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「任天堂カンファレンス 2007.秋」開催。「モンハン3」はWiiで発売,ソニックが「スマブラX」になど目玉情報も
この発表会は,2006年に開催された「Wii Preview」と同じく,任天堂社長の岩田 聡氏による講演,同社専務取締役の宮本 茂氏による新作紹介という2部構成が取られた。
まず,2006年1月2日〜10月1日および2007年1月1日〜9月30日における日本のゲーム市場に関するデータ(コンシューマゲーム機に限る)のスライドがスクリーンに映し出された(データはMediaCreate調べ)。
2007年は,携帯型ハードは前年同様ながら,据え置き型ハードがプレイステーション3とWiiの登場で躍進。シェアについては,ソニー/マイクロソフトと比較した任天堂のシェアを示した。2006年は54%だった任天堂のシェアが2007年では64%まで伸びたほか,ソフトの販売金額シェアの推移では,2007年にニンテンドーDSが49.2%,Wiiが16.6%と,6割以上を占めていると岩田氏は述べ,任天堂の据え置き型/携帯ゲーム機の好調ぶりをアピールした。
岩田氏はここで,「任天堂のハードは,任天堂のタイトルしか売れない」と言われてしまう問題にも触れている。2006年のニンテンドーDSソフト市場における任天堂(+ポケモン)のシェアが77.1%から50.3%まで下がり,任天堂製のタイトルしか売れないという状況は変わり,「サードパーティのタイトルも売れている」と述べた。
2006年のWii Previewでは,「世帯あたりのユーザー数」がキーワードで,Wiiにおいてこの指数をどれだけ上げられるかがゲーム人口拡大の焦点となると当時岩田社長は述べていた。その指数は,ニンテンドーDSで3.0,Wiiは3.5というもの。対抗馬の携帯型ゲーム機であるPSPでは1.9,他社製の据え置き型ゲーム機では1.7〜2.4という数字と比較すると,格段に高い数字であることがうかがえる。また,ユーザーの女性比率については,ニンテンドーDSは53%,Wiiは51%と,ユーザーの女性比率は約半数。他社製のゲーム機では11〜32%であることを考えると,格段に高いといえる。
この数字が何を意味するか,なぜ任天堂が重視するかというのは,ゲーム人口の拡大という点とからんでくる。普段ゲームをプレイしない女性層や高年齢層を,ユーザーとして取り込むことが,ゲーム人口を拡大するという視点では重要だからだ。そういった面では,任天堂の戦略は一定の成功を収めたといっていいだろう。
また,これらの層のユーザーが増えることで,ゲームに対する否定的な先入観が緩和され,ゲームがより市民権を得るという効果があるとも岩田氏は述べた。
そして岩田社長は,いまのところ順調に進んでいるように見える「ゲーム人口の拡大」を一過性の現象として終わらせないために,今後の戦略を説明した。「ゲーム人口の拡大 第3のステップ」として挙げられたのは「継続的なゲーム人口の拡大」。ここでは,Wiiを例としていたが,岩田氏は以下の三つのコンセプトを挙げた。
・家族とゲーム機の関係を変える
・テレビとゲーム機の関係を変える
・インターネットとテレビの関係を変える
これらのコンセプトは,2006年のWii PreviewでWiiの基本コンセプトとして挙げられたものだ。このうち,上の二つにおいては,Wiiが発売されてから1年弱の間にある程度の成果を上げたとし,今後の課題としては「インターネットとテレビの関係を変える」に力を入れるとのこと。
日本におけるブロードバンドの世帯普及率が50.9%,Wiiのリビングルーム設置率が83%であることなどから,Wiiを使ったネット接続率はまだ満足できる水準ではないとのこと。その理由として,ネット接続ということに対し,技術的/心理的ハードルが高いことと,それを克服するソフトの不足を理由としている。
ネット接続については,NTT東日本/同西日本と協力し,Wiiのインターネット接続に関するコールセンターを共同で開設し,サポートするとのこと。さらには,新規回線の手配や必要機器の提供,家庭での機器のセットアップまでをなるべく安価に提供するという,インフラ事業への取り組みも行っていくとのことだ。
任天堂の調査によれば,現時点までで合計203タイトルが提供されているバーチャルコンソールでは,有償ダウンロードは780万ダウンロードを越えるなど,ある程度の成果が上がっている。ただ,これだけではソフトの提供は十分ではないため,今後はダウンロード専用コンテンツ「Wiiウェア」を提供していくと発表した。
