イベント
[GDC2008#31]Sierra一押しのタイトル「Prototype」のデモが,セッションで公開
これまで何度かお伝えしてきたが,PrototypeはカナダのRadical Entertainmentが開発している三人称アクションで,遺伝子操作で人間離れしたパワーと変身能力を獲得したけど記憶がなくなった男が主人公だ。失われた記憶を求めて戦いを続けるうちに,その背後にある巨大な陰謀に気づくというストーリーらしい。
Radical EntertainmentのEric Hermes氏。いかにもアメリカのゲーム開発者,といった風情のナイスガイだ |
彼らによれば,対応機種とは無関係に制作者側がNext Generation的な考え方をしているかということが重要であり,ではNext Generatiron的な考え方とは何かといえば,それはOpen Worldであるということである。……えーと,と思うがまだ続くから安心していただきたい。ゲームには“More”なものと“Better”なものがある(のだそうだ)。つまり,あるゲームをより良くしたBetterタイプのゲームは多いが,まったく新しい,かつてなかったものを加えることを求めるMoreタイプのゲームこそが真のNext Generationなのであり,それを実現するのが高い自由度を持ったOWG(Open World Game)とのこと。やっぱりちょっと分かりづらいが,ゲームはプレイしてナンボ,ということでデモプレイが紹介された。
Radical EntertainmentのTim Bennison氏。鋭い眼光が,なんとなくこのゲームにしっくりきてるような気がしないでもない |
冒頭,主人公のAlex Mercerはビルの屋上に立っている。場所はニューヨークだ。彼はそこから人間離れしたジャンプをかまして地上に降り立つ。画面はかなり引き目で,Alexの姿も小さいが,町並みの作り込みや雰囲気は良い。道には歩行者が行きかい,タクシーやトラックなども走っている。そんな中,彼は特殊能力を発揮して腕を変形させ,刀のようにする。ちょっと「寄生獣」っぽい。とはいえ,敵らしい姿はない。どうするのかと思ってみていると,やにわにそこらへんの一般人を惨殺し始めるのだ。そのへんを歩いていた女性をつかみ上げて胴体を輪切りにし,道を渡っていた男性の首を引っこ抜き,止めに入った男を道に叩きつけて頭を踏み潰す。ほとんど(というか間違いなく)通り魔。
ちなみに,筆者の周囲に座っていたのはほとんどがアメリカ人で,しかもゲーム開発者というやや特殊な人達。わけが分からないのは私と同じだが,「いいぞ,もっとやれ」と大喜び。大丈夫か?
Tim氏によると,Alexのキャラクターは映画「スター・ウォーズ」のダース・モールや,トマス・ハリス作品のハンニバル・レクター博士などをイメージソースにしているとのことで,ちょっとばかり,なるほど。
当然ながら,彼を抑えるために軍隊が出動するが,Alexは戦車のハッチをこじ開けて乗員をこま切れにし,ヘリコプターにはトラックを投げつけてぶつけ,そのへんの兵士は連続して輪切りにしてしまう。どう考えてもレーティングが気になるほどのバイオレンスぶりだが,そこへ,どこからともなく3匹のクリーチャーが現われてAlexに襲いかかってくる。
というわけで,次はAlexと軍隊とクリーチャーによる三つ巴の戦いに。彼の運動能力はものすごく,ビルでもなんでも駆けあがり,どんなに高いところから飛び降りても平気である。軍隊は戦車や戦闘ヘリコプターなどを繰り出し,人々は逃げ出し,車は宙を舞う,というあたりでデモは終了した。
メーカーのキャッチコピーの一つに「Tom Clancy meets Stephen King」というのがあるのだが,まさにそんな感じがしてくるデモだった。
というわけで,結局のところNext Generation Thinkingについては抽象的な説明に終始し,やや肩透かしの印象を受けたのは事実。BetterとMoreの違いなども,今さら強調するような内容とは言いにくい。とはいえ,一般的なゲームショウのように新作発表などが少ないGDCでは,このようなセッションは珍しく,その意味では興味深いものがあった。日本での発売は今のところ未定だが,ちょっと気になるタイトルなのは確かだ。
- 関連タイトル:
PROTOTYPE
- この記事のURL:
キーワード
(C)2009 Activision Publishing, Inc. Activision is a registered trademark and Prototype is a trademark of Activision Publishing, Inc. All rights reserved.