連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第440回「自分の色って何だろうね」
思想的にもそうで。例えば世の中には政治的な考え方が右だ左だっていう論争があるけどね,右にもいろいろな考え方の人はいるだろうし,逆もまた然り。大別しようとすれば右や左に分けられるのかもしれないけど,その中でも人それぞれ,いろいろな考え方が影響して混ざり合って,その人なりの考え方=色が生まれてくるわけです。要するに右左というケツ論ありきで考え方を決めないでいいよ,良いものは良いし悪いものは悪いと,その都度,自分で判断したほうがいいよって話なんだけどね。
っていうか,自分の考え方なんて経験や世の中の流れなどで変わってくるものなんだから,一つに固執するのは本末転倒かなあって思うのですよ。あくまで私はね。いろんな経験をして,いろんな人の意見を聞いて。それらが混ざった上で自分の色というのが生まれてくるのです。それが特色と呼ばれるモノになるのです。
ところで私,こういう連載を持たせてもらって適当なエンターテイメント論をぶっこいているとですね,なぜかいろんな人から人生相談を持ちかけられるのですよ。ぶっちゃけた話,ゲイでプロレスラーでライターという,およそ一般的じゃないモノで形成されている私なんかに相談して,何の答えが出るんだ? という疑問はあるものの,私なりの見解を出すことで相談した人の心が落ち着くならまあそれもいいかと思いつつ,受け答えしているのですがね。密かに瀬戸内寂聴ポジションを虎視眈々と狙っている私としては,比較的いい傾向なのかもしれないけども。
で,その相談で意外と多いのが「自分の意思がない」という悩みなのよ。そういう悩みを聞いたときに私が思うのは,「それの何が悪いんだろう?」ってことね。たぶん,“意思がない”=“色がない”と思い込んでるんじゃないかしら。あなたの色はね,絶対にあるの。生きていれば必ず。ただ,色が薄いだけで。でも,薄いことは,決して悪いことじゃない。目立ちたいとか,そういう意思があるならば濃いほうがいいわよ。珍しい色のほうが目立つからね。濃い色を求められる仕事もあるし。
だからといって薄い色に価値がないかというと,そういうわけではない。結局のところ,どういう色になりたいか,よね。仮に自分の目標に必要とされる色があるとして,そのために必要な経験を積んでその色に近付けていくのが正しいプロセスじゃないかしら。いきなりその色で染めるのではなく。
ちょっと話がそれたけど,濃い色には目を奪われがちだけどね,自分の色っていうのは確実にあるんだから,自分が経験したことを自分なりに考える。それで生まれた色を大切にすればいいんじゃないかなって。40歳の時点の私はそう思っている。人生,やり直しが効くってよく言うけど,やり直しは効かないと思うわよ。時間が経ってるわけだし。ただ,正確に言えば自分が塗ってきた色を塗り替えることは何度でもできるんじゃないかな。
とはいえ,紹介っつっても,もはや私ごときが紹介するまでもないタイトルだけどね。それにしても,スゴくない? 発売日にはSNSのトレンドワードにもなったわ。2作目でここまでの話題と注目度を生み出すなんて。シューターの革命児ですよ。FPSにせよTPSにせよ,戦場で相手を倒すサバイバルっていう世界観が支配的だった3Dシューターの世界に,“相手より広く色を塗る”という生死以外の価値観を導入したゲイム。幅広い年齢層が確実に楽しめる,いかにも任天堂らしい作品よね。
考えてみれば,すべて納得できる話なのよ。もともと,シューターってゲイムとして面白いのよ。同じ世界にほかのプレイヤーがいて,行動を競い合えるわけだから。あと,サバイバルっていう要素も極めてゲイム的で面白い。ただ,どうしても銃器を主に使用するわけで,倒す倒されるといった殺伐としたイメージがあるから,プレイするハードルは高くなりがちよね。結果,コアゲーマー同士が楽しむジャンルになってしまう。もちろん,そこに足を踏み入れて楽しみを見いだせた人にとってはとても居心地の良い世界だから,何ら悪いものではない。
ただ,スプラトゥーンにはリアルな兵器が出てくるわけではないし,何よりルールとしては敵を倒すというよりは色を塗ることのほうに重きが置かれているから,殺伐としにくい。初心者でも,敵を倒すことはできなくても地面の色を塗ることはできるから,ゲイムに参加している実感を味わえるし,チームへの貢献だってできる。シューターの面白さをちゃんと抽出したうえで,イメージまでも文字どおり塗り替えることに成功した。極めてポップ。
そして,今作は対戦だけじゃなくて協力プレイを楽しめる遊びまであるから,さらにとっつきやすくなっている気がするわ。ホント,面白い。1回のマッチの時間も短いから,気軽にプレイできるしね。隙のない面白さよ。幸運にもNintendo Switchを持っているなら,ぜひ体感してほしいわよね。シューターの面白さを。そしてこのジャンルに興味を持てたら,ほかのタイトルもプレイしてみてほしいわ。シューターにはまだまだいっぱいタイトルがあるからね。
おこがましいけど,そうやってジャンルを引っ張る存在に私もなりたいもんね。プロレスって普通に暮らしているとなかなか目に触れる機会のない娯楽だけどね,面白いんですよ。私,別にゲイレスラーである自分のやり方が正しいって言っているわけじゃないのよ。プロレスって,私のような色も受け入れてくれるジャンルだってことが言いたいの。だからプロレスを知ってもらう一つのツールとして存在していたい。そういう意味で,スプラトゥーンが起こしたジャンル革命を羨ましく思っております。私も起こしたい。
……という考え方が今の私の色の原料です。どういう色になりたいか。そのためにどういう経験をすればいいか。思いがけず起こったトラブルにどういう考え方をし,対処すればいいか。ということを考えようが考えなかろうが,理屈抜きにスプラトゥーン2は面白いので,ぜひ体験してみてくださいな。40歳独身,スプラトゥーンに歓喜しドラクエを待ち望む……大丈夫! 自分の望む色ですよこれも! あ! ドラクエ今週末だ! ではまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「ソルト アンド サンクチュアリ」
PlayStation Vita:「GOD WARS 〜時をこえて〜」
Nintendo Switch:「スプラトゥーン2」
ニンテンドー3DS:「Ever Oasis 精霊とタネビトの蜃気楼」
iOS:「クラッシュ・ロワイヤル」
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スプラトゥーン2
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