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  • 発売日:2014/02/06
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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」
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印刷2014/02/13 18:00

連載

男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」

画像集#001のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」

著者近影
画像集#002のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」
 カレーは不思議な食べ物ね。イヤ,飲み物だと言った人もいるけども。
 何が不思議って,そもそもインドから伝わってきた食べ物なのに,もはや日本独自のもの……いっそ和食と言ってもいいくらい,元ネタから変わってきてるわけじゃない。なんでも,インドの人の中にまで,インドのカレーより日本のカレーのほうがおいしいと思っている人がいるらしいという情報を,どこかで聞いたことがあるわ。ラーメンもそうだけど,もともとの発祥の地での味付けをアレンジして,さらにおいしくしてしまう才能が日本人にはあるみたいね。

 そんなカレーって,最も簡単に作れる家庭料理の一つだとも思うの。家によって,もっと言うと作る人によって入れるものが異なる。それがカレーなのね。そして,何を入れたところで,まずくなりづらいのもカレーの特徴。
 傭兵が戦場に必ず持っていくものの一つが,カレー粉だという話も聞いたことがあるわ。それは,どんなにまずいものを食べなきゃいけない状況に陥ったとしても,カレー粉さえまぶしてしまえば何とか食べられるようになるからってことらしい。
 まあ,それほどカレー粉には不思議な味の保険能力があるわけ。だから,ある程度自由に何でも入れていい食べ物で,アレンジ好きの日本人が好んで作っているんだと思うわ。
 その点,もう亡くなったんだけど,私のじいちゃんは天才だった。何がって,おいしくないカレーを作る天才。いつもカレールーを入れすぎてドロドロ。ニンニクを入れるのはいいとしても,切らずに丸ごと入れちゃう。そして,隠し味としてウスターソースを入れるの。じいちゃんはウスターソース至上主義者で,豆腐,うどん,卵かけごはんなど,何にでもウスターソースをかける人だったわ。ウスターソースさえかけておけば,料理がおいしくなると信じていて,それこそ戦場にまで持っていきそうな勢いだった。
 そんなじいちゃんのカレーは,家族には不評だった。でもね。確かにおいしくはなかったんだけど,私は嫌いじゃなかった。なぜなら,私はカレーもニンニクも好きだったから。二つの好きな食べ物を,じいちゃんのカレーを食べることで同時に楽しめたから。調和が取れてはいないだけで。
 だから,私は決しておいしくないじいちゃんのカレーが好きだった。消去法ではあるけど,じいちゃんのカレーを世界で一番待ち望んでいたのは,私だった。


画像集#003のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」
 さて,今週は「ぷよぷよテトリス」PlayStation 3 / PlayStation Vita / Wii U / ニンテンドー3DS)について。要するに,何を混ぜてくれとんじゃい,と。私はカレーもニンニクも好き。それと同時に「ぷよぷよ」も「テトリス」も好き。だからと言って,混ぜてもいいのか? という話。
 私が好きかどうかは置いておくとしても,ぷよぷよとテトリスは,落ちゲイと呼ばれるジャンルの二大巨頭よね。ジャンルは同じ。でも,ルールはまるで違う。
 このゲイムって,例えばぷよぷよとしてプレイしてるときに,突然テトリミノが降ってくるっていう融合じゃないの。「ぷよテトミックス」というルールの場合は,そんな感じなんだけど,ほとんどのルールはそうじゃない。ぷよぷよとしてだったらぷよぷよ,テトリスだったらテトリス。あくまで選んだ,もしくは指定のあったほうのルールで戦うの。
 言い方を変えると,通貨ね。例えば,テトリスの国で段を消すことに成功したら,相手への攻撃はぷよの国のおじゃまぷよに両替されて邪魔できるっていうこと。それぞれのルールはいじられてない。ここがポイント。
 だからケツ論を言うと,そりゃあ面白いって話なのよ。ぷよぷよとテトリスの世界観を,無理やり融合させなかったわけだから。カレーはカレー,ニンニクはニンニク。好きな物を好きな物として楽しめる。だから,面白い。そして,じいちゃんのカレーとは違って,誰が食べても食べ物として普通においしい。じいちゃんカレーの場合は,無理やり融合させようとしたけど,そもそも混ざってなかったのよね。
 でも,ぷよぷよテトリスは素材の味はそのままだけど,混ぜるための工夫がたくさん詰め込まれている。というのも,ぷよぷよパートもテトリスパートも,どっちをプレイしていても違和感がないのよ。たぶんおいしい料理っていうのは,強烈な具材が入っている場合,その料理にその具材が入っていることに違和感を感じさせないのが重要だと思うの。
 確かにオマールエビの味はする。でも,別々に食ったほうがいいんじゃない? って思うような料理は,たぶん,料理としては失敗の部類に入るんだと思う。いや,最終的には食べる側が喜ぶんであれば,どんな料理でも失敗ではないとも思うんだけど,あくまで完成度の話ね。
 そういう意味でぷよぷよテトリスは,少なくとも喧嘩はしてない。これは,料理人の腕がそうさせたんだと思う。ぷよぷよファンもテトリスファンも,何なら両方のファンも,全員が納得できるタイトルだと思うわ。