岩田氏はここで,昨今のコンシューマゲーム機において,「ソフト開発参入におけるリスクの巨大化」「価格とボリュームの弾力性」が問題であると述べた。また,ボリュームありきということに縛られて,「テトリス」のようなシンプルだがオリジナリティにあふれるゲームが生まれづらい環境にあると指摘している。
つまりはコンシューマゲーム機において主流であるパッケージ販売では,開発コストがかかる,価格設定を下げづらい,流通の管理が難しいといった問題がある。それを解決するための1手段として,「パッケージ販売を補う」形での新たな販売方法として,Wiiウェアを提供するということだ。
タイトルとしては,「ポケモン牧場チャンネル」(仮題),「ことばのパズル もじぴったん Wii」,「StarSoldierR」,そして「小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」など7タイトルが発表された。中でも「小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」については,別途スクウェア・エニックスから発表があり,1500 Wiiポイント(=1500円)で提供されると発表されている。
乱暴な言い方をすれば,バーチャルコンソールのラインナップに完全新作が加わるようなものだが,開発メーカーにとっては,パッケージ展開をするとどうしてもかかってしまうコストを削減できることによって開発がしやすくなり,在庫切れで販売の機会を失ったり,在庫を抱えるというリスクから開放されることになる。
単純にこれだけであれば,ユーザー軽視だという意見も聞こえてきそうだが,インフラを含めてネット接続環境を整えていくという取り組みの上に成り立つものであれば,任天堂の姿勢は評価できるといえる(ネット接続できないユーザーに何らかのフォローは必要だろうが)。
なお,Wiiウェアのサービス開始は2008年3月が予定されている。
そのほか,Wiiチャンネルにおいても追加コンテンツが発表された。Miiコンテストチャンネルは,みんなで投票チャンネルのMii版とでもいうか,テーマに沿ってMiiを作成し,それを投稿。ユーザーの投票によって人気を競うというものだ。こちらは11月配信予定。
もう一つは,みんなのニンテンドーチャンネルで,こちらは店頭などに設置されているニンテンドーDSステーションの簡易版をWiiで楽しめるというもの。最新タイトルの映像をインターネット経由で再生したり,ニンテンドーDSのタイトルの体験版をプレイできたり,ゲームの情報を確認できたりする。ゲームの情報については,レビュー機能がついていて,遊んだタイトルをお勧めするレビューを投票できたり,Wiiの本体に収納されているプレイ時間などの情報を送信したりといった機能を持つ。
また,任天堂ファンにとっては期待の作品である「大乱闘スマッシュブラザーズX」については,発売日が延期され,2008年1月24日になる。以前,コナミのメタルギアシリーズからスネークが登場することが話題になったが,そのほかにも,セガの看板キャラクターであるソニックが登場することが明らかにされ,プレイシーンを含むムービーが上映された。
宮本氏に続き,スポーツコメンテーターの森末慎二さんとモデルの相沢紗世さんが登場。この日,MCを務めた中井美穂さんを含め,4人でWiiFitを体験するというデモンストレーションが行われた。
本作は健康管理がテーマで,バランステスト,バランスゲーム,ヨガ,有酸素運動,筋トレの五つのジャンルのトレーニングをプレイできる。トレーニングと書くと,なんだか面倒そうで腰が引けてしまう人もいるかもしれないが,デモを見た限りでは,ゲーム感覚で楽しめそうな印象を受けた。測定結果に一喜一憂する姿を見て会場からは笑いがこぼれるシーンもあり,プレイする人だけでなく,見ている人も楽しめる「みんなで楽しむ」というコンセプトは体現できているように感じられた。
任天堂Conference2007.秋は,WiiとニンテンドーDSの発表会ということで,PCゲーマーには基本的には縁のないものではあるが,ゲーム人口の拡大やゲームの市民権をより浸透させるという彼らの考えについては,コンシューマゲーム機に興味がなくとも気になるところではないだろうか。ゲーム業界全体がより活性化する期待を込めて,任天堂の今後の動向に4Gamerでも注目していきたい。
- 関連タイトル:
Wii Fit
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