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[GDC2008#25]GTAの父,デイビッド・ジョーンズ氏が初挑戦のMMO「All Points Bulletin」を大公開
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印刷2008/02/22 19:57

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[GDC2008#25]GTAの父,デイビッド・ジョーンズ氏が初挑戦のMMO「All Points Bulletin」を大公開

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 スコットランドにおいて華々しい開発履歴を持つDavid Jones(デイビッド・ジョーンズ)氏が,GDC08の「My First MMO」(私の初めてのMMO)というセッションで,新作「All Points Bulletin」を公開した。Jones氏は,DMA Design時代に日本でも人気のあった「レミングス」を開発。やがて,Nintendo 64用の完全3Dアクション「ボディーハーベスト」,さらには「グランド・セフト・オート」シリーズと,世に大きなインパクトを与え続けた名作を連発している人物だ。
 Jones氏は,「グランド・セフト・オート III」(GTA3)の開発終了間際にDMA Designを退社しており,現在のRealtime Worldsとなる開発チームを興した。Realtime Worldsは,2007年にMicrosoft Game Studiosからギャングアクション「Crackdown」をリリース。さらに現在開発中なのが,Jones氏自身にとって初挑戦となるMMOG「All Points Bulletin」(以下,APB)というわけである。

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 Jones氏の講演では,APBを企画するにあたって,まず考えてみたことというのが「MMORPGとは何だろう」ということだったらしい。「Dark Age of Camelot」や「World of Warcraft」をプレイすればするほど,「そもそもMassivelyって,どこまでいけばMassivelyなのか」などと考えはじめ,MMORPG,MMOG,さらにはMOGなど,複数のプレイヤーが同時参加するタイプのゲームの呼称は,人によってイメージが統一されていないという不安定なジャンルであることに気付いたというのだ。
 結局,それらのゲームに共通するのは,「専用サーバーが常時稼動しているかどうか」であり,自分の新作を説明するときには「MMOゲーム」という言葉で表現することに決めたのだとか……。「そんなこと別にどうでもいい」なんて思うのは常人で,やはり語義にこだわるところがJones氏の人となりを表しているのかもしれない。
 ただ,そう納得することで,「自分はMMORPGを作ることを決めてから企画を練るのではなく,専用サーバーが常時稼動していることで,どのようなゲームが生まれるのか」という,まったく逆のデザインアプローチになったというのは面白い話である。宇宙モノやファンタジーモノにするのではなく,“コンテンポラリーなアーバンライフ”という設定にしたのも,「コンピュータオタク」(geeks)的視点からの決別であるらしい。

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 その後,当のAPBについての説明を,Jones氏はムービー映像を使って行った。APBについては,制作発表は2005年の時点で行われているものの,短いムービーとアート画像数点が発表されたっきりで,実際にゲームが動いているのが公開されたのは初めてのことだ。
 韓国のWebzenが欧米市場への参入の切り札として運営をサポートすることになっており,Unreal Engine 3を利用した緻密なキャラクターやランドスケープが魅力の一つである。
 APBは,プレイヤーが法を行使する側と,法を破る側の二手に分かれて抗争を繰り返すという,GTA3のMMOゲーム版とも形容できるもので,説明はまずキャラクターのカスタマイゼーションから始まった。
 Jones氏によると,APBの売りの一つがカスタマイゼーションの自由度の高さである。写真を何枚も撮ったので参照してもらいたいが,これらはすべて一つのキャラクターモデルを,インタフェース上のアイコンを使ったり,モデルを粘土細工のように直接マウスクリックして変形させることで,太り気味の白人から人相の悪い長髪のアジア人へと自在に変化させたものなのだ。

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 また,タトゥーや車のボディのペイントアートも,非常に自由にデザインできる。Jones氏は,このDecalシステムについて,「Gotham Racing Projectでマニアックなアートを描き上げて評判になっている人がいますが,彼らにも十分満足できるほどカスタムペイントの幅の広さを誇っています」と自信ありげだ。

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 さらに,Jones氏はキャラクターカスタマイゼーションがどれだけ優れたものが示すために,ゲーム業界の有名人のモデルを見せてみた。当然ながら,彼らの写真から取り込まれたものではなく,ゲーム中のキャラクタークリエイションで作ってしまったものだ。それぞれ誰がモデルだか読者には分かるだろうか?

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 今回の講演では,ゲームのミッションについても説明が行われた。Jones氏が多用していたのは,「grind」(グラインド)という言葉だ。これは,とくにヨーロッパのゲーマーにはよく利用されているスラングの1種で,「単純作業の繰り返し」とでも言うべきもの。要するに,既存のMMORPGでは,レベル上げのためにモンスターを殺し,黙々と経験値を積んでいくというゲームシステムが多く,これを「グラインドばかりで壊れたゲームシステムだ」とJones氏は強く否定する。
 そこで,Jones氏が目を付けたのが「Counter-Strike」である。RPGでもないのに世界中のプレイヤーが何百時間もプレイしてしまうことが,Jones氏にとってはロールモデル的な存在であるらしい。APBにもキャラクターにレベルの概念がなく,プレイヤーはNPC相手のクエストや敵対勢力との抗争を通して報酬を得て,それを元手に新しい衣装のセットや武器,車のパーツを購入していくことになるようだ。

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 実際にプレイヤー対プレイヤーのミッションを紹介するムービーも公開されたが,その中ではギャング仲間の3人が窃盗をした途端にAPB(ここでは日本語でいうところの“指名手配”の意味)という文字が表示され,近くにいる警察チームに緊急通報される。つまり,クラン同士のマッチメイキングがリアルタイムで発生するわけだ。
 それまではブラブラしていた警察チームも,あわててスポーツカーやバンに警報装置を付けた自家用車(?)で追跡。ギャングチームは,指定の場所に到達するまでに追っ手を完全に振り切っていればミッション成功となるのだが,十分な距離を開けられなかったり,行く先を遮断されたりした時点で,車から降りて銃撃戦になる。ほかのプレイヤーは,この様子を周囲で眺めることもできるという。

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 こうした銃撃戦を核にすることで,Counter-Strikeのように同じようなミッションでありながらも,何度もプレイできるようなシステムになるはずだとJones氏は語る。銃撃戦の結果はプレイヤーへの報酬の成果になるだけでなく,記録としてほかのプレイヤーも閲覧できる仕組みが構築されるとのことで,有能なクランは同じ勢力のプレイヤーには敬服され,敵対勢力には恐れられるほどに名を轟かせることになるだろう。
 ちなみに,警察チームはプレイヤー相手もしくはNPC相手のミッションでもない限り,街を歩いている一般人NPCや攻撃スタンスのないプレイヤーに向けての発砲は,制限されることになるという。また,last FMというインターネットラジオの協賛を受け,車からラジオの音楽がリアルタイムで聴けるなど,面白い要素は少なくない。
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 具体的な発売日については言及されなかったものの,これまでのMMORPGとは一癖もふた癖も異なるゲームであるのは間違いないようだ。Jones氏は,「実はテスターがこんなものを作っているんだ」と言いながら,ツールなど使って制作したという「ファイナルファンタジー」似の映像を見せ,会場の大喝采ながら講演を終えた。
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