お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2009/07/27 10:30

レビュー

SideWinderマウスのエントリーモデルが持つ信頼性を探る

SideWinder X3 Mouse

Text by fumio

»  メーカー希望小売価格3990円(税込)で市場投入された,Microsoft製ゲーマー向けマウスのエントリーモデルを,fumio氏が評価する。上位モデルとは一線を画す,シンプルな外観の新製品は,コスト意識の高いゲーマーにとって,価値のある選択肢となり得ているだろうか?


SideWinder X3 Mouse
メーカー:Microsoft
問い合わせ先:マイクロソフト インフォメーション センター TEL:0120-41-6755
実勢価格:2900〜4000円(※2009年7月27日現在)
画像集#002のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
 2007年夏にSideWinderブランド復活の狼煙を上げて以降,個性的なデザインのゲーマー向けマウスを投入し続けてきたMicrosoft。そんななか,第4弾マウスとして2009年5月に販売が始まったエントリーモデル,「SideWinder X3 Mouse」(以下,SideWinder X3」は,これまでのシリーズ展開とは打って変わって,驚くほどシンプルな外観に仕上がっている。
 ある意味でSideWinderらしくないともいえる新製品は,高くても4000円前後と,ゲーマー向けマウスとしては非常に安価なのも特徴だが,果たしてその実力はいかほどか。今回も,FPSゲーマーの視点からレビューしてみたいと思う。


持ち方を選ばない左右対称デザイン

クセの少ないデザインと軽さも好印象


4Gamerの比較用リファレンス,「MX510 Performance Optical Mouse」(右,以下 MX510)と比較。多少短いくらいで,底面積はほぼ同じ
画像集#003のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
 SideWinder X3は,左右対称デザインを採用した,レーザーセンサー搭載のワイヤードマウスだ。操作に利用できるボタンは左右メインとセンタークリック機能付きスクロールホイール,サイド左右各1で,これとは別に,トラッキング解像度変更用専用のボタンが3個,スクロールホイールと並ぶように設けられている。
 本体サイズは実測で70(W)×120(D)×39(H)mm,重量はケーブル込みで同137g,ケーブルを秤からどかせた参考値で同95〜99gだった。重さは「Razer Diamondback 3G」と同程度で,サイズを考えると軽い部類に入るといっていい。

別の角度から,やはりMX510と比較。とくに横から見たときの形状が近い
画像集#004のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載 画像集#005のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載

初代「SideWinder Mouse」(右)と並べてみると,写真でそれぞれ右奥に見える勾配の角度が相当異なっているのが分かる
画像集#006のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
 SideWinderシリーズといえば,右手による「かぶせ持ち」に特化した――親指の先から手のひら,小指の先までのラインで包み込むように持つとき,最もしっくりくるよう,マウスの“頂上”を本体後方に設けた――デザインが大きな特徴だが,それと比べると,SideWinder X3は,一般PCユーザー向けのマウスの形状に近づいたわけだ。

 実際,いろいろな持ち方を試してみると,「かぶせ持ち」「つかみ持ち」時,手のひらにしっかり当たって安定したホールド感が得られるだけでなく,従来のSideWinderシリーズで一貫して相性のよくなかった「つまみ持ち」でも,SideWinder X3なら違和感がなく利用できるようになった。
 同時に,薬指で右メインボタンを押す,いわゆる3本指スタイルでの操作性も,従来のSideWinderシリーズと同様に問題がない。もちろん,左手でも使えるようになったというメリットもあり,総じて,クセが少なくなり,うまくまとまった印象を強く受ける。

中央より手前側は,底面に近づくにつれて裾が広がる,いわゆる末広がり形状。「つまみ持ち」のとき,この曲線はなかなかいい具合で指先にフィットする
画像集#007のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載 画像集#008のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載

本体底面のソールが,テフロン製のシート×2になった(左)。初代SideWinder Mouseや「SideWinder X8 Mouse」のような固い樹脂ではなくなったことで,マウスパッドが削れてしまう恐れがなくなったり,マウスパッドとの組み合わせ次第で生じる不快な摩擦音が生じなくなったのは喜ばしい。右はUSBケーブル。いい意味で特徴がないというか,少なくとも固くて困るようなことはない
画像集#009のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載 画像集#010のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載


メインボタンとホイールの操作感はX5譲り

一方,サイドボタンの使い勝手は今一つ


SideWinder X5(右)と並べてみたところ。メインボタンとスクロールホイールは,おそらく同じものだろう
画像集#011のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
 メインボタンのクリック感は「SideWinder X5 Mouse」(以下,SideWinder X5)と同様で,おそらく,同じタクトスイッチを採用しているものと思われる。
 ホイールも,見た目,操作感ともにSideWinder X5と酷似。回したときの止まり具合が若干緩い点も含めて共通だが,基本的に不満はない。

 一方,指が届きやすく,押し分けがしやすいことから,高く評価していたSideWinderシリーズ伝統の縦並びサイドボタンは,影も形もなくなってしまった。左右サイドに1個ずつという,Microsoft製の一般PCユーザー向けマウスによくある配置になってしまい,どうにも「普通のサイドボタンになってしまったなあ」といったところ。

SideWinder X3のサイドボタンは,一般的なマウスと同じような,左右に1個ずつという配置。押し心地はやや緩く,気持ち強めに押し込まないと反応しない。このあたりは,「Microsoft IntelliMouse Optical」や「Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0」に近いものを感じる
画像集#013のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載 画像集#014のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載

サイドボタンは本体からわずかに出っ張っている
画像集#015のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
 それだけならまだいいのだが,配置が本体奥寄りになりすぎているせいで,「つまみ持ち」「つかみ持ち」だと,指のホールド位置からボタンが離れすぎてしまう。「かぶせ持ち」だと,ホールド位置の真上にボタンが来るため,押しやすくなるのだが,中指で右メインボタンを押す,いわゆる2本指派だと,薬指がサイドボタンを意図せず押してしまうことがある。サイドボタンの使い勝手は今一つだ。

スクロールホイールのとなりにある3連のトラッキング解像度変更専用ボタンで,200/400/800/1000/1600/2000DPIの中から三つを割り当てて切り替えられる。個人的にはまず使わないボタンだが,ゲーム中にとっさの押し分けがしづらい点や,「かぶせ持ち」だとまず指が届かない点は,従来のSideWinderシリーズと同じ(※右に示したサムネイルをクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
画像集#016のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載 画像集#017のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載


ハイセンシ&樹脂製パッドなら実用可能だが

低感度で使う人&布パッドを使う人には不向き


 マウスレビューのたびに繰り返しているが,筆者は普段,マウスを約4cm移動させたときに,ゲーム内で視点が180度ターンする設定でFPSをプレイしている,いわゆるハイセンシのプレイヤーだ。当然,SideWinder X3のテストに当たっても,まずはこの設定を行ってプレイしたわけだが,樹脂製でハードタイプのマウスパッドと組み合わせて使用した限り,センサー性能に特段の不満を覚えることはなかった。リフトオフディスタンスも短いほうだ。
 ただし,だからといって,すべてのゲーマーに勧められるかというと,そうでもないという話を,ここからは進めていこう。テスト環境は表1,テスト条件はその下に箇条書きで示したとおりとなる。

画像集#020のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載

●SideWinder X3の設定
  • ドライババージョン:6.3(※IntelliPoint 6.3)
  • トラッキング解像度:2000DPI
  • レポートレート(≒ポーリングレート):500Hz(※デフォルト。IntelliPointからの変更不可)
  • Windows側設定「マウスのプロパティ」内「速度」スライダー:中央
  • Windows側設定:「ポインタの精度を高める」:オフ

●テスト方法
  1. ゲームを起動し,アイテムや壁の端など,目印となる点に照準を合わせる
  2. マウスパッドの左端にマウスを置く
  3. 右方向へ30cmほど,思いっきり腕を振って動かす「高速操作」,軽く一振りする感じである程度速く動かす「中速動作」,2秒程度かけてゆっくり動かす「低速動作」の3パターンでマウスを振る
  4. 振り切ったら,なるべくゆっくり,2.の位置に戻るようマウスを動かす
  5. 照準が1.の位置に戻れば正常と判断可能。一方,左にズレたらネガティブアクセル,右にズレたら加速が発生すると判定できる

 テストに用いたゲームタイトルは「Warsow」。本テストにおいて,ゲーム内の「Sensitivity」設定は,「180度ターンするのに,マウスを30cm移動させる必要がある」0.3に設定し,読み取り異常の発生を分かりやすくさせている。
 そして,テスト結果を示したのが表2だ。

※「相性の程度」は,高速/中速/低速動作において問題がなかったか,あったとすればどういう問題が生じたかを示したもの。○は「問題なし」,△は「基本的に問題ないが,まれにポインタが引っかかるような動きになる」,▲は「ポインタの移動中,引っかかるような動きが高確率で見られる」,×は「使い物にならないレべルの異常が発生する」ことをそれぞれ示す。「反応しなくなる高さ」は,マウスの底に1円玉を重ねていき,センサーが応答しなくなる高さ(=リフトオフディスタンス)を示したものだ
画像集#021のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載

画像集#019のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
 ご覧のとおり,テストしたすべてのマウスパッドで,何らかの問題が生じてしまった。予想を超えて芳しくない結果だったため,タイミングをズラして入手した別の個体でも同じテストを実行したが,状況に大きな変化はなし。正確を期すと,もう一つの個体では,SteelSeries QcK Massで問題が悪化した一方,Razer Destructorとの相性問題は若干改善しているが,その程度である。
 マウス以外のテスト環境に問題がある可能性を疑い,表1で示したテスト環境で,念のためSideWinder X5でも検証したが,結果はレビュー時と同じ。さらに,別途筆者手持ちのサブノートPCでもテストしたり,一部,担当編集にもテストに参加してもらったりしても,やはり結果は同じだったので,テスト機材や環境におかしなところはないはずだ。
 
 以上を踏まえて傾向をまとめると,樹脂系のマウスパッドなら,低速動作(=ハイセンシティビティ)なら正常な読み取りを期待できるが,高速動作(=ローセンシティビティ)だとポインタ飛びの可能性が残る。一方の布系マウスパッドだと,低速動作どころか,中速動作(=ミドルセンシティビティ)でも問題の出る可能性がある。


低価格・軽量・クセの少ない外観は魅力

ハイセンシ志向の人には勧められるが……


製品ボックス
画像集#018のサムネイル/3000円台のMicrosoft製ゲーマー向けマウス「SideWinder X3」レビュー掲載
 SideWinder X3は,従来のSideWinderシリーズでとられていた,大型・高機能路線からは外れる製品だが,これくらいシンプルなマウスを望んでいたユーザーは少なくないだろう。価格が4000円以下に抑えられていることや,軽量で,かつクセの少ない形状ゆえに使い手を選ばないことなどは,多くの人にオススメできるポイントで,デザイン面のマイナス要素は,サイドボタンくらいのものだ。それだけに,センサーの追従性に不安が残ることは残念だ。

 端的に述べて,SideWinder X3の利用を勧められるのは,樹脂製のマウスパッドと組み合わせて,高感度設定でプレイする人。この条件を満たす人なら快適に利用できるだろう。
 一方,それ以外の人には勧められない。これでセンサー性能がもう少しよければ,低価格帯の新たな定番製品となり得る可能性も感じるので,Microsoftにはぜひ,SideWinder X3のセンサー改良版を,“SideWinder X4”として出してほしいと願うばかりである。
  • 関連タイトル:

    SideWinder

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:11月16日〜11月17日