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これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
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印刷2007/11/15 14:01

レビュー

世界初のDirectX 10.1対応GPUは,2007年秋の時点でどんな意味を持つのか

SAPPHIRE HD 3870 512MB GDDR4 PCI-E
SAPPHIRE HD 3850 256MB GDDR3 PCI-E

Text by 宮崎真一

»  AMDが投入してきた新GPUは,複数のトピックを持つが,基本的には「ATI Radeon HD 2900 XT」のリファイン版だ。では,リファインによって何が変わったのだろう? 4Gamerでグラフィックスカードレビューといえばこの人,宮崎真一氏が早速掘り下げる。


 AMDはGPUの新シリーズ「ATI Radeon HD 3800」をリリースした。詳細は別記事でお伝えしているとおりだが,55nmプロセスルールの採用,DirectX 10.1のサポート,PCI Express 2.0対応など,ゲーマーにとって気になるトピックに満ちている,この秋の注目株の一つだ。今回は,そんな新GPUシリーズが,現行世代のゲームタイトルを前にどの程度の実力を発揮するのかを,ベンチマークテストによって検証してみたい。
 今回は販売代理店であるアスクの協力により,Sapphire Technology製のATI Radeon HD 3870/3850搭載グラフィックスカード2製品「SAPPHIRE HD 3870 512MB GDDR4 PCI-E」(以下,SAPPHIRE HD 3870),「SAPPHIRE HD 3850 256MB GDDR3 PCI-E」(以下,SAPPHIRE HD 3850)を入手できたので,これらを使っていくことにする。

画像集#002のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
SAPPHIRE HD 3870 512MB GDDR4 PCI-E
メーカー:Sapphire Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
予想実売価格:3万円台後半(2007年11月15日現在)
画像集#003のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
SAPPHIRE HD 3850 256MB GDDR3 PCI-E
メーカー:Sapphire Technology
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
予想実売価格:2万円台後半(2007年11月15日現在)


カードはリファレンスデザインを採用

ATI Radeon HD 2900 XTと比べてかなり扱いやすく


リファレンスデザインを採用するカード×3の比較。写真手前から順にATI Radeon 3850/3870/2900 XTとなる
画像集#004のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
 まずはカードの特徴をチェックしてみよう。カード長はSAPPHIRE HD 3870が228mm,SAPPHIRE HD 3850が230mm(※いずれも突起部除く)で,上位モデルのほうがわずかに短いという,ユニークな仕様だ。もっとも,ATI Radeon HD 2900 XTの同241mmと比べると,どちらもかなり小型化され,扱いやすくなった。
 PCI Express用の補助電源コネクタは両製品とも6ピン×1で,この点も扱いやすさに一役買っている。

 GPUクーラーは,SAPPHIRE HD 3870が2スロット仕様で,ブラケット部から熱を放出する外排気タイプ。SAPPHIRE HD 3850は1スロットタイプを採用する。

2製品を別の角度から。どちらの写真も左がSAPPHIRE HD 3870,右がSAPPHIRE HD 3850となる。カード裏面に目立った突起などはとくにない
画像集#005のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載 画像集#006のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載

 GPUクーラーを取り外すと確認できるメモリチップは,いずれもSamsung Electronics製。SAPPHIRE HD 3870はGDDR4チップ「K4U52324QE-BC08」(0.8ns,512Mbit),SAPPHIRE HD 3850はGDDR3チップ「K4J55323QI-BJ11」(1.1ns品,256Mbit)をそれぞれ8個ずつ搭載し,順にグラフィックスメモリ容量512MB,256MBを実現している。

画像集#007のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載 画像集#008のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
GPUクーラーを取り外したところ。SAPPHIRE HD 3870のクーラーは2ピース構成で,メモリチップ用のヒートスプレッダを搭載している
画像集#009のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載 画像集#010のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
搭載するメモリチップ。シルク印刷ではないためちょっと読みにくいが,左がK4U52324QE-BC08,右がK4J55323QI-BJ11である

 TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.1.0)で動作クロックをチェックした結果は下に画像で示したとおりだが,両製品ともリファレンスどおりのクロックと言って差し支えないだろう。メモリチップの仕様からすると,メモリクロックにはどちらも若干の余裕があるようだ。

左はSAPPHIRE HD 3870,右はSAPPHIRE HD 3850のチェック結果,順にコア777MHz,メモリ2252MHz相当(実クロック1126MHz),コア669MHz,メモリ1658MHz相当(実クロック829MHz)で,ATI Radeon HD 3870/3850のリファレンスクロック(※順に775MHz/2.25GHz,670MHz/1.66GHz)とほぼ同じ。なお,シェーダユニットの数が416基と表示されている理由は不明
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「ATI Catalyst 7.11」β版ベースの

レビュー用ドライバで6製品と比較


Maximus Formula Special Edition
DDR2対応のX38搭載ゲーマー向けモデル
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:4万1000円前後(2007年11月15日現在)
画像集#013のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
 今回は,この2製品が“主役”だが,比較対象としては,“ベースモデル”となるATI Radeon HD 2900 XTをはじめ,競合すると思われるGeForce 8800 GT/GTS,さらにはGeForce 8600 GTS,GeForce 7900 GSを用意した。限られたスケジュールだったこともあって,ATI Radeon HD 2600 XTやATI Radeon X1950 Proを用意できなかった点はご容赦いただきたい。
 また,GeForce 8800 GTとグラフィックスメモリ640/320MB版GeForce 8800 GTS,GeForce 7900 GSのデータについて,GeForce 8800 GTのレビュー記事からデータを流用する。そのため,ForceWareのバージョンが169.01βとなっているので,この点もご注意を。

ATI Catalyst Control Centerからドライバのバージョンを確認。ATI Catalyst 7.11βは“7.10ベース”ということもあり,ここでは7.10と表示されている
画像集#014のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
 ATI Radeonの3モデルについては,AMDからレビュワー向けに配布された「8.43.1-071028a-055275E-ATI」を利用する。AMD関係者によれば,これは「ATI Catalyst 7.11β」というべき位置付けとのことだ。
 なお,SAPPHIRE HD 3870/3850の製品ボックスには「8.43-071016a-050244C-ATI」という,やや古めのバージョンが添付されていたが,このバージョンは省電力機能「ATI PowerPlay」による電力制御周りに若干の問題を抱えていたので,念のため付記しておきたい。
 このほかテスト環境はのとおり。マザーボードはIntel X38 Expressチップセットを搭載するため,ATI Radeon HD 3800シリーズとGeForce 8800 GTはPCI Express 2.0動作となる。

画像集#018のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション4.1準拠。以下とくに断りのない限りグラフィックスカード名ではなく「ATI Radeon」「GeForce」を省略したGPU名で表記する。


最適化度合いによってスコアはバラつくものの

おおむねGeForce 8800 GTSといい勝負


 ベンチマーク結果の考察に入ろう。グラフ1,2は,「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の結果である。
 ATI Radeonは伝統的に3DMarkシリーズでいいスコアが出る傾向にあるが,HD 3870のスコアもかなりいい。描画負荷の低い標準設定では,8800 GTとそれほど差がなく,HD 2900 XTともほぼ互角である。
 興味深いのは,メモリバスインタフェースがHD 2900 XTの半分であるにもかかわらず,高負荷設定時にHD 3870/3850のスコアが落ち込んでいかないこと。動作クロックの引き上げなどが,「高負荷に弱い」ATI Radeon HD 2000シリーズの弱点をある程度軽減したと推測できそうだ。

 一方のHD 3850もスコアは上々。高負荷設定ではグラフィックスメモリ容量の少なさが影響して8800 GTSに置いて行かれるが,想定売価179ドルのカードとしては不満のないスコアといえる。

画像集#019のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
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 続いては「3DMark05 Build 1.3.0」。結果はグラフ3,4にまとめたとおりだが,HD 3870は「8800 GTS以上8800 GT以下」のところに収まっている。標準設定でHD 2900 XTに一歩譲るのが,高負荷時に(わずかながら)逆転するのも興味深い。HD 3850のスコアも標準設定でグラフィックスメモリ640MB版8800 GTSを上回るなど,良好な値を示している。

画像集#021のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
画像集#022のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載

 以上を踏まえて実際のゲームタイトルを見ていくが,まずはFPS「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」(以下S.T.A.L.K.E.R.)における平均フレームレートをグラフ5,6に示す。
 ここでのポイントは,HD 3870のスコアが,グラフィックスメモリ640MB版と同320MB版,二つの8800 GTSの間に収まっていることと,HD 2900 XTとほぼ同じ値になっていること。HD 3850も同傾向で,3DMark06/05ほどの勢いは見られない。

画像集#023のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
画像集#024のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載

 続いてもFPSから,ATI Radeonへの最適化が進んでいる「Half-Life 2: Episode One」(以下HL2 EP1)の結果である(グラフ7,8)。グラフィックスメモリバス帯域幅の影響は若干見て取れるものの,HD 3870のスコアはHD 2900 XTとほぼ同じ。ただし,「描画負荷が高まる高負荷設定ではGeForce 8800シリーズと比べてスコアが大きく落ちる」点でもHD 2900 XTと同じなのは残念だ。
 HD 3850のスコアは,標準設定なら十分に良好といえるレベルにある。

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 グラフ9,10は,TPS「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下ロスト プラネット)の「Snow」テスト結果である。NVIDIAが開発に協力していることもあって,ロスト プラネットはATI Radeonが不得意なタイトルとなるが,やはりというか何というか,ATI Radeon HD 3800シリーズのスコアはあまり奮わない。HD 2900 XTと比べてもスコアが低めなのは,「Snow」が“フィルレート勝負”になりやすく,HD 2900 XT比で半分になってしまっているメモリバス帯域幅が影響していると見るべきだろう。

画像集#027のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
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 お次はRTS「Company of Heroes」のスコアだ(グラフ11,12)。レギュレーション4.1で採用するバージョン1.70だと,最近のATI CatalystではVsyncを無効化できないため,ATI Radeonの3モデルのみ,バージョン1.40でのテストとなっている。そのため,厳密な意味でATI RadeonとGeForceは横並びで比べられないのだが,かなり描画負荷の高いCompany of Heroesにおいて,HD 3870がグラフィックスメモリ640MB版8800 GTSを安定して上回り,HD 3850がグラフィックスメモリ320MB版8800 GTSと互角に渡り合っている点には注目しておきたい。

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 最後にレースシムの「GTR 2 - FIA GT Racing Game」(以下,GTR2)のテスト結果をグラフ13,14に示した。
 レギュレーション4.1では最も描画負荷の低いタイトルということもあり,標準設定の低解像度ではほとんど差が出ないが,高解像度や高負荷設定では,グラフィックスカードの地力がスコアに影響してくる。
 目を引くのは,HD 3850のスコアがHD 2900 XTを上回っている点。メモリクロックが同じであることを考えるに,メモリバス帯域幅がパフォーマンスを左右しない局面において,RV670コアの“メモリ周りの改善”がスコアを左右する可能性が指摘できそうだ。あるいは,8800 GTのレビュー記事を踏まえるに,PCI Express 2.0接続のメリットが出た可能性もある。

画像集#031のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
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55nmプロセス&PowerPlayの省電力効果は抜群

GPUクーラーは静かだが,冷却能力に課題も


 ATI Radeon HD 3800シリーズでは,55nmプロセスルールを採用したほか,これまではノートPC向けGPU専用だった省電力機能,ATI PowerPlayを搭載するなど,消費電力に対する積極的な取り組みが行われている。では,実際の消費電力はどの程度だろう? いつものように,ワットチェッカーを用いてシステム全体の消費電力を測定してみた。
 測定方法も4Gamer定番のもので,OS起動後30分放置した時点を「アイドル時」,3DMark06の総合テストをループさせて30分間連続実行し続け,最も消費電力の高かった時点を「高負荷時」とする。そして,計測したスコアをグラフ15にまとめた次第だ。

画像集#033のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載

HD 3850をGPU-Zでチェックしたところ。「GPU Clock」に注目
画像集#012のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
 グラフを一見して分かるのは,アイドル時におけるHD 3870/3850の消費電力が非常に低いこと。とくにHD 3850は100Wを切っており,ATI PowerPlayには,大いに意味があるといっていい。本稿の序盤で示したGPU-Zのスクリーンショットを右に再掲するが,GPUコアクロックが300MHz程度にまで下がっている。これが低消費電力化に大きく貢献しているのだろう。
 ところで,テストのセットアップ時に「製品ボックス付属のドライバでは,ATI PowerPlayに若干の問題を抱えていた」と述べたが,実はこのドライバだと,アイドル時の消費電力が111Wまでしか下がらなかった。逆にいえば,ドライバの改良が進むと,さらにアイドル時の消費電力が下がる可能性があるわけで,今後にも期待したい。

 グラフに戻ると,高負荷時のスコアはHD 3870が8800 GTと同程度。AMDはATI Radeon HD 3800シリーズの最大消費電力を105Wとしているが,これは8800 GTの公称消費電力と同じ値なので,その意味では妥当なスコアといえそうだ。いずれにせよ,200Wを大きく下回るHD 3850も含めて,HD 2900 XTとは比較にならない値であり,消費電力は従来製品と比べて大きく改善している。

PowerColor 2900XT 512MB DDR3
HD 2000世代のハイエンドカード
メーカー:Tul
問い合わせ先:アスク(販売代理店) info@ask-corp.co.jp
実勢価格:5万8000円前後(2007年11月15日現在)
画像集#015のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
 ここで,HD 2900 XTのアイドル時におけるスコアが8800 GTのレビュー記事で示したものと異なっている点にお気付きの読者もいるだろう。同記事では,「ATITool 0.27β2」を使っていたのだが,どうもそのせいでクロックが上昇し,消費電力が高く出てしまっていたようだ。これは明らかに測定ミスであり,ここでお詫びしておきたい。今回再計測したデータが,正しいものになる。

 消費電力に関する言及が長くなったが,グラフ15の時点におけるGPUコア温度を測定した結果を,グラフ16へまとめてみた。
 このとき測定に利用したツールは先ほどその名が出てきたATITool 0.27β2。同ツールは温度変化のログを取れるのがメリットだが,用いたバージョンではHD 3870/3850のGPU温度を取得できなかった。そこでATI Radeonの3製品についてのみ,「3DMark06を30分間連続実行した直後の値を,ATI Catalyst Control Centerからチェックした結果」になることをお断りしておく。ただし,HD 2900 XTの温度をATITool 0.27β2で計測したところ,アイドル時65.1℃,高負荷時68.9℃だったので,そう問題はないと思われる。

 さて,ATI Radeon HD 3800シリーズのスコアは,おおむね高め。高負荷時も80℃を超えており,(8800 GTのリファレンスクーラーほどではないにせよ)若干心許ない冷却能力だ。筆者の主観で恐縮だが,HD 3870のGPUクーラーは「それほどうるさくはない」,HD 3850のそれは「PCの電源投入直後は少々耳障りだが,それ以外はかなり静か」といった印象で,どちらも静かさ重視。これが,グラフのような結果を生んだといえる。

画像集#034のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載


ついに登場したDirectX 10世代のミドルレンジ

価格がこなれてくれば有力な選択肢に


SAPPHIRE HD 3870の付属品一覧。初期ロットは微妙に付属品が異なる場合があるそうなので,気になった人はアスクに問い合わせるといいだろう。ご覧のとおり,HDMI出力アダプタは標準添付
画像集#016のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
画像集#017のサムネイル/これぞ真のDX10ミドルレンジ。「ATI Radeon HD 3870/3850」レビュー掲載
 ゲームにおける絶対的なパフォーマンスで,HD 3870/3850は8800 GTに敵わない。これは間違いないが,一方で両製品の想定売価が順に219ドル179ドル(※いずれも消費税などは考慮されていない。なお,前者については国内発表会で,通訳が210ドルと訳していた)になっている点を,無視するわけにはいかないだろう。
 予想実売価格は,SAPPHIRE HD 3870が3万円台後半,SAPPHIRE HD 3850が2万円台後半と,AMDの想定売価を大きく上回ってしまっている。GeForce 8800 GT搭載カードの価格を考えるに,正直,この価格では「ない」と言わざるを得ない。しかし,初期ロットこそ、AMDから供給されるリファレンスモデルが使われており,プレミアもついているが,カードメーカー各社オリジナルデザインのモデルもすぐ投入される予定なので,ほどなく価格はこなれるだろう。そうなれば,俄然面白い存在になってくるはずだ。

 HD 3870で3万円以下,HD 3850なら2万5000円以下。「想定売価に近い価格まで店頭価格が下がったら」という前提は必要だが,「DirectX 9世代のミドルハイクラスや,8600 GTSのパフォーマンスでは我慢できない。でも,グラフィックスカードに3万円以上払うのは予算的に厳しい」というワガママな人にとっては,ついに登場した,真の意味でのDirectX 10世代ミドルレンジGPUといえる。消費電力の低さも魅力で,かなり食指が伸びる製品といって間違いない。
  • 関連タイトル:

    ATI Radeon HD 3800

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