連載
インディーズゲームの小部屋:Room#571「Eastshade」
最近はパンツ一丁の羊人間になって,悪夢の塔をよじ登っている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第571回は,Eastshade Studiosの「Eastshade」を紹介する。本作は,旅の画家となって緑豊かな島を探索し,絵を描きながら島の住人達と交流していくというアドベンチャーゲームだ。ちょっと結婚に怖気づいて浮気したせいで,まさかこんな目にあうなんて……。
本作の主人公は,母親の思い出の地であるイーストシェード島にやって来た旅の画家。主人公の母親はこの島をこよなく愛しており,主人公がいつかここを訪れることを強く願っていた。そんな母親の最後の望みを果たすためにイーストシェード島に向かっていた主人公だが,なんと島を目前に乗っていた船が座礁し,イーゼルただ1つを除き,すべての荷物を失ってしまう。アドル・クリスティン張りの災難だ……。
荷物を無くし,すっからかんになってしまった主人公が最初に到着したのは,船の本来の目的地であるリンドウという港町。主人公の事情を知り,親切にも宿を無償で提供してくれるという女将の申し出を受けて,この町を拠点に島を巡りつつ,母親がとくにお気に入りだった4つの場所を見つけてキャンバスに描くというのがゲームの目的となる。
イーストシェード島やリンドウという名称からピンと来た人もいるかもしれないが,本作は本連載の第471回で紹介した「Leaving Lyndow」の本編とも呼べる作品だ。Leaving Lyndowは,海洋冒険ギルドに加わって島を旅立つ少女の,島で過ごす最後の1日を描いたもの。はっきりとした設定はないが,もしかしたらこの少女が本作の主人公の母親なのかもしれない。
文字どおり,どこを切り取っても絵になりそうな,風光明媚なイーストシェード島の景観は本作でも健在だ。本作では,気に入った景色を見つけたら,いつでもどこでも絵を描けるが,そのためにはインスピレーションとキャンバスが必要となる。インスピレーションは,新しいロケーションを発見したり,本を読んだりすることで獲得でき,絵を描くと消費する。キャンバスはあちこちに落ちている木材と布を組み合わせて自作しなくてはならないので,材料を見つけたら集めておこう。
島の住人達の中には,主人公に頼みごとをしてくる者もいる。依頼の内容は,ちょっとしたお使いだったり,アイテム集めだったりとさまざまで,ときには特定の風景や動物の絵を描いてほしいとお願いされることもある。依頼を達成すると,お礼にグローストーンという通貨がもらえ,これを使って,夜の寒さを防げるコートや,より速く移動できるようになる自転車などを買うこともできる。
戦闘やゲームオーバーがなく,美しい景色とゆったりした音楽を楽しみながらイーストシェード島を探索できるのが,本作の何よりの魅力。残念ながら日本語化されていないので,擬人化された動物の姿をした住人達との交流を満喫するためには,ある程度の英語力が必要となるが,心を動かす景色に出会いたい人はぜひ遊んでみてほしい。そんな本作は,Steamにて2570円で発売中。時間と共に表情を変えていくイーストシェード島の絶景は,一見の価値あり!
■「Eastshade」公式サイト
http://www.eastshade.com/- この記事のURL:
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