画像集#004のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」 画像集#005のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」

 で,結局のところぷよぷよとテトリスでは,どっちが有利なんだ? という疑問を抱いている人もいるでしょう。実際のところ,操作する側の好みや得手不得手で選べばいいんだとは思うけど,私には「手数で攻めるならテトリス,一発を狙うならぷよぷよ」という感触があったわ。
 というのも,基本テトリスって,4段消しが最上級の攻撃なわけじゃない。でも,ぷよぷよでは大連鎖を狙うことができる。ということは,どうしてもぷよぷよのほうが最大攻撃力は強くなる。だから,テトリスサイドの戦い方としては,どれだけスピーディに段を多く消していくかっていう話になるわけね。なので,「どっちが強いのか」という疑問に対しては「プレイスタイルによる」という一番ありがちな答えになってしまうと思うの。戦って決めたらええんや。
 そんなわけで,ぷよぷよテトリス。これは,よっぽど「ぷよぷよもテトリスも嫌い! プンプン!」って人でない限りは,誰にでも楽しめる要素があるわよ。実際,ついついヤってしまうしね。なので,とりあえず買っておいて損はしないってことだけは,声を大にして言えるわ。ぜひ。

画像集#006のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」 画像集#007のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第266回「じいちゃんのカレー」

 じいちゃんが亡くなってもう4年。私はあまり料理はしないし,じいちゃんもあまりしないほうだった。今にして思えば,じいちゃんがカレーを作る理由なんてないのよ。カレー以外は,給食のおばちゃんの仕事をしていたばあちゃんが作ってくれていたし。
 でも,じいちゃん家に行ったら,いつもじいちゃんがカレーを作ってくれた。いつもカレー。最近になって気付いたんだけど,じいちゃんは,カレーを作ることが好きなんじゃなくて,カレーしか作れなかったんでしょうね。私のために不得意な料理をふるまってくれていたんだと思う。決しておいしくはなかったけど,好きだった。やっぱ,料理は愛情ね。
 私には,誰かにふるまえるような料理のレパートリーがない。というか,カレーすら作れない。作れるようになろうかな。作ったところで誰が食べるんだっていう話は無視しておいて。ひとまず,来週までに一度作ってはみるわ。
 それではまた来週。


今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「真・ガンダム無双
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!
PSP:「サモンナイト5
Wii U:「The Wonderful 101
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
ニンテンドー3DS:「ぷよぷよテトリス
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,今週末の2月16日(日),静岡県・ふじさんめっせで「Road to Ryogoku in FUJI〜ドラマティック・ドリーム・つけナポリタン〜」を開催します。ディーノ選手は,大石真翔選手とのタッグで,飯伏幸太選手&ケニー・オメガ選手と対戦予定。ちなみにこの日は,大石選手の誕生日で,会場も大石選手の地元です。そこでディーノ選手は,大石選手の実家に泊まり,大石家のカレーを食べるつもりだとか。大石選手は実家には寄らないようですが。
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