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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第437回「将棋とシミュレーションRPG」
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印刷2017/07/06 11:00

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男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第437回「将棋とシミュレーションRPG」

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著者近影
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 世の中は今,将棋が大ブームですね。
 将棋が,というよりも藤井四段のブームだけれども。やはり,若者が突出した才能を発揮すると世の中が食いついてくるんでしょうな。この現象は卓球でも見たし,水泳でも見たし,ゴルフでも見てきたわ。
 藤井四段には,今までとは変わっていく環境に惑わされず,今後も楽しい人生を送ってもらえるといいなと思っていますよ。余計なお世話度マックスだけど。

 で,将棋ですよ。突然だけど私,シミュレーションRPGというジャンルは,将棋の面白さが根幹にあると思っているのね。マスが描かれた盤面を俯瞰で見て駒を動かして敵を倒す。さすがに将棋とは違って数十手先の読みを求められることは少ないけども,部隊での戦闘を視覚化して共通のルールで戦うって意味ではシミュレーションRPGは将棋かな,と。チェスと言ってもいいけど,駒の成長要素があるという意味では,やはり例えとして将棋のほうがしっくり来るわよね。
 ついでに言うと,囲碁と将棋の違いは,碁の石には個性が許されていないけど,将棋の駒は兵種ごとに動きや役割が変わってくるってところが大きいわよね。そのうえでざっくり言うと,囲碁は陣取りという戦略ゲイムで,将棋やチェスは戦争という戦術ゲイム。
 そう考えると,さしずめシミュレーションRPGって部隊戦を描いた戦闘ゲイムなんでしょうね。そこにデジタルゲイムならではの世界観だったり,育成要素だったり,装備,スキル技が加わったりすることで作品が形作られている。だからこそ将棋やチェスよりもとっつきやすいんだけども。

 ここで私が言いたいのはね,面白みっていろいろなものを削ぎ落としていくとシンプルになるってことなのよ。
 囲碁や将棋って,昔から遊ばれてきたアナログゲイムなわけじゃない。で,この二つを比べてみると,昔から日本では囲碁人口より将棋人口の方が多いらしいのね。これは,駒の個性からくるとっつきやすさじゃないかと私は思っていて。あ,どっちのほうが面白いのかって話をしているわけじゃないからね。
 結局,盤面で戦うタイプのゲイムの面白さの根幹って,お互いが知力を尽くして手を打っていく駆け引きにあると思う。その面白さを極限まで突き詰めて無駄を削ぎ落としたのが囲碁。戦のリアリティを駒の個性という形で表現したのが将棋。私はそういうことじゃないかなって思っているの。
 もっと言うと,戦いっていうのは同じ条件や戦力で始まるわけがないので,そこに至るまでの背景やストーリーを足してさらなるリアリティを生み出したのがシミュレーションRPG,と言えるんじゃないかしら。

 えー,強引に私が言いたかったことに話を戻すと,要は「とっつきやすくするには?」問題なのよ。削ぎ落とされようがそうでなかろうが,何に面白みを感じるかは人それぞれ。だとしたら,とっつきやすくするにはどうすればいいかって話がしたかったの。
 シミュレーションRPGって,私は基本的に日本の文化に慣れ親しんだ人に向けたコンテンツだと思っている部分があるのね。というのもさっきの話とつながるんだけど,シミュレーションRPGの面白みって将棋の面白みに近いと思っているから。
 でね。先ほど囲碁人口よりも将棋人口のほうが多いって話をしたけれど,これは日本国内の話なのよ。実は,囲碁って世界的には将棋よりもはるかに多くの人に遊ばれているというデータがあるの。おそらくだけど,シンプルだからでしょうね。駒に個性がない。
 まあ,そもそも漢字で駒の名前書かれていても,漢字圏の国以外はピンとこない。だったら,それこそチェスでいい。ルールもシンプルで駆け引きの面白さが言葉はいらずとも楽しめる。ただ,日本では将棋のほうが人気がある。なぜかというと駒に個性があるからじゃないかしら。
 シミュレーションRPGもそう。主人公やその仲間という駒に個性があればあるほど,感情移入できて面白い。逆に言うと,面白いシミュレーションRPGって,言葉で多くを説明しているケースが多いと思うのよ。そういう意味では,言葉のニュアンスがストレートに伝わりやすいほうが,そのゲイムの面白みも伝わりやすい気がしていて。だからこそ,日本で作られたシミュレーションRPGって,日本の文化に慣れ親しんで育ってきた私達に刺さりやすいんじゃないかな,と。

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 で,「GOD WARS 〜時をこえて〜」PlayStation 4 / PlayStation Vita)です。日本古来の伝承やら神々やらを扱った世界観のシミュレーションRPG。漢字がやたらに出てくる。神々や人々のしきたりのニュアンスなんかは,現代の日本人でも察する感じでしか理解できないくらい。
 でも,それが妙なリアリティを生んでいるのよね。ちゃんと面白いんですよ。駒=キャラクターに個性があって,感情移入できる。そういう面白さがちゃんと積まれている。
 職業という形で駒を育てるゲイムならではの自由度もあるし,育てる作業が苦ではない作りにもなっている。強いて気になった点を挙げるならば,気付けば時間がけっこう経ってしまって焦るって点ぐらいで。
 要は,サクサクテンポよく進めるタイプのゲイムではなくて,しっかり腰を据えて付き合うタイプ。それでも,ダラダラとプレイさせられているって感じではないのは見事ね。繰り返すけど,1ステージ終わって気付いたら思ったよりも時間が経っているって感じ。
 この作業感は個人的には嫌いじゃないわ。世界観もちゃんとゲイム内で説明してくれるし,とっつきやすさにはかなり気を遣って作られたゲイムだとプレイしながら感じたわね。かといって簡単にしすぎているわけでもなく,ちゃんと正面からシミュレーションRPGとして作られている。ヤりごたえという意味ではシミュレーションRPG好きならプレイして損はないでしょうね。

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 そしてGOD WARSって海外でも発売されているんだけど,こういうしっかりした和風のシミュレーションRPGこそ多くプレイされてほしいと思ったのよ。で,どうやら実際に海外のシミュレーションRPGファンからの評判も良いらしいの。それってきっと,シミュレーションRPGとしての作り込み具合だけじゃなくて,ここまで突き抜けた和風の世界観だったからこそじゃないかと思うわ。
 実は私,「世界に通用する」っていう売り文句がさほど好きじゃないのよね。いや,厳密に言うと好きじゃないわけじゃないな。そこまでもてはやされなくてもいいんじゃないかって思っているってのが正解かしら。世界に通用するのは凄いことだとは思うよ。でも,日本に向けて通用することも凄いことだろって思っちゃうのよね。そりゃ数の論理だと,世界のほうが人口が多いわけだし,世界に向けることで一人でも多く楽しめるようになるのが尊いことなのは事実よ。ビジネス的にもそのほうがいいでしょう。
 GOD WARSの場合,もちろん世界は視野に入っていたと思うんだけど,まず第一に日本のシミュレーションRPGファンを楽しませようとしていたと思うの。それが結果的に世界でも評価されたんじゃないかなって。ゲイム以外の世界でもたまにあるじゃない。日本の職人が日本人の手に合う道具を作っていたら,それが何かの拍子に世界で受け入れられるようになったとか。GOD WARSには,そんなにおいを感じたのよね。

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 何にせよ,私がプレイして面白いと感じた以上,私はGOD WARSに対して感謝するしかない。私にとってはそれがすべて。で,作った人に「また面白いゲイム作ってね」って期待をする。そうやって私はゲイムライフを過ごしている。
 そして,藤井四段を破った佐々木勇気五段もさることながら,斎藤慎太郎六段も私の好みでイメージよりも棋士にはいい男が多いんじゃないのと気になってしまった今週でございました。また来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「ソルト アンド サンクチュアリ
PlayStation Vita:「GOD WARS 〜時をこえて〜
Nintendo Switch:「ARMS
ニンテンドー3DS:「アライアンス・アライブ
iOS:「実況パワフルサッカー

■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手が所属するDDTプロレスは,今週末の7月8日に福岡・小倉パステルホール大会「Road to Ryogoku 2017〜ドラマティック・ドリーム・鶏かしわめし〜」を,翌9日に福岡・博多スターレーン「Road to Ryogoku 2017〜ドラマティック・ドリーム・とんこつ〜」大会を開催します。移動でダメージを負いがちなディーノ選手ですが,「考えてみるとこのストレスをリング上での暴力という手段で合法的に発散できるんだから,いい商売よね」と語っていました。
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