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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第303回「可能性をどれだけ引き上げられるか」
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印刷2014/10/30 17:33

連載

男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第303回「可能性をどれだけ引き上げられるか」

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著者近影
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 マンガとかでよく,「可能性が1%でもあるんだったら挑戦する!」って言うじゃない。あれ,ある種の欺まんだと思うのね。だまされちゃダメよ。

 ……いきなりブッ込んでみました私の名前は,男色ディーノ(ゲイレスラー)です。初めての人は初めまして。よく読んでくれる人はこんにちは。先週,久しぶりに原稿にボツを食らったので,下手に出ながら持論を展開させていただきます。お付き合いのほど,よろしくお願いいたします。

 話を戻すけど,さっきのセリフって,確かにそれっぽくは聞こえるかもしれない。だけど,「可能性が1%でもあるんだったら挑戦する!」って,あんまりいいことを言ってないと私は思うわけよ。
 いや,挑戦すること自体は悪くないと思うの。例えば,宝くじを買うとか,そういうことであれば間違いではない。なぜなら,宝くじは買わなきゃ絶対に当たらないからね。そういうケースはいいのよ。
 でもね,そうじゃない場合……例えば,新商品を発売したり,プロジェクトを立ち上げたりする場合には,それだとダメ。だって,そういうときに上記のセリフを言うのは勇気でもなんでもなく,ハッキリ言って無責任でしかないと思うの。あくまで私の中での話だし,状況によっても変わるんだけどね。
 ではどんなケースだと良くてどのケースだとダメなのか。基準は簡単,リスクがあるかどうか。宝くじは1枚あたりせいぜい数百円のリスクしかない。もちろん大量に買うことになるとリスクはその分上昇するんだけど,生活を賭けてまで買うものではないじゃない?
 でも,ビジネスの場合は多くの場合,失敗すると損失が多いわけ。それなのに“1%”に賭けるのは愚の骨頂だと思うのよ。本来,挑戦する前にやるべきは,1%を51%以上にすることであり,99%に近づけることなの。だから,“1%しかない”のに挑戦するのは,いいことでもなんでもないと私は思うわけ。
 とはいえ,世の中は理想どおりにいかないことも多いわけで。可能性が低くても,挑戦しなければならない局面に追い込まれることもある。突然チャンスが巡ってきて,強いチャンピオンに挑戦しなければならなくなったり,極めて成功の可能性が低いプロジェクトを引き受けなければならなかったり。
 その場合でも,可能性をどれだけ引き上げられるかが,人間としての強さじゃないかと私は思うのです。可能性が1%のまま戦うのではなく,少しでも高めた状態で戦う。本当に大切なことって,成功の可能性を上げる作業ができるかどうか。そこだと思うのよね。だって,人間勝ち続けられるわけじゃないから。
 もちろん,挑戦してみる前に,可能性の数値がハッキリと表示されることなんてほとんどないわ。でも,その中でどれだけ見えない可能性の数値を上げられるかが,その人の能力ではないかと私は思う。そしてそれは,その仕事にどれだけ向き合えるかってことでもあると思うのよ。
 例えば私の職業の場合,プロレスラーの能力とはなんだ? っていう自問自答ができるかどうか。一般の人からしてみれば,「強ければいいんじゃない?」ってところかもしれないわね。まあ,それはそれで間違ってないんだけど,実際にプロレスラーの立場からするとそう簡単なもんでもないの。もう一歩踏み込んで,“どう強くあればいいのか”を考える必要がある
 プロレスが客商売でもあるという性質上,選手としての個性であったり,商品が必要であったりするわけね。かつて誰かが「3年やってみて芽が出なければ,そのスタイルは考え直したほうがいい」って言ったことがあるみたいだけど,本当にそのとおりだと思うのよね。自分がどうなりたいのか。自分にとっての努力とは,何なのか。
 身も蓋もないことを言えば,努力をしてるふりって誰にでもできるのよ。自分がヤったことをアピールすれば済む話だから。でも「これだけ努力してるのに結果が出ない」って思っている人は,努力の意味を考え直してもいいのかもしれないわね。“結果を出す”ということに向けて,可能性を高くする作業こそが本当の意味での努力ではないかと,私は思う。
 そしてそれは,目的や職業によって変わるものでもある。勝つ可能性が低い勝負はしない,勝負をするときには勝つ可能性を少しでも上げる,可能性を上げるためには目標と自分を見つめて正しい努力をする必要がある。要は“成功の可能性にどれだけ向き合えるか”って話を私はしたかったわけです。これだけの文字数を使って。

画像集#005のサムネイル/男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第303回「可能性をどれだけ引き上げられるか」
 で,「実況パワフルプロ野球2014」PlayStation 3 / PlayStation Vita)の話になるんだけれども。どうしてもパワプロの話になると,成功の可能性について語らざるを得ないのよ。プレイしたことのある人なら,おそらく共感してくれると思うんだけどね。ええ。パワプロ名物「サクセス」モードの話ですよ。
 内容はもう詳しくは説明しない。簡単に言えば,練習をさせて選手を育てるってモードなんだけど,このモードはケガをしてしまう確率,すなわち故障率との戦いでもあるわけ。ゲイム内の1年間で結果を出さなきゃいかんというのに,ケガなどしてしまった日には足踏みもいいところなわけですよ。だから,いい選手を作るにはケガを避けなければならない。
 で,このゲイムは故障率が表示されているわけ。これとの戦いなのね。順調に育っている場合は,故障率の高い練習を選ぶリスクを冒す必要はないし,逆にちょっと育成が遅れていると感じた場合は,多少故障率が高くても勝負に出ないといけない場合がある。そういった自己分析と選択がキモになるゲイムなのね。
 でも,このゲイムの面白味はそれだけじゃない。前作「実況パワフルプロ野球2013」PlayStation 3 / PlayStation Vita / PSP)から,サクセスで作成した選手でチームを作って,ほかのプレイヤーのチームと「パワチャレ」という別のモードで戦えるようになったの。サクセスはサクセスで面白いんだけど,サクセスのさらに奥の目的ができたことで,サクセス自体がより面白く感じられるようになったと思うのよ。
 何を隠そう私自身,かつてはサクセスで能力がオールAの選手が出来ると,そこで燃え尽きちゃっていたのね。でも,チームを作って競い合うためには,能力の高い選手が一人いるだけじゃダメ。各ポジションにいい選手を作らないといけない。
 なおかつ,同じ選手ばっかり使っていると調子が落ちるから,常に強いチームを作るために,そのバックアップメンバーも必要になってくる。代走のために足がやたら速い選手を作る。守備固めのために守備力が高くて複数のポジションをこなせる選手を作る。そういった目的意識がサクセスモードを面白くしているの。で,サクセスは“ケガの可能性=成功の可能性をコントロールするゲイム”だ,と。

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 いやー,今年も面白い。昨年度版は有料アイテムを使うことで時間を巻き戻すことができたけど,今年はその要素を撤廃。結果,一つの選択に対する緊張感が強くなった気がするわ。個人的には昨年度版よりもはるかに面白いと思う。
 そうそう。昨年のような有料アイテムの販売を今年はしないという決断は,非常に勇気のいるものだったと思うのよね。きっと昨年の有料アイテム販売って,KONAMIという企業にいくらかの収益をもたらしていたと思うの。でも,今年はそれをやめた。
 これって,プロレスラーでいう“どう強くなるか”っていうのと共通する部分だと思うの。ただ“強ければいい”わけではなく,別の価値で勝負する。ただ“金を生めばいい”わけではなく,広く顧客を獲得する金の生み方を選んだ。これは,実際に世の中に提供するにあたって本当に大きなケツ断だったと思うわ。
 結局のところ私なんてただのゲイムファンにしか過ぎないわけだから,このケツ断がKONAMIという企業に何をもたらすのかを論じることなんて出来ない。けれども私個人としては,「パワプロをより多くの人に遊んでもらいたい」という強い意志を提示してくれたのだと受け取ったし,それを大いに歓ゲイしたいわね。
 だって,面白いんだもん。もっと多くの人に遊んでほしいんだもん。野球に興味が無い人でも面白い。そういう野球ゲイムって貴重じゃない。私もプロレスに興味が無い人にとって面白い選手になりたいもん。勝手に親近感が沸くわよ,そりゃ。

 というわけで,今週は“2%の故障率でまんまとケガをしてしまって叫ぶ”季節がやってまいりましたよ! っていうご報告でございました。ヘタしたら,来週もパワプロ2014の話題になるかもしれん。それくらい面白いわ。ではまた来週。

今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「戦国無双4
PlayStation 3:「実況パワフルプロ野球2014
PlayStation Vita:「絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode
PSP:「サモンナイト5
Wii U:「ゼルダ無双
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
ニンテンドー3DS:「禁忌のマグナ
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,今週末の11月2日に川口産業技術総合センター大会「さいたまスーパーアリーナへの道7」を,翌3日にはロワジールホテル豊橋 ホリデイ・ホール大会「SECOND IMPACT DDTプロレス in ロワジールホテル豊橋」を開催します。ディーノ選手は「いつも言ってるけどね。移動がつらい。移動のつらさを想像すると,この仕事を辞めたくなるわ。でもね,私が今の仕事を辞めたら,次に何をすればいいのか分からない。だから辞めるのを辞める」と,ぼやいていました。
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