男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第623回「うっせぇわ」

　「うっせぇわ」が流行することによって，「子供が歌って困る」という親御さんが急増しているそうで。

　私には子供がいないから，その立場に立って意見を言うことはできないんだけど，結局のところこの問題に行き着くんじゃないかなと思っていて。すなわちこれ，“子供に見せたくないものを，子供から遠ざけるかどうか”。
　子供がマネしたら困るものって，世の中にはいっぱいあるわ。かくいう私も，リング上で男性の唇を奪ったり，対戦相手の股間を狙った戦い方をしているから，よく「教育に悪い」と言われることがある。
　私としては，普通はやらない戦い方なのは認めるけど，「こういう人もいるんだよ」っていう気持ちが強い。だから，何ら恥ずべきことではないと思っているのね。これが私の戦い方だから。受け付けない人もいるでしょう。嫌いな人がいるのも分かる。でも，世の中にはいろんな人がいて，自分の好みとは合わない人もいる。
　子供がマネをしたら困るって言われても，それを言い出したらプロレスなんて，そもそも子供が……というか素人がマネしちゃダメなものだからね。でも，大人がダメというものを，大人の目を盗んでやるのもまた，子供の育ち方の一つだと思うの。プロレスごっこだけじゃなく，タバコや酒なんかも然り。ま，タバコや酒は法律で禁止されているから問答無用でダメなんだけども。
　とはいえ「子供だからダメ」って理屈，子供は納得できないと思うのよね。私もそうだったし。なぜダメなのかを説明せず，ただ遠ざけるだけだと逆に子供は強い興味を持ってしまったり，反発心を抱いてしまったりすることになるんじゃないかなあ，と私は思っておるのです。
　「チューは好きな人相手じゃないとやっちゃいけないんだよ」とか「股間はとても危ない場所だから触っちゃいけないんだよ」とか。何でもいいんで説明してあげてほしいのですよ。やるだけやっておいて恐縮なんだけども。
　なので「うっせぇわ」も，親の立場から何か問題があると感じるのであれば，何が問題なのかをちゃんと納得できるように説明してあげてほしいのよね。「うっせぇわ」を消すのではなく，「うっせぇわ」の使い方を教えてあげてほしい。

　というわけで，今週は「Empire of Sin エンパイア・オブ・シン」（PlayStation 4 / Nintendo Switch）でございます。これ，簡単に言うと1920年代のアメリカンマフィアの抗争を描いたストラテジーゲイム。経営シミュレーションとターン制バトルが融合した作品ね。
　端的に言うと，面白い。まず禁酒法時代のマフィアの抗争っていう，あまりゲイムの題材になっていない設定が，非常にゲイム的でいいわよね。問題解ケツの方法は，基本的に人を殺すことだからね。言うなれば反社会勢力を率いるわけだし。
　日本でのパブリッシングはセガ。さすがと言うほかないわ。「龍が如く」シリーズといい，このエンパイア・オブ・シンといい，タブーとされがちなものから目を背けないセガのスタンスには，本当に感嘆する。良し悪しはともかく，実際に世の中にあるもの，あったものだしね。
　誰だって，死は避けたい。だからこそ，創作物で死を描くことは重要なのかなと私は考えている。悪いことをして生計を立てている人は，世の中に確実にいる。それを描くこと自体を，私は問題だと思っていない。問題はその先で，「それに触れて何を思うか」が重要だと思っているのよね。反社会的なものがテーマでも，そうでなくとも。


　さて，ゲイムの話に戻りましょうか。このエンパイア・オブ・シンは裏社会を描いてはいるんだけど，ゲイムとしては極めて真面目なのよね。原因と結果がハッキリしている。言っちゃえば「三國志」シリーズみたいなもんですよ。中華を統一するには軍備が必要で，軍備を増強するにはお金が必要じゃない？　このゲイムも同じ。
　シカゴを統一するために仲間が必要で，仲間はお金で雇う必要がある。結果，お金を稼ぐためにカジノやら下宿やら密造酒工場やらを経営する必要がある。そういう，原因と結果のマネジメントを楽しむゲイムなんですね，この作品は。
　裏社会を描いたから面白いってわけではない。要は，「いけないことしたった！　面白いだろ？」ではないの。裏社会のゲイム化はあくまで目新しさとリアリティ，そしてプレイヤーに対する刺激を生み出す仕掛けに過ぎないのですよ。そのうえで，ゲイムそのものの面白さに向き合っている作品なのです。
　まあ商品ってどうしても“売り”が必要で，「裏社会を描いた」というのは分かりやすい看板として機能しがちなんだけどね。その看板の刺激に負けない，良いシミュレーションゲイムですよ……ってことを私は伝えたいのです。
　ただ，これは公平に言っておかねばならん点もあるわ。正直，バグが多い。プレイしていたら，急にクラッシュしたり，進行不能になったりすることがある。これに関しては，必要悪などではなく，無くていいモノなので，順次修正してほしいところ。ゲイムの内容ではなく，こういった部分でそっぽを向かれてしまうには，あまりにももったいない作品だから。


　というわけで，今週は「それ見て聞いて試して，んで君はどう思ったか。周りとか子供とか関係なく」が大切なんじゃないの？　ってお話をしたつもりです。知らないほうがいいのか，知っていて避けたほうがいいのか。どちらが正しいのかは私には分かりません。
　ただ最近，海外ドラマの「ウォーキング・デッド」を見ている私としては，銃を使いたくはないけど，銃の扱い方は知っておいたほうがいいんだろうな，と思いました。
　そして，私の戦い方は変わりません。子供に悪影響が？　真似されたら困る？　うっせぇわ。子供から「うっせぇわ」言われるくらい教えたれ。ただ単に私が嫌い？　うっせぇわ。それでいい。また来週。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4：「eFootball ウイニングイレブン 2021 SEASON UPDATE」「Empire of Sin エンパイア・オブ・シン」
Nintendo Switch：「ブレイブリーデフォルトII」
iOS：「龍が如く ONLINE」
iOS：「ハンドレッドソウル」
iOS：「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，今週末の3月14日に東京・後楽園ホール大会「Day dream Believer 2021」を開催します。ディーノ選手は当日，「トップ・オブ・ザ・スーパーブック2021〜アイアンマンヘビーメタル級選手権6人タッグマッチ」に，ザ・ヤングバックス自伝「キリング・ザ・ビジネス」＆中村圭吾選手とのタッグで出場し，チャンピオンである赤井沙希写真集「LIP Hip Shake」＆赤井沙希選手＆アントーニオ本多選手と対戦します。「本道を見せつけたうえで，ぶっつぶす」とのことでした。