派。普通に面白い。これは,私からしてみれば驚異的なことよ。相当の力がないと,“普通に面白く”はならない。
エンターテイメントの構造として考えれば考えるほど,私には絶対に表現できない方法だと思うし,だからこそ私はレベルファイブ作品が好きなのかもしれないわね。子供に夢を与えると同時に,私に現実をつきつける。まったくもって罪なゲイムね,妖怪ウォッチは。
そんな感じの「今週はこんなゲイムしましたよー」のコーナーでした。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「The Last of Us」
PlayStation Vita:「Winning Post 7 2013」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ZombiU(ゾンビ U)」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「妖怪ウォッチ」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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妖怪ウォッチ
